純子の挑戦

鉄平とお香も長寿であったが、相次いでなくなった。

市橋幸之助は医師になり、同じ医師の美子と結婚して医師として6年位たった時に市橋一平が経営する安倍製薬会社に入った。そして孝太郎が生まれていた。治部純子は、安倍商会の社長になっていた。安倍紡績の社長はそのままであった。安倍紡績は、不思議な会社で、裁縫から、紡績そして衣服、着物そして化学会社や銀行まで抱えていた。純子を頼ってきた会社を引き受けてきたりしていたので、複雑な会社になっていた。当初、安倍鉄平が作ったように、複合的な会社になっていた。純子は、思いがけない恵子の妊娠、出産で、突然商会の面倒を見る事になっていた。純子は商会の経営に関与すると、自分の会社の事も含めて、判断や決定も多くは下に移した。そうしないと大変だった。暫くすると、純子自身の関与してきた事が商会の運営に役に立つ事もあった。今まで得た情報も商会ではもっと有効的に使えた。やむを得ず資金援助してきた企業の協力も商会では利用しやすかったし、密かに資金援助を依頼してきた会社もあり、調査の上、必要な所には援助するために、銀行にも関係していった。商会金融のような事も初めたし、企業としては大きくなっていた。恵子が知子を出産し、乳母に頼んで、出社してみると、みんな喜んでくれたものの、活気のある職場になっていた。子どもも病弱だった事もあって、出社は限定的なものになった。製薬会社でも、一平の責任は重くなったので、幸之助を呼んで、研究を任せ、販売や管理への比重が増えた。恵子任せとは行かなくなっていた。各分野での担当の話を聞きながら、自分で判断するようになっていった。恵子自身もここでも出社は限定的になっていった。知子が大きくなると、自由な時間も増えてきたが、商会中心の見方から広く見える事も増えて、グループとしての考え方もできるようになり、会長室で多くの企業を総括するようになっていった。

治部妙子は、次平の情熱をかけた教育を受け、異例の若さで、医者になっていた。次平が亡くなっても、次平の夢を果たそうと勉強していたが、恵子や純子に流れる本能はやがて出てきて、時間を見付けては、男と遊んだ。次平が亡くなって、寂しくったおゆきが、洋介夫婦と子ども達を呼び寄せて、一緒に暮らしていたので、純子と違い、家に男を連れ込む事は出来なかった。幼い頃から次平に教育を受け、言葉使いは丁寧だった。恵子の最後の子どもの知子も、自由奔放に育っていたが、恵子が時間的に余裕ができたので、知子は男を家に呼ぶ事は滅多に出来なかった。

純子は、妙子については放任していた。洋介の結婚の時には苦労した事を話した。私も遊んでいたので、遊ぶなとは言えない。ただ苦労するのはお前だよ。女は妊娠するよ。気をつけてね。お前も医者だから、その位わかっているね。

恵子と純子が、話していた。
純子「もう、お母さんに騙された。ちょっと手伝ってと言われたのに。お母さんまだ若いのに、さっさと会長になって、また商会の社長に戻ってよ。私も忙しいの。」
恵子「でも突然妊娠したので、仕方ないでしょう。純子うまくやっているので、このままでいいわよ。それに純子は手を広げすぎているから、そろそろ整理していったら。大体なんでもやりすぎるから大変になるの。」
純子「私もそう思っているけど、頼まれると受けてしまうのね。それに今までの経緯もあるから、そんなに整理も出来ないの。商会の仕事の役に立っているし、商会の仕事やりだしたら、返って増えてしまった。困っている人にお金貸すつもりが、困っている会社にも出資して、製品売るようになって、仕事が膨らんでいった。銀行にも関係してるし、グループ以外の会社にも関係していったでしょう。それに私は、仕事は、人に任せていくでしょう。気がついたら、会社も大きく、仕事も増えたの。」
恵子「もう、私が知らない事も増えてきたし、お前がやるしかないの。」
純子「仕方ないね。細かい事は、私でも知らない事もあるの。お母さんではもっとそうかもしれない。そうだ。お母さん、曾孫できるかも。」
恵子「妙子、結婚するの?」
純子「私、忙しくなっているから、話もあんまり出来ないけど、今の男と身体の相性が合うといってるわよ。しかも大きくて、固くて感じるのと言ってるの。」
恵子「さすが、お前の子だね。相手はだれなの。」
純子「竹内宏という大学の経済の先生。妙子より2つ年上なの。妙子もよくやっているけど、すぐ男変えるのに今度は続いているの。」
恵子「妙子は、医者になって、忙しいのじゃないの。」
純子「忙しいのは関係ないよ。本能だもの。時間見付けてはやっていた。若いのに医者になり、手術していたでしょう。血みると、一層やりたくなり、やっていたらしい。」
恵子「お前は、いつもやりたくなるけど。」
純子「それは、お母さんも同じ。でも妙子は、やってから直ぐに結婚してくれと言われていたけど、返事引き延ばしてるの。」
恵子「どうしてなの。」
純子「宏くんの家は学者一家で堅いの。妙子、自分が遊んでいたから、尻込みしてるのよ。」
恵子「遺伝だね。お前そっくり。」
純子「でもついに観念したみたい。奥の方に出す事を認めているみたい。当たると凄く感じると言ってるから。」
恵子「それはあぶないね。」
純子「お母さん、もうすぐ曾孫できるよ。あれは。私は、いつも妙子に言ってるの。お前の男の名前は、大体知ってる。聞かれたら言うよと。」
恵子「何という母親なの。」
純子「隠しておける事じゃないしね。男の数は誤魔化してもいいけど。遊んでましたと言えないと、後々大変ってね。」
恵子「お前が言うと、変に説得力あるね。」

妙子の結婚

妙子「お母さん、話あるの。私結婚したいの。」
純子「ついに観念したのね。宏さんには、遊んでいた事も話したの?ご両親も知ってるの?それとも赤ちゃん出来たの?」
妙子「酷い言い方。母親だよ、お母さんは。遊んでいた事は、お母さん脅すから、言ったよ。宏さん、気にしないって。両親にも話している。結婚したいと迫るのよ。妊娠はまだしてないけど。宏さん、この頃、ずっと奥に出すから。あいつ計画的よね。でもあいつとは相性も合うし、凄く感じるし、遊ぶのも、終わりかなと思って。」
純子「それでどうするの」、
妙子「宏さんの両親と会って欲しいの。」、
純子「あんな遊び過ぎの女でもいいですかと聞くの?」、
妙子「それはもう知ってるの。数は少し誤魔化しているけど。」
純子「じゃなんの話するのよ」、
妙子「宏さんの両親が、私の両親と話したいって。」、
純子「宏さんのお父さんって、法学部の教授でしょ。そんな人と何の話するのよ。」
妙子「子どもの結婚についてに、決まってるでしょう。」
洋介と純子が、竹内良文、俊子夫妻と話をした。
洋介 「妙子は、お淑やかとは縁遠い娘ですが、いいのですか?」
良文 「いやそれは、宏からも聞いてます。そんな事ではなくて、治部洋介先生と安倍財閥の率いる純子さんの娘さんで、治部次平先生のお孫で、治部先生の再来と言われている妙子さんが、宏と結婚してもいいんですか。宏は学者でも駆け出しですし、そんなに凄い才能があるとも思えません。後で宏では物足りないと言われても思いまして、一度ご両親とお話したいと思っていました。」
純子 「妙子と宏さんとの問題ですし、他の事は関係ありません。」
良文 「婿養子はどうもと思っているのですが?」
洋介 「純子も、純子の母も普通に結婚しました。治部も安倍も家の名前には、拘ってません。婿養子なんかお願いしません。姉も普通の結婚しました。」
純子「安倍商会は、母の市橋恵子と冶部純子の私が運営しています。ただ妙子から医師をとったら、どうしようもない女になりかねません。医師を続ける事は認めてやって下さい。」
良文 「それは勿論です。宏が妙子さんの才能を家に閉じこめる男でもありません。宏もそう言ってます。」
俊子 「宏が肩身の狭い思いをしませんか、私どもは、お金持ちでもありません。」
純子「治部も安倍も、いくつかの空屋をもってます。家の維持費などは、補助しますが、生活費は二人でやっていけばいいと思います。」
洋介 「ただ問題はありますよ。宏さんは、大変です。」、
竹内夫妻は、黙った。洋介は続けた。
洋介 「私も、純子の父も、大変でした。純子も純子の母も至って、凄い人ですよ。油断すると搾り取られますよ。妙子も良く似てます。」、
純子 「貴方、こんな席でなんという事を」、
竹内夫妻は笑顔になり、
良文 「それは大変ですね。宏は身体だけは至って健康ですから、搾り取ってください。」
俊子 「宏は妙子さんが好きですから、喜んで搾り取られるでしょう。」、
洋介 「でも、油断すると、朝大変ですよ。」
と言って、純子を除く三人は笑い、純子だけが怒っていた。結局仲人は、宏の大学の学長で結納や結婚式は普通に行う事になった。その晩、怒った純子に、何度もしゃぶって大きくされ。洋介は搾り取られた。翌朝、洋介は腰に力が入らなかった。宏君も大変だろう。

恵子の仕事も限定的になり、まだ若いのでかえって元気になった。知子も大きくなり、手もかからなくなっていた。一平は、恵子のしてきた事を知った。仕事の上では、いつも上司だった。一平のものをしゃぶっている恵子をみると、放心して逝っているいる顔を見たくなり、夜は、自分の女である事を確認したいと思い、頑張っていた。ただ一平も60を超えていたので、回数は出来ないので、その後は色々と話す事が多くなった。

恵子「一平さん、良かった。私ますます感じやすくなっているみたい。頑張ってね。」
一平 「妙子の結婚式は、良かった。綺麗だった。純子は可愛い感じだった。孫も結婚する歳になったのに、恵子さんは若いね。」
恵子 「妙子も遊んでいたみたいだが、あっさり観念したね。純子はあれは直ぐに子ども出来ると言ってた。純子のやつ、曾孫できると言ってた。自分はお祖母さんになるのに。」、
一平 「妙子遊んでいたの?外科では、新進だけど、天才として有名だよ。よく暇あったね。」、
恵子 「純子の娘だよ。純子も仕事凄いよ。商会任せたたら、あっと云う間に大きくして、関連会社も一杯作ってしまった。あいつは、怪物だよ。次平先生はよく見てるよ。でも家の話は、いつもやるとか舐めるととが多い。妙子との話は、大きいとか固いだよ。さすがに純子ほどではないが、男をよく変えていたらしい。」
一平 「妙子は、純子と違い言葉使いは丁寧だよ。」
恵子 「それは次平先生の影響もあるし、医師としての顔でしょ。純子も経営者としての顔は凄いよ。あいつの知り合いや協力者がどこまで広がっているか、私も判らない程だよ。しかもあいつは、仕事を人に任せる。よく人見てるよ。だから気がついたら、会社大きくなってるという奴だ。どんな人に援助してきたか、私にさえほとんど言わない。そんな事あるわけない。色々な人に援助し、助言してきて、そして逆に動いて貰って大きくしているくせに。その位は、わたしでも判るよ。単に人に任せているだけじゃないってね。ただ動いている事を見えなくしているだけだよ。あの容貌と話し方が、判らなくしてるだけだよ。妙子は医師だから、普段も知的な印象を与えるけど、純子はそれがないだけで、中身は良く似てるよ。次平先生が純子や妙子を医者にしたがった理由はわかるよ。母親としては純子はどうしようも娘だったけど、経営者としてみれば怪物だ。妙子を純子の話しぶりからみると純子と同様だよ。血を見るとやりたくなるとか、男のものの大きさや固さを話したり、美味しいとまずいとか身体の相性とか言ってるよ。純子と妙子の話は凄いらしい。初め少し聞いていたが、私でも呆れる内容だよ。医師としての力量はわからないけど、やはり凄いような気がする。一平さんどうなの?」
一平 「妙子を医師としてみれば、日も浅いけど、既に次平先生の再来と言われているよ。経験つめば、どのまで伸びるか判らない。だから医師という先入観があるから知れないけど、遊んでいるとは思えないよ。」
恵子 「幸之助はどうなの?美子さんは?」
一平 「言いにくいが、幸之助は私に似ている。ただ素質はいい。私よりは研究に向いている。計り知れない程ではないが、伸びる可能性はあると思う。美子さんは、地道にやっている。そうだ。次平先生の娘のみどりさんに、似ているよ。」
恵子 「それはいいね。純子と妙子は、何か計り知れないものもあるけど、知れば知るほど判らない所持ってる。もう私では判らない。幸之助には、着実に進んでいけるようにしてあげようね。」
一平 「私もそう考えているよ。知子はどうなるだろうね。」
恵子 「純子と妙子は、怪物だけど、お父さんや次平先生の影響もあった。知子は、それがない。私たちが育てている。それと知子の天分との関係だね。」
一平 「恵子さんは冷静だね。母親や祖母としてではない。冷静な目も持ってる。」
恵子 「私はまだ甘いよ。あの二人はもっと冷静に見る目持っているよ。純子は言わない。妙子は医師として、少しだけ言う。」
一平 「私は純子の経営手腕も少し判るけど、可愛いかった子どもの印象も強いし、いまでも可愛い感じの女として見えてしまう。妙子は綺麗な子と次平先生の再来と言われる手術の腕が見えてしまう。そんなに冷静な判断する目を持っているとは見えないけど。」
恵子 「それは、一平さんがいい人だから。私は少し悪だしね。二人とも意識的に振る舞ってはいない。純子は少し意識しているかもしれないけど。無意識に実態を見えなくさせている。二人は相当悪の部分もってるよ。道から外れないように生きていけばいいけどね。昔お父さんが言ってた。次平先生が人殺そうとしていた時期あったらしい。これはお父さんとお母さんしか知らない。私は、少しだけ聞いた。どんな人でも地獄に落ちる可能性がある。だから努力が必要だってね。私は、純子に言った。恐ろしい位真剣に聞いていた。あいつも自分の中の悪を見た事があると思ったね。あいつが妙子に言うかどうかは、あいつの判断だけど、言うと思う。既に言ってるかもしれない。幸之助はそんな事はないような気がするし、自分の中の悪にも気付かないで生きていけるかもしれない。」
一平 「恵子さん、凄いね。天分を持っている人は、悪の部分も持っているのかもしれない。効く薬は、毒にもなるしね。まあ幸之助は、努力しないと、純子や妙子と付き合ってもいけないと知ってると思う。私もそうだしね。でも少しは才もありそうだから、少しだけ話してみるよ。 次平先生が慢心せずに、最後まで勉強し、努力していた事を尊敬していたけど、自分の悪と戦っていたのかもしれない。天分をもつのも大変なんだ。恵子さんや純子、妙子も戦っているんだ」
恵子 「私は、そんなに天分なんかないけど、お母さんからは、働かないとどうしようもない女になると言われ続けてきた。今少し休んでいるから、そうなっているかも知れないよ。」
一平 「製薬会社では、待ってるというより、私では無理な所もあるよ。二人でやっていこうよ。」
恵子 「そうだね。働くか。その前にもう一度やろう。」
といって一平のものを舐めてしゃぶっていた。
一平「相当どうしようない女になってるよ。」といいながら、しゃぶっている恵子を見ていて、恵子を抱いた。一平は言った。「恵子の悪は消えたの」、
恵子「いや消えていないよ。一平さん、ずつと抱いていてよ。私を抱いて離さないで」

暫く抱き合って、一平は言った。
一平「どこまでいけるかわからないけど、二人で歩いて行こう。知子を育てていこう。」
恵子「一平さん、ありがとう」
と言った。一平は布団を被り、また恵子の身体の温もりを感じながら眠った。恵子は一平の鼓動を聞いていた。いつしか恵子も眠っていた。

恵子は、製薬会社に出る事が多くなり、製薬会社での営業や管理も直接指導するようになった。一平は企画や開発を指導するようになった。二人でよく話していた。
純子は、関係する会社を増えて忙しいのに、恵子が一平と一緒にいる事が多くなり、小さい知子も横に座って聞いているらいしいと聞き、文句を言ってやろうと思い、たまたま別の用事もあり、製薬会社ちかくの会長室を訪問した。会長室は祖父の安倍鉄平が作った東京店を改造したものであり、製薬会社とは近かったし、一平と恵子の家と続いていた。一平と恵子は、知子を横において、話していた。幸之助も父と打ち合わせするために、来ていた。純子は、来てみると、家族が揃っているのを見て、自分だけを働かしてと怒りもこみ上げてきたが、父と母が仲良く話しているのは、それほど不愉快ではなかった。

一平「純子、妙子の結婚式以来かな。頑張っているようだね。」
恵子 「純子、お前忙しいのに何の用だね。」
純子は父と母が仲良くしているのを見て、取りあえず用事を言った。
恵子 「判った。でもこんな事で、お前が来たのか。なんか別の話もあるじゃないの。」、
純子 「別に、他の話はないけど。お母さんは良いよね。お父さんも近くにいて、知子も手元において。幸之助も同じ会社で。」
と嫌味を言った。
恵子 「純子、商会はお前が大きくしてしまった。もうお前がやるしかないの。それに、私は元々薬種問屋の娘だからね。ここに戻っただけさ。」純子は、尚も文句言おうとしたが、
一平 「幸之助も来ているし、ちょっと呼ぼう。」、
家族揃って、話をしていた。純子は、久しぶりに家族揃っての会話を楽しんでいた。息子の洋一は、姉と同じ仕事は避けて、化学の勉強をして、大学に残っていた。次男の洋次郎は、医師に興味もなく、法学部へ通うようになっていた。

純子「なんか、会社に戻って仕事する気がなくなった。そんなに急ぎの仕事もないし。ねえ、みんなでご飯食べようよ。洋介さんにも都合聞いてみる。幸之助、お前も美子さんの都合聞いてね。孝太郎も学校から帰っているだろう。」
一平「それがいい。裏で準備させるよ。」
純子は会社や洋介の病院や自分の家にも電話して、みんなを集めた。
関係する料理屋は、突然の注文に驚いたが、一族でしかも会長宅からの注文なので、急いで準備し、運び入れた。

少し立って、みんな集まっていた。妙子までも宏を連れて、来ていた。
妙子 「私もお母さんの子どもなのよ。声を掛けてよ。お父さんから聞いて、宏さんも呼んで来たのよ。」
純子 「お前、まだ新婚だしね、それに急に思いついたから。」
妙子 「新婚と言っても、外でもかなりやってきたし、家で回数増えただけだから。」
純子 「お前 ひょっとしたら。」
妙子 「まだ言いたくなかったけど、出来たの。四ヶ月。」
純子 「結婚して、四ヶ月目か。良かったね妙子、恥をかかなくて。」
妙子 「お母さんは、素直に喜べないの。でも宏さんは、結婚を承諾する前から、何回も奥に出して。私も少し気にしていたの。宏さん、計画的ね。」
「それはね、逃げられないようにしようとおもって。」
妙子 「今日は、搾り取ってやるわ。」
純子 「妙子、お前がいつもやりたくなると、宏さんを呼んでやって貰っていたのでしょう。自分で腰使って、奥に出してもらうと、よく感じるといってたくせに。」
「お義母さん、よく分かりますね。」
妙子 「私は、お母さんからの直伝なの、私でも恥ずかしくて、出来ないこともあるのよ。出産したら、してあげるね。宏さん楽しみにして待ってて。」
洋介 「みんなのいる前ですよ。純子も妙子も」
恵子 「洋介さん、ここはいいですよ。これが純子や妙子の本能みたいなものですからね。」
純子 「お母さんも同類よね。妙子。」
妙子 「そうよ。」
恵子 「美子さん、吃驚してるよ。」
美子 「幸之助さんから、聞いてましたが、凄いですね。 いつもなんですか?」
恵子 「今日はおとなしいぐらいよね。幸之助」
幸之助 「そう 姉さんにしては、抑えているよ。」
一平「今日は家族が集まった。みんなで気楽に食べよう。洋介さんも、気にしないで。」

