『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』
「難しい問題だね。私が今まで話したことを参考にして、これから、翔太たち、若い人たちが考えてい
ってくれ。一言だけアドバイスするとすれば、明治期に、伊藤博文が日本人の弱点であると感じた、日
本人は絶対的な唯一神の信仰を持たないということが、現代では逆に、日本人の強みになっていると
いうことを、私たちは自覚すべきだと思う。この、より狭くなった国際社会の中では、それぞれ一神教を
ベースとする文化を持つ民族同士が争うことは、人類に大きな不幸をもたらすことになる。それゆえ、国
際的な諸問題の解決に関して、多神教をベースとする文化を持つ、日本人の果たすべき役割が大きく
なっていると私は考えている。
ところで、日本がキリスト教国家ではないアジアの国なのに、なぜ、一時は世界第2位の経済大国に
なれたのかという翔太の最初の質問に、長々と答えてきたけれども、何かイメージはつかめたかい?」
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