『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』
「ハイヌェレは椰子の実から生まれた女の子で、様々な財宝を大便として産むのだけれども、気味
悪がられて殺され、ばらばらにされて地中に埋められてしまう。そして、そこからいろいろな種類のヤ
ム芋が発生したという神話なんだ。小さ子も身体の分泌物から富を生み出すし、オホゲツヒメもウケ
モチも身体から食べ物などを出し、殺された後、死体から穀物などが発生したという神話なんだ。
そして、畑作農耕文化の伝播により、縄文人も、カミの観念を形成していった。縄文人の生活にとっ
て重要な諸精霊は、カミとして祀られるようになり、地母神に対して豊穣を祈願し、感謝する祭祀が行
われるようになっていったと考えられる。また、縄文後期には、焼き畑による陸稲農耕文化も伝来し
ていたらしい。縄文人は、水稲農耕文化を学ぶことができるだけの技術力を既に持っていたというこ
とだよ。」
「それは分かったけれども、縄文人の骨格と弥生人の骨格ってずいぶん違うよね。現代の日本人の
多くは、どちらかというと、弥生人に近いと思うんだけれども、縄文人は水稲農耕文化を伝えた渡来
人によって駆逐されてしまったの?」
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