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I-B-4.英文法の全体構造

文型(動詞型)の解説(その1)

それでは『英文構成法』の28文型を中心に『英文構成法』を補足する形で文型(動詞型)を解説していきましょう。例文については『英文構成法』にある例文についても参照してください。

SVO系(目的語をとる<動詞形>)(その1)

SVO系の文型(動詞型)は英語で最も好まれる文型(動詞型)です。主語と目的語には以下の関係があります。

  1. 主語は既知情報(聞き手が知っているはずの情報)、目的語は既知情報または未知情報(聞き手が知らないはずの情報)を表す。
  2. 能動態では、主語は動作・行為の原因を表し、目的語は動作・行為の対象を表す。
  3. 主語と目的語は異なるグループに属するのが原則である(主語がtheyで目的語がthemでも表現対象は異なる)。
  4. 主語と目的語は名詞相当語句である。名詞相当語句とは具体的には、名詞・関係詞[代名詞]・"the+形容詞"・"the+分詞"・不定詞(句)・動名詞(句)・名詞句・名詞節が該当する。

上記の1と2の関係から、動作・行為の原因が既知情報になりにくい場合は、受動態で表現されたり、仮主語 "It" を使って、主題も目的語も定形動詞の後に置くような文型を取ることが多くなります。

また、主語と目的語は異なるのが原則ですが、SVO系は英語で最も好まれる文型(動詞型)のため、主語と目的語が同じものを対象にする場合にもSVO系が使われることがあります。言い換えれば、本来は自動詞で表現すべきものをわざわざ他動詞を使って表現することがあるのです。その場合、目的語には再帰関係詞[再帰代名詞](reflexive relative[reflexive pronoun])を使用します。日本語では「~する」と表現するよりも「~なる」と表現する傾向がありますが、こうした点が英語と日本語では正反対と行ってよいほど異なっています。


SVC系やSVA系との相違点は、以下の通りです。

文型(動詞型)の分類 特徴
SVO系 目的語は名詞相当語句であり、主語とは異なるグループに属し、動詞の動作・行為の対象となる。
SVC系 補語は主語の静的属性(比較的変化しにくい属性)を形容詞相当語句で表現するか、主語が含まれる概念を名詞相当語句で表現する。
SVA系 副詞相当語句は主語とは異なるグループに属し、動詞の動作・行為の対象とならない。

なお、英語の動詞は必ずしも単独で用いられるものではなく、<自動詞+前置詞>や<自動詞+副詞+前置詞>で他動詞を構成することがあります。これを複合動詞(complex verb)とか句動詞(phrease verb)、群動詞(group verb)などといいます。また、同じ複合動詞でも<自動詞+副詞>は常に自動詞となりますし、<他動詞+副詞>は常に他動詞となりますが、ここで言う前置詞と副詞は一見同じように見えるので、注意が必要です。たとえば、look out「~に気をつける」は<自動詞+副詞>ですが、look for「~を探す」は<自動詞+前置詞>ですし、look up「~(辞書などで)調べる」は<他動詞+副詞>になります。詳しくは第13型を参照してください。

【第14型】S+V+O[目的語=名詞または関係詞[代名詞]]

【第14型】は、SVO系の文型(動詞型)の中で最も基本的な文型です。また、ある種の自動詞を同族目的語(cognate object)を用いた他動詞で表現することがあります。(例)dream a dream,lead a life,live a life,smile a smile,laugh a laugh,die a deathなど(ただし通常は名詞の前に何らかの形容詞を付けます)。

【第14型】の定形動詞が受動態の場合、能動態にすると、受動態の目的語はそのまま残り、受動態の主語は目的語になるので、二重目的語になることになります。たとえば、I was stolen my wallet.は文法的に誤った文ですが、これは、was stolenが受動態であることを考えると、辞書を引くときには二重目的語になる用法が存在することを確認することになります。実際に辞書を引いてみればわかるようにstealには二重目的語を取る用法はありません。ここから文法的に誤った文であることがわかります。「私は財布を盗まれた」を英語で表現するとすれば、My wallet was stolen .というか、【第21型】を使って、I had my wallet stolen.ということになります。



He missed the last train.

I found a hair in my soup.

I haven't visited Kyoto for five years , at least.

また、【第14型】の動詞は「完全他動詞」と呼ばれ、【第21型】の動詞が「不完全他動詞」と呼ばれるとは異なり、一般的には補語を必要としないとされていますが、補語をつけることも可能です。「英文構成法」にある例を挙げてみると以下のような表現が可能です。このような表現をすることで簡潔な英文にすることができます。


Wash your hands clean.(= Wash your hands and make them clean.)

He left school very young.(= He left school. + He was very young.)

They shouted themselves hoarse.(= They made themselves hoarse by shouting too much.).

