『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』
「幕末に雄藩と呼ばれた藩は、藩政改革に成功して力を付けた。幕末の雄藩と言ったら、何藩か
な?」
「薩摩藩とか長州藩だよね。」
「そうだね。でも、薩摩藩は19世紀初め頃は破産状態だった。500万両に及ぶ借金があり、年収
13万両なのに、年間利息が年80万両だった。」
「まったくの破産状態だね。どうやって立て直したの?」
「当時の家老・調所広郷(ずしょひろさと)が、債権者の商人たちに250年の分割払いを認めさせた
んだ。」
「事実上の踏み倒しじゃない。商人たちはよく認めたね。」
「交換条件として、密貿易を優先的に扱わせることにした。藩がつぶれてしまったら元金も返ってこ
なくなるからね。そして、調所広郷は、砂糖の専売や商品作物の開発などを行い、1840年(天保11
年)には250万両の蓄えができるまでにした。その蓄えを使って薩摩藩の富国強兵策を遂行していっ
た人物が、薩摩藩第11代藩主・島津斉彬(しまづなりあきら)なんだ。」
「島津斉彬ってどんな人物なの?」
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