『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』
「宗教的にも政治的にも差別され、土地を所有することなく、放浪の生活をしていた人たちなん
だ。」
「古代のユダヤ人たちは、縄文人の恵まれた自然環境・社会環境に比べると、ほんとに過酷な環
境で生活していたんだね。」
「ユダヤ人の一部は、ヒクソスという異民族がエジプトを支配していた時代、エジプトに行き、ヒクソ
スの支配下で自由民として生活していたようなんだけれども、ヒクソスがエジプトから追い出されてエ
ジプト新王国が成立すると、奴隷身分にされてしまった。そこで、モーセの指導下にエジプトを脱出す
るわけだけれども、モーセはアメンホテプ4世の一神教の影響を受けていたのではないかと私は考え
ている。
いずれにせよ、エジプトを脱出してからカナン(パレスチナ)の地に入っていくまでに、エジプトを脱出
してきたユダヤ人たちを中心に、彼らと、パーリア的状況に置かれていた諸部族との間に、唯一神ヤ
ハウェと契約を結ぶという形で、誓約連合が形成された。そして、彼らは、神の命令によって、神の約
束の地であるカナンへと侵略していった。」
「そうか。当時は、絶対的な創造神の意思だとなると、虐殺も正当化されてしまうのか。」
「また、ユダヤ人は、ヤハウェから与えられたとする、律法という高度に合理的な宗教倫理により、
非合理的な救済探求から解放された生活をしていた。」
「非合理的な救済探求から解放された生活って、どういうこと?」
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