【第15型】S+V+O[目的語=動名詞]

【第16型】S+V(+IO)+O[目的語=to不定詞または原形不定詞]

【第15型】と【第16型】をとる動詞には以下のように4つのパターンがありますので、どの動詞がどのパターンになるかを覚えておく必要があります。

  1. 目的語に不定詞しか取らないもの【agree型】
  2. 目的語に動名詞しかとならいもの【enjoy型】
  3. 目的語には不定詞も動名詞も取ることができ、どちらをとっても意味が変わらないもの【like型】
  4. 目的語には不定詞も動名詞も取ることができるが、意味が異なるもの【try型】

1.目的語に不定詞しか取らないもの【agree型】

  • afford「~をすることができる、~をする余裕がある」
  • agree「~とすることを認める」
  • arrange「~の手はずを整える、~するよう手配する」(arrange for+人・こと+to do)
  • ask「~させてほしいと頼む」
  • attemp「~しようと試みる、企てる、努力する」(まれにarrange doingもあり)
  • care「~したいと思う」
  • claim「~であると主張する」
  • decide「~しようと決心する・決意する」
  • decline「~することを断る」
  • demand「~するように要求する」
  • desire「~することを強く望む」
  • determine「~することを決心する・決意する」
  • expect「~するつもりである、~すると思っている」
  • fail「~することを怠る、~しない、~しようとしてできない」
  • hesitate「~するのをためらう」
  • hope「~することを望む・希望する」
  • long「~することを切望する」(long for+人・こと+to do)
  • manage「~を何とかやり遂げる」
  • offer「~しようとする」
  • omit「~するのを忘れる・怠る」
  • plan「~するつもりである」
  • pretend「~するふりをする、敢えて~しようとする」
  • promise「~すると約束する」
  • refuse「~することを断る・拒む」
  • seek「~しようと努める」
  • threaten「~のおそれがある、~の兆候を示す」
  • trouble「~するよう骨を折る」
  • wish「~したいと思う」


He managed to put the fire out.

We are not prepared to wait any longer.

We cannot afford to live in the heart of Tokyo.



2.目的語に動名詞しかとならいもの【enjoy型】

  • admit「~を(事実・正当だと)認める」
  • advise「~するよう助言する」(advise+人+to do「(人)に~することを助言する」では不定詞を取る)
  • allow「~することを許す」(allow+人+to do「(人)に~することを許す」では不定詞を取る)
  • anticipate「~とすることを予期する」
  • avoid「~するのを避ける」
  • cannot help「~するのを避ける」
  • consider「~することをよく考える・熟慮する」
  • deny「~するのを否定する」
  • dislike「~するのを嫌だと思う」(まれにdislike +人+to doもあり)
  • enjoy「~するのを楽しむ」
  • escape「~を受けないで済む、~されないままになる」
  • fancy「~を想像する」
  • finish「~し終える」
  • forbid「~することを禁じる」
  • give up「~するのをあきらめる」
  • imagine「~を想像する」
  • mention「~すると述べる」
  • mind「~するのを嫌がる」
  • miss「~できないのを寂しく思う」
  • permit「~することを許す・可能にする」(permit+人+to do「(人)に~することを許す」では不定詞を取る)
  • practice「~する練習をする」
  • put off「~するのを延ばす」
  • quit「~することをやめる・中止する」
  • recall「~を思い出す」
  • recollect「~を思い出す」
  • recommend「~することを勧める」(recommend+人+to do「(人)に~することを勧める」では不定詞を取る)
  • repent「~したことを後悔する・残念に思う」
  • report「~したことを報告する」(report 人 to doもあり)
  • resent「~するのをひどく嫌う」
  • resist「~するのを抵抗する・阻止する・耐える」
  • risk「思い切って~する」
  • stop「~したいと思う」(目的語としてはto不定詞をとらないが、目的や結果を表すto不定詞はとる)
  • suggest「~することを提案する」


He could not help coming out of school.

Would you mind speaking more slowly?

Have you ever stopped smoking?



3.目的語には不定詞も動名詞も取ることができ、どちらをとっても意味が変わらないもの【like型】

  • begin「~を始める」(認識を示す動詞を続けるときはto doのほうが普通である)
  • bother「わざわざ~する」(to doのほうが普通である)
  • cannot bear「~することを耐えられない」
  • cease「~することをやめる・中止する、次第に~しなくなる」(認識を示す動詞を続けるときはto doのほうが普通である)
  • continue「~することを続ける」(認識を示す動詞を続けるときはto doのほうがふつう)
  • fear「~するのを恐れる」
  • hate「~をするのを嫌だと思う」
  • intend「~するつもりである、~しようと思う」(intend to doのほうが普通である)
  • like「~するのが好きだ」(イギリス英語では不定詞をとる場合「好んで~する」の意味がある)
  • love「~するのが好きだ」
  • neglect「(人が忘れて)~しないでおく」(neglect doingはまれである)
  • prefer「~するのが好きだ」
  • propose「~しようと提案する」
  • start「~を始める」(認識を示す動詞を続けるときはto doのほうが普通である)


She couldn't bear accepting[to accept] the truth as it is.

He began to learn[learming] French.

He hates to work[working] on Sunday.



4.目的語には不定詞も動名詞も取ることができるが、意味が異なるもの【try型】

  • forget「(to do)~するのを忘れる、(doing)~したことを忘れる」
  • get「(to do)~するようになる、(doing)~し始める」
  • mean「(to do)~するつもりである、(doing)~することを意味する」
  • regret「(to do)残念[遺憾]ながら~する、(doing)~したことを残念に思う・後悔する」
  • remember「(to do)忘れずに~する、(doing)~したことを覚えている」
  • try「(to do)~しようと努める(できなかった)、(doing)~することを試みる」
  • want「(to do)~したい、(doing)~される必要がある・~してもらいたい」


He has forgotten to write his name in the test paper.

I'll never forget visiting Paris when I was young.

He has remembered to give a gift to his wife on her birthday.

She remembers thinking how gentle her teacher was.



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