『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』
「日本に水稲耕作が伝わったのは、つまり弥生時代が始まったのは紀元前5世紀の初め頃とされ
ていたんだけれども、最近、それは紀元前約1千年前後であるという研究成果が発表されている。そ
れ以前は、農耕がまったく行われていなかったかというと、そうではなくて、紀元前3千年頃から紀元
前2千年頃にかけての縄文中期には、畑作農耕が伝わってきている。インドネシア方面からの焼き畑
による芋栽培文化の伝播があったんだ。その文化を携えて渡来してきた人たちは、ハイヌェレ神話な
どの自分たちの信仰も伝えたんだね。その神話の影響によって形成されたのが《小さ子民話》なん
だ。それについては、吉田敦彦(よしだあつひこ)氏の『小さ子とハイヌェレ』を読むといいよ。また、
『古事記』・『日本書紀』にもその影響が見られる。『古事記』におけるスサノヲとオホゲツヒメの神話、
『日本書紀』におけるツクヨミとウケモチの神話はハイヌェレ神話の影響と考えられる。」
「ハイヌェレ神話ってどんな神話なの?」
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