『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』
「そのことに関しては、『創造神』という観念を作り上げていくことによって解決を図ったんだ。
そして、『創造神』の観念を表現した作品が『ヨブ記』なんだ。」
「『ヨブ記』には、どんなことが書かれているの?」
「ヨブは、全く正しい人で、神が与えた律法を遵守しており、何の落ち度もない人で、
財産もあり、健康で、幸せな生活を送っていたんだ。ところが、突然、財産を一切失い、
ライ病にかかって健康も失い、不幸のどん底に落ちてしまった。そこに、友人たちがやってきて、
『あなたは、どこかに不義があったので、神の罰を受けているんだ。悔い改めて、神の道に
立ち帰りなさい。』と諭した。しかし、ヨブは律法を完全に遵守していたので、ヤハウェに抗議した。
すると、ヤハウェは『私が大地を据えたとき、お前はどこにいたのか。」と、ヨブの抗議を一蹴する。
つまり、人間もヤハウェの被造物であり、被造物が創造者に抗議することなどできないということなんだ。
この後、ヨブが、自分は被造物であることを覚ると、財産・健康を取り戻したことになっている。
この『創造神』という観念が、イスラエル人に、人間からの働き掛け(呪術)によって神を動かすことは
できないという思想を生み出し、ただひたすら律法を遵守し、現在は不幸でも、いずれやってくる
神の救い(救世主による地上でのダヴィデ王国の再建)を待ち望むという信仰を形成していったんだ。
そして、アケメネス朝ペルシアが新バビロニアを滅ぼすと、ペルシア王は、バビロンにいたイスラエル人
に対して、カナンへの帰還を許したんだ。」
「ペルシア王は、どうしてカナンへの帰還を許したの?」
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(2018/6/15)
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