『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』


 「人間は、さっき翔太が言っていた《三つ子の魂》を基本的には変えることなく生涯を終えるのが

普通であり、別の言い方をすれば、幼い時に親などから無自覚的に習得した伝統的な文化を、当た

り前のものとして、それを超克しようなどとは企てずに、伝統的な文化に同調して生きていくのが普通

なんだ。そういう精神が伝統主義的な精神だ。そのような伝統主義的な行動様式が支配的な社会

を、マックス・ウェーバーは《呪術の園》と呼び、その《呪術の園》を突破しないことには、資本主義の

精神も成立しないし、資本主義の経済も成立しないと言っている。」

 「さっき言ってた、西欧のごく狭い地域で、《呪術の園》からの突破が起こったんだね。」

 「その通りだよ。」

 「《呪術の園》からの突破って、具体的にはどういうことなの?」

 「《呪術の園》からの突破は、世俗化が進んだことによるものではなくて、宗教的に先鋭的な集団が

出現したことによるんだ。」

 「それって、どういう集団なの?」


     

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