『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』

 「未知の神を受容した背景には、戦争に勝つために各部族が強固に連合する必要があったことが

あげられるけれども、それだけでは、旧来の神を捨てきれなかったんではないかと思う。

モーセの神・ヤハウェを受け入れさせるような何らかの奇跡体験があったんだと思う。

『紅海の奇跡』は、浅瀬の海で大干潮があり、実際に海底が現れたのではないかと私は思うんだ。」

 「そんなすごい体験をしたら、奇跡を起こした神を信じちゃうよね。でも、その後、習合はどうだったの?」

 「やはり、すぐに旧来の神を礼拝したり、カナンに定着した後は、土地の神との習合問題が

常にあったんだ。だから、『十戒』の第一条は『あなたは私のほかに、何者をも神としてはならない。』という

ものなんだ。初期の頃の神観念では、ヤハウェは妬む神であり、他にも神がいることが想定されている。

ただし、『十戒』は最初からあのようなものではなかったらしい。」

 「『大化改新の詔』が最初からあのようなものではなかったのと一緒だね。」

 「ところで、ばらばらだった各部族が強固な一つの集団を形成し、それを維持していくために

最も重要なことは何だと思う?」


  

(2018/6/6)

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