『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』


 「ヨブは、まったく正しい人で、神が与えた律法を遵守しており、何の落ち度もない人で、財産もあり健

康で幸せな生活を送っていた。ところが、突然、財産を一切失い、ハンセン病にかかって健康も失い、

不幸のどん底に落ちてしまった。そこに、友人たちがやって来て、『あなたは、どこかに不義があったの

で、神の罰を受けているんだ。悔い改めて、神の道に立ち帰りなさい』と諭した。しかし、ヨブは律法を完

全に遵守していたので、ヤハウェに抗議した。すると、ヤハウェは『私が大地を据えたとき、お前はどこ

にいたのか』と、ヨブの抗議を一蹴する。つまり、人間もヤハウェの被造物であり、被造物が創造者に抗

議することなどできないということなんだ。

 この後、ヨブが自分は神の被造物であることを覚ると、財産・健康を取り戻したことになっている。

 この『創造神』という観念が、イスラエル人に、人間からの働き掛け(呪術)によって神を動かすことは

できないという思想を生み出し、ただひたすら律法を遵守し、現在は不幸でも、いずれやってくる神の救

い(救世主による地上でのダヴィデ王国の再建)を待ち望むという信仰を形成していった。そして、アケ

メネス朝ペルシアが新バビロニアを滅ぼすと、ペルシア王は、バビロンにいたイスラエル人に対してカナ

ンへの帰還を許した。」

 「ペルシア王は、どうしてカナンへの帰還を許したの?」

 
     

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