■日本人のためのラテン語

■ナビゲータ

[南北館(最初のメニュー)]

  1. 日本人のためのラテン語
    1. [学習書・独習書・参考書・辞書などのご紹介]
    2. [日本人のためのラテン語文法入門]
      1. [言語とは何か]
      2. [語学習得のための要諦]
      3. [語学の全体概要]
      4. [ラテン語文法の全体構造]
        1. [定形動詞の階層構造]
        2. [定形動詞の活用]
        3. [主語と主題]
    3. [ラテン語文法 独習書の解答と単語集]
    4. [LaTeX2eを使用したラテン語]
    5. [著者別テキスト(文献)・対訳一覧]
    6. [ラテン語に関するコラム]

I-B-4.ラテン語文法の全体構造

ラテン語の反実法[接続法]・原因能動態・第1非過去[現在完了]形の活用

ラテン語の反実法[接続法]・原因能動態・第1非過去[現在完了]形の活用

それでは具体的に反実法[接続法]・原因能動態・第1非過去[現在完了]形の活用の活用を見ていきましょう。第1非過去[現在完了]形の語幹はそれぞれの動詞ごとに決まった形がありますが、事実法[直説法]・原因能動態・現在完了形の語幹と同じです。現在完了形の第1人称単数形からīを取ったものが現在完了形の語幹になります。この現在完了形第1人称単数形はラテン語の動詞の4つの主要形の1つですので、それぞれの動詞ごとに覚えておくことが必要です。


ラテン語の定形動詞の活用形の種類と語尾との関係

次に、事実法[直説法]・原因能動態・第1非過去[現在完了]形の活用での語尾を見ていきましょう。現在形の語尾は活用の種類ごとに以下のようになっていてます。すべての活用形の語尾が共通しています。

活用の種類 第1非過去形の語幹 語尾
第1活用 現在完了形の語幹 erīm,-erīs,-erīt,-erīmus,-erītis,-erīnt
第2活用 現在完了形の語幹 erīm,-erīs,-erīt,-erīmus,-erītis,-erīnt
第3正則活用 現在完了形の語幹 erīm,-erīs,-erīt,-erīmus,-erītis,-erīnt
第3変則活用 現在完了形の語幹 erīm,-erīs,-erīt,-erīmus,-erītis,-erīnt
第4活用 現在完了形の語幹 erīm,-erīs,-erīt,-erīmus,-erītis,-erīnt

ラテン語の定形動詞の活用形の種類ごとの事例

実際に語幹と語尾を組み合わせて、活用形を作ってみましょう。


ラテン語の第1非過去形の第1活用の事例

下記の表の中にある「第1法則」等の説明は一番下の囲み枠をご覧ください。

人称と数 第1非過去形の語幹 第1非過去形の語尾 第1非過去形の活用形
第1人称単数形 amāv erīm amāverīmamāverim(第2法則適用)
第2人称単数形 amāv erīs amāverīs
第3人称単数形 amāv erīt amāverītamāverit(第2法則適用)
第1人称複数形 amāv erīmus amāverīmus
第2人称複数形 amāv erītis amāverītis
第3人称複数形 amāv erīnt amāverīntamāverint(第3法則適用)

ラテン語の第1非過去形の第2活用の事例

下記の表の中にある「第1法則」等の説明は一番下の囲み枠をご覧ください。

人称と数 第1非過去形の語幹 第1非過去形の語尾 第1非過去形の活用形
第1人称単数形 monu erīm monuerīmmonerim(第2法則適用)
第2人称単数形 monu erīs monuerīs
第3人称単数形 monu erīt monuerītmonuerit(第2法則適用)
第1人称複数形 monu erīmus monuerīmus
第2人称複数形 monu erītis monuerītis
第3人称複数形 monu erīnt monuerīntmonuerint(第3法則適用)

ラテン語の第1非過去形の第3正則活用の事例

人称と数 第1非過去形の語幹 第1非過去形の語尾 第1非過去形の活用形
第1人称単数形 rex erīm rexerīmrexerim(第2法則適用)
第2人称単数形 rex erīs rexerīs
第3人称単数形 rex erīt rexerītrexerit(第2法則適用)
第1人称複数形 rex erīmus rexerīmus
第2人称複数形 rex erītis rexerītis
第3人称複数形 rex erīnt rexerīntrexerint(第3法則適用)

