『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』
「セム系遊牧民の各部族は、それぞれ弱小民族で、土地を所有している民族から差別されていた
パーリア(賤民)民族だったんだ。そして、出エジプトの時代、地中海東岸地域は、それまで
シリアを支配していたヒッタイト王国が海の民によって滅亡し、カナン(現在のパレスチナ)を
支配していたエジプト新王国も国力が衰退していた。そこで、シリア・カナンには、都市国家が分立状態にあった。
その地中海東岸地域は、メソポタミアとエジプトの交通路となっており、地中海への出入り口でもあり、
また、比較的降水量の多い地域で、当時レバノンにはレバノン杉の森林があって、木材の供給地となっていた。
そこで、過酷な自然環境・社会環境を生きてきたセム系遊牧民にとっては、是非とも手に入れたい地域だったんだ。」
「でも、既に都市国家が多数成立していたんでしょ。弱小の部族ではどうしようもないね。」
「そうなんだ。だから、彼らがそれらの都市国家を打ち破り、土地を手に入れるためには、セム系遊牧民の各部族が
連合する必要があったんだ。しかも、それらの都市国家との戦争に打ち勝つためには、それぞれが決して裏切らない
強固な連合でなければならなかった。」
「そうか。それで、各部族が未知の神ヤハウェを受容することにより誓約連合を形成したんだね。
それにしても、各部族は、よく旧来の神を捨て、未知の神を受け入れることができたね。習合は起こらなかったの?」
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(2018/6/4)
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