『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』


 「生まれてすぐの赤ちゃんの哺乳行動や自動歩行など、人間にも本能はあるのだけれども、そう

いった本能による行動の仕方は、大体は二、三ヵ月で消失してしまい、人間は歩き方をはじめ行動

の仕方・生活の仕方をすべて学習していかなくてはいけないんだ。」

 「赤ちゃんがどうやって学習するの?」

 「赤ちゃんを養育するのは、必ずしもその子の母親とは限らないけれども、一応、母親ということに

しよう。人間の赤ちゃんは、生まれてすぐには歩けないよね。歩くまでに一年くらいかかってしまう。

だから、母親の保護なしには生きていけない。疑似胎内環境とも言える環境で生活することになるよ

ね。そのようなことから、母子の間に感情移入の絆が生じ、その絆を通して赤ちゃんは母親の感情の

パターンの影響を強く受けることになるんだ。つまり、何に対して、どのように感じるのかという感情の

パターンの原型ができていくんだ。」

 「その感情のパターンは、個人によっても違いがあるけれど、民族によっても違いがあるというわけ

だよね。」

 「その通りだよ。母親との感情移入の絆を通して、その民族の生き方、つまりその民族の文化の

基本となっている感情のパターンの鋳型にはめられていくことになるんだ。」

 「感情のパターンについて、もう少し詳しく説明して。」


     

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