ラテン語の第1非過去形の第3変則活用の事例

人称と数 第1非過去形の語幹 第1非過去形の語尾 第1非過去形の活用形
第1人称単数形 sapīv erīm sapīverīmsapīverim(第2法則適用)
第2人称単数形 sapīv erīs sapīverīs
第3人称単数形 sapīv erīt sapīverītsapīverit(第2法則適用)
第1人称複数形 sapīv erīmus sapīverīmus
第2人称複数形 sapīv erītis sapīverītis
第3人称複数形 sapīv erīnt sapīverīntsapīverint(第3法則適用)

ラテン語の第1非過去形の第4活用の事例

下記の表の中にある「第1法則」等の説明は一番下の囲み枠をご覧ください。

人称と数 第1非過去形の語幹 第1非過去形の語尾 第1非過去形の活用形
第1人称単数形 audīv erīm audīverīmaudīverim(第2法則適用)
第2人称単数形 audīv erīs audīverīs
第3人称単数形 audīv erīt audīverītaudīverit(第2法則適用)
第1人称複数形 audīv erīmus audīverīmus
第2人称複数形 audīv erītis audīverītis
第3人称複数形 audīv erīnt audīverīntaudīverint(第3法則適用)

ラテン語のsum動詞の第1非過去形の活用

最後にsum動詞の現在形の活用を挙げておきます。sum動詞は英語のbe動詞に相当するもので、使用頻度も高く、不規則動詞ですので、これ自体で覚える必要があります。

人称と数 第1非過去形
第1人称単数形 fuerim(第2法則適用)
第2人称単数形 fuerīs
第3人称単数形 fuerit(第2法則適用)
第1人称複数形 fuerīmus
第2人称複数形 fuerītis
第3人称複数形 fuerint(第3法則適用)

ラテン語の定形動詞の活用形の3つの法則

参考までに定形動詞の活用形の3つの法則を挙げておきます。

ラテン語の定形動詞の活用形の3つの法則

  1. 第1法則:<長母音+長母音>は<短母音+長母音>になります。
  2. (例:ēōeōになります。ただし、āōaōを経て、最終的にōになります)

  3. 第2法則:tdmrが語尾に来ると、その直前の母音は短母音になります
  4. (ここで直前とは、活用形の最後の文字から左側に向かって、さかのぼる形で見ていったときに、子音に出会うまでの母音すべてを指します。たとえば、amatであれば、最後の文字からtaと調べていって、最初にぶつかる子音のmまでの間にある母音であるaを直前の母音と言います)

    (また、audiamであれば、最後の文字からmaと調べていって、最初にぶつかる子音のdまでの間にある母音であるiaを直前の母音と言います)

  5. 第3法則:ntndはどこにあっても(注)、その直前の母音は短母音になります
  6. (ここで直前とは、活用形の中にある該当する文字から左側に向かって、さかのぼる形で見ていったときに、子音に出会うまでの母音すべてを指します。たとえば、amantであれば、最後のntから順に調べていって、最初にぶつかる子音のmまでの間にある母音であるaを直前の母音と言います)

    (また、audiunturであれば、ntからuiと調べていって、最初にぶつかる子音のdまでの間にある母音であるiuを直前の母音と言います)

    (注)「どこにあっても」は正確には語の先頭以外ということですが、第2法則と混同しやすいため、「語中または語尾」などと言うよりも、こちらのほうが覚えやすいと思います。


【事実法[直説法]・原因能動態】現在形  未完了形  未来形

【事実法[直説法]・原因能動態】現在完了形  過去完了形  未来完了形

【事実法[直説法]・自発受動態】現在形  未完了形  未来形

【事実法[直説法]・自発受動態】現在完了形・過去完了形・未来完了形

【反実法[接続法]・原因能動態】第1非現在  第2非現在  第1非過去  第2非過去

【反実法[接続法]・自発受動態】第1非現在  第2非現在  第1非過去  第2非過去

【命令法・原因能動態】第1式[現在]・第2式[未来]

【命令法・自発受動態】第1式[現在]・第2式[未来]



Copyright (c) 2014-2017 Mitsuo Minagawa, All rights reserved.