『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』


 「自覚することができないまでに、日本人の心に染みこんだ思想があって、それはまさに宗教と言って

いいと思う。その思想が、外から入ってくるどんな思想も日本化してしまう。」

 「その日本人の心に染みこんだ思想ってどんなものなの?そして、それはどのようにして形成されてき

たの?」

 「世界のどの地域でも、外部から思想が伝播してくると、その地域の伝統的文化との習合という現象

が起こり、外部から伝播してきた思想の変容が生じる。

 西欧にキリスト教が伝播してきたときも、そのような現象が生じたし、キリスト教がフィリピンやラテンア

メリカに伝わったときも同じなんだ。また、仏教がタイやミャンマーなどに伝わったときも、仏教の変容が

起こっている。

 その変容が日本の場合は著しい。外来思想が換骨奪胎されて、原形を留めなくなってしまう場合があ

る。かつて、日本のお坊さんたちが、夫婦でタイに訪れたとき、タイのお坊さんたちは、日本の仏教のあ

まりの変わりように驚き、日本から来たお坊さんたちは仏教徒とは呼べないと言ったそうだ。」

 「外来思想を換骨奪胎してしまう日本の伝統的文化って何だろうね?そして、なぜそのような文化形

成をしたんだろうね?」

 
     

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