『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』
「古代においては、ユダヤ教はまったくユニークな宗教だった。というのは、当時、世界の
どの地域でも、宗教は多神教であり、神がただ一人だけなんていうのはあり得ないことだった。」
「そうだよね。宇宙で唯一の神を信仰しているのが、弱小のイスラエル民族だけなんていうのは、
どう考えてもおかしいよね。」
「それを解決したのが、選民思想と契約という考え方だ。神・ヤハウェがイスラエル民族を選び
契約を結んだというんだね。ヤハウェとイスラエル民族には血縁関係はない。ここが日本の神道
などとはまったく違う点なんだ。ヤハウェがイスラエル民族を神の民として選び、その代わり、イスラ
エル民族はヤハウェが与えた律法を守るという契約を結ぶことによって、赤の他人同士が結びついた
という関係だ。だから、イスラエル民族が契約条項である律法を守らなかった場合、神は容赦なくイス
ラエル民族に鉄槌を下すわけだよ。その典型的な例がノアの箱船の話なんだ。」
「ダヴィデ・ソロモンの王国が滅亡したのも、律法をちゃんと守らなかったからだというわけだよね。
でも、神によって選ばれた民なのに、そのような不幸な状態になってしまうなら、そんな神なら捨て
ちゃえばいいんじゃない?」
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