『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』


 「本物かどうかは、この場合あまり意味がないと思う。当時のイスラエルの人々にとっては、禍の予言

は忌むべきもので預言者を憎み迫害したんだ。

 しかし、ヘブライ王国が南北に分裂し、北のイスラエル王国がアッシリアに滅ぼされ、南のユダ王国が

新バビロニアに滅ぼされると、預言者たちの言った通りだった、神・ヤハウェはアッシリアや新バビロニ

アを動かして、律法を守らなかったイスラエルの民に罰を与えたのだ、と考えるようになった。その考え

によって、ヤハウェは、アッシリアや新バビロニアをも意のままに動かす世界神へと変貌していく。

 また、バビロンに連れて行かれ、強制労働を強いられたイスラエルの人たちは、ヤハウェの律法を遵

守し、ヤハウェの救い(この世でのダヴィデ王国の再建)を待ち望むという信仰を育てていったんだ。」

 「ヤハウェは世界神なのに、そんな不幸な境遇になってしまって、彼らは不満を持たなかったの?ちゃ

んと律法を守っていた人たちもいたんでしょ?」

 「そのことに関しては、『創造神』という観念を作り上げていくことによって解決を図った。そして、『創

造神』の観念を表現した作品が『旧約聖書』の中に記載されている『ヨブ記』なんだ。」

 「『ヨブ記』には、どんなことが書かれているの?」

 
     

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