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I-B-4.英文法の全体構造

文型(動詞型)の解説(その3)

SVC系(補語をとる<動詞形>)

SVC系の動詞はbe動詞類と呼ばれる特殊な動詞です。英語の動詞の多くは他動詞にも自動詞にもなりますが、be動詞類の動詞は自動詞だけの場合がよくあります。この文型での主語と補語には以下のような関係があります。

  1. 主語は既知情報(聞き手が知っているはずの情報)、補語は既知情報または未知情報(聞き手が知らないはずの情報)を表す。
  2. 補語は主語の静的属性(比較的変化しにくい属性)を形容詞相当語句で表現するか、主語が含まれる概念を名詞相当語句で表現する(よく主語と補語は等号 "=" で結ばれると言われますが、厳密には名詞相当語句に対して言えることであり、包摂される(含まれる)関係になります)。
  3. 主語は名詞相当語句である。名詞相当語句とは具体的には、名詞・関係詞[代名詞]・"the+形容詞"・"the+分詞"・不定詞(句)・動名詞(句)・名詞句・名詞節が該当する。
  4. 補語は名詞相当語句または形容詞相当語句である。形容詞相当語句とは具体的には、形容詞・形容詞句・分詞が該当する。

SVO系やSVA系との相違点は、以下の通りです。

文型(動詞型)の分類 特徴
SVO系 目的語は名詞相当語句であり、主語とは異なるグループに属し、動詞の動作・行為の対象となる。
SVC系 補語は主語の静的属性(比較的変化しにくい属性)を形容詞相当語句で表現するか、主語が含まれる概念を名詞相当語句で表現する。
SVA系 副詞相当語句は主語とは異なるグループに属し、動詞の動作・行為の対象とならない。

【第4型】S+be動詞類+C[補語=名詞または形容詞]

【第4型】は、補語が名詞または形容詞となるもので、S+V+Cの基本的な文型となるものです。このグループに属する動詞は、ある状態にあることを示す【be型】とある状態から別の状態への移行を示す【become型】の2つのパターンに分かれます。また、補語には名詞・関係詞(代名詞)・不定詞・動名詞・名詞句・名詞節・形容詞・形容詞句(前置詞で始まる形容詞に相当する句)・分詞が該当します。

be動詞類以外でも、【第21型】の定形動詞を受動態で表現すると、この【第4型】と同じ文型になります。したがって、一見【第4型】のように見えても、定形動詞が受動態の場合には、辞書を引くときに【第21型】として考える必要があります。

1.ある状態にあることを示す動詞【be型】

  • appear「~のように見える、~のようである」
  • be「~である」
  • continue「引き続き~である」
  • feel「~の感じを覚える、~の気がする」
  • keep「ずっと~のままである」
  • lie「~のままである、~の状態である」
  • look「~のように見える」
  • seem「~のように思われる」
  • sound「~に思われる、~のような音がする、~に聞こえる」
  • stand「~(の状態・関係)である」
  • stay「~(の状態の)ままでいる[である]」

2.ある状態から別の状態への移行を示す動詞【become型】

  • become「~になる」
  • come「~(好ましい状態)になる」
  • fall「(急に)~になる」
  • get「~になる」
  • go「~になる」
  • grow「~になる」
  • run「~(望ましくない状態)になる」
  • turn「~になる、~に変わる」


This milk tastes sour.

The mere knowing of the words and the syntax is of little value.

It has turned quite cold.



【第5型】S+be動詞+to不定詞

【第5型】は、be toで<予定>、<運命>、<意図>、<命令・義務・当然すべきでないこと>、<可能・不可能>などを表すものです。『英文構成法』ではSVC系(補語をとる<動詞形>)として分類していますが、これは少し無理があるような気がします。be toは法助動詞に準じる語と考えるべきなのではないかと思います。また、be動詞の後に名詞句に相当するto不定詞が来る場合の文型(動詞型)は【第4型】に分類します。



His daughter is to be married next year.

