『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』

 「パウロの手紙を読んでみると、彼は自分が生きている内に終末がやってくると

信じていたようなんだ。その日には、永遠の命が与えられると信じていたから、

殉教も恐れなかったんではないかな。」

 「殉教も恐れず、カタコンベ(地下墓地)に身を隠しながら信仰を捨てなかったんだね。」

 「そうなんだ。コンスタンティヌス大帝のころには、ローマ帝国の社会状況は、

キリスト教信者の動静を無視しては政治をおこなうことができないまでになっていたんだ。」

 「だから、コンスタンティヌス大帝はミラノ勅令でキリスト教を公認したんだね。」

 「この時は、キリスト教を公認しただけで、他の宗教に対する寛容さを失ったわけではないんだ。

そして、コンスタンティヌス大帝は、自分が亡くなる直前に洗礼を受けている。

それまでは、キリスト教徒ではなかったということだよ。」

 「どうして、死の直前まで洗礼を受けようとはしなかったの?」


  

(2019/1/22)

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