『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』


 「ただ、そのことによって、唯一の価値尺度が中華思想に基づく儒教体制の純度の如何ということ

になってしまったのが、朝鮮の近代化にとってはマイナス要因になったんだと思うね。」

 「日本にとっては、どのような形にせよ、新羅が朝鮮半島に存続できたことは幸運だったんじゃない

の?」

 「そうだね。もし、新羅が滅んで朝鮮半島が唐の領土になっていたら、次は日本が侵略されていた

かもしれないね。」

 「その点では、天武天皇の功績は大きかったと思うんだけど、なのになぜ、『日本書紀』では天武天

皇の出自に関して、偽りの記述になっているの?」

 「天皇の支配の正当性に関して、その頃の日本は、もう既に血統カリスマによる正当化が広く深く

社会に浸透していたからだと思う。」

 「天武天皇が亡くなった後、皇后の持統が天皇になって、そして次の天皇には自分の孫を天皇にす

るんでしょ。天武天皇の息子たちがいっぱいいたのに、どうしてそんなことができたの?」


     

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