『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』


 「まずは、神仏を分離して国家神道を打ち立てようと狙ったのだと思う。もう一つの狙いは、膨大な寺

社領を没収して新政府の財源に充てようとしたんだ。

 そして、その影響下で、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の嵐が2~3年、全国で吹き荒れることになる。

仏像や石仏などが壊され、お経が燃やされたりした。」

 「人々はどうしてそんな行動に出たの?」

 「江戸時代、寺請制度というのがあって、人々はどこかのお寺の檀家になるよう強制されていた。つま

り、お寺は、幕府の下請けの戸籍係のような役割も担っていたんだ。寺社領などもあり、僧侶たちは比

較的裕福な生活をしていた。

 ところが、政権が一変し神仏分離令が出ると、それまでの民衆の鬱憤が一気に噴き出したものと思

われる。

 このように、何らかの原因で、ある一定の空気が醸成されると、それに流されて一斉に非理性的な行

動に走ってしまう傾向が、日本文化の中に存在するような気がする。」

 「それって怖いよね。そういった空気に抵抗した日本人はいなかったの?」


 
     

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