洋一や洋次郎も、一平、幸之助と洋介とお酒を飲んで楽しく話していた。 恵子、純子、美子は妙子と話していた。純子と妙子は、お酒も飲んでいた。
恵子 「妊娠しているのに、いいの、妙子。」
妙子 「少しぐらい平気よ。」
純子 「お母さんも、ひいばあちゃんね。」
恵子 「お前もお祖母さんになるのよ。純子ばあちゃん。」
美子 「うそみたいですね。お義母さんも若くてまだ綺麗だし、お義姉さんは、妙子さんの姉妹みたい。私、大変です。うかうかすると、私が年上に見られてしまいます。幸之助さんは、比較してはいけないよといってたけど、本当ですね。」
純子 「美子さん、お世辞うまいね。昔のお母さんは綺麗だったよ。今も綺麗けど、やっばり歳だよ。私も大分くたびれてきたし。」
恵子 「純子は、お人形のような女の子と言われていたけど、少しくたびれてきた人形ね。」
美子 「そんな事言われたら、私はどうなるのです。妙子さんも、綺麗ですし。私は結構美人と言われていたのに。」、
恵子 「純子は、化け物みたいな女だから、男の精を吸っている化け物と思えばいいのよ、美子さん」、
純子 「酷い言い方するのね。お母さんこそ化け物だよ、妙子と買い物にいっても、お姉さんと言わせているくせに。」
妙子 「そうよ。私がお祖母さんと言うと怒るのよ。お姉さんと言いなさいと。孫に姉扱いさせる人なのよ。お母さんも姉さんのようにしてるけど。」
美子は、妙子は本当に若いけど、恵子や純子は若すぎる。三人で歩けば、知らない人は姉妹にしか見えない。
純子 「化け物扱いされた事だし、好きな事を言うわ。幸之助とどの程度やってるの。」
美子 「週に1回位。」
純子 「それは少ないよ。お母さんでもその位だよ。」
恵子 「幸之助、そんなに少ないの。まだ若いのに。純子なんかじゃ我慢できないよ。忙しい時でもそれくらい。3日も開けば、大変よ。こいつ機嫌悪くなるから、みんな早く返すの。」
純子 「あれがなければ、私頑張れないわよ。洋介さんのものをしゃぶつたり、中に入れたりしてる時が幸せよ。洋介さんは、週に1回ぐらい頑張って、私の頭を真っ白にしてくれるし。」
妙子 「もっとのような気もするけど、お母さんはそういう所、単純なのよ、朝、機嫌いいから、直ぐに判るの。」
純子 「妙子、お前こそ、毎日じゃないだろうね。宏くんに逃げられるよ。」
妙子 「宏も好きだからね。妊娠してから、回数減らしたから、溜まってるの。時々口で吸い出しているよ。良く出てるよ。」
純子 「私もあの時は結構辛かった。時々来てもらって、しゃぶって我慢した。産んだ後も直ぐにはできないし、お前、大丈夫かい。」
妙子 「そんな事を心配する母親はいないよ。私はそれほどやりたい女でもないよ。でも宏には、できるだけ来てもらおう。」
美子 「頭の中が真っ白と言うのどんな感じですか?」、
恵子 「幸之助は頑張っていないのね。、幸之助ちょっと来なさい。」、
幸之助 「こんな顔ぶれで呼ばれるとあの話しかないね。」
恵子 「幸之助、お前、頑張りが足りないよ。お父さんや洋介さんに聞いて、頑張らないと。」
純子 「人を化け物扱いして、お前が頑張らないと、美子さんが綺麗にならないの。」、
妙子 「女は、男の精で美しくなれるのよ。」
幸之助 「判りました。頑張りますよ。仕事では何にも言わないのに、こんな事だけ。」、
純子 「こんな事とは何よ。女にとっては大切な事なの。仕事はお前のためにする事だろう。女房に楽しみ与えないと」
幸之助 「判りましたよ。頑張りますよ。でも美子にあんまり教えないでね。」

一平「幸之助 なんで呼ばれたの」
幸之助 「頭が真っ白にさせるまでやってない。回数も少ない。美子を綺麗にするのは、お前の責任って。」、
一平 「それはそうだよ。」、
洋介 「大変だけど、妻が綺麗なのは、楽しいですね。」、
「私だと、放り出されるますよ。」
幸之助 「みんな洗脳されてますね。」
一平 「いや、幸之助、お前それは違うよ、お母さんは凄い人だけど、それでも色々と苦労してるのだよ。天分だけで、やっているのではない。最近遅すぎたかもしれないが、ようやく判ってきた。この頃本当に大切に思っている。もっと前から、判っていれば、もっと大切にしてきたのに。」、
洋介 「私も、純子が有名になり、単に純子の夫になり、悔しい思いもした事もあった。しかし、純子は才だけじゃなしに、大変な努力している。それに、私を大切にしてくれる。父が亡くなる前に、お前には過ぎた嫁と言われたのが、ようやく実感している。それに純子に背中を押して貰って今の私がある。純子はよく人に援助している。何もそんな事までと言っても、私で出来る事はやらないと、それが私の役割なのと言っている。それが純子を助け、私を助けている事が漸く判ってました。私、この頃、ますます純子が愛しくなっています。」
「いい事を聞かせて貰いました。まだ私は、妙子さんが好きで、妙子さんにすがって生きているようなものですが、何とか頑張らないと思ってます。」
幸之助 「お母さん、姉貴そして妙子は怪物みたいな人ですから。美子は常人ですよ。みんなとは違いますよ。」
一平 「美子さんの可能性を引き出したり、綺麗にするのは、お前の責任だよ。それをしてからだよ、そんな事をいうのは。それが巡り回ってお前を押し上げるのだよ。妻を愛しく思わないと、お前自身も伸びないよ。」

洋一と洋次郎は、黙って聞いていた。

幸之助と美子は家に帰った。二人は、寝室に入ると、美子は、幸之助に言った。
「お義母さんも綺麗で若々しい、お義姉さんは元々綺麗だし、私が、年上に見られます。今晩は頑張ってくださいね。お義母さんやお義姉さんから色々聞いてきました。恥ずかしいと思わずやりますよ。」、
幸之助は、美子は元々淡泊な女だから大丈夫。それに色々聞いてきたから試してみるかと思っていた。美子は、幸之助の下半身を裸にして、少し考えいたが、いきなり幸之助のものをしゃぶりだした。まだ口に含む程度であったが、幸之助は急襲されて、大きくなってしまった。その上美子はゆっくりと舐めはじめた。これで出したら、母からからかわれる。我慢して、美子を倒して、美子の乳房を弄りながら、美子の中に指を入れて、ゆっくりと回していった。濡れている。こんなに濡れる女だったろうか。そした段々早く深く指を回していった。そして美子の耳に「濡れているよ」と言いながら、早く動かした。美子の表情が変わっていった。ここで入れた。美子は、声をあげていた。いつも数回うごくと出していたが、今日は出そうになると抜いていた。こんなものを美子は舐めるだろうかと思っていたら、美子は突然舐め始めていた。美子の乳首を弄りながら、美子の耳元で「みだらになってなったね。」と言った。美子は尚も舐めていた。表情は少し放心していた。自分で自分の行為に興奮していた。幸之助は、再び、美子の中に入れ、動かして、出そうとなると止め、乳房や乳首を弄り、又入れて動かした。もう出そうな気がしてきたので、激しく動いた後、深くつき挿した。美子のお腹や腰は、少し細かい痙攣が起きていた。突き挿した時に幸之助が中に出していた。幸之助も我慢していたので、勢いよく出た。美子は声を上げて、暫く意識が薄くなっているようであった。暫くして美子は、言った。「今日は良かった。でもまだ頭が真っ白ではないわ。幸之助さん、もっと頑張って。」、幸之助は、じゃしてやるといって、美子の髪を持ち、口で幸之助のものを舐めさした。美子は吃驚したようだったが、舐めてしゅぶっていた。幸之助は、美子の乳房を弄ったり、美子の中に指を入れて回したりしていた。美子の中は又濡れていた。それでも指の動きを早くしたり、激しくしたりしていた。美子は、あえぎながらも、幸之助の顔を見るようになってきた。美子の足を持ち、いきなり深く突き挿した。美子を声を上げていた。そして動いた。今度は2回目なので、そんなに簡単に出そうにない、激しく動いたり、ゆっくり動いたり、止まって、乳首や乳房を弄ったりしていた。そして何回も繰り返した。美子の感じ方も深くなっているようで、お腹や腰の痙攣も少し大きくなってきた。美子のあえぎ声を聞きながら、激しく、力の尽きるまで動いて、出そうになった時に深く強い入れて、中に出した。今度は美子も大きく動いて、声を出していた。幸之助も疲れて美子の上で、休んでいた。美子「暫く意識が薄らいでいた。頭の中に白い霧があるみたい。凄く良かったよ。幸之助さん。」といって満足して眠った。幸之助は疲れて眠った。

翌朝 幸之助は、美子に起こされた。「幸之助さん、もう時間よ」幸之助は、少し身体が重たい気もしたが、起きた。美子は孝太郎の世話をしていた。幸之助が食卓について、朝ご飯を食べようとして、美子の顔を見た。思わずじっと見ていた。綺麗に、艶っぽくなっている。一晩なのに。美子は、「何見つめているの。恥ずかしい。」と言った。女中に聞かれないように「美子、綺麗だよ。」と言った。女中も聞いていたのか、「今朝は一段とお綺麗ですよ。奥様」といった。美子は、「みんなで私をからかって」と言いながら、満更でもないような顔をしていた。幸之助は会社に、美子は病院へいったが、美子の足取りは軽いような気がしていた。

美子は、時々幸之助に迫った。
美子「女は、40前位から深く感じるの。女は命がけで子ども産むのよ。だから深く感じるようにできているのよ。子どもの世話も少なくなって、時間的にも余裕できた。今が楽しむ時期なのよ。」
幸之助「お母さんもそんな時に子ども出来た。」
美子「なによ、幸之助さんも医者でしょう。出来ても幸之助さんが産む訳じゃないのよ。」
幸之助「母や姉に感化して、お前も変わったな。」
美子「楽しまないと、女は萎れてくるのよ。」

幸之助は、宏から色々と話を聞いていた。仕事も慣れてきた。少しは自信も出来た。美子の乳房を弄ったり、美子の中に指を入れ、美子を焦らしていた。美子もあえぎながら、幸之助のものを舐め、大きくしてやった。妙子さんは、自信かつくと、堅くなると言ってけど、本当かしら。幸之助が中に入ってきた。動き出した。本当だ。少し堅い。この人、自信がついたと思いながら、段々感じが深くなってきた。時々休みながら、幸之助は動いていた。美子は軽く何度も逝っていた。意識が薄くなってきた時に、うつ伏せにそれ、後ろから入れられた。いや恥ずかしいと思いながら、身体に力が入らない。でも腰は動いていた。頭に白い霧が出てきた。幸之助が乳房を揉んだ。時々乳首が当たる。今度は霧が濃くなり、直ぐに真っ白になった。幸之助が深く入れた時に、中に出した。美子は腰から崩れて横たわっていた。暫くして美子は言った。
美子「幸之助さん、どこで覚えたの。まさかよそで練習したとか?」
幸之助「そんな事できないけど、宏くんに聞いたの。お前、後から入れると感じるの。」
美子「とても恥ずかしいけど、一気に霧が濃くなった。凄く不安になるけど、感じ方も強くなるのよ。これからも頑張ってね。」

純子、商会をみんなの会社にする。

純子は、父の家での食事会の後、普段通り仕事をしていた。時々恵子の所や鉄一の所などに出かけて、話をしていたし、弁護士なども呼んでいたり、何か考えるようであった。洋一や洋次郎を会社に呼んで話をしていた。洋介とも「やろうよ」と言う前に話をしているようであった。 会社でも管理の人や総務の人を呼んで話をする事があった。

鉄平とお香は、鉄一には、自分のやっている会社の出資金の名義を鉄一名義にして、安倍紡績は、純子名義、製薬会社は、恵子名義と一平への贈与もしていた。ただ商会は鉄一、恵子、純子三名の名義としていた。功一のやっている会社はおゆきと功一名義を増やし、鉄一、恵子の名義を残し、料理屋は、各店毎に、鉄一にしたり、恵子にしたりしていた。
一族は、ごく一部の名義を各会社毎に、細かく分散していたが、運営しやすいように、多くの出資金は運営している人の名義にしていた。鉄造などの孫には、少数の出資金とした。

恵子と一平は、週1回程度は、一平はまだ頑張っていた。その日はあっさり終わった。
恵子「純子のやつ、大変な事をいうのよ。商会での鉄一と私名義の出資金の一部を、他の人に、時価で譲らないかと言うのよ。もちろん純子名義の一部も。」
一平「じゃ商会は他の人のものになるじゃないか?」
恵子「商会はみんなの会社にしたいのですって。」
一平「商会は、うまくいってるじゃないの。純子、商会の仕事するのいやだから。」
恵子「うまくいってるよ。大きくなって、しかもうまく行ってる。それに純子はやれる間は頑張るって。」
一平「でもそんな事したら、自由にできないよ。」
恵子「純子は、いくつかの会社や、財界の色々な人に持ってもらう。鉄一や私、そして純子も相当部分はもつけど、過半数は他の人や会社に持って貰いたいっていうのよ。私も色々意見を聞いたけど、そういうのは、まだ早いと言う人が多いの。資金が足りない時はそうするけど。会社によっては、一割から2割程度は他の人だし、大阪は既に半分以下だしね。」
一平「大阪は別会社でもあるけど、大阪支店でもある。変な組織だね。」
恵子「あそこは、創立の時に鴻池に手伝って貰ったから、それに製薬会社にも一部鴻池が入っていた。色々と鴻池本家の意見も聞かないといけない。大変だからといって、大阪の商会の株と交換して、大阪の商会は別会社で、我々の方が少ないの。でも運営は一応一体で行っているけど、それは大阪の選択の結果なの。だから、東京からも支店も作って、運営しているの。」
一平「だから他の人の資本入れるともっと大変になるじゃないの。」
恵子「純子の言うのには、みんないずれ死ぬ。だれがやるの?」
一平「それはここも同じでしょ。」
恵子「純子は、製薬会社は幸之助が考えればいい、紡績は私一人が考えていずれ相談する。相談するといって、ほとんどあいつ名義だけど。鉄鋼は、鉄造が継ぐだろう。でも商会は規模も大きいし、早くから考えないと大変というの。」
一平「それはそうだけど、今更、あんな大きい会社を手放すのは惜しくない?」

恵子「私も一生懸命やってきたし、抵抗あるわ。純子、お前が考えろと言ったの。すると、純子のやつは、考えた結果、話しているというの。商会はやり方次第ではもっと大きくなる。今でも純子でも、細かい事までは分からない。人を見たり、内部で監査して、変な事やってないか調べている。商売での失敗は多少多めに見てるけど、賄賂贈ったり、政治絡みで儲けるのは、後が大変というの。いくつか分かった事もあるらしい。たまに変な人事あっておかしいと思う事あるけど、もっともらしい理由があるし、解雇なんかはしていない。私も黙っていたけど、あれはそうだったらしいの。純子は今はいいけど、ここは相当の実力ないと大変な会社。自分がそんなに大きくして、何でもやるからそうなっているのに、もう。」
一平「で結論でたの。」
恵子「そんなに簡単には出ないわ。鉄一なんか簡単に、自分も自分の子どもたちもできる訳ないと簡単に諦めるの。純子も、急に決めなくてもいいからと言ってね。」
一平「知子はどうだい。」
恵子「知子はね、純子とは違うわ。可哀想よ。今の商会は、純子でないと運営出来ないほど大きくしてしまってるの。もう私でも無理なの。幸之助も研究したいだろうしね。一平さんも少しは出資金の名義あるし、役員でもなってみる?」
一平「止めてよ。そんな事いうの。」
恵子「純子の奴は、色々な人が入り、色々な会社から資本貰えば、もっと会社大きくなるし、我々の息子や娘でいい人であって、認められれば社長にもなれるし、我々と関係なくても能力さえあれば、社長にしたいと言うのよ。」
一平「出資金を分散しなくてもやってる会社があるよ。」
恵子「そんな事すれば、結局我々の顔色みるだけの人しかなれないし、結局失敗するというの。」
一平「純子って、凄い事考えている奴だね。でも紡績会社はどうするの。」
恵子「それは、あいつ何もいってないけど、洋一や洋次郎を考えているのじゃない。」
一平「製薬会社は、幸之助で大丈夫かな。営業や管理は無理だよ。」
恵子「この間、孝太郎つれてきた時、美子さん綺麗になっているから、私が聞くとついに頭を真っ白にしてくれました。それから、より感じるようになり、私もあれが楽しみになりました。嬉しいですと言ってた。幸之助もよく面倒も見てくれる。幸之助も自信でてきたみたい。少しずつ話を聞かせていくしかないと思う。いざとなれば純子も面倒くれるだろう。」

妙子、出産! 純子、銀行を構想

純子は、妙子が産月に近くなると、引き取った。その前に、竹内良文にも挨拶に行って、話もしていた。
純子「妙子、つわりも苦しいけど、お前にはやれない苦しさの方が辛いぞ。」
妙子「もう母親とも思えない言い方する。でも本当。」
純子「お前、やりたくなったら、宏くん呼んでたでしょう。もう舐めるかしゃぶるしか出来なくなっているぞ。医者だから分かってるよね。」
妙子「分かってるよ。」
純子「私は、お父さんとやるけど、見ないでね。」
妙子「娘を虐める母親ね。」
純子「こんな時何だけど、宏さんは、何の研究してるの。他の事考えた方が楽になるぞ。」
妙子「まるで拷問だね。宏さんは経済政策の研究しているの。」
純子「経済政策って?」
妙子「つまり、どんな政策をとるとどんな効果やどんな影響か出るか考えるのよ。」
純子「つまり経済的効果よね。」
妙子「知ってるじゃない。もう駄目。舐めるだけでもいいから、宏さん呼ぶね。」 宏は急いで駆けつけ、妙子と一緒に、部屋に入った。純子は、出てきた宏をつかまえて、
純子「宏さん、ご苦労さん。お茶でも飲んでいかない。妙子は寝たの。」 「搾り取られましたよ。でも寝ました。」純子と宏は、何か話していた。

妙子は、女の子を産んだ。
純子「もう生まれて10日後か、やっと出来るね。」
妙子「我慢出来ず、昨日やったのよ。もう大丈夫。今日も宏呼んでるから。」
純子「やっとやれない苦しみから抜け出せて良かったね。」
妙子「ようやくね。でも軽くだけど。」
純子「お前は、医者を続けていくのね。」
妙子「それはそうよ。私から医者を取ったら、何も残らないわ、お母さんと一緒よ。」
純子「私もね、仕事取ったら、何も残らないかもしれないね。宏くんに私の仕事、手伝ってもらったら、お前反対か?」
妙子「やれなくなると困るけど、それ以外は宏さんの意志だよ。」
純子「お前は、私の娘。私と同じ事を言うね。」

純子、化学、銀行を設立した。

純子と恵子は話し合いを続けた。不十分な形ではあるが、純子の意見を通した。鉄一も初めから一任していたし、幸之助もすべて任していた。純子は、良文を初めとする法律家の意見を聞きながら、恵子の不安もある程度解消していた。まず安倍商会の価値を算出して、一方安倍不動産を作り、商会のもっている地所や建物などは、鉄一や恵子や純子の出資金の一部を商会が時価で買い取り、同時に買い取った金額で安倍不動産に売却した。それを商会が借りて使用する事にした。三人にはある程度の出資金を残したまま、出資金を出したい会社や人に、細かく分割して、買い取ってもらった。そして最終的には、安倍一族としては、約半数を少し超える出資比率を確保していた。大阪の鴻池も以前の出資金を精算して、この新しい会社の出資金に変更した。安倍商会を一体化した。純子が商会で追加した事業は、概ね紡績会社が引き受けた。安倍一族、特に鉄一と恵子及び純子はかなりの現金を手にした。純子は恵子と鉄一に新しい銀行設立に出資する事を呼びかけた。純子はほとんどを、恵子はかなりの金額を、鉄一は極く一部を、新しい銀行に出資した。他の人や会社にも呼びかけ、安倍一族としては過半数をもつ新しい銀行を誕生し、竹内宏を頭取とした。化学会社を中心として繊維の一部を加えて、新しい製造会社を作り、息子の洋一に任せ、紡績は、その販売は一手に握り、紡績会社と商会は純子が経営した。今まで個人と会社との分離が不明確であり、商会に残っていた恵子や純子個人のお金は、引き上げた。利益反映金として、利益の三分の一を配当として支払われていたが、実際には、恵子と純子のお金は、多くは商会に残り、事業拡大の時に使用され、増資として処理されていたが、それでも相当の額は残っていた。

