『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』


 「分かった。まず、イエスもその弟子たちもユダヤ教徒だったんだ。そして、彼らは皆、当時の

ユダヤ教の主流派の人々から、社会的にも宗教的にも差別されていた階層の出自なんだ。そして、

イエスは主流派の人々に批判的だった。だから、主流派の人々は、イエスを排除してしまいたかった

んだけれども、イエスは人々にとても人気があったので手が出せなかった。

 しかし、当時イエスを支持していた人々は、この地上にユダヤ人の王国を再建してくれるリーダー

としての役割をイエスに期待していた。」

 「でも、イエスが考えていた神の国というのは、この世のものではなかったんだよね。」

 「そうなんだ。だから、人々は期待を裏切られ、イエスから離れていった。そこで、主流派のユダヤ

人たちがイエスを捕まえてローマの総督のところに連れて行き、イエスはローマに対する反逆者だと

訴えた。」

 「なぜ、自分たちで死刑にしなかったの?」


     

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