『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』


 「佐治芳彦氏によると、『桓檀古記(かんだんこき)』の〔大震国本紀(だいしんこくほんぎ)〕に『日向

にあった安羅国はのちに任那に入った』という記述があるそうなんだ。」

 「一旦、任那に撤退した御間城入彦は、再起を図るために何をしていたの?」

 「ポイントが二つある。それは、鉄と神話なんだ。鉄は当時の軍事力・経済力の要であり、鉄剣や鉄

製農具の生産力が豪族たちの勢力を左右することになる。そして、日本列島には砂鉄などはあるけ

れども、鉄鉱石はほとんどなかった。そこで、朝鮮半島から短冊形の鉄板である鉄鋌(てってい)を、

鉄製品の素材として輸入していたんだ。だから、御間城入彦は、製鉄の本場である朝鮮半島の任那

で鉄剣や鉄製農具を生産して、北九州への再侵攻の準備をしていたのだと考えられる。」

 「もう一つのポイントである、神話っていうのはどういうこと?」


     

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