『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』

 「ホモ・サピエンスは20万年前にアフリカで誕生し、10万年前にアフリカを出て

世界中に広がっていったと考えられている。そして、大体、アフリカを出て行った頃には

言語を獲得していたらしい。その言語を獲得したことが、人間が他の動物とは全く異なる

環境世界を形成していく契機になったんだ。前に、言語学者の丸山圭三郎の考え方を

話したよね。人間以外の動物は、本能によって、周りの世界を身分けした環世界にて

生活しているけれども、人間は言語によって、今・ここを超越した世界も含めて、

周りの世界を識別して生活しているんだ。丸山はそれを『言(こと)分け構造』と呼んでいる。

丸山は、人間は『身分け構造』と『言分け構造』の二重分節の世界に生きているのだと言っている。

つまり、言語によって、今・ここを超えた過去や未来や死後の世界などを想像し、現実にはないものも

創造する力を持ち始めたんだ。そして、ホモ・サピエンスは、人間も含めて他の動物にも、

自然や自然現象にも精霊が宿っていると考えるようになったんだ。」

 「アニミズムの誕生だよね。現在でも、そのような信仰を持っている集団が存在しているの?」


  

(2018/5/25)

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