恵子「結局、純子に負けたよ。商会はみんなの会社になってしまった。事業会社も営業の一部も引き取ったけど、以前として多くは商会を通っている。ここは、元々営業の関係が少ないからあまり影響はないけど。」
一平「でも商会は大きくなったね。」
恵子「私は、まだ会長だけど、私がやっていた時とは比べようもない程大きくなった。純子の言う通りなので、どうしようもない。出資を引き受けてもらった会社の製品も販売するようになった。組織も複雑になった。役員も半分くらい、知らない人だよ。」
一平「でも恵子さんには、相当現金が入った。私はそのまま持っているけど。」
恵子「むりやり売らされてた。いままでの利益反映金を引き上げた事もあるし、純子の銀行にも出資させられたけど、それでも相当残ったけど、金貰っててもね。」
一平「純子は、その金で銀行作り、妙子の夫を頭取にした。純子、計画的だったね。」
恵子「まあ、あいつはそのくらい考えるよ。役員会に出てみると、凄い顔ぶれだよ。鉄一の馬鹿は、出資を渋ったから、役員にもなれない。」
一平「でも銀行って、まだ早いのでは、思うけど。」
恵子「私もそう言ったけど、安倍商会と安倍紡績の金は管理させているし、一部の人の金の運用もしているし、うちも少し付き合ってる。会社としての実績があると、宏さんの経済見通しを配布している。うちにも来てるし、一平さんも見たでしょう。」
一平「見ましたよ。よくまとまってるよ。妙子に搾り取られても、頭冴えているよ。」
恵子「宏さんは以前は、妙子の崇拝者みたいだったけど、事業もうまくいってて自信ついてね。それで妙子、機嫌いいのよ。」
一平「変な理屈だよ。」
恵子「夜がね。積極的になるの。純子と妙子は、凄い話しているでしょう。妙子がね。最近硬くなっているし、色々な体位でやってくれると喜んでいるのよ。後ろから入れられると感じるとか、純子は顔見えないし、私はそんなに好きでないけど。たまにはいいねとか。そんな話してるの。あいつら何を考えるのと思う程ね。」
一平「妙子、新しい手術考えてね。まだそんなにしてないけど、心臓にも少しメス入れられるの。次平先生がやりたいといってる事にすこしだけ近づいているの。あいつは神の手を持っていると言われているよ。 あいつらの頭はどうなってるの。」
恵子「純子もね。今回の事で革新的な経営者になったよ。しかも安倍紡績も好調だしね。私は、両方の面知ってるから。頭の切り替えなんでしょう。もしかすると、あれ見ると、切り替わるのかも。」
一平「恵子さんもそうかね。」
恵子「そのつもりだったけど、ひいばあちゃんだからね。でもやってみよう。ひいじいさんも準備して見せて。」
一平「萎える言い方するね。」
恵子「元気だせ、一平」

妙子、再び妊娠

妙子「お母さん、又出来ちゃった。」
純子「それは仕方ないね。あれだけやってるだから。」
妙子「でも女って損ね。妊娠出産でどれだけ仕事に影響するか。お腹大きくなると仕事しにくいし、2カ月近く動けないし。折角新しい手術考えて、成功例積み上げてたのに、また中断。」
純子「私は1カ月程度の中断。といっても相談や報告来たしね。」
妙子「それは頭だけでの仕事だから。外科医というのは、肉体労働だから。所詮手がうまく使えないと無理なの。」
純子「また禁欲の季節だね。」
妙子「人が気にしている事言うね。体位も限定されるし、口だけじゃ不満残るけど。でも宏忙しくて、直ぐにこないのよ。お母さんのせいだよ。」
純子「男の人も成長するの。あのものだけの男もつまらないでしょう。」
妙子「宏も自信ついて、硬くなってね。自信と堅さは、影響するのかもしれない。私も感じやすくなってね。それに、あいつこの頃「宏の女」と言わせて、後ろから入れるの。私も興奮して感じてるのよ。」
純子「私も、時々そんな事あったよ。あれも感じるよね。でもね、お前も宏さんの女でしょう。」
妙子「宏は私の男でもあるわ。そういって、しゃぶってるよ。」
純子「いつくるの?玲子もつれてくるの?」
妙子「産月の前にくるわ。できるだけ搾り取っておかないと、宏さんもあぶないから。」
純子「洋一も結婚して、別の家に行ったから、2部屋開いてるよ。」
妙子「洋次郎は、女いないの。」
純子「いてるし、やってると思うけど言わないの。あいつ弁護士になりたいみたいたけど、自分の弁護は、とてもうまいの。」

洋次郎と由美子の恋

洋次郎は、妙子に憧れていた。洋一は、年も3つしか離れていない姉が若くして、医者になり、星が輝くように光っていたので、遠くに離れていたが、洋次郎は、7つ違いの姉は憧れていた。そして純子も妙子も奔放だったので、小さい時は母の裸を、思春期は姉の裸を見ていた。姉もよく遊んでいたし、こっそり男を連れ込んでいたのも知っていた。

大学に通うようになり、姉と良く似た人に憧れを持った。姉と同じ医師でしかも7つ年上のその人は木内由美子と言った。ただ年も離れているし、単に憧れのまま終わる筈だった。由美子は、長い間、不倫で苦しんでいた。4年間の間、5つ年上の既婚者の医師と関係を持っていた。その医師は人を虐める傾向があり身勝手な男だったが、ハエがハエ取り紙に吸い取られられるように由美子は、その医師と関係を持ち、虐められて感じてきた。しかし熱狂の数年間が去ると、その男の身勝手さが目についてきた。それに不倫で、いいように扱われる事や愛情もない暴力に嫌気もさしていた。しかし身体が馴染んでしまい抜け出すための時間がかかった。その男は由美子を脅し、他の男に付き合えば、由美子がどんな事をしてきたか話してやると言ったが、由美子はどうぞご勝手にと言って別れた。病院も替えた。そんな時に洋次郎は、会った。正確には通り過ぎた。妙子と由美子は、そんなに似ていなかった。どちらも西洋人形のように美しく、綺麗だったが、由美子には苦悩と諦めがあった。ただ洋次郎には表面的しか分からなかった。由美子はもう駄目だと思っていた。あの男なら、本当に話すだろう。それに今の私は誰も愛せないし、誰も愛してはくれない。もし誰かが愛してくれても、過去が知られれば、それで駄目になるだろう。一生 一人で暮らしていくのだ。ただ4年間、男にいいように扱われてきた身体をもてあましていた。病院の勤務が終わると、酒を飲むようになった。一人で飲んでいると惨めな気持ちになり、時々は酒場の喧噪が恋しくなって、酒場でも飲むようになった。一人の少年とも言える青年が、私を見ている。人恋しい由美子は、その日話をしてしまった。まだ19才と言った。

由美子「貴方から見れば、私はおばさんでしょ。何でみてたの。」
洋次郎「そんな、綺麗な西洋人形のような人と思っていました。」、
由美子「そう、どぶに落ちた西洋人形かも。」
由美子はなげやりになった。身体は男を欲しがっていた。
由美子「こんな人形でもよかったら、抱いてみる。」
洋次郎「そんな。」
由美子「どぶに落ちている人形だからね。誰も拾ってくれないわよ。貴方は早く帰りなさい。」

由美子は帰ろうとしたが、大分飲んでいたので、ついふらついた。思わず洋次郎は手を出していた。洋次郎は、由美子につれられて、宿屋に入り、由美子は洋次郎に抱きついた。洋次郎は、由美子の香りと身体の温もりに圧倒された。盗み見た姉の姿と似ていた。思わず由美子の身体を強く抱いた。由美子は、洋次郎の前に裸になった。抱いてお願いと言った。洋次郎は由美子の中に入って、すぐに出してしまった。洋次郎ははじめてだった。由美子は、「君、はじめてなの」と言って、洋次郎のものを舐めてきれいにした。そうすると、洋次郎のものはまた大きくなった。由美子は、洋次郎を中に入れ、上で腰を動かしていた。まだ出しちゃ駄目よといわれ、洋次郎は我慢していた。自分で乳房を揉みながら、腰を動かしている由美子を見ていると又出そうになり、「僕、もう」と言った。由美子は腰を深く落として、締め付けていた。洋次郎は、又出していた。由美子はまだ不満足だったが、久しぶりの男であった。あの男と別れて半年ぶりの男であった。そして洋次郎は、関山病院の木内由美子と知っていた。由美子は、洋次郎の名前は知らなかった。洋次郎は病院の終わる頃、また病院の近くで、由美子が出てくるのを待っていた。由美子が出てくると洋次郎は走っていった。由美子は、「この間の」といいかけて、「又抱いてくれるの」といって、今度は、由美子の部屋に連れて行った。由美子はいった。「私はこれでも医者だから、病気はないよ。それは安心して。結婚してくれとも言わない。」と言って洋次郎に接吻した。洋次郎は、この間の失敗から、遊んでいる友人たちに聞いて、少し勉強していた。接吻しながら、由美子の乳房を揉んでいた。由美子は少し勉強したのね。少し待って服を脱ぐからといって、裸になった。あの男に剃られた恥部は、また毛が生えだしていたがまだ薄かった。由美子は洋次郎のものを舐めだしていたが、舐める前から大きくなっていた。もう大きいのね。今度は我慢してねと言いながら、洋次郎を中に入れた。そして自分で腰を使って動かした。今度は洋次郎も我慢した。そして由美子の動きに合わせて、自分も動いた。由美子の動きが激しくなったが、洋次郎も激しく動いていた。洋次郎は父と母も見ていた。由美子は、突然の事に激しく感じて逝ってしまい、洋次郎の上に倒れた。洋次郎は抱きしめて、接吻した。暫くして、由美子は言った。「君、2回目なのに凄い。ここも大きいし。 私は大体の時間はこの部屋に戻っているの、時々、来て抱いてくれない。」

洋次郎は、時々では頻繁に行くようになった。由美子もいけないと思いながら、身体の火が消せないでいた。関係は3カ月続いた。ついに、あの男がかぎつけ、洋次郎に、由美子の過去を話した。洋次郎は黙って聞いていたが、由美子の部屋に行くのは止めなかった。由美子はまだあの男が喋った事は知らなかった。しかし病院まで来て、あの若造にいってやったと由美子に言った。由美子は、これであの青年も来なくなると思いながら、部屋に帰った。洋次郎は前で待っていた。由美子は、洋次郎を部屋に入れ、あの男から話を聞いたでしょう。私はそんな女なの。もう来ちゃ駄目といった。洋次郎は、「自分はまだ学生です。だから貴方を養う事は出来ません。学校止めて私も働きますから、結婚してください。」と言った。
由美子「君本気なの。私みたいな女と一緒になりたいなんて。」
洋次郎「勿論、本気です。父と母に会ってください。」
由美子「あの男は、どこにでも現れて、私の事を言うわよ。それでもいいの。」
洋次郎「そんな事、気にしません、両親も気にする人ではありません。」
由美子「まだ君の名前、聞いてなかった。」
洋次郎「治部洋次郎 19才です。」
由美子「私、26よ。それにこんな女よ。お父さんは何してる人なの。」
洋次郎「父は医師です。」
由美子「ひょっとして、治部病院の治部洋介先生なの。」
洋次郎「父をご存じですか。」
由美子「お母さんは治部純子さんなの?」
洋次郎「母もご存じですか」
由美子「洋次郎さん 気持ちはとても嬉しい。しかし私は貴方に釣り合う女ではない。お帰りください。」
といって洋次郎を部屋から出して、部屋の中で座っていた。

洋次郎は、家に帰ると、母の純子が珍しく帰宅していた。今日は、父ももうすぐ帰ってくるだろう。父と母は、連絡を取って帰ってくるのだ。純子の部屋に行き、純子に結婚したい人がいるが断られたと言って、すべてを話した。話している内に、洋介も帰宅して、一部は繰り返して、話をした。洋介も純子も黙っていた。
純子「お前、本当に結婚したいの?学校止めても働く気があるの?」
洋次郎「でも由美子さんが」
洋介「その男の名前は?」
洋次郎「特に聞きませんでした。」
純子「洋介さん、私が由美子さんの気持ち聞いてきます。」
洋介「そうして下さい。」

洋次郎が純子を連れて、由美子の部屋を訪問すると、部屋は、鍵がかかって居らず、由美子は一人で酒を飲んでいた。純子は部屋に入り、「私が治部純子です。洋次郎との事でお話したいので、やってきました。入りますよ。」由美子は酔いが吹っ飛んだ。由美子は言った。
由美子「洋次郎さんから話を聞いてもらったと思う、私はとても洋次郎さんと釣り合う人間ではない。」
純子「釣り合うとか釣り合わないの問題ではないと思います。洋次郎は由美子さんが好きといってます。由美子さんは洋次郎が好きではないのですか?」
由美子「好きですが、しかし」
純子「由美子さん、遅くなったが、これから私たちの家にきてもらえませんか、主人の洋介も会いたいでしょう。」
夜になったが、洋介、純子と洋次郎、由美子は話していた。
洋介「その男は黒岩ですね。その病院長も知ってる。相談しますから安心してください。」
純子「由美子さん、過去はいい。貴方の現在の気持ちは、洋次郎を好きと言ってくれますか?」
由美子「でも、」
洋介「好きですか? まだ幼いけど、洋次郎は純粋な男です。」
由美子「好きです。がしかし、」
洋介と純子は、話をした。そして洋次郎に言った。
洋介「学校を止めて、働いても由美子さんと結婚したいのは本気か?」
洋次郎「はい」
純子「由美子さん、洋次郎は幼いけど純粋な子です。一緒に歩いてくれますか?」
由美子「私ではとても」
純子「洋次郎では駄目なんですか?」
由美子「私でもいいですか?」
純子「洋次郎と貴方の意志でしょう。他は関係ありません。洋介さん、それでいいですね。」
洋介「勿論です。」
純子「洋次郎、学校には、休学届けを出して来なさい。私が働く所を探す。1年間働いてみなさい。由美子さん、一緒に歩いてやってください。ところで由美子さんのご両親は」
由美子「実は父も母も亡くなっています。遠縁がいてますが、ほとんど行き来はありません。」
純子「由美子さん、今夜は、ここで泊まってください。」

黒岩は、病院長によばれ、それとなく言われた。男は震え上がった。自分の身に降りかかる事は避けたかった。由美子とは単なる同僚で、そんな事は言ったのは、自分ではないと言い張った。病院長は、「そうでしょう。自分で自分の首を絞めるような事を貴方はしないですよね。」と言った。


由美子は、洋次郎が懇願し、洋介の家にいる事になった。そんな時に、妙子が帰ってきた。
妙子「洋次郎もやるもんだ。」、
純子「1回やり損なった。」、
妙子「私と同じ年なんでしょう。まだ木内由美子で通しているよね。」
純子「それが由美子さん、自分の身内の事になると口重いし、結婚急がないしね。心配になって私も調べているの。私も、洋次郎がしっかり決まらないとね。お父さんは、学生結婚でもいいじゃないかともいうんだけど。」
妙子「でも休学届けは、出したのでしょう。で今何してるの。」
純子「安倍紡績の現場で働いて貰っているの。」
妙子「お母さん、策士ね。」
純子「策士とは何よ。本当に現場で働いているのよ。あの子必死で働いているわ。純粋なのよね。由美子さんとは熱々よ。」
妙子「それは私には目に毒ね。」

洋介「脅していた男、黒岩は情けない男だった。病院長は解雇したいようだったが、取りあえず、止めてくれた。由美子さんは、若いが優秀な内科医で、突然辞表だして、消えてしまったそうだ。」
純子「由美子さんは、父母も死んだと言ってたけど、何か嘘みたいだから、調べた。萩の資産家の娘で、お母さんが離縁されて、由美子さんも一緒に出たの。お父さんは、生きているけど、由美子さんが小さい時から会ってないの。それで木内は、お母さんの旧姓なの。ただ木内は医者が多くて、お父さんの姓は津山なの。薬種問屋時代から、萩の事はよく分かるの。木内は結構縁者多いけど、由美子さんが医者になって、直ぐにお母さんが亡くなり、何かつらい事があり、一人で上京してきたというわけなの。由美子さんが身内の事を話したがらず、結婚急がないのは、そうした事が明るみにでるからなの。」
洋介「萩だったのか、萩の木内か。」
純子「何か」
洋介「いや一寸どこかで見た事があるような気がして。」

洋介と純子は、由美子を呼んで、話していた。
純子「由美子さん、失礼だが貴方の身元は調べた。父母は死んだという貴方の気持ちは分かるし、萩を出てきた時は、よくよくの事情があったもよく分かる。しかしお父さんは、健在ですよ。それに貴方の縁者は多い。」
洋介「貴方のお母さんのお名前は、」
由美子「君枝です。」
洋介「母方のお祖父さんのお名前は」
由美子「君二郎です」
洋介「木内君二郎さんのお孫さんか、たしか娘さんも医者になったと、君枝さんも医者だったのでないですか。」
由美子「そうです。だからそれで私も医者になったのです。木内との縁も母が死んできれました。津山との縁は、父が母と子どもの私を離縁した時に切れてます。」
純子「君二郎という方は有名なの。」
洋介「父が萩で、学生を養成していた事もあっただろう。君二郎さんは、そこで優秀だった。父とも手紙のやり取りがあった。母が亡くなったから、少しずつ、書類整理していて、見ていた。」
由美子「私は、やっぱり洋次郎さんとは一緒になれないと思います。一緒になれば、治部に迷惑がかかります。でも今の私には、洋次郎さんが必要です。洋次郎さんに抱かれる度に、少しずつ心と身体が洗われていくんです。洋次郎さんが学生の間だけで良いんです。洋次郎さんが必要な時だけでもいいんです。私の心と身体に洋次郎さんの思い出を残して欲しい。それで私は、生きていけると思うのです。」
純子「どういう事なの?」
洋介「事情を話して下さい。」

由美子は、事情を説明し始めた。君二郎は、優秀な医者だったが、次平に感化されて、貧しい人から診療代を受け取らなかった。君二郎には鉄平のような人はついていなかった。貧しい暮らしだったが、でも何とかやっていけていた。母は君枝を産んで、亡くなっていた。父に育てられ、君枝も医者になり、君二郎と診察するようになった。その時が一番楽しかったと母が言っていた。でも君二郎が重病になり、高価な薬が必要となった。鉄平の薬種問屋にいけば、なんとかしてくれると君枝が言ったが、君二郎は自分のために、薬を貸してくれと君枝が頼みに行く事を許さなかった。木内の身内も冷たかった。津山平史郎が現れた。津山は資産家だった。津山の冷たい態度には、君枝は不安も感じたが、津山に嫁に行った。津山からのお金で、君二郎は少しつづ回復していった。ただ平史郎には、女を虐めて喜ぶ性癖があった。君枝は、夫婦とはそんなものと思い、又平史郎の身体に馴染んでいった。母の身体には、生傷が絶えなかった。そして私が生まれた。私が大きくなるにつれて、平史郎は、私を裸にさせ、見るようになった。そして君枝への暴力も過激になっていった。君二郎は亡くなり、津山からのお金も必要なくなった。平史郎は、あの時に、君枝の首を絞めるようになった。君枝は、平史郎が私を裸にさせて、眺めている所も見た。私も13才になっていた。ついに君枝は、私を連れて家を出て、君二郎の家に戻った。木内の身内は、資産家である津山家との縁が切れる事を恐れて、津山に戻るよう説得したが、母は戻らず離縁された。そして身内からの付き合いはなくなった。母は医者に戻り、君二郎がしていたように、診療していった。私も母の手伝いをして医学を勉強した。医師の免許制が実施される前に医者になっていた。母は二人で生きていけると喜んでいた。ある日朝起きてみると、母は冷たくなっていた。母が死んでも、木内の身内は、葬式にも来なかった。医者のくせに、母の病気も分からないのかとの陰口もきかれた。ついに、私は、上京した。 平史郎の事を知りながらも、あの男に惹かれて、喜んで売春婦のような事もしたし、殴られながら、感じてもいた。ようやく別れようと決心して離れた。

私には、平史郎の血が流れている。そしてお金だけで、態度が変わる木内の血も流れている。虐められて喜ぶ性癖もある。平史郎や木内の一族は、治部の家に私が嫁いだと知ったら、すり依って、みんなに迷惑を掛ける。私は、洋次郎さんの一時的な女にしかなれない。ただ洋次郎さんの慰みものでいい。私にもそんな思い出が欲しい。

