『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』
「ユダヤ人たちはそうは考えないんだ。契約の道に立ち帰れば、週末の時に、必ずメシア
(救世主)が現れてイスラエル民族の王国を再興してくれると信じて、そこに希望を見いだしていた。
ここが、ユダヤ教のもう一つのユニークな点なんだよ。つまり、創造の時に始まって終末に至るという
直線的な時間感覚・歴史意識がユダヤ教の特徴の一つなんだ。古代のどの社会においても、時間は
円環的であり、昨日あったことは今日もあり、明日も同じようにあり続けるという考えが常識だった。
こういう社会では、時代の枠組みを突破するなんていうのは不可能だね。」
「そうか。そのようなユダヤ教の特徴を受け継いだのがキリスト教というわけなんだね。キリスト教
はどのようにして出現したの?」
「キリスト教の出現に関する詳しいことは、私が書いた『二度生まれの男・パウロ物語』を読むとい
いよ。でも、かいつまんで説明することにしよう。」
「僕はその辺はあまり知らないので、初歩的なことから教えて欲しいんだ。」
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