『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』


 「幕府の財政状況なんだけれども、三代家光(いえみつ)が幕府財政を湯水のように使ったので、

綱吉の頃はかなりの財政悪化状態になっていたんだ。さらに、貿易は絹・砂糖などの輸入超過によっ

て国内の金銀が海外へ流出し、貨幣の供給量が減少していた。当時は、経済規模が拡大してきてい

たのに、貨幣の供給量が減ってきたのでデフレになっていたんだ。そこで、勘定奉行に抜擢された萩

原重秀が貨幣の改鋳により貨幣の供給量を増やした。それによって、好景気となり、元禄文化が花

咲くことにもなる。」

 「でも、貨幣の改鋳はインフレを引きおこすんじゃないの?」

 「年率3パーセント程度のインフレにはなったけれども、賃金の上昇もあり、それほど庶民を苦しめる

ものではなかった。しかし、俸禄が固定されていた武士たちは困窮することになる。世の中は貨幣経

済となっており、インフレによって生活により多くのお金が必要になってきたからね。」

 「だから