『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』


 「『旧約聖書(ユダヤ教でいう『モーセ五書』)』には、モーセの妻はミデヤン人の司祭の娘と記載され

ている。」

 「ミデヤン人ってユダヤ人ではなかったの?」

 「ユダヤ人という呼び方は、古代ユダヤ教が成立して以後の呼び方で、当時はルベン族、シメオン

族、レビ族、ユダ族、ベニヤミン族などのセム系遊牧民がばらばらに存在し、それぞれの部族の神を信

仰していた。そして、ミデヤン人というのは、それらの部族とは異なる部族だった。そのミデヤン人の神

だったのがヤハウェなんだ。つまり、ヤハウェはミデヤン人の神であり、初めは唯一神とは考えられてい

なかったし、セム系遊牧民たちにとっては、まったくの未知の神・外来の神だった。そして、セム系遊牧

民の各部族は、モーセによって各部族の神を捨て、未知の神ヤハウェを自分たちの神として受容する契

約を結んだ。」

 「セム系遊牧民の各部族は、なぜ、自分たちの神を捨て、未知の神ヤハウェを受容したの?」

 
     

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