妙子と宏が、いつの間にか来て、聞いていた。
妙子「お母さん、なんとかならないの?」
純子「由美子さん、津山と木内からの縁を切って、洋次郎とやり直す気になれない。」
「なんとかなると思いますよ。竹内の父と話してみます。由美子さん、名前を変えたり、どこかに養女に行ってもいいですね。」
洋介「ただ津山さんとの血は切れない。それは忘れてはいけないよ。我々に任せてください。洋次郎は、純粋な心だけは、持っている。貴方が洋次郎から去れば、洋次郎の心に穴が空き、洋次郎には何も残らなくなる。洋次郎には、何も話す必要はない。ただ貴方は洋次郎の側にいて、支えてやって欲しい。」
純子「私も、この妙子も、やるだの舐めるとか、いつも言ってる女ですよ。女はそんなものですよ。それに貴方もあの男から、自分で離れる決意をして、去った。貴方のお母さんも最後には、離れた。今の貴方は、過去の貴方ではない。過去に縛られてはいけない。暫くこの家にいて、洋次郎と暮らしてください。女は、男で変わるのですよ。」
洋介「男も女で変わるけど。」
「そうですよ。洋次郎君も、元気一杯で頑張ってますよ。」

良文と宏が話し合い、弁護士も呼び、純子は、由美子を内務省の警察畑で働いて丁度退官した富山という人に頼んで養女にしてもらった。そして富山は安倍紡績の総務関係の役員とした。名前も真弓として改名させていた。由美子は、関山病院を由美子として辞職した。そして富山真弓として、治部医院で働いた。

洋次郎は、学校を退学して安倍紡績で働き始めた。洋介は、学生結婚でもいいと言ったが、洋次郎は働きたいと言った。妙子は、男の子を出産し、宏一と名付けられた。色々な工作に時間が必要だったので、洋次郎と真弓の結婚は少し遅れた。そして富山真弓と治部洋次郎は、敢えて盛大な結婚式をした。内務省の高官も呼んだ、純子は各方面からの客を招いた。洋介の家に、離れを作り、そこに真弓と洋次郎は住む事になった。

由美子は、関山病院を退職してから、忙しかった。住所は、純子が指定する場所に変更していった。数回変更させられた。そして養子縁組及び改名の手続きを何度か取った。養子縁組先には、別の由美子がいた事もあった。複雑な手続きに忙殺された。実際に住むのは洋次郎の部屋なのに。お義母さんは可愛い人形見たいな顔してるのに、凄い人だ。住所変更は何度したか変わらない。本籍も何回も動かした。津山由美子も木内由美子も消えてしまった。話さなくてもいいと言ってくれたが、洋次郎にすべて話した。私は変態で、しかも変態の父の血が流れている。洋次郎の命令なら、どんな恥ずかしい事でもするし、殴られても、蹴られても感じている変態だと言った。洋次郎は、「じゃ命令します。私の前では笑顔でいて下さい。」と言った。由美子は泣いてしまった。洋次郎は、どんな事でもすると言ったのに、といいながら抱いてくれた。ほとんど毎日、洋次郎は抱いてくれた。洋次郎の精液は奥に入らないようにする自分がいた。私の血を入れてはいけないのだと思っていた。洋次郎は悲しそうな顔を一瞬した。知ってるのだ。ひっそりとした結婚式にしてくれると思ったのに、政財界の有力者が参列する披露宴になった。家は洋介の綺麗な庭の一部を潰して、離れを建ててくれた。洋次郎は義親の富山の家にも、私をつれて挨拶を欠かさなかった。そして萩に行って、祖父母や母の墓に報告に行こうと行ってくれた。私は躊躇したが、行った。念のため髪型は変えた。祖父母や母の墓に報告した。誰も気付かなかった。萩の宿で、鏡を見た。別人のような私が微笑んでいた。私は、洋次郎で変わっていた。萩の宿で、洋次郎の精液は、私の子宮に当たる気がした。避けようとする腰は動かず、むしろ当てるように腰が動いていた。身体は洋次郎の子を欲しがっていた。そして朝の光の中で、もう一度洋次郎は、私の中に出してくれた。私の身体は洋次郎の精液を奥に入れるように、腰が膣が動いていた。洋次郎に頼んで、洋次郎のものを綺麗にした。私には、洋次郎の精液は、宝物だ、一滴残さず飲んだ。又大きくなった。洋次郎にお願いして、乳首や乳房に洋次郎の歯の後が残るように噛んで貰った。洋次郎の精液が今度も子宮に当たる気がした。洋次郎は私の唇に接吻して、綺麗だと言ってくれた。その声が遠くなった。暫くすると由美子は意識が戻った。洋次郎は私の乳房の中で微睡んでいた。私の身体はまだ洋次郎を欲しがったが、今度は由美子の意識が抑えた。「淫乱な由美子の身体よ、昨晩から何度して貰ったの、いくら若くても洋次郎さんを大切にしなくては、少しは遠慮しなさい。」

洋次郎に接吻して「洋次郎さん、もう起きましょう」と言った。洋次郎は、由美子の乳房に接吻して、「そうしましょう」と言った。由美子は言った。「ご免なさい。少しだけお掃除」といって、洋次郎のものを綺麗にした。洋次郎のものは少し大きくなった。洋次郎「今晩ゆっくりと又しましょう。由美子さん」、「由美子は死にました。どぶの中で、溺れて。今は真弓です。」、洋次郎「そうでしたね。」
宿では、精算して出た。洋次郎は「お若い奥様で、いいご夫婦ですね。」と言われた。洋次郎はありがとうと言って出た。

(由美子ワールドは、時空をずらして、幾つかのシナリオを作りました。 由美子の恋 現代版  シナリオ1シナリオ2シナリオ3

妙子は、洋介の家に遊びに来ていた。
純子「妙子、赤ちゃんがいる母親が遊びに来てもいいのかい。」
妙子「私、忙しいでしょう。竹内の母が、子どもの面倒を見たいといってね、竹内の家の離れに家立てて、住んでいるでしょう。竹内の家は固くて、私は息がつまりそうになるの。乳母もいるし、子守もいるし、時々ここに来ないとやってられないわ。お母さんも、今日は休んでいるの。忙しいのに。」
純子「最近、たまに休憩取るの。朝の光の中で、お父さんとやるの。凄く感じるわよ。お父さんも、真弓さんが内科を見るようになって、少し時間が取れるし、楽しくやれるのは、今のうちよ。」
妙子「真弓さん、良い内科医よね。私と同じ年で、私と似た容貌だし、間違われるのよ。洋次郎は私を好きだったのかもしれないね。」
純子「真弓さん明るくなって、お前よりも綺麗だし、若く見える。誰も年上とは言わなくなった。洋次郎は張り切って帰ってくるわ。ほとんど毎日やってるよ、あれは。お前は、本当にお姉さんになるよ。」
妙子「いやね。男の精の差よ。いくら化け物でも精がないと。お母さんも今朝は綺麗。私、今晩言おう。私は精がたりない。でも真弓さん、子どもできないの。」
純子「真弓さんは、自分の血を恐れていたでしょう。でも洋次郎さんの子どもならと言い出してね。直ぐにできるわよ。」
妙子「そんな事いうと私たちの血はどうなの。やりたい血は、玲子に入ってるね。」
純子「私も言われたけど、ついに私が言う番だ。今度はお前が苦労する番だ。」
洋介は出てきて、
洋介「妙子、お前 午後から手術だろう。こんな所で油売って」
妙子「お父さんも午後から出てくると聞いたから、一緒に行こうと思って。真弓さんに任せて、楽してるよ。今日も朝からやってるし。私はやろうといっても、宏さんは、忙しいし、竹内の父や母もいてるし。これでも苦労しているのよ。」
純子「もう少ししたら、ゆっくりやれるよ。女は40を超えてから、よく感じるようになのよ。」
妙子「お母さん、いつも感じているよ。」
妙子「お前も分かるよ、どんどん感じが深くなるのは。」
洋介「男も今頃が良くなるよ。純子の裸も少し丸みが出てきて、朝日の中で、裸であえでいる純子を見るの最高だよ。」
妙子「娘によく言うね。私も朝日の中であえぎたいよ。今日手術だし、宏さんに電話して早く帰って貰おう。私のエサたりないよって。」
洋介「さあもう時間だ、行こう。」

知子の結婚

恵子「知子に、男が出来ていた。しかもひとつ年下。」
一平「でもあいつまだ18だよ。」
恵子「純子で懲りてるので、男を連れ込む事を監視していたけど、やっていた。相手の男はまだ学生だけど、もう半年以上、奥に出してるようだ。あの馬鹿も17でやり始めて、3人位までは、なんとか遊んでも、うまく処理してけど、奥に入れられ、出されて凄く感じたので、ずっと奥に出せていた。と言っているの。こんなやつばっかりだね。でも元紀のもの大きいよ。口が一杯になると言ってる。相手の父親は警察署長だ。話大変だけど、一平さんも行ってね。もうすぐ赤ちゃん出来きるかもしれない。」
一平「純子の時みたいだ。仕方ないね。話に行くよ。結婚させるしかない。」
恵子「馬鹿な娘ばっかりで疲れるよ。」
知子「元紀、やろうよ。今日は父も母も出かけているの。」
元紀「僕、学生だし」
知子「私が教えてやるよ。元紀、もう大きくなっている。それに堅いよ。大きすぎて口に入りにくい。じゃ先っぽを。」

知子が元紀のものを中に入れ、深く腰を落とし、動かした。知子は腰を落とした時に元紀が子宮に触れたような気がして、感じていた。元紀は思わず出した。知子は、これは大変だと思ったが、感じ方が強く、動けなかった。時々、父母のいない時に、元紀を呼びだしてやっていた。知子「奥に出すと赤ちゃんできるよ。抜いて出すのよ。元紀」でも奥に入れる時の快感が忘れられず、奥に入れる。知子は当たる感じがして深く感じると締め付ける。元紀が堪えきれず、出す。知子は、くせになって何回もやっていた。舐めるともっと大きくなる。裏も先端も舐めた。そんな関係が半年以上続いた。知子は観念して、恵子に話した。

一平と恵子が、相手の両親に会ってみると、元紀の父は、松嶋巌と云う警察の署長で、元紀が市橋の娘を傷物にしたと謝った。元紀は三男だし、婿養子で市橋に貰ってもらえないかと切り出した。恵子は、知子が悪いので、気にしないでくださいと言った。しかしこんな厳格な家で、知子を嫁にやると、知子が可哀想だし、元紀の婿養子は、承諾した。知子は、妊娠が判明し、お腹が大きくなっていった。直ぐに結婚させた。松嶋巌は簡素な式を希望して、結婚式や披露宴は簡素なものになった。

一平「やれやれ、やっと終わった。気にはしないと云うものの、花嫁のお腹が大きいと、恥ずかしいね。」
恵子「もう情けないよ、あんな娘。でも私や一平さんの元気な内に片づいてよかった。元紀さんもうちに住むようになって、家も明るくなった。又孫だよ。」

一平「純子の所もすべて片づいたね。」
恵子「一平さんだけにいっとくけど、真弓さんは改名した名前だよ。鉄一が聞いてきたけど知らないと言っておいた。あの馬鹿、この頃、財界人ぶって、お父さんやお母さん知ったら泣くだろう。知ってるのは純子の一家と富山さんと竹内さんも絡んでいると思うけど。洋一も少しだけ知ってる程度、純子の顔が怖くて聞けなかった。純子は、家ではやる事しか頭にない馬鹿女の顔が多いけど、突然真剣な表情になるから、身内は直ぐ分かる。功一さんやみどりさんも知らない。内緒だよ、色々訳があるみたい。」
一平「そうだろうな。なんとなくおかしいと思ったけど。」、
恵子「私ね、うちの顧問弁護士の腕みたくて、密かに調べさした。その結果はどう思う。」
一平「そんな聞き方やめてくれる。改名は分かったの。」
恵子「改名はよく分からない。ただあの弁護士は馬鹿ではないから、改名している可能性は高いと報告してきた。複雑な処理が多すぎる。私がしてもこれほどの事はできない。他にも調べている人がいるようだが、何も判らないだろうと付記していた。」
一平「改名の有無すら分からないの。他の人とは。」
恵子「鉄一か功一さんでしょうが、功一さんと珠代さんは、良かったねと喜んでいた。そんな人たちではない。すると鉄一。鉄一、この頃顔が悪くなったし、根性も悪い。いつか意見してやろうと思っているけど。すっかり馬鹿になって、商会のランクでは下がっている。純子は厳しいから。あの馬鹿は知らないけど。」
一平「商会はランク付けしているの。」
恵子「昔からやってるよ。お金の融通や商品の代金等あるから」
一平「ここの製薬会社はどうなの。」
恵子「私は両方の会長よ。それに商会に依存も少ない。特別待遇なの。」
一平「鉄関係は、商会の扱い多いでしょう。」
恵子「今は鉄、景気いいのよ。鉄一の馬鹿、商会というより純子が、商会の出資分散の時、損覚悟で営業を鉄一の所と功一さんの所に分割して行ったでしょう。自社営業を強化するために。功一さんは素直に自社の営業を強化した。鉄一は要らないと言って返した。それで経営の実態も分かった。」
一平「でも好調なんでしょう。」
恵子「どんな業種や会社でもね、晴や曇そして雨があるでしょう。自社販売はね、営業経費かかるけど、得意先との調整や動向が分かるの。晴ばかりだと、商会つまり代理店販売の方が営業経費が少ないから利益は多いけど、曇や雨では落ち方も多いの。今は晴れだから、傘はいらないと言うのと同じなの。純子は、もう商会では普通の会社と同様に扱いますから、大きい販売量の得意先は自分で管理した方がいいですよと言ったつもりなの。商会としてみると販売金額落ちるから普通はやらない。」
一平「そういうものなの。製薬会社も同じ。」
恵子「同じ面も異なる面もあるの。業界によって異なるから。薬はね、私たちしか製造や輸入していない薬もあるし、複数の会社が製造や輸入している薬もあるでしょう。私たちだけが製造している薬でよく効く薬だけなら、どんな経路使おうと売れるから、経費の安い方が利益あがるよね。でもそんな薬だけじゃないから、自社販売で、みんな一緒に売ってる。でも販売量が少ないと経費ばっかりかかる。独自の薬と販売量との割合を見て、販売方法変えているの。でも営業していないと末端の状況分かり難いから、自社販売していない地域でも代理店に同行させている。製薬会社は効く新薬、つまり私たちだけの薬を持つ事は他の業界よりも重要なの。一方販売力が強いと、他の会社も販売頼んでくるからそれなりの利益も得る事が出来る。その案配を考えているの。兎も角、今だれが売っても売れるからといって、自社営業の経費を減らしすぎると、売れなくなった時に、自社の独自製品がないと激減するの。」
一平「開発と営業は、ある意味一体だもの。営業なき開発は自己満足になる可能性強いし。」
恵子「話を戻すとね、これほど徹底してやるには、恐らく相当の弁護士が絡んでいる。とすると竹内さん関係かなと思う。」
一平「それとあの人事、なぜ紡績会社に元内務官僚かなとは思っていた。しかも警察畑。」
恵子「なぜ内務官僚なのかは、分からないが、何か脅された時の対応かも知れない。ただ警察畑の人だから口堅いし、紡績会社で地位を与えているからね。純子もやる時は徹底的にやるから。ただ真弓さんは、洋次郎にとって大切な人だから、真弓さんの事で何か噂でたら教えてねといって、私には以前の名前も教えてくれた。ただこれは、法律家、富山さんも含めて、毒気のある人、純子と妙子、その影響下にある洋介さんと宏さんと本人たち位でしょう。やり方は純子が考えた。恐らく改名や養女も1回以上やっているのかもしれない。純子は、一平さんには教えてもいいといったけど、聞きたい。」
一平「私は真弓さんでいいよ。そんな事聞いたら喋ると大変。改名自体も聞かなかった事にするよ。でも凄い内科医だよ。妙子とは違う意味で、あの年で凄い安定感。何才から内科医してたかと思うよ。」
恵子「何かある毎に、あいつは、焼け太りしているよ。真弓さんを洋介さんの病院に入れて、妙子と病院の両輪にし、洋次郎を安倍紡績を入れて、現場から修業させて、洋一はこれからの分野を研究させている。しかも宏さんに銀行やらせて経済見通しや経済動向を研究させている。自分は商会と紡績を監視しながら、任せる時には、人に任せて、全体を見てるよ。しかもこんなに忙しいのに、休暇取って、朝から洋介さんとやっているの。女は40からだとほざいているよ。私も、もっとやれば良かった。」
一平「治部病院は、内科も外科も若い看板が揃って、うまくいってる。真弓さんは色々あったようだけど、いい内科医だけよ。若いけど、もうベテラン以上だ。妙子の神の手は、益々冴えているし、洋介さんも真弓さんが頑張っているから時間も取れるしね。純子も、洋介さん誘いやすい、あいつ、考えている。」
恵子「問題は製薬会社。知子はまだ若い、営業や管理の人育ているが、やっぱり幸之助がしっかりしないと。でも幸之助は、少し自信ついてきたみたいだよ。美子さんを綺麗にして、結局自分が成長してきた。」
一平「綺麗といえば真弓さん、見る度に綺麗になる。元々綺麗だけど陰があった。今は、輝く程明るいし、まるで別人だよ。」
恵子「それが男の甲斐性だよ。幸之助にも、一平さんからも言ってといて。女に男の精と愛を与えれば、女は化ける。そして男もそんな女みて成長するのよ。私も男の精がないと、本当にひいばあちゃんになるよ。一平、私を本当のひいばあちゃんにしたいの。」

安部鉄一は、有力財界人と呼ばれるようになっていた。

鉄一は、思っていた。
純子は凄いと思っていたけど、何でボロ儲けてきる機会があるのに、しないのだ。その上純子に隠れて、ボロ儲けしていた幹部を左遷してしまった。ボロ儲けしようとすると結局大損すると言ってるらしい。馬鹿な、俺でも、ボロ儲けしているのに。純子は、俺の何倍も情報もっているのに。会社の保留金は、ついに俺の会社が一番多い。訳のわからん関連会社を将来のために作ったり、従業員への利益還元などして、利益が上がらなくなったら、どうするのだ。純子が寝言いってるから、商会から来た営業もここは利益還元が少ないとかほざいたので、商会へ返した。今は自社販売など、経費の無駄だ。政府関係の接待要員がいれば、儲かる。働く機会の確保など、甘い事をいってる。親父の寝言を間に受けている。少ない人数でできるだけ儲けるのだ。それが会社というものだ。戯言のような商会の出資金の分散で、俺には現金が入ってきた。しかも出資金減ったのに、利益分配金そんなに減ってない。丸儲けだった。銀行など先の見えないものには、純子がうるさいから、雀の涙ほどの出資で誤魔化した。経済見通しや経済動向だという寝言聞くために、金払えるか。軍や政府の高官と、接待すれば、直ぐに分かる。少し金はかかるし、挨拶料もいるけど、一回ボロ儲けするとお釣りがでる。

自分の息子や娘も、好きな女や男ができれば結婚させている。純子は、そんな甘い事している。恵子姉貴もそうだし、あいつら甘い。政府の高官や大きな会社の息子や娘を選んで門閥をつくるのだ。鉄造は、失敗した。普通の会社員の娘と結婚させてしまった。鉄二郎は、財界の大物の一人娘と結婚させた。好きな男や女と一緒にさせて何の得になる。何を寝言、言ってるのだ。好きな女がいれば妾として、好きな男がいれば囲えばいい。洋次郎の妻の真弓など、弁護士でも前の戸籍がわからないと言ってる。内務省の元高官の養女としたから、警察上がりも調べようもない。あれほど巧妙に前を消すとは。姉貴でさえ知らないようだ。年上だし、どうしようもない女かもしれない。妾にすればいいのだ。洋次郎も馬鹿だ。帝国大学の法学部に入っていながら、私も働くと言って、現場で働いている。現場で働いて何がわかる。幾つかの企業でも幹部教育とか言ってそんな事しているが、所詮誤魔化しだ。管理する立場と管理される立場は違うのだ。純子の考えはみんな甘い。しかも、みんな、あの姉貴まで、寝言に洗脳されている。

