『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』


 「平洲は鷹山に儒教の基本的な学問を教え、そして、鷹山にこう言った。『民が飢えていたら、あな

たが飢えていることだと思えなければ、殿様になっては駄目だ』とね。」

 「鷹山は秋月家での父や兄の振る舞いを見ているから、その言葉は心にしみたんだろうね。」

 「それから、『何をやるにしてもまず勇気が必要だ』ということを教えた。

 鷹山はとても優しい人だったようだ。彼の正室となった女性は、身長が子どもぐらいしかなく、知的

障害を持っていた。彼は、そのような妻に対して、参勤交代で江戸屋敷にいるときは常に優しく接し

て、彼女の遊び相手をしていたそうだ。

 平洲は、そのような鷹山に対して、『優しいだけでは藩の改革はできない。やるべき時は勇気を持っ

て断固としてやらなければならない』ということを教えたんだ。」

 「鷹山は17歳で家督を継いだんでしょ。彼は藩主になってまず、どんなことをしたの?」

 
     

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