『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』

 「コンスタンティヌス大帝や息子のコンスタンティウス帝は死の直前に洗礼を受けているんだ。

これは、前にも言ったとおり、皇帝がキリスト教徒になってしまうと、その権力と権威は神から

授けられるということになり、事実上、皇帝が司教の下に立ってしまうことになるからなんだよ。

でも、テオドシウス帝は32歳の時に洗礼を受けてキリスト教徒になっている。」

 「テオドシウス帝は何故死の直前ではなく、若くして洗礼を受けたの?」

 「彼は、その頃、重い病にかかり生死の境をさまよっていた。その時、ミラノ司教のアンブロシウスが

テオドシウス帝に洗礼を受けることを勧めたんだ。当時、地獄の存在が信じられており、

多分、アンブロシウスはテオドシウス帝に地獄ではなく天国という選択肢を選ぶように

脅したのではないかと思う。そして、洗礼を受けると、テオドシウス帝の病気が快癒してしまった。

私などは、信じることが免疫力を高め、自然治癒力を高めたんだと思うけれども、

テオドシウス帝はもちろん、神の恩寵であると信じてしまった。従って、テオドシウス帝に対する

ミラノ司教アンブロシウスの影響力が非常に大きいものになっていったんだ。」

 「でも、テオドシウス帝は、どうして異教や異端を厳禁するという政策を採ったの?」


  

(2019/3/16)

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