照代は、思っていた。
鉄一は、この頃変わった。鉄造の結婚までは普通だったが、鉄二郎にも好きな女の子がいたのに、資産がないとか、家柄が悪いと言って、諦めさして、財界の大物の一人娘と一緒にさせた。どうしようない娘だ。私も話す気もない。向こうもそんなようだ。鉄二郎には、好きな女がいれば、妾にしろと言ってるらしい。鉄一にもいるようだ。鉄一は知らないのだが、鉄二郎には既に子どもがいる。好きな女ではないが、妾でもいいと言った芸者に子どもがいる。鉄造は、一人息子がいるが、鉄二郎とあの一人娘には子がいない。家に帰らないのに、子どもができるものか。私ももう鉄一と寝る気もないし、あいつも寝る気もないだろう。この頃は、芝居見物をして、男前の役者がその後挨拶にくる。心はないが、適当に息を抜ける。鉄一の資産は分かっているし、いくつかの資産は私名義にしたり、現金も確保しておいた。恵子さんは、いまでも一平さんと仲良く仕事している。ひいばあちゃんだといいながら私より若い。

春江も可哀想だった、いい青年だったのに、別れされた。いくら海運会社の息子でも、あんな馬鹿が旦那では。春江は、一緒に空気吸っても吐き気がすると言って、よく私と芝居見物していた。可能性のある娘だったのに、生気がなくなっていた。純子ちゃん程大した可能性はなかったものの、この家の娘だ。伸ばせば伸びる娘だったのに。漸く、純子ちゃんと会って話をして、何かしたいと言っている。たまには、吐き気抑えながら、旦那と寝てる。私は女郎だ。と悲しそうに言ってる。鉄一は、うちには、孫が少ないとほざいている。家に帰らない息子や旦那と一緒に空気吸うのも嫌だと言ってる嫁に子どもができるものか。こっちが本家とほざいている。もうあいつには、愛想が尽きた。

鉄一は、不規則な生活が続いて、突然亡くなった。照代と三人の子どもたちは、鉄一の急死により、遺産相続が長引いていた。鉄一が商会の株を譲渡していた事もあり、現金も多額であったし、幾つかの資産は、照代がいくつかの資産の名義を自分名義にした事も分かり、それが相続をより複雑にしていた。その内に、鉄造と鉄二郎が主導権争いを始めて、鉄鋼では意志決定ができなくなっていた。春江は、鉄鋼の株よりも現金をと言い出して、現金換算の値を巡っても揉め、混乱に拍車をかけた。解決の目途がつくと今度は照代も急死して、更に混乱が続いた。鉄造と鉄二郎は、自分が相続した商会の鉄一名義の株を恵子と純子に買い取ってもらい、鉄鋼での春江分の名義になる筈の株を、その現金で買い取った。それでも全部は買い取れず、残りの春江分の鉄鋼株は、恵子と純子に買い取って貰った。料理店、不動産と紡績などの鉄一の株も恵子や純子が買い取った。鉄一は個人名義で一族の会社の株を保有していたので、安倍鉄鋼が、他の一族の会社への出資していた株はほとんどなくなり、安倍鉄鋼は、一族の会社への影響力はなくなり、孤立していく事になった。春江は、鉄鋼の株はなくなったものの、商会の鉄一名義の出資金の三分の一と多くの現金と他の会社での少数の株を相続する事になった。春江は遺産を手にすると、旦那には妾もいたし、早速離婚してしまった。

純子の商会

純子の商会には、取引会社や出資金を出している会社からも、人材が集まるようになった。多様な人材が集まれば、管理が大変であるが、逆な意味で純子は管理しなかった。さすがに、決まった製品を作る製造会社と違って、多様な商品を販売して、金額も多く、計画も緻密とは言えない商会では、判子2つでは、終わりではなかったが、判子の数は、1つ増えた。報告する人と決断する人とそしてその結果を聞く人になった。純子は、判子が増えれば、それだけ責任感がなくなると思っていた。判子の数が増えればみんな責任がなくなり、判子押した事すら忘れるのだ。商会は、いくつかの会社の集合体になっていった。幾つかの組織毎に、総括的に評価していく人たちを作った。ただ評価しても利益は生まれない。行動するための評価でなくてはならない。逆に言えば、評価も評価される。どんないい評価も、次の行動に行かされない評価は、評価とは言えない。そんな複層的な組織体になっていった。次々と新しい事をやるので、同じ会社で競争する事すらあったが、特に止めなかった。勝てばいいのである。純子は複雑な計算が好きなので、部門毎に、賃金は違っていた。一定の組織毎に、管理部門に管理費用を払い、部門の利益を出して、その利益が決められた額を超えると、利益に比例して基本給に付加給が追加されていく。それを細分化していく事もある。すると部門の中でも賃金に差が出る。弊害はあった。平均利益率より低いものは、誰もやらなくなってしまう。利益率が低いものの重要な仕事には、特別の仮想利益が付加される。賃金は、運営準備金で調整する。賃金の上下も緩やかにした。原則的には残業は禁止していた。残業手当を高く設定して、部門利益から残業手当を超える金額が管理へ払う。部門利益は減る事になり、付加給は上がりにくい。商会としての禁止行為として、設定よりも高く利益率で販売する事や賄賂を贈る事を挙げていた。公表されないものの、監視する人がいた。時々不自然な人事異動があった。

商会としての内部保留は、計画通りに増えた。賃金は比例配分の付加金額で変動する。突然の減少を避けるために運営準備金を当てた。

純子は、時折新しい仕事を始めたり、新しい分野に進出していた。その場合高い仮想利益がついたので、各部門が受けてうまく行けば、高い賃金になる。誰も受ける所がないと、新しい人たちがやる事になる。部門でも考える。その場合部門として仮想利益をつける。仮想利益分は年間計画で設定して、商会自身と部門毎に、自由に使える金額を設定していた。前年繰り越しもあった。色々な規則や計算式があって、大変であった。しかも部門毎に同じものもあったが、異なっていたものもあった。

純子の賃金は一番高い部門長の3割増としていたが、基本給の三分の一を受け取った。純子は、相談担当の役員と数人の相談員がおいた。相談担当の役員が純子の残りの金額を預けていた。困っている人には、貸していた。時間交替で相談に応じていた。商会では、接待は禁止せず、部門利益から引いた。管理も部門利益が分配されている。純子名義の利益分配金も、この役員が預かっていた。

純子、雨の日を恐れる

純子は、宏と話す機会が増えてきた。銀行といっても投資銀行に近いもので会ったので、普段は閑散としていた。普通の人からの預金は限られていた。ただ経済には、晴もあれば雨もある。ただ天気とは違い、政策で制御できるが、大きな波はどうしてもある。純子には、まだ経済的な意味で、雨にあってなかったが、それを気にしていた。今のやり方では、どこかで行き詰まるのではないかと思っていた。

手を広げていた純子であったが、投資は抑え気味になっていた。最低限の投資になっていた。ただまだ純子の危惧とは異なり、内部保留は増えていっていたし、純子の個人貸し付けもそんなに増えていなかった。

純子は、恵子と話していた。一平も恵子も、家でのんびりしていた。
純子「さすがにお母さんも、年とったね。」
恵子「お前もね。」
純子「知子も結婚して、男の子が出来て良かったね。鉄平と名付けて、元紀くんも婿養子にして、お母さんもなかなかやるよ。」
恵子「知子はお前に似て、遊ぶ娘だし、私はむしろ早く結婚して良かったと思っているよ。元紀さんは学生だし、知子は手元に置くために、製薬会社で働かせているよ。あいつもお前も家で、のんびりする女じゃない。」
純子「私じゃないよ、お母さんに似たの。でも早かったね。」、
恵子「元紀くんが長くて太く、奥に入れると感じるかなら、奥に入れてたみたいだ。馬鹿だよ。お前みたいに、最後に腰を動かせないのね。まあお前みたいに遊ばれるようもましだと慰めているの。」
純子「でも結局、お母さんは得したじゅない。知子も家にいるし、元紀くんも家に入れて。幸之助もしっかりしているよ。これで製薬会社は安心ね」
一平「そうでもないよ。まだハラハラしているよ。純子も役員だから、しっかりみてやって。」
純子「ここは、経済がおかしくなっても影響は少ないと宏くんも言ってるよ。病人が少なくなる事もないしね。」
恵子「そうでもないよ。やはり影響はあるよ。鉄一には意見しようと思っていたけど、言う前に死んでしまった。鉄造や鉄二郎では無理かな。」
純子「鉄一おじさんや鉄造さんにも、何回も言ったけど、独自製品が少ないの。結構優秀な人多かったのに、なぜ作らなかったのだろう。お金は一杯あるし、まだ儲かってると言ってね。」
恵子「鉄一ね、妾いたのよ。女は、直感でわかる。照代さん冷たかったろう。葬式の時も。」
純子「鉄二郎さんにもいるよ。」
恵子「知っていたの。それに子どもまで作ってるのよ。まだ鉄一の遺産について長い間もめて、その内照代さんまで若いのに死んで、又もめて、春江は鉄鋼とは縁を切りたいと言い出して、私が、お前と話して、商会、紡績、製薬と機械の鉄造と鉄二郎分を買い取ったけど、春江に渡しても足りず、私が鉄鋼の春江分をお前にも少し協力して貰って、買い取った。鉄鋼はもう全然他への影響はなくなってしまった。春江は金できて、旦那とは離れて暮らしている。」
純子「春江さんは鉄一おじさんの遺産も入って離婚して、小さい海運会社を貰って、商会と手を組んでやってるよ。もう男はコリゴリといってる。」
恵子「春江は、鉄平を形だけでも養子にくれと言ってる。鉄鋼はあの二人ならいずれ危なくなるから、安倍は、絶えるといってね。知子も二人目も出来たので、知子と元紀くんと話して、そうしたよ。」
純子「安倍鉄平と治部次平が又できたね。」
恵子「お前が仕組んだだろう。」
純子「春江さんとは一緒に仕事しているわよ。次平の名前も復活したし。春江さんは、男は遊び相手で、結婚はこりごりと言ってたから、こういう考えもあるよと言っただけだよ。私はね、この頃不安なの。」
恵子「商会も紡績も調子いいだろう。なにが不安なの。」
純子「私のやり方で、利益が上がらなくなった時に、対応できるか。みんなにも言ったんだけど。」
恵子「お前もお父さんみたいだね。投資も控えめにしてるし、なぜそう思うの。」
純子「私、そんなに雨の時経験してないでしょう。いつまでも好調と言う事なんてないわ。それに輸入や輸出も大きくなって、波も大きくなる気がするの。宏さんも危惧しているけど、時期は分からないって。」
一平「一番、うまくやってるお前がどうして。 お前が貸しているお金が増え出して来たのか?」
純子「注意してみても増えてないけど。仕事の内容や利益比例の賃金を、少し考え直そうとしているの。」
恵子「鉄造なんか、遺産の事で鉄二郎ともめてから、話もしなくなっている。鉄一が、金だけ残すからね。純子、鉄造に意見してやって。私でもあそこの会社、怖いと思うのに何にも感じないのかね。」
純子「そんな事したら、お金を狙っていると言われるよ。少し言ったたら、そんな事言われたの。そしてここが本家だと。鉄一おじさんの遺産も多いし、会社としてもお金持ってるし。」
恵子「会社として、何も考えず、ただ同じもの作って、今は利益出ているし、金もある。だから何もしようとしない。ただ、優秀な人は、少しずつ去る。営業も貧弱。鉄造と鉄二郎は、口も聞かない。大した意見持ってないくせに、人の揚げ足とってやり合う。私、最近この頃あそこの役員会なんか行ってない。純子代わりにどうだい。」
純子「私は忙しいから、無理だよ。それに鉄造さんや鉄二郎さんが気がつかないと無理だと思う。でも技術は元々優秀なんだけどね。」
一平「純子、幸之助や知子には意見してやってね。兄弟なんだから。」
純子が帰った後、
一平「何で、純子心配しているの? 商会も紡績も好調だし、給料も高いし、みんな頑張ってるのに。」
恵子「お父さんと同じよ。何か危機が見えるのよ。お父さんは早すぎたけど、でも今、薬種問屋はないよね。好調は永遠には続かないよ。でも本当に会社として未熟なのに、鉄造はまだ儲かっていると何も考えず、遺産がどうだったと言い合ってる。会社として色々な事考えて、新しい分野も検討させている純子が、いつか雨が降ると言って考えている。そんなものだよ。先手とってると、先が見える。後手後手とまわっていると、今しか見えなくなる。」
一平「幸之助もなんとかやってる程度。知子を商会や紡績でもやって勉強させるか。」
恵子「そうはいってもね。もう直ぐに役員の改選時期だし、幸之助か知子に、私の代わりに行って貰おう。一平さん、どうかね。」
一平「二人をここに呼ぶよ。」
幸之助は、今でも大変なのに、知子に行って貰いたいといった。知子は、いってみたいと言った。純子は、知子を入れるのは、いいけど、お母さんも役員で、時々は出てねと言った。鉄造は、代わりという案に飛びついた。うるさい人がいなくなると心配せずにすむ。
一平「ここは、やはり女の家系だね。」
知子は、恵子の代わりに、鉄鋼、商会、紡績の役員会に出るようになった。知子が初めての役員会に出た後、一平、恵子、幸之助に話していた。
一平「どうだい、参考になったかい。」
知子「鉄鋼は、出てるだけでみんな発言しないの、直ぐに終わるのよ。何も決まらないのに、又次ぎに話しましょう。議論は文章の「は」は「も」じゃないかと言ったり、揚げ足とりの質問ばっかり。 商会は、延々と続くの。私にも意見を求められたの。大変だった。しかも決まっていくの。又次の機会という事少ないの。お姉さんの表情は、真剣だし。お姉さんの景気後退した時の対策は、さすがにみんな驚いて、時間かけて議論しましょうと云う事になった。これは疲れる会議だった。でも商会の現状って凄いのね。紡績は少し違うの。お姉さんはあまり発言しないの。途中とか終わり頃しか発言しないの。お姉さんが言うと結論なの。反対する人もたまにいるけど、凄く緊張してるのよ。お姉さんが又説明すると、それで終わりなの。景気後退の時の対策も、副社長という人から提案しているの。色々意見を出して、もう一度みなさんよく考え下さいで終わったの。商会は持ち出し禁止の資料もあって、終わったら、急いで帰っていくの。」
恵子「紡績では、純子が神様みたいになってるから、純子は、逆に発言できなくなってるのよ。純子は、違う人に異なった見解から検討させて発言させている。そうじゃないか。」
知子「景気後退せずに、どんどん成長したらどうなると聞いている人いた。あれってやらせなの。」
恵子「純子ならそれくらいの事やるやつだから、議論せずに決めたくないの。」
知子「商会の人は、直ぐに帰るけど、鉄鋼は終わってからの雑談の方が長いよ。それに鉄造さんと鉄二郎さんって仲が悪いみたい。」
恵子「商会は、各社からの派遣もいるから、直ぐに報告にいく人多いのよ。」
一平「景気後退については、みんなは、なんと言ってた。」
知子「商会では、まだ早い、もう少し先と言う人もいたけど、可能性はあると言う人もいた。紡績は色々な展開を考え、又次ぎと言う事になった。終わった後、お姉さんは、宏さんにまとめてもらっているから、又お母さんに相談にくると言ってた。本当なの。」
恵子「いつかそうなるかもしれないね。お前も考えておいて。役員会で純子が言ったら、波紋もあるだろうね。」

純子の恐れていた事は、現実の事になった。

純子は、紡績では、すぐに手を打った。賃金への利益還元はしたが、準備金への積み立て比率を上げた。一方部門長には、今後のためにはなるが、利益が低いとか人手が掛かりすぎるとして、今まで出来なかった仕事をまとめさせた。賃金だけでなく、仕事も必要なのだ。賃金の付加部分が減少して、生活が困った時の社長貸付の見直しをさせて、周知させるようにした。短期投資だけとして、大きな投資は控えたり、手を広げていた関連会社も整理していく事にした。

商会も、すこしずつその可能性を踏まえて、仕事を再検討していった。でも数年間は、景気はむしろ上昇していくように感じられた。それは、突然起こった。昭和恐慌と言われるものであった。
鉄造の鉄鋼や鉄加工品は、普及型で量産しやすい製品が多く、売上は激減していった。内部留保は大きいものも、成績は急低下していった。

製薬会社での役員会の後、純子は話していた。
純子「ここは、成績の低下も少ないし、やっばり、薬屋は強いね。紡績は人も多いし、大変だよ。」
恵子「鉄造が慌てていたよ。あいつじゃもう無理かもしれないね。」
純子「多分、いくつかの鉄関係の会社が集まると思うよ。鉄一おじさんも投資は控えていたし、鉄造さんもあまりしてないから、赤字になっても相当もつよ。」
恵子「鉄造はしなかったのではなくて、出来なかった。判断できないし、鉄二郎と協力も出来ない。」
純子「それが結果的にまだましなの。でもあそこ人材が少ないから、主導権とれないかもしれない。みんなは、鉄一おじさんの遺産も多いし大丈夫よ。」
恵子「純子も、あの会社を再生させる気ないの。」
純子「それは無理だよ。大きい儲けだけに走らないで、色々と細かい利益を積み重ねてと言ってたけど、利益出ていたからね。転換できなかったの、それが激減すると手が打ちようがないの。鉄造さんもあんまりやる気ないみたい。もう新しい投資して成長する事も難しいでしょう。紡績は、準備してても大変なのよ。今は整理して赤字出なくなるか少なくして、再編の可能性を考えて行った方がいいよ。混乱はいつか収まるよ。功一兄さんの所は、功一郎さんと功二郎さんが協力してうまく乗り切ったよ。多様な製品もあるし。」
恵子「お前、色々言ってたのでしょう。功一さん、意外と聞く耳持つ人なのね。鉄一は、金できて、才もないくせに慢心した。一方才ある功一さんが人の意見聞くようになった。」
純子「功一兄さんは変わっていったよ。愛されるだけでなく、珠代姉さんを愛するようになって変わった。珠代姉さんの意見も聞くよ。お姉さんの病気以来夫婦で助け合ってるからね。さっさと引退して珠代姉さんと暮らしたいといって息子たちに任せていたし、功一郎さんたちも人の意見を良く聞いているよ。」
恵子「結局、夫婦仲次第か」
純子「そうとはいえないけど、晴れの日に傘を準備するのは難しいのよ。晴れはいつまでも続くと思いがちだしね。夫婦仲というより、人の意見を聞くようになれば、それなりに準備できるでしょう。ただ夫婦仲悪いと相談しない癖つくのがいけないと思うよ。それに儲け過ぎは、後々響くのよ。お金は貯まるけど、次ぎもそうなると期待するのが危険なの。」
恵子「ここはもつかね。」
純子「ここは健全だし、技術高いけど、幸之助や知子が、どの程度人の言う事を聞くかだよ。それに私の考えだよ。常に安倍とか市橋とか治部が、いつも経営できる人がいるのは難しいよ。やはり、会社大きくなると、いつかは他人が経営するようになるよ。」
恵子「それはそうかもしれない。でも知子ぐらいまでは持つだろう。」
純子「そうだろうね。でも私も多分いなくなるよ。私の考えだよ。会社でも業種でも大変な波が来る時とこない時あるよね。そんな時にどう対応できるかだよ。大変な波が来なければ、どんな人でも問題ないけど、来た時の対応次第だよ。お母さんは乗り切ってきた。でも他の人は分からないよね。」
恵子「そうだろうね。それは知子が決める事だね。」

