『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』


 「僕が学校の先生によく言われることは、学校のルールを守ることが大切だというようなことだけど、

やはり、集団のルールを守ることじゃないの。」

 「そうだね。ヤハウェは、誓約連合に加盟した部族の民を神の民(イスラエル)として選び、彼らにカナ

ンの地を与えることを約束する。その時、カナンに定着していた人々を皆殺しにしろと命じ、実際にそう

したと『旧約聖書』には記してある。そして、その代わりにヤハウェが与えたルールを遵守することを誓

わせるという契約を結んだ。」

 「一つの絶対的な正義を実行するということは、その正義を信じない人々にとっては、非常に危険なこ

とだということが、この頃、既に現れていたんだね。カナンに定着後、イスラエルの人々は、そのルール

をちゃんと守ったの?」

 「集団のルールは、次世代へと継承させていくことは難しいことなんだ。例えば、豚肉を食べてはいけ

ないというルールがあった場合、子どもたちになんと説明したらいいかな?」

 「その集団内で話し合って、どうしても食べたいなら、食べてもいいというルールに変えればいいんじ

ゃない。」

 「日本人の考えではそうなるよね。聖徳太子の十七条の憲法にあるように、和やかに皆で話し合え

ば、すべてがうまくいくという考え方が日本文化の底流に流れている。

 そういう考え方と対照的なのが、絶対神・ヤハウェが決めたことだから、絶対に変更は出来ないという

原則主義の考え方なんだ。ここが、日本文化とユダヤ教・キリスト教・イスラム教文化の決定的に異な

るところなんだ。」

 「それでも、ヤハウェは未知の神・外来の神だったんでしょ。そのヤハウェが与えたルール(律法)にな

じめない人もいたんじゃないの?律法は遵守されたの?」

 
     

       -197-

 MENUに戻る