『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』
「それは、まず割礼問題が挙げられる。この問題も複雑なので、回り道して説明することにしよう。
当時のユダヤ人たちは異邦人にユダヤ教を広めることに熱心で、ユダヤ教の会堂(シナゴーグ)に
は、力強いユダヤ教の神に魅力を感じていた異邦人が、ユダヤ教の準団員として参加していた。そ
して、その異邦人たちがユダヤ教徒になるためには、割礼を受けることが要求されていた。でも、割
礼を受けることは、異邦人にとってかなり抵抗があったようなんだ。
そして、アラム語を話すイェルサレムのキリスト教徒たちも、異邦人がキリスト教徒になるためには
割礼を受ける必要があるという立場を取っていた。そういったところに、割礼は必要ないと主張する
パウロが現れた。」
「パウロは、なぜ、割礼は必要ないと考えたの?」
「それはね、旧い契約が更新され、イエスをキリストと信じることによって義とされるという新しい
契約になったのだから、割礼は必要ないという考えなんだ。しかし、割礼問題に関して、イェルサレム
で会議が開かれることになった。」
「使徒会議ってやつだよね。」
「うん。その会議で、イエスの弟子たちのほとんどは、パウロ的立場に反対だった。でも、ペテロが
パウロの立場を支持したので、この会議ではパウロ的立場が認められた。」
「ペテロはなぜパウロの考えを支持したの?」
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