時代は過ぎていった。

やがて功一が亡くなり、後を追うように、珠代も亡くなった。一平も亡くなった。
恵子「一平さんも死んでしまった。次ぎは、私の番だ。」
純子「私は、なんとか乗り切れそうだし、そろそろ引退したいと思っているのだけど、でもなかなか辞めさしてくれないの。商会も、ほとんど人に任せているの。」
恵子「紡績は、洋次郎がやっているの。」
純子「洋次郎は子どもが出来たし、現場も知ってるから。ただあの子は営業なんか得意じゃないれど、色々な人の意見真剣に聞いて、人に任せているよ。洋次郎はあれでいいよ。会社は儲けるためじゃなく、人に働く場を与え、人の役に立つことをするのよ。ただそれを続けるためには利益が必要なだけよと言ったら、本当に守っているよ。才ない子だと思っていたら、あれが、洋次郎の才能なのよ。ここは、幸之助は才もあり、しっかりしているけど。」
恵子「幸之助に聞かせておくよ。お前は天分に溢れて、才に溺れると危惧していたけど、違ったね。幸之助は大した才もないくせに、自惚れる所があるから、お前も時々注意してやってね。それに、純子、ついに鉄造の会社助けてくれた。お父さんも安心してるわ。」
純子「実は、あれは宏さんの銀行に援助求めてきた会社があって、調べてみると内容はいいけど、投資が多すぎていたの。でも鉄造さんの会社にないものだったし、鉄造さんもいいと言うから、合併する事にしたの。でも鉄造さんの会社は、人材が少なくて、不安だというし、洋一も手伝うというから、私も出資金を追加したの。だから鉄造さんらの出資も少なくなっているわ。」
恵子「そんな事に拘っていると、会社自体がなくなっていく時代かも知れないね。でもそれはお父さんも昔言ってたよ。幸之助もこの頃多少、人に任せるようになってきたし。それでいいのかもしれない。」
純子「正直に言うと、今回の混乱でね、かなりのいい企業が困って、幾つかは、かなり安い価格で買い取ったの、紡績に。それに宏さんの銀行もいくつかの銀行を吸収したし、大変だったけど、会社としては大きくなった。商会も、少しは可能性ある所を吸収した。知子は、知ってるよ。」
恵子「お前は、何でも焼け太りする奴だからね。でも恨みをかうような事は、やってないだろうね。」
純子「それは勿論だよ。合併の形にしてるし、紡績の出資も一部渡しているよ。」
恵子「それは信じてるよ。お前が本気で、ずる賢く振る舞えば、もっと金も入ってだろうが、もう落ちていたかもしれない。私は幸之助には、この会社が何でこんなに長く続いたと思うと、聞いたの。幸之助は、私が賢明だったからと言った。私は言ったよ。違うよ、鉄平お父さんが、多くの人を助けたからだ。私も少しは助けたけど。馬鹿にならず、慢心せずに、お前も人を助ければ、会社は続くよ。どんなに賢く、狡く金を儲けても、それは一時の事だ。人を助けない奴は、やがては落ちていくよ。純子は天分にも恵まれ、お前の何倍も賢いよ。だが会社が大きくなっているのは、人も助けたからだよ。その人に助けられて大きくなったのよと言っているよ。」
純子「なんでそこで私が出てくるの。でも確かに私は、色々な人から助けられた。」

やがて、恵子も亡くなった。

恵子は、鉄一の急死で、もめた事もあり、純子と話し合い、製薬会社の多くは幸之助と知子が相続し、純子は一部を持ち、逆に紡績、商会、鉄鋼は純子がかなりの出資名義を相続していた。安倍不動産は三分の一つづ分けた。料理店は、鉄一の部分も引き取っていたので純子と幸之助と知子が各店単位で相続するようになった。現金の多くは幸之助と知子が受け取っていた。純子は恵子が持っていた鉄平の郊外の屋敷と農園も受け取った。

安倍鉄鋼は、鉄一の死後、相続問題で、他の会社の名義を恵子や純子に書き換えて、安倍製薬がグループの中核になり、今度は安倍紡績もそれに加わる形になっていった。

洋次郎と真弓のその後

真弓は、洋次郎に抱かれて、洋次郎のものが身体に入れると、真弓の身体は喜んで、洋次郎の精液を奥へ飲み込もうとしていた。ただ真弓は、洋次郎にもっと虐めて欲しかった。叩いたり、蹴られたり、髪の毛を掴んで、乱暴に扱って欲しかった。でもいくら頼んでも洋次郎はやってくれない。真弓は、洋次郎に言った。「洋次郎さん、私の中にまだ変態の由美子がいるの。一緒に、変態の由美子を追い出してくれない。」洋次郎「どうすれば、いいのでしょう。」真弓「私の乳房とかお尻を打って、洋次郎さんの手の形を付けて欲しい。由美子は出ていけと言って。そして乳房や乳首に洋次郎さんの歯形をつけて。そうすれば、変態の由美子は出ていくと思うの。」真弓は、時折洋次郎に言った。「又由美子が出てきた。お願い。」真弓は色々と考えて、洋次郎に乱暴に扱って貰う事を考えていた。それは洋次郎と真弓の身体が解決してくれた。真弓の身体の中に、洋次郎の子ができた。

洋次郎は、真弓が妊娠したと聞くと、真弓をそっと抱くだけになった。真弓は言った。「私も医者なの、大丈夫。ただ私が上で動くから。それとお願い。真弓さんではなく、真弓と言って欲しい。そして命令口調で。私の中から、由美子が出てこないように。」

お腹の中の子どもは、真弓を虐めてくれた。つわりも酷かったし、お腹の中で蹴った。そして男の子が産まれた。真弓は怖くも嬉しくもあった。淫乱で変態の血を恐れていたが、洋次郎の子も欲しかった。洋介は、次平と名付けた。真弓も次平の名前は知っていた。「お祖父さんの先生で、伝説の医師だ。そんな人になるだろうか。」次平は元気な赤ちゃんで、真弓の乳首を噛んだりして、虐めてくれた。そして真弓は続けて、妊娠し、3人の母になった。真弓の中の由美子は、影を潜めた。洋次郎は真弓と呼び捨てにするようになり、真弓は、洋次郎の精を身体に、そして口に貰っていた。若く綺麗になり、洋次郎の年上とは誰にも見られなくなった。二番目の子どもは女の子で、慶子と名付けられた。真弓は不安な気もしたが、続けて妊娠して、真弓は忙しくなった。三番目の子も男の子で、洋之助と名付けられた。洋介は家にいる事が多くなり、三人の孫といる事が増えていった。

純子は、休みをよく取るようになった。

洋介「純子、会社は忙しいのじゃないの。こんなに休み取って大丈夫か?」
純子「私も随分働いてきたし、みんなちゃんとやってるしね。それにもう私の会社というより、みんなの会社だ。みんながやっていく方が良いんだよ。」
洋介「私も真弓さんや妙子に任せる事が多いよ。妙子は、お前のように、やる事が好きだけど、外科医としては、今一番脂が乗っている所だろう。父がやりたがっていた手術も出来るようになった。」
純子「堅い竹内の家で、大丈夫かなと思っていたら、ついに諦められた。宏さんも忙しいのに、朝の光の中でやった。良かった。朝やるのも楽しいと言っているよ。」
洋介「でもここに良く来てるけど。」
純子「私は家にいる事が増えたし。私とは同類だから話しやすいんだよ。時々子どもと宏さんつれて、泊まり込むだろう。私、妙子と真弓さんで話すと、何でも言える。よそでこんな話できないと言ってるよ。」
洋介「あれは凄いね。私も近づきにくい。玲子や慶子は、お前や妙子みたいになると心配しているよ。」純子「私と暮らして、不満だったの。」
洋介「そんな事はない。私は十分楽しんで来たよ。ただ子どもの前で、舐め方や舌の使い方だ、体位や腰の使い方なんか話している母親や祖母はいないよ。」
純子「良いじゃないの。妙子も真弓さんも医者なんだし、変な所で間違った事を知るよりも。」
洋介「美子さんや知子さんも来てるでしょう。幸之助くん、ぼやいていたよ。変な知恵つけるから、美子さんが迫るようになったと。」
純子「幸之助は努力が足りないよ。あれも仕事も。」
洋介「洋一はどうしてるの。あんまり家には、こないけど。」
純子「あの子は、私が苦手みたいだよ。仕事してる時の私は、話しやすいけど、家ではやりたいだけの馬鹿女の顔をしていると思ってるみたい。どちらも私なのに。ここの家に、京子さんつれてくると大変と逃げているのさ。仕事はちゃんとやっているようよ。鉄造さんや鉄二郎さんも、少し変わってきたし。」
洋介「洋一には、お前の裸をみせたから、怖がっているじゅないの。」
純子「それは妙子だよ。あいつ平気で、洋一や洋次郎の前でも、平気で裸になる女だから。着替えするのに、洋一や洋次郎に、そこの帯取ってとか、裸で言ってたし。」
洋介「洋一は、本当に日本人形みたいなお淑やかな京子さんと結婚して、子どもも女の子が二人だから、ここは化け物屋敷で、教育に悪いと思っているのかもしれないね。」
純子「化け物とは何よ。でも京子さんは、おとなしい人だから、無理に連れてくる事はないよ。京子さんは、時々電話くれるし、真智子や清美とも、会ってもいるのよ。私は、結構京子さんと話している。洋一がね。京子さんに変な事言わないでと言うの。女を喜ばして綺麗にするのが、男の甲斐性。女房愛せない男が、仕事できるものか。お前はもう少し京子さんとやらないと、お前も大きくなれないと言ってやった。」
洋介「凄い姑だね。」
純子「まだたつでしょう。しゃぶってあげるから。」
洋介「私も年だから」
純子「大きくなったでしょう。いくつになってもやっていこうね。」
洋介は思っていた。こいつは本当に化け物だと洋介は思っていた。こいつは年取らないし、まだこんなに綺麗。こんな化け物に出会って、私は幸せだった。

妙子は、思っていた。お祖父さんの言ってた、心臓の手術は、まだ難しい。でも多くの臓器では、かなりやれるようになってきた。いくつかの症例を詰め重ねていけば、もっと多くの事ができるだろう。お祖父さんのやった手術は、偶然と決死の覚悟そして神のような医者が必要だった。やがては、心臓の手術も安全にやれるようになるかもしれない。それは玲子や宏一の時代かも知れないし、もっと先かも知れないが、いつかはきっとやれるだろう。 真弓さんは綺麗になった。どこか醒めた疲れたような影はなくなった。患者にも優しく接している。洋次郎は何の取り柄もない子だと思っていたら、あんなに女を変える事が出来た。宏さんには、いつも言ってる。「もっと私を愛してよ。私のエサ足りないよと。」

宏は大変だった。仕事は順調だし、やりがいもある。大学を離れるのは、不安だったが、お義母さんの援助や協力で、銀行も大きくなった。でも妙子は化け物だ。私と洋次郎くんとは、年も離れているのに、競争されられる。この間なんて、朝からやらされた。確かに朝の光の中で、あえいでいる裸の妙子は綺麗だった。妙子とやるのは楽しい。しかし回数が多すぎる。あいつは何回してもすっきりしたと元気よく出かける。翌日休暇を取って、あいつが朝、腰をふらついて病院へ出勤させようと、念入りに準備して3回もやった。指でも何回も逝かした。痙攣するまでついてやった。それでも凄かったといいながら、寝て、朝になったら、今朝はお腹空くのよといいながら、ご飯を一杯食べて、足取り軽く出勤した。私は腰が重かった。帰ってきたら、今日も頑張ってくれるのと聞く。お義父さんが大変と言っていた意味がよく分かった。真弓さんが、綺麗で、輝くような人になった。洋次郎くんは頑張りすぎている。でも私も妙子は好きだ。妙子を愛し、もっと綺麗で輝く人にするのだ。

真弓は幸せだった。洋次郎は優しい。私が変態だと言っても、去っていかなかった。私の中に精を入れてくれた。私は洋次郎の純粋さで蘇る事ができた。由美子のままでは、本当にどぶの中であえいで、身も心も汚れて、くだらない男たちに愛される事もなく、殴られたり、引き付き回されたりしながら、あえぎ、感じて、そしてやがて、愛のない暴力に疲れ、また違う男の玩具となり、枕のような女になっていただろう。それが私の人生だと諦めていた。私の中の由美子も最近出てこない。例え出てきても洋次郎の手の跡や歯形があれば、私は守られる。由美子は残念そうに、去っていくしかない。慶子は大丈夫だろうか。私の血は、洋次郎の血で浄化したのだ。大丈夫だきっと。それにお義母さんや妙子さんは、自由にどんな話もしてくれる。私も自由になんでも言える。愛されて、洋次郎の精を入れて貰える。お義母さんも妙子さんも、それを喜んでくれている。

洋次郎は楽しかった。由美子さんは、私の憧れだった。敵わぬ夢と諦めようとしても、見てるだけでも思いながら、酒場にも後を追った。今は私の妻だ。どんなに疲れていても、私の求めを受けてくれる。子どもを作らないようにしていた時は、悲しかった。ただ私は、由美子さんがいればいいと思って、諦めようとしていた。それでも由美子さんいや真弓を愛し続けた。いつしか真弓は、私の精を身体の奥で、受けてくれるようになり、三人も子どもができた。父は、長男に伝説の医者と言われる次平の名前を付けてくれた。功一おじさんやみどりおばさんにも、新しい次平がきっと出来ると口説いたらしい。大切に育てよう。慶子も可愛い。真弓は、自分の血を恐れている。少し虐められて喜ぶ所はあるが、みどりおばさんにも聞いたら、みどりおばさんは、笑っていた。それは、献身的な人が、愛情不足になった時に起きやすい。洋介も少しは分かっているのよ。お前は、大きな可能性を育てているのよ。私のお父さんの次平そして、鉄平おじさんや香さん、恵子さん、純子さんそして真弓さん。お前の子どもたちは、きっと素晴らしい人になるわ。お前は、真弓さんと三人の子どもたちに、愛情を注ぎなさい。それがお前に出来る事よと言ってくれた。私は、お母さんや姉や兄とは違い、それほどの才もない気がして、悲しい気持ちになる時もあった。しかし私は真弓を手に入れた。私の宝物だ。お母さんは、「お前は、純粋な気持ちで人に接する事が出来る。賢く立ち回ろうとしたら、駄目だよ。お前の良さがなくなる。純粋な気持ちで努力し、人の意見を聞き、自分の出来る範囲で人を助けなさい。お前は真弓さんと一緒になれた。それはお前が、純粋に真弓さんを愛したからでしょう。お前はいつまでもその気持ちを持ち続けなさい。そうすれば道は自ずと開ける。慢心したり、一時の大儲けを夢みたら、やがてすべてを失うわ。真弓さんは、お前には幸運の女神だったのよ。いつまでも愛し続けなさい。」と言ってくれた。私にはそれしか生きる道がない。今日は真弓が早く帰ると言っていた。家に帰るのが、楽しい。

純子は、商会では、才能溢れる人や純粋な人そして熱心で正直な人たちをそれぞれ副社長として、多くの事を任せた。自分が作った複雑な規則も変更してもいいと言った。純子個人の資産と会社の資産も分離していくようにした。純子の個人資産で、行った社員への貸付も、純子の商会で得ていた個人資産の一部を商会に寄贈した。多くの資産は引き上げた。

一方紡績では、純子の紡績で得た個人資産と会社資産は、帳簿では別れているが、実際には一体化していた。純子の個人資産は増えていたし、裁縫や織物などの働いている人もよく利用していた。使用していない個人資産が半分以上あったので、半分だけ引き上げた。紡績では、準備金での操作で、賃金の変動は少ないものの、会社の挙げた利益は、出資金、働いている人、留保に等分に分けていたので、賃金は変動していた。純子は、ここでは、自分が死ぬまで、このやり方を通すつもりだった。長時間の労働は嫌っていたし、自分も含めて自分の時間が必要だと思っていた。そして才能溢れる人も重視したが、熱心で純粋な人も必ず加えていた。そして、純粋な洋次郎が、人の意見を聞きながらも運営を助けていた。洋次郎には、常にいっていた。才能や天分溢れる人を見付け、可能性を引き出しなさい。一方正直な人や熱心な人なども、同じように重用しなさい。常に議論していくようにしなさい。大儲けは不治の病の始まりよ。儲けは程々がいいのよ。ここの会社は、働く機会を人に与え、世の中に役に立つ為に作った会社なのよ。利益は、会社が続けていくためには、必要だけど、それが目的ではないよ。今は宏さんが、経済の動向などを研究して教えてくれる。人の意見を聞きなさい。細かい事には目をつぶり、人に任せなさい。人を信用しない人は、人には信用されないわよ。法律家など多様な人の意見を聞きなさい。人を助けない人は、助けられる事はないのよ。不正な事したり、ずる賢く立ち回ると、お前は、何の取り柄もない男になるよ。

純子は、商会と紡績からかなりの金額を引き上げた、利益反映金も相当溜まっていた。給料の三分の一ずつ紡績と商会で貰っていたものの、そんなに使っていない。妙子、洋一、洋次郎を呼び、洋介と一緒に家に呼んだ。

純子、家族会議をする。

京子、真弓そして宏そしてその子ども達も連れてくるように頼んだ。泊まり込んで家族会議するからといって。系列の料理屋から料理も運ばれてきた。

純子「私も年だ。色々と相談したくて、お父さんとも話して相談してきた。私とお父さんが死んだ後の事だよ。」
洋介「私はもう年だし、お母さんと話してきた。私の資産など知れているが、私は兄さんや姉さんから、病院はお前やっているし、お前が継げと言われてきた。お父さんから継いだものだ。多少の資産もある。」
洋一「そんな事言わないでくれよ。お母さんとお父さんが家族会議すると言って、2日休暇取った。鉄造さんも鉄二郎さんも吃驚していたよ。ここを見捨てないでくれと言って大変だった。幸之助さんや知子さんも心配しているよ。大体お母さん若いのに、俺より長生きするよ。」
妙子「又馬鹿話が出来ると思ってきたのに、お母さんはそんなに若いのに。」
みんなそんな事は話したくないと言った。
純子「人の命は分からないものだ。弁護士とも相談したよ。取りあえず聞いてよ。今お父さんと私の財産は、これだけだよ。みんなに配るから見て。細かい点は省くよ。洋一お前は、鉄鋼の私名義の出資金そしてお祖父さんやお母さんから継いだ、紡績と商会を除く私名義のほとんどの出資金と、私とお父さんが死んだ後に残った現金の半分をお取り、洋次郎には、紡績の私名義の出資と紡績に預けている保留金、そして少しだけの各社の出資名義と現金の四分の一をお取り、妙子は、お父さんの資産の三分の二と現金の四分の一を取ってね。私とお父さんが長生きすればどれだけ残るかわからないけどね。宏さんには、銀行の私名義の出資を譲る。京子さんには、商会の出資金の半分とまだ残っている保留金を、そして真弓さんにはお父さんのの名義の資産の三分の一と商会の私名義の出資の半分を譲る。洋一には今住んでいる家、ここの家は洋次郎に渡す。ただ商会や紡績に預けている私の資産は人に貸しているものだし、できればそのままにしておいて欲しい。残った地所や資産は、三人で分ける。そしてお父さんと私のどちらが死んだら、私とお父さんがすべて管理する。」

京子「私になぜ。」
真弓「私なんかに」
「銀行はこれから伸びますよ。それを全部僕に」
純子「まあお聞き。京子さんや真弓さんに譲るものは、できれば現金に換えないでおくれ。みんな子どもたちに残しておくれ。利益反映金がでれは、自由に使ってもらっていいけど。宏さんもそうだよ。できればそうして欲しい。京子さん、宏さん、真弓さんに譲るもので税金がかかれば、洋一や洋次郎そして妙子が支払っておくれ。みんなそれでいいかい。」
妙子「病院は、私と真弓さんが協力して継げ、自分勝手にしないように。さすが策士よね」
洋一「今やっているものは、その人にか。よく考えているよ。ただ現金はそれぞれ三分の一ずつにしてよ。俺がそんなに受け取る必要はないよ。」
洋次郎「僕が一番多い気がする。それでいいの。」
洋一「でも使えるお金は差はないよ。お前紡績を手放すの? 借しているお金回収するの?」
洋次郎「そんな事はしないよ。」
洋一「だからお前に管理してやっていけと言ってるの、母さんは。人見てるよ。」
「銀行も、洋一さんや洋次郎さんに持って貰いたい。それを修正してください。」
京子「私は、そのままにしておきますよ、お母さん。子どもたちの代理です。」
真弓「私なんかじゃなしに子どもにして貰った方がいいのですが。」
純子「少し、お父さんと相談するよ。」
暫く相談して、
洋介「みんなの意見を参考にして、少し修正したよ。純子から説明してもらう。」
純子「まず残った現金は三分の一ずつ子どもたちに渡すよ。商会の名義と安倍不動産は、京子さん、真弓さん、妙子に三分の一ずつにする。銀行の名義は、五分の一ずつ洋一と洋次郎にして、五分の三は宏さんにする。但し、洋一も洋次郎も宏さんに口だしするのは、控えておくれ。それと地所の中で、あの郊外の屋敷は、妙子の名義にしておいた。料理店は京子さんとした。お父さんが譲り受けている長崎の屋敷は、次平名義で真弓さんが管理しておくれ。お父さんはそのつもりで名前を付けた。お父さんの思い出の家だからね。それに三人の子ども達には、自分の会社以外も少しだけ名義を分ける事にするよ。現金なんて残らないかもしれないよ。それは残った時の事だよ。」
洋一「分かったよ。私はいいよ。」
妙子「私も、異存ないよ。」
洋次郎「私も異存ありません。」
「私は、異存ありません。銀行を大きくしますよ。」
京子「私はこどもたちの為に残して置きます。」
真弓「私名義にすると問題も」、
「大丈夫ですよ。弁護士もついてる。こどもたちのためですよ。」、
純子「じゃこれで決まったよ。私は化け物だから長生きするかもしれないけど、今日決まった事は、それぞれ胸において頑張ってね。温かいものはもうすぐくるからね。後はのんびり食べよう。」

