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「ラテン語文法の全体構造」
「ラテン語文法の全体構造」
「古代ギリシア語文法の全体構造」
「古代ギリシア語文法の全体構造」

I-B-4.英文法の全体構造

文法の概要は以下の3つの項目に分かれています。

文法の概要

  1. 定形動詞の活用
  2. 「てにをは」の表現方法(英文法では文型や動詞型)
  3. 接続詞等の使い方(文から節・句へ分解する方法)

定形動詞の活用

上記のうち、英語における定形動詞の活用は、本来、他動詞の場合は<法>、<態>、<相>、<時制>、<人称>、<数>の6階層、自動詞の場合は<法>、<相>、<時制>、<人称>、<数>の5階層の構造を1語の中に圧縮した形で持っていましたが、現在では、<人称>と<数>という2つの階層を独立させて、<主語>にしているため、実質的には他動詞で4階層、自動詞の場合で3階層になっているだけでなく、<態>や<相>についても<単回遂行相>以外は<助動詞+分詞>の形式にしているため、1語に圧縮した形にはなっていません。このため、<態>と<相>、<時制>が組み合わされるとわかりにくくなる場合があります。こうした特徴はありますが、やはり、定形動詞の意味を把握するには<主語>も含めた<定形動詞>の6階層ないし5階層の構造を正しく分析することが必要になります。

他動詞の定形動詞の階層は上記に示したように、法・態・相・時制・人称・数の6階層、自動詞の定形動詞の階層は法・相・時制・人称・数の5階層になります(自動詞には<態>の階層はありません)。これらを図示すると以下のようになります。

定形動詞の階層のうち、法・態・相・時制の関係図

        定形動詞の階層構造(1)
   

定形動詞の階層のうち、人称の関係図

        定形動詞の階層構造(2)
   

定形動詞の階層構造の概要についてはこちらをご覧ください。

また、定形動詞に対応するものとして「主語」がありますが、英語の「主語」は<主題>と<純粋主語>が結びついて形成されたものです。<純粋主語>とは定形動詞の階層構造のうち、<人称>と<数>を表現するために存在しているもので、通常は<主題>と結びついて「主語」を形成していますが、分離することがあります。この<純粋主語>が分離独立したものを<形式主語>と呼びます。<形式主語>は定形動詞の後にある<主題>を「後方参照」していると言われることがありますが、これも単に<主題>と<純粋主語>が分離したものと考えるべきものなのです。詳細は「主語と主題」をご覧ください。




「てにをは」の表現方法

次に「てにをは」の表現方法ですが、言語の種類によって大きく3つの方法に分かれます。

第1に格変化を使う方法です。名詞や形容詞を格変化させて、「てにをは」を表現します。ラテン語や古代ギリシア語はこの方法を採用しています。現代でも、ドイツ語(かなりの部分を冠詞に頼ってはいますが)やロシア語がこの方法を採っています。これらの言語では、実際に使われている格変化した形から辞書に掲載されている元の形を導き出さないと辞書が引けません。

第2に文型(動詞型)などを使う方法です。ヨーロッパの言語では、もともと上記の格変化が主流でしたが、しだいに格変化が衰えてくる言語が出てきました。こうした言語で格変化に代わって生まれてきたのがこの方法です。多くの文型(動詞型)は動詞と不定形や分詞・節・前置詞などとを組み合わせることで「てにをは」を表現しています。こうした言語では文型がわからないと、文の意味が把握できません。英語やフランス語、スペイン語、イタリア語などが該当します。広い意味では中国語(漢語)もこの中に含まれます(中国語(漢語)では、「好吃(おいしい)」と「吃好(ちゃんと食べる)」のように<文型>というよりも<字>の並べ方によって意味を表しているところがあります)。

第3に「てにをは」を助詞などの「辞」で表現する方法です。日本語や朝鮮語・満州語・モンゴル語・トルコ語・フィンランド語などが該当しています。




接続詞と接続関係詞[関係代名詞]の使い方

接続詞は「等位接続詞」と「従属接続詞」の2つに分類されます。

等位接続詞は、語と語、句と句、節と節をつなぐための接続詞です。and「~と」、but「しかし」、or「または」などが該当します。

従属接続詞は、従属節の先頭に来る接続詞です。when「~するときに」、while「~している間」、if 「もし~なら、たとえ~でも」、provided,providing「もし~なら」、although「~だけれども」、because「なぜなら~」、after「~した後で」、before「~する前に」、as「~なので、~のように等」、until「~まで」などが該当します。

接続関係詞[関係代名詞]は、本来は関係詞[代名詞]ですが、節と節を接続する特殊な機能を持っている言葉です。具体的には、who「~する人が」、which「~するもの」、whosewhom「~する人を」、whatthatなどがあります。また、関係副詞であるwhenwherewhyhowなどもこの中に含まれます。

従属接続詞は、副詞節や名詞節の先頭に来ますので、そこから文を副詞節や名詞節に分解することができます。また、接続関係詞[関係代名詞]は、形容詞節や名詞節の先頭に来ますので、そこから、文を形容詞節や名詞節に分解することができます。

そのほか、英文法では従属接続詞や接続関係詞[関係代名詞]を使う代わりに分詞を使って、節(clause)と同じような役割を果たす<分詞構文>があります。




文意の把握の方法の概要

上記のような文法の概要を踏まえた上で、文意を把握するには以下のように行います。

まず、接続詞や接続関係詞[関係代名詞]などを手かがりとして、文(sentence)を節(clause)に分解します。また、英文法では分詞構文などの節に準ずる句がありますが、これについては分詞を手がかりにして、文から句(phrase)に分解します。文が1つの節から成り立っている場合は、この作業は必要ありません。

上記の節(clause)には、主節と従属節がありますが、従属節は、名詞節・形容詞節・副詞節の3つの種類に分類されますので、たとえば以下のように、従属節の種類ごとにそれぞれを異なる記号を使って、節(clause)を括っていくと文意を把握しやすくなります(必ずしも以下の記号である必要はありません)。

  1. 名詞節:[名詞節]
  2. 形容詞節:<形容詞節>
  3. 副詞節:(副詞節)

次に、節には定形動詞が必ず1つずつあるはずです(等位接続詞などで定形動詞が接続されている場合は2つ以上になることもあります)。その定形動詞が他動詞であれば6階層、自動詞であれば5階層の構造を持っていますので、その構造を1つずつ分析していき、辞書掲載形である事実法[直説法]・能動態・現在不定形を導き出してから、辞書を引きます。その際、その動詞が取ることのできる文型を考えながら、意味を調べていくことになります。

第3に、定形動詞以外の節(clause)の要素が定形動詞とどのような関係にあるのかを調べます。英語では日本語の<てにをは>に相当する機能を文型によって表現していますので、定形動詞を中心としてどの文型に該当するのかを考えていきます。文型というと5文型が有名ですが、これはC.T.アニアンズが『高等英文法―統語論』の中で英語の母語話者を対象にしたものですので、日本人がこれにこだわらなければならない理由はありません。しかし、多くの文法書は5文型だけでお茶を濁しているのが現状で、文型についてまともに解説している本はあまり多くありません。『英文構成法』(佐々木高政著)か『英語構文全解説』・『総合英文読解ゼミ』・『コンプリート高校総合英語』(3冊とも山口俊治著)ぐらいだと思います。このうち山口俊治氏の一連の著作は英語の構文を網羅的に解説していますので、辞書代わりにはなりますが、通読するのはむずかしいかもしれません。



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