He was to be false his own country.

World War II was only to be expected.



【第6型】S+be動詞類+C[補語=名詞または形容詞]+to不定詞(to不定詞は限定・程度・感情の原因・判断の根拠を表す)

【第6型】は、to不定詞が「~するには…である」の「~するには」を表現したり(限定)、感情を表す形容詞の後で感情の原因を表したり、「~するとは…だ」の「~するとは」を表現したり(判断の根拠)します。また、"too~to…"「あまりにも~で…できない」や"so~as to…"「…するほど~である」、"~enough to…"「~にも…する」で程度を表したりします。



I am happy to go with you.

You must be careful not to open this box.

This river is too dangerous to swim in.

You are very foolish to drink so much.



【第7型】S+be動詞類+C[補語=名詞または形容詞]+that節(that節は原因・確信や疑惑の根拠を表す)

【第7型】は、補語が<感情>を示す語の場合、that節は<感情を引き起こした原因>を示し、補語が<確信や疑惑>を示す語の場合、that節は<確信や疑惑の根拠>を示します。



I am surprised that she should do such a thing.

I am afraid that he would get angry.

Are you sure that he will come?



【第8型】S+be動詞類+C[補語=名詞または形容詞]+補語の目的語

【第8型】は、補語がlikeunlikenearworthdoubleなどの形容詞の場合、補語の後に名詞・関係詞[代名詞]、動名詞、名詞節などを付けることのできる文型(動詞型)です。こうした形容詞は前置詞に準じる語と考えることもできます。その場合は【第1型】と考えることもできます。5文型だけしか学習していないと、補語に目的語がつくなどということが見落とされてしまいがちですが、こうした点から考えても5文型だけで十分とはいえないと思います。



It looks like storm.

This book is worth reading repeatedly.

The annual sales of this company is now double what it is five years ago.



【第9型】S+be動詞類C[補語=形容詞]+前置詞+目的語

【第9型】は、<be動詞類+C[補語=形容詞]+前置詞>で【第13型】のような一種の複合動詞扱いができる文型(動詞型)です。一種の他動詞として扱うことができるだけでなく、【第13型】では<状態>を表現しにくいときにこちらの文型(動詞型)を使います。



He was afraid of having that jewels stolen.

This book is worth reading repeatedly.

He was not gentle with his wife.



【第10型】It+be動詞類+C[補語=名詞または形容詞]+T[主題=不定詞または動名詞=意味上の主語]

【第10型】は【第4型】S+V+Cの文型の主語(Subject)が純粋主語[仮主語]である "it" と主題(Theme)が分離し、主題(Theme)を補語の後に置くことにした文型です。主題は、to不定詞句または動名詞句になります。「<主題>で表されたこと~は…である」という意味になります。主題(Theme)が未知情報(聞き手が知らないはずの情報)である場合にこちらの文型(動詞型)を取ります。補語が<行為そのものに対する判断>の場合は、補語の後に "for" を使ってto不定詞句の主題を表したり、補語が<人物に対する評価>の場合は、補語の後に"of"を使って補語の主題を示すことができます。なお、"right""wrong""of""for"の両方が使われますが、意味が微妙に異なります。



It must be wondeful to be able to speak English like that.

It is very kind of you to have solved the case.

It has been very nice seeing you.



【第11型】It+be動詞類+C[補語=名詞または形容詞]+that節[主題]

【第11型】は【第4型】S+V+Cの文型の主語(Subject)が純粋主語[仮主語]である "it" と主題(Theme)が分離し、主題(Theme)を補語の後に置くことにした文型です。主題は、that節になります。補語には<知的判断>を示す語や<感覚・感情>を示す語になります。また、that節の代わりに不特定関係詞(疑問詞)で始まる名詞句を使うこともできます。



It is no wonder that he succeeded.

It is his wish that his daughter should become a teacher.

It is natural that she should say such things.



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