子ども達もよばれ、賑やかな食事会になった。
洋介「純子、お前考えていたね。最後の案。お前は本当に凄い。みんながどういうか見るためだろう。」
純子「私は、化け物だからね。でも良かったよ。みんなが考えてくれて。」
暫く、みんな歓談して食べていた。
真弓が来て「私じゃなく、洋次郎さんか子どもたちに。」
純子「真弓さん、どちらにしても子ども達へいくよ。弁護士もついてる。心配しないで。」
洋介「病院は、妙子と協力して頼んだよ。」
真弓「それは言われるまでもなく、拾って頂いたのですから。」
洋介「今でも、真弓さんがやってようなものだよ。妙子は、病院出ると、馬鹿になる女だから。」
妙子「だれが馬鹿なのよ。お母さん、終わった後は、やってもいいでしょう? 私、やりたくて。」
純子「お前の部屋開いてるよ。掃除もしてもらってる。 こどもたちは見てるよ。」
妙子「宏さん、もう食べたの。私食べたよ。」
「そうなると思って、折に入れて貰ってる。覚悟してた。」
妙子「私たちは、別のものを部屋で食べるね。宏さん行こうよ。」
宏と妙子は出ていった。
洋一「姉貴は変わらない。あれが神の手かと思うよ。」
真弓「いや、外科医では、常人の腕ではありません。」
洋一「たしかに、常人ではないよ。病院ではきっと顔も頭も変わるのでしょう。」
洋介「それは確か。ここではやりたいだけの馬鹿女の顔に直ぐになるけどね。今の会議終わったら、顔が変わった。」
純子「京子さん、おいでよ。」
京子「お義母さんなんでしょうか?」
純子「洋一、頑張ってるの?」
京子「頑張って仕事しています。」
純子「仕事は、自分のためよ。女は40から感じるの。」
京子「そうなんですか?」
純子と京子はひそひそ話をしていた。京子は、時々「えっ」とか「そんな」とか言っていた。純子は洋一を呼んだ。

純子「洋一、お前、努力が足りない。京子さんを明日の朝までに綺麗にしないと返さないよ。女を綺麗にしない男は、紡績に帰ってもらうよ。もう一度私が修業さすよ。さあ京子さんをつれて、お前の部屋で。子ども達は私とお父さんがみてるからね。明日の朝、京子さん、真弓さんと妙子の顔みるから」
洋一「そんな急に。」
京子「真弓さんも妙子さんは、元々綺麗ですよ。」
純子「輝きが違ってくるの。京子さんも頑張ってね。色々教えたでしょう。さあ早く。」
洋一と京子も出ていった。

純子「洋次郎と真弓さん、片づけは料理店がもうすぐ来るよ。洋次郎、お前も頑張らないと真弓さんを綺麗にするのよ。明日の朝までに。」
洋次郎「真弓は十分綺麗だよ。」
純子「お前は若いのよ。真弓さんをもっと輝かすのだ。」
洋次郎と真弓も離れに帰った。いつの間にか、子守と乳母が来て、別の部屋に子ども達を連れて行った。料理屋は、残った料理を折に詰めて、片づけ始めていた。

洋介「純子、お前、強引な事するな。姑のする事じゃないよ。」
純子「これが私なの。女房を綺麗に出来ない男は、どこか信用できないの。明日の朝、楽しみだよ。洋介さんも頑張ってね。」
洋介「私は年だから。」
純子「私が大きくしてあげるよ。子どもを見てから開始だよ。」

妙子、真弓、京子の部屋には、その晩に封筒が入れられていた。翌朝は朝9時から朝食なまで、8時50分過ぎに、食堂に来て欲しい。洋一、洋次郎と宏には、9時丁度に来て欲しいと書かれていた。

妙子は、書かれているものを見て、宏に言った。「宏さん、朝も頑張ってね。朝は美人競争よ。お母さんは強引ね。さあもう一回頑張ってね。」

京子も読んだ。「洋一さん、私は不利よ。妙子さんも真弓さんも元々綺麗なのよ。洋一さんは、紡績に戻る事になるよ。」

真弓も読んだ。「洋次郎さん、これは、朝やりなさいと言ってるみたい、私は、いつでも洋次郎さんに抱かれていたい、朝はひさしぶりね、興奮してきた。由美子出てきそう。お願い、手の形と歯型をはっきりつけて。」

翌日 艶っぽく綺麗になった3人が食堂にいって、食事の準備をして、お腹空いたという子どもたちと洋一や洋次郎そして宏もきた。食事が終わると子ども達は乳母や子守に付けられて、別室にいった。

妙子「美人競争はどうなったの。私は気になってるの。」
洋一「無理矢理させておいて何考えているの。」、
純子「妙子、京子さん、真弓さんで誰が一番、昨日より輝いていると思うの、昨日と比較してよ。」、
洋介「昨日と比較すれば、京子さんだろう。別人のように綺麗になっている。」
妙子「それは認めるわ。真弓さんもずっと綺麗になったけど、京子さん、今日は本当に綺麗。」
洋一「じゃ俺達の勝ちだ。」
純子「誰が美人競争と言ったの。 妙子は、言わなくても宏さんとやる。しかもよくやっている。だからそんなに差がでない。真弓さんもよくやっているけど、朝は久しぶりだから少し差がでる。京子さん、あんまりやってないね。子どももびっくりしてたよ。」
妙子「分かっているのね。」
純子「洋一、京子さん、真弓さんそして宏さんになぜ遺産分けしたと思うの。」
洋一「それは、宏さんや真弓さんに分けるつもりだから京子にも分けたと思うけど。」
純子「それは逆よ。宏さんや真弓さんになら妙子や洋次郎名義にしてもいいのよ。二人はそれぞれ一心同体だからね。私はね、洋一の分をすべて京子さん名義にしようとも思ったの。でも、お前も私の子だから親馬鹿でおまけしたの。お前は鉄鋼行って、接待でよく外で遊んでいるのでしょう。鉄二郎さんに妾いて、鉄造さんもつくりそうでしょう。お前も感化され、遊びだしている。一時の混乱収まって、利益もでて、また元に戻りそうになっている。鉄は基本産業だからといって、戻り出せば又だらけているね。宏さん、業界の回復ぶりに比べて、鉄鋼は遅いでしょう。」
「持っている潜在力からすると少し。」
純子「お前、鉄鋼変えるといって、自分が変わっているの気付かないの。このままお前変わっていくと、お前の分は、京子さんに変えていくからね。それが言いたかったの。」
洋一「そんな事ないよ。俺はちゃんとやってるよ。接待は多いけど、それも仕事だから。」
純子「この間、会社の工場に行って、少しだけ見て直ぐに工場の接待で、芸者呼んでいたでしょう。それが会社を変えると言った人のやる事ですか?お前の才なんてしれてるの。少しの才に慢心する位なら、なくても人の意見聞いた方がましなのよ。」
洋一「なんでそんな事まで知ってるの。」
純子「洋一、お前はみんなに見られているの。折角設備も製品も揃ったのに、上がだらけると、何にもならないの。妾持とうと遊ぼうとそれはいいけど、自分の金で遊び、女房を綺麗にしてからにしなさい。」
洋一「分かりました。昨日の事は俺に説教するために仕組んだ。そういう事か。」
純子「今朝の京子さんが、本当の京子さんよ。女に愛と精を与えれば女は変わると、私いつも言ってるよね。人も会社も、愛情もって育てれば変わるのよ。鉄鋼も愛情を持って、育てれば、もっと輝くような会社に変わるのよ。」
妙子「お母さんは、やっはり策士だよ。」
洋一「もう一度、やり直すよ。色々とありがとう。今朝の京子見て、俺も分かったよ。でも時間はかかるよ。今の会社変えるのには。俺の部門から少しずつ変えていくよ。」
洋介「じゃ、これで終わる。洋一もしっかりしないと、お母さんを怒らすと怖いよ。」

家族会議は、午前中に終わると聞いていた、幸之助と知子がやってきた。純子が相続について、決まった事を話した。
幸之助「姉さん、まだ若いのに、そんな事決めて。でも大体予想通りだけど、病院は半々にして、商会の名義で差をつけると思ったのに。製薬会社の出資名義はほとんどは、洋一くんか。知子、少し製薬会社の出資増やせるかな。」
知子「それは出来るよ。洋次郎さんなら歓迎するわ。」
純子「お前達、洋一の事知ってるね。なぜ教えてくれないの。」
知子「お姉さんも知ってるでしょう。それにまだ噂だし。」
純子「あいつには説教したの。少しばかりの才を鼻に掛けて、慢心するなんて。」
幸之助「まあ、洋一くんはまだ遊び始めた段階だから。知子から聞いてるけど、会社も改善してるらしいよ。」
知子「前よりは、ずっとましよ。でも洋次郎さんはいい人ね。」
幸之助「洋次郎くん個人名義だけじゃ、少し目立つ。安倍紡績として持って貰いたい。製薬会社も、会社として紡績の出資をさしてもらうよ。それなら洋一くんも刺激しないしね。一種の交換だかね。お姉さん若いから頑張ってね。うちの役員会には出てよ。」
純子「お前も、なかなかだね。」
幸之助「私も姉さんの弟だよ。ある程度はね。病院は共同名義か。なるほど、考えているね。まあ子ども達次第という事だね。でも学校は、それも一緒か。参考になるよ。僕も考えてみるよ。」

洋一と京子は、家に帰り、子どもを寝かした。
洋一「参った。お母さんはなんでも知ってる。」
京子「貴方、まさか」
洋一「冗談じゃない。少し接待でいい気になっていただけだよ。会社の金で遊ぶな。その通りだね。」
京子「自分の金でも駄目よ。お母さんにいいつけるよ。それに私、少し変なのよ。久しぶりに激しくやるから。火付けてそのままにしていると、お母さんに直訴するよ。」
洋一「あれだけやったのに。」
京子「私じゃ駄目なの。若い芸者でないと駄目。」
洋一「そんな事言ってないよ。」
京子「じゃ今夜も頑張ってね。」

洋一と京子はこうして結婚していた!

京子は、名古屋の大きな機織工場をもつ庄屋の箱入り娘だった。整った顔立ちで、上品そうな顔だちで、近在でも有名な娘だった。父の横山太吉は、辺見織物の一人娘だった母から譲り受けた機織工場をを安倍紡績に売った。文明開化で、洋風化の波に対応して将来を考えるより、急成長している安倍紡績に売った方がいいと思った。安倍商会に勤めていた知人を頼って依頼した。横山太吉は安倍紡績は、軍服や官服などの洋装と従来の和服等もやっていた繊維の会社で、あり、いくつかの機織場も居抜きで買っていると聞いていた。働いている人にも迷惑をかけず、政界入りを夢見る自分の評判にも傷が付かず、金になると計算していた。出来れば辺見織物の名前を残してくれるかもしれないとも考えた。安倍紡績からの調査に来て、横山も話をした。安倍紡績は、辺見織物の技術や立地場所が良い事を評価し、辺見織物の株を8割を安倍紡績が買い取り、2割を横山太吉のものとする。名前も辺見織物で構わないとする案を出してきた。金額も横山には妥当と思えた。安倍紡績の交渉担当は、社長も工場を見てるし、問題ないと思いますが、最終的な社長の決裁を取りますので、少し時間を下さいと言った。横山は、そんな人が来たのかとは思いながら、結果を待っていた。社長の決裁がおりました。本来なら社長と最終合意して頂くのですが、社長の時間が取れません。社長の長男が取締役になっています。その人をつれていきますので、最終合意をして頂けませんかと言う返事だった。横山は了解して待った。横山の自分の大きな屋敷で、最終確認をした。もう相当の年輩の遠藤副社長とまだ青年の洋一が交渉担当とともに現れ、横山と最終的な確認をした。安倍紡績側は、横山が安倍紡績に出資できる案も提示した。完全な子会社よりも横山の面子を立つのではないかと言った。金額は拘らないが、安倍紡績が買い取る金額の1割以内として欲しいというものだった。横山はその案にのった。安倍紡績の出資金総額では百分の一以下ではあるが、単に身売りした事にもならない。金も入ってくる。辺見織物の名前も残る。合意が済んで帰ろうとする安倍紡績側に、横山は酒席に招待した。遠藤と洋一は断った。せめて汽車の時間までくつろいでください。京子がお茶を持ってきた。京子は18才になっていた。若い洋一を見て、頬が赤くなった。そして安倍紡績側は出発した。横山は商会の知人にお世話になったが、合意した。商会の知人はそれは良かった。安倍紡績の出資金も得たと聞いて、それは凄い。利益反映金だけで、直ぐに何倍にもなります。交渉がうまいですねと言った。色々と話をすると、社長の息子は22才で独身と言う。横山は、純子が安倍商会の社長でもある事も知った。横山は安倍紡績の担当と話をして、社長に挨拶するために上京したいと言い、そんな事は結構ですという担当を説き伏せ、時間を調整してもらった。横山は、京子をつれて、東京に行き、純子と会った。挨拶もそこそこに京子を紹介した。純子は横山の意図が判った。洋一を呼び、横山親子を料理屋に行って、接待するように言った。時間はお昼頃であった。横山は直ぐに用事を思い出したと言い、席を立ち、洋一に宿まで、京子を送ってもらうように頼んだ。横山は1週間程度東京に滞在していたが、京子は夕方にもそわそわしていなくなっていた。洋一は、相手を探していた。市橋も治部も、恵子も純子もどたばたしたものの若くして結婚した事もあり、見合いは考慮されない、当時としては希有な家であった。しかし洋一には、見合い話も来ていたし、純子や洋介の元にも来ていた。姉の妙子は出来ちゃた結婚に近いし、洋次郎はなんか怪しい。少し焦っていた。お淑やかな京子に、惹かれていた。京子もこのまま見合いで結婚して地方暮らしと諦めていた。飢えている動物にエサを出した時の様に、簡単に話は進んだ。結婚は直ぐ決まった。

洋一は、洋介と純子が新婚時代に住んでいた家を改築し、京子と共に住んだ。すぐに洋次郎と真弓の熱愛事件が起きた。京子には、洋一は初めての男であり、洋一は純子と妙子の影響から抜け出した。京子は結婚後5年の間に、女の子を二人出産した。そして洋一は女三人に囲まれて、暮らした。京子が純子に会う度に、京子の性知識は増え、洋一は、夜には大変になった。洋一は、頻繁には京子を洋介と純子の家に連れて行かなかった。洋一が鉄鋼に移籍し、出張や接待が増えるにつれて、京子の夜は、寂しくなっていた。

京子は、年を取らない純子や自分より年上の妙子が自由に暮らし、若く綺麗になっている事や自分より年上の真弓が熱愛して、若く綺麗になっている事をみながら、30才半ばになっていた。私が一番老けている。一番若いのに。二人とも40才を超えてるのに輝いている。私はくすんでいく。洋一さんは、この頃遊んでいる。福岡から帰ってきた時もおかしかった。そんな思いになつていた時に、「美人競争」が起き、必死になった洋一が京子の身体に火を付けた。私も妙子さんや真弓さんのように輝ける。純子、妙子そして真弓と話をする機会が増え、色々と話を聞いた。以前なら恥ずかしいと思っていた事もやれるようになった。以前は和服一本であったが、家では洋装も増えた。洋一にもして欲しいと言う事も増えた。「女は40からだよ」と義母さんも言っていた。これからだ。私の青春は。して欲しいと迫る京子に、洋一が、激しく何回かしたのも、ガソリンに火を入れた。そして京子も綺麗に若くなっていった。そして京子の感じ方が深くなり、ついに、40才手前で、白い霧の中で意識が消えていき、不安と絶頂の中で声を上げた。

京子「私、この頃とても感じる。深く感じる。貴方が入ってきた時から感じているし、身体全部で感じている。真弓さんは結婚してから、妙子さんはもっと前から。私は今から。」 洋一「嫌な事いわないで。頑張るからさ。」
京子「宏さんや洋次郎さんよりも頑張ってね。」
洋一「あいつらは、ちょっと異常。女房命みたいな連中。」
京子「貴方にとっては、私はどうでもいいの。」
洋一「そんな事いってないよ、俺も京子は好きだよ。」
京子「じゅ今夜も頑張ってね。」

妙子と宏も話していた。
「お義母さんは凄い人だ。今回の相続は、洋一くんの説教が目的か。」、
妙子「そんな気もしてたの。洋一がお母さん避けてるの、おかしいと思っていたの。でも私は、病院は半々と思っていたけど。そして共同名義なら一緒か。」
「妙子は自分の娘だからじゃないの。」
妙子「お母さんは、そんな甘い人じゃないわ。むしろ真弓さんへの配慮よ。」
「そうかな。」
妙子「私とお母さんは、同類よ。ゆくゆくは子ども達を見て、お互いに考えろと言うことなの。さあくだらない話は終わり。今晩も頑張ろう。」

洋次郎と真弓も話していた。
洋次郎「私で、紡績会社大丈夫かな。才はないのに不安だ。」
真弓「才はなくてもいいの。人の話聞けと言われているでしょう。私は子ども達への代理で受け取ればいいって。」
洋次郎「お母さんが、私を評価している理由なんだと思う?」
真弓「純粋な所?」 洋次郎「それは真弓さんだよ。真弓さんを愛して、真弓さんと一緒になる事ができた。愛しつづければ道は開けると言われた。私の宝物は、真弓さんだよ。」
真弓「私の宝物は洋次郎さんの子どもたち。私は洋次郎さんのものなの。身体中に洋次郎と書いて欲しい程よ。今日も抱いてね。」

洋介は元気で暮らしていたが、5年位すると老いが見え、ついに亡くなった。この間に洋介は、病院及びその資産は妙子と真弓に、贈与や譲渡をしていた。まだ処理できず残っていたものについては、子ども達は放棄し、純子が持っていた。純子は、60才を超えていたが、まだまだ元気で、週に何回か商会と紡績に行っていた。引退したいと言っていたが、元気なので出て来て欲しいと言われて、商会では会長になっていた。純子は少しつづ、贈与と譲渡の形で、子ども達に名義を変えていった。

安部化学が、再び出来た!

紡績は、輸出も行っていたし、好調だった。一時下がった給料も、利益が出て戻っていた。純子個人の貸付も減ってきていた。洋次郎に紡績を任せてみると、真面目で純粋な洋次郎も、懸命に頑張っていた。だが洋次郎が頑張れば、会社も生真面目になった。有能だが、規格はずれや自由な人は息苦しくなってきていた。純子は、一度は紡績に戻した化学部門を中心に、新しい化学会社を作っていた。純子自身の資産も加えた。純子は、この会社では、様々な出資を受け入れていた。安倍紡績と安倍化学とは重複する所もあったが、紡績も好調であった。自由な気風のある安倍化学は、新しく分野を多く手がけていた。この会社は、様々な人材や出資を受け入れていた。

紡績での、純子個人資産からの貸付は少しずつ会社としての貸付に変更していった。紡績として社員に無利子で貸す事を思いついた。想像を絶する運営だった。詐欺師やペテン師は泣いて喜ぶ会社だった。紡績は、寺や修道院のような会社になっていた。化学を創立した時に、洋次郎は、純子に返還を申し出た。純子は洋次郎にお前のものだと言ったが、まだ洋次郎は、お母さんのものだと言って聞かなかった。純子は宏の意見を聞き、紡績の幹部を呼び、話をしていた。純子は、一部は紡績会社に寄贈し、化学への出資に当てた。純子が年を取るようになり、個人としての貸付は、もう限界であった。商会はすでにそうしていた。紡績もそのようにした。純子は、純子個人が運用していく事にした。もう個人資産と会社資産との混同は無理であった。これ以降は、純子は給料は受け取るようになった。貯まっていた利益反映金も受け取るようになった。名義書換は少しずつ行っていたが、かなりの金額を純子は受け取るようになった。

妙子、安部化学の役員になる!

妙子「宏一は、竹内の家と宏さんの影響を受けたのか、法学部へ行ってしまった。玲子は医学校へ行ったのに。」
純子「玲子は、遊んでいるの。」
妙子「時代が違うの。あの子はふらふらして、男の子と付き合うけど、まだやってないのよ。」
純子「もう二十歳を超えたのに、お母さんは16、私は15、お前も16で男知ったのに、玲子は遅いね。」
妙子「今は、そんなに早く医者になれないし、勉強も忙しいし、玲子自身も早くやりたいと行って、ふらふらと男の子付き合うけど、馬鹿嫌いだしね。そんなにいないとぼやいているの。たまには、直前までいっても舐めても、大きくならないしとか言って、口で抜いちゃうの。舐めのはうまいみたいだよ。お父さんよりずっと小さい。あの子見てたのね。いい男落ちてないとうるさいのよ。」
純子「お前も食べてから考えてたのにね。そうすると記録は更新中ね。残念だね。お前が、お腹の大きい玲子抱えてウロウロすると所を眺めたかったのに。」
妙子「それはお母さんの事でしょう。恵子お祖母さんが言ってたよ。お母さんがよく医者に診察いかされていたでしょう。私も、あいつが16になったら、半年毎に、病院で診察しても貰ってるの。知子さんの事もあるし。あいつは勘ずいて、私はまだやってないのに、うるさいの。」
純子「さすが、お前は医者だね。でもそれは、竹内さんの家にいた事が原因かもしれないね。」
妙子「じゃ、慶子ちゃんも16でしょう。お母さんの影響もあるし、もう知ってるの。」
純子「あの子もまだだよ。真弓さんは男選べとうるさいの。くだらない男なら、お前は売春婦にもなれるし、いい男なら大きくなれると言うのよ。私は洋次郎さんと出会ったからこうしているけど、出会わなければ、くだらない男の玩具にされ、笑いものになってるか死んでいたかも知れない。お前はそんな女の娘だよ。真弓さん隠さずに、真剣に言うの。慶子は男好きそうだけど、いつも脅されているから、慎重なの。」

妙子「次平くんは、やっばりうちの学校に行ったね。みんなの期待どおり。でも同名ならこれから大変だ。」
純子「例の家に、住まないの。」
妙子「広いし、大きいけどもう何十年もたってるでしょう。お母さんは立て直すのは、いやだと言うし。改築を考えているの。竹内の家も宏さんは次男だし、いつまでも居られないでしょう。お義兄さんも帰って来たがっているし、早くしないとね。実験農場付きとは知らなかった。製薬会社の子会社に種苗会社あるとも知らなかった。製薬会社も色々な会社も持っているのね。」
純子「私が子どもの頃、時々鉄平おじいさんに預けられたの。思い出の家なの。私も行きたいけど、真弓さんが気にすると悪いから、完全に引っ越す訳にはいかないの。でも私は、あの家で暮らしたい。洋介さんももう少し生きて欲しかった。そうだ。新しい家を林の中を建てればいいよ。お前の好きなように。私はあの昔の家を改築するよ。その方が早いよ。」
妙子「それしてくれると助かるわ。林の中のいいところを探すわよ。洋次郎の会社どうなの。」
純子「紡績は、順調よ。ただ、洋次郎は、安い賃金で長時間労働させる事は、出来ない子だから。他の会社に比べると利益はそんなに上がらないけど、機械は良く入れて効率を上げる事を考えるの。まあそれがあの子なんだけど。」
妙子「それは、お母さんからの厳命だと洋次郎言ってるわよ。機転が利かないから、愚直という感じだね。お母さんがまだ指示してるの。」
純子「洋次郎に任せているけど、どうも紡績は、まじめとか熱心とか言う人が多くて、才能ある人は悪い所もあるから、少し居づらいので、新しい会社に来るの。あんまり偏るのもどうかと思うけど、会社の空気よね。」
妙子「お母さんは、相当悪いところあるから、不良は新しい会社の方が住みやすいのよ、水清ければの類ね。」
純子「洋次郎に、機転というのも無理だし、お前こそ紡績の役員になってみな。少しは人間良くなるよ。品行方正な人が多いよ。知子も、ここは凄い。心が洗われる会社だ。でもすこし行き過ぎと言うよ。でも言い方難しいのよ。洋次郎は、真弓さんがお酒のむから、少しは付き合うだろう。あんまり接待しない会社だけど、たまにはするだろう。正座して飲むの。言い方丁寧だしね。接待される方も、どうぞ気楽に言われても限度あるだろう。飯を食って、どうもで、直ぐ終わるよ。名義少しわけてやろうか?」
妙子「私、いやだよ。役員会って想像つくよ。床も良く磨いてあり、机も綺麗、背筋伸ばして真面目な人が真剣な顔で話をする。社員は礼儀正しくお辞儀する。そんな気する。洋一と洋次郎を足して、二で割れたらいいのよ。洋一も少し真面目になった?」
純子「少しはね、接待続くと、京子さんが電話してくるよ。洋一の名義書換、少し遅らせているし、私も少し接待の度が過ぎると脅している事もあるし、まあそこそこよ。」
妙子「新しい会社は、どうなの。」
純子「私は仕事中は、雑談嫌いだから、勤務時間内は真剣だけど、姿勢悪いし、タバコすってるやつもいるし、時々は、こそこそ話しているよ。私が行っても、社長まだお若いですねといいながら、平気で座って仕事してるよ。まあ仕事中に私のために立つなと言ってるけどだよ。同じ事を紡績で言っても、直立不動で立つ人が多くて、みなさん仕事してくださいと私がいつも言わないといけない。規格外でも、できる奴が、新しい会社に集まってくる。礼儀しらずも一杯いるよ。机の上もぐちゃぐちゃだよ。」
妙子「お母さん、考えているね。そんな人たちも住める所、つくるために、新しい会社つくったね。私、そこならなってもいい。自由な感じするもの。今の真弓さん、もの凄く真面目なの。話も真剣だしね。診断も正確だし、真弓さんが診察の時は朝から番号札配っているの。私は特に診察しないの。時々診断するけど、手術のための診断ね。何人かそんな医者が集まってきているの。外科には手術の好きな自由な外科医が集まり、内科も真面目な医者が集まっているの。」
純子「お前、なってみるかい。毒には毒で自由に意見言えばいいよ。役員会といっても、半分夢語る奴いる場所だしね、役員会も遅くすれば良いんだよ。」
妙子「お母さん、残業嫌いじゃないの。」
純子「新しい会社は、勤務時間は決めてないの。平気で遅れてくるから、逆に自由にしたの。みんな自由に選んでるの。製造も勤務時間は志願制で、真夜中は避けるようにしてけど、みんな好き勝手に働いているよ。人揃うかどうか心配だったけど、なんとかやってるよ。」
妙子「いつもいけないよ。手術がない時だけだよ。」
純子「それでいいよ。お前は医者だし、それに朝弱い奴多いから、いつも午後からやるし。出れる時だけで良いよ。毎回出る必要はないよ。」

建築会社に連絡して、新築と改築を両方進めてさせた。改築は遅い予定だったが、純子が住む事になると聞かされ、大至急で行われた。それに古いけどしっかりした作り方だった事も判った。純子は、真弓さんが気にすると言ったけれども、旧宅が気に入っていた。洋次郎と真弓も、純子の意向を尊重して、引っ越した。戦争の足跡がして、市中は騒がしくなっていた。

幸之助「知子、紡績はうまくいってる。」
知子「順調だよ、でも本当は、もっと利益は上がると思うけど、洋次郎さんはわざと利益出さないようにしてると思うほどだよ。お姉さんが直接やっている時も厳しかったけど、自由な雰囲気もあった。お姉さんは不良や規格外の気持ちも分かる人だから。洋次郎さんは、純粋でいい人でしょう。今は、何というか、心が洗われる会社になった。製造も必要な人に絶対数人多く配置し、細々とみんなの面倒みるの。総務は社員の世話もするのよ。奥さんや旦那さんの誕生日に、まだ珍しいケーキを配り、早く返す会社なのよ。洋次郎さんは、真弓さんを愛して、私の宝物といつも言ってる。人もそうだと思っているのよ。それに困った時相談にのるし、お金も貸す。営業の人も原価みせて商売しているのかと思うほどだよ。なんというか折り目正しい会社。適切な利潤しか取らない。社員の人も心込めてつくるから、品物もいい。いいものを適切な値段で売る。それがあの会社の看板になった。会社は社員とその家庭を愛し、社員も会社を愛している。会社も社員も世の中に役になりたいと考えているよ。もう教科書みたいな会社になった。」
幸之助「まあ姉さんもお前も不良だからね。どんな良いこといってもそれなりに対応しているけど、洋次郎くんは、本当にいい人だから、不良は住みにくいだろうね。でも人には、有能だが少し礼儀知らずとか、規格外はずれって言う人もいるだろう。」
知子「私は多分息できなくなるよ。品行方正の人たちの集団だよ、紡績は。でも少しは融通が欲しいとお姉さんも思ってるけど、お姉さんは、純粋な人には弱いの。している事は正しいから。仕方ないから、化学部門を紡績から出資させた形にして、お姉さんが資本を追加して、規格外の優秀な人集めて安倍化学という新しい会社を作った。繊維も少しやっている。商会も少し出資している。ここの製薬も少し出資した。仕事を組んでした会社も将来性を買って出資するようになり、大きくなっていった。紡績は息苦しいと思う人はここに来ている。ここは自由だよ。不良集団だからといって、勤務時間も自由にして、いつ来てもいいのよ。もちろん深夜は除くけど。服装も自由と言うかだらしないというか。営業も外でる時に少しましな服装する程度の自由な会社をつくったの。なんでも自由に考えて良いの。」
幸之助「極端だね。足して二で割ればいいのけど、まとめられるのは姉さん位か。そうか、両方とも姉さんの挑戦だよ。化学は、みんなで考えろ。紡績は洋次郎くんに託した。僕はそう思う。化学みたいな会社は、程度の差あれ、又出てくるよ。しかし紡績は難しいだからお金を預けて、洋次郎君に託したんだよ。」
知子「考えすぎじゃないの。」
幸之助「会社は、多分商会のような会社が増えていくと思う。だから商会をそのような形にした。紡績は姉さんがやっていれば、化学と紡績を併せたような会社もできるだろう。しかしみんないずれ死ぬ。そうすれば、夢を託す人に合わせて会社を分けた。そうは思わないか?」
知子「そう言えばそうかも知れない。」
幸之助「ここはどうするかをお前が考えていく事になるよ。母さんは現実的に考えていた。僕も知子も母さんが手本だろ。姉さんは、夢を現実に変えてきた。僕は現実的に少しずつ対応していく。僕はそれしか出来ないし、それ以外の事はやる積もりもない。母さんは姉さんを高く評価していた。お前が、姉さんの挑戦をよく見て考えて欲しい。母さんがお前を役員にした理由が、ようやく分かった。」
知子「兄さんが断って、私になったのでしょう。」、
幸之助「母さんは、僕を知ってるよ。僕の行動を。僕は断るだろうが、声をかけておく必要はある。今の僕でもそうしたと思う。お前は、化学と紡績をよく見て考え欲しい。」、
知子「よく考えてみるよ。今は、類は友を呼んでね。真面目な人は紡績に、少しワルで自由が欲しい人は化学に集まるの。」
幸之助「鉄鋼はどうなの。」
知子「少しはましね。それに鉄は景気良くなった。洋一さんが少し真面目になっているけど、鉄造さんや鉄二郎さんは相変わらずだけど、他から来てる人を含めて、洋一さんがまとめ役になってる。少しずつ真面目な人も増えてる。真面目といっても紡績では息できないほどだけど。」
幸之助「商会は?」
知子「あそこは、いくつかの会社の集合体という会社なの。一つの会社なのに、競合製品売っている部門もある程よ。姉さんも扱っている製品知らない事多いと言ってるよ。貿易の人なんか、平気で競争相手の商会に納入する。姉さんも週1日か2日出てくるだけだし。出資増やしているし、我々の比率も下がっているでしょう。本当にみんなの会社になった。姉さんは辞めたいといっても、ここまで大きくした人の責任ですから、姉さんは死ぬまで会長をやって貰いますと言われているの。」
幸之助「そんな会社が増えるのだろう。」
知子「化学はね。面白いよ。雑談とも夢とも分からない話もしてるし、ちゃんとした話もするしね。妙子さんも役員になってね。血管を繊維でつくれないかと血液はどうかと言ったりしてね。研究の人も真剣に話したりしてるの。」
幸之助「それ面白いよ。まあ直ぐじゃ無理だと思うけど。製薬会社として出資増やして、ここの研究か開発の人も役員にしてもらおう。姉さんに共同研究を申し込んでみる。」

化学と製薬は結びつきを強めた!

幸之助「姉さん、化学にもう少し出資させてよ。知子以外にうちの研究部門の責任者を役員にしてよ。それと製薬会社と医療用製品の共同研究しようよ」、
純子「いいけど、化学としても製薬に出資させてよ。私だけじゃなしに研究の人だすよ。共同研究もいいよ。功一郎さんにも声かけてみよう。でも化学は自由な人多いから、私も制御できないよ。」、
幸之助「それでいいんだよ。どこが作ってもいいよ。でも製品として販売するのは、基本的に製薬会社にしておくれよ。」
純子「それくらいね、お前の所の弁護士と化学の弁護士で話させよう。」
幸之助「姉さん、この家は昔のままだね。うまく改築したものだ。ここは広いから、洋次郎君たちも十分住めるね。」
純子「付け足した所もあるんだよ。結局改築といってもちょっと補修しただけでね。同じような家をもう一軒つけたようなものだよ。洋次郎も途中から一緒にくると言ったからね。みんな来ても大丈夫なようにね。次平先生の家にあるものみんな持ってきた。整理できないものは蔵に入れたよ。でも昔の農場により広いと思わない。こんなに広かったかい。」
幸之助「来る時に聞いたけど、製薬の子会社で種苗会社が借りていたけど、広くしたいので、付近を買い取っていた。でももっと大きいのが、欲しいと言ってる。大きな場所も見付けたそうだ、姉さん付け足した所を買い取ってあげてよ。数年間は準備期間で欲しいそうだ。」
純子「それは構わないよ。庭でもしたいけど、こんな時代だからね。種苗会社も忙しいだろう。当分貸してあげるよ。」

医療用製品としては、手術用の糸から、医療用のチューブ等などの医療に必要な道具を作り始め、功一の後を引き継いだ功一郎がしている機械会社とも協力しながら、医療用の繊維そして化学用品そして医療用機械を作り出すようになった。特殊な機械であったので、製造は化学が総括的に指示して、販売は多くが製薬が担当し、一部は化学も売るようになっていった。そして化学は色々な事業部門が、自由に考えて行動していた。純子はそんな会社にしていた。多くの会社と技術提携したり、共同に仕事を進めていた。純子はそんな空気が好きだったので、総括的な管理を行うようになっていった。役員会は自由討議のような場所になり、研究からも複数の役員を出し、研究や技術出身の人も多く、一部の報告や承認事項の他は、みんな自由に討議していた。肩書きをつけて、人を呼ぶ事は少なく、自由な気風の会社になっていた。それだけに暴走を危惧した純子は法務部門を充実して、内部の管理も行っていたが、普通の自由な討議には影響なかった。

純子は子どもたちを呼んで、話をした。
純子「洋一、ここは広々としているだろう。家も広くしたしね。お前も引っ越してこないか。」
洋一「鉄鋼は、福岡にも工場があってね。駅に近い方が便利なんだけど、考えてみるよ。」
純子「ところで、化学の事で相談したいの。」
妙子「あの会社面白いわ。幸之助おじさんも良くきてるし。洋次郎のおかげだわ。」
洋次郎「私は何もしてませんよ。あそこは、お母さんが新しく作った会社です。」
妙子「お前が真面目すぎて、息できない不良たちをお母さんが集めたの。程度問題よ、真面目も。」
純子「洋次郎、もう少し、広い心で接してあげてね。真弓さんも無理する事ないのよ。もっと自由に、ゆったりとね。」
真弓「そんな事すると、私怖いのです。それに洋次郎さんといる時は身も心ものんびりしています。それで十分です。」
妙子「これだもんね。でも少しは、息抜かないと。」
純子「お前は抜きすぎだけど、真弓さん自信もって、洋次郎と一緒に、のんびり歩くのよ。 化学はね 私の名義の半分は妙子に、そして四分の一ずつ、真弓さんと京子さんにするよ。様々な会社に出資しているけど、もっともほとんどお金は入ってこないよ。適当に子どもたちに割り振っておくよ。」
洋一「京子、俺のせいだよ。俺が信用されてないから。」
妙子「京子さん、洋一のあそこ囓ればいいの。他で使えないように。」
京子「大丈夫ですか?」
妙子「囓り方おしえるわ。京子さんの使いたい時だけ使えればいいように。」
洋一「京子、本気でしないで。」
京子「どうも若い芸者と。」
真弓「強く吸っても、尿道こたえますよ。特に先端部分、翌日痛いですよ。」
妙子「疑わしい時は、歯形つければいいのよ。多分数日間出し入れ出来ないよ。」
京子「今度やってみます。」
洋一「京子、本気にしないで、俺そんな事してないから。」
純子「京子さんとちゃんとやる事だよ。あっと云う間に出来なくなよ。」
洋一「ここはひろい農園もある。あれもここのもの。」
純子「そうだよ、昔からついていたけど、種苗会社が買いましていた。付け足した分も買っておいた。食えなくなったたら、ここがあるよ。鉄平お祖父さんはそう考えたのかもしれないね。」と冗談を言った。

真弓「お義母さん、前から気になっていたんですが、このお酒は、お純と言いますが、他では売ってないですね。美味しいのに。何かお義母さんと関係あるんですか?」
純子「鉄平お祖父さんが、ここの屋敷を作ったときに、近くに小さい醸造元があって、とても美味しいので、いつも買っていたの。何かお金が必要になって、売ろうとしていた。お祖父さんが、必要な金額より多い金額を預けたの。今まで通り、そのままお酒を造って貰って欲しいと言って。醸造元も、少しずつお金を返してくれた。毎年新酒できたら、送ってくれた。お祖父さんは、そのお金がある程度の金額になったら、もう返さなくていいと言ったけど、その醸造元の人は、新しい蔵を作って、鉄平蔵と名付けたいといってきた。私が可愛がって貰っていた時だから、新しい蔵をお純蔵として、お金関係なしに良い酒を造って欲しいといって、毎年お金を渡していた。出来たお酒に、お純と名付け、少量作っていた。でも家だけじゃ飲めないから、東京近くの料理屋でも出していたの。私は、あまり料理屋には行かないのは、お純下さいと言う声がするでしょう。私が飲まれるみたいで行きにくいのよ。名前替えてと言ったのに、みんな気に入ってると替えてくれないの。」
洋一「俺もこの酒好きだよ。美味しいし、お純くれと言うの気持ちいいよ。商会や化学の連中もよく料理屋いってるよ。」
純子「もうどうでもいいけどね。」
真弓「そうだったんですか。」
妙子「その話、少しだけ聞いた事ある。」
純子「いつもお金はいらないと言われるけど、今は、私が払っているの。みんなの家にもお酒届いているでしょう。」

日本は、満州事変から、戦争への道を進んでいった。

軍部に強い安倍鉄鋼は儲かっていた。商会も盛んに活動していた。紡績も製薬も順調だった。化学は飛躍的に大きくなっていた。

先代の次平の家は、次平が咲恵に結婚して住んでいた。ただ次平も軍医として出征した後は、咲恵は郊外の家にいっていた。
純子自身には、窮屈な時代だったので、紡績や商会は週に1回程度顔を出すだけになり、化学へ出ている事も週数回になった。郊外の屋敷で人に会ったりしている事が多かった。

病院でも、妙子は心臓の外傷性疾患には、麻酔により、手術できるようになり、心臓外科と言う言葉も生まれていた。しかし戦争が激しくなるにつれて、中断していった。

純子は、ほとんど会社には出なくなり、郊外の家にいるようになった。色々な人が訪問していた。林の中をよく散歩していた。実験農場だったが、単に農場になり、収穫された農作物を地代代わりにくれていたのだ、食料が豊富だった。純子は子ども、孫たちと暮らしていた。幸之助が先に亡くなった。私は多くの人を見送ったが、弟まで先立たれるとは思わなかったと言っていた。物資がなくなり、仕事もなくなった安倍グループは、製薬会社の旧薬草園やこの家の農園や純子の新しく買った土地を耕作していた。

純子は、子どもや孫たちに見守られ、静かにこの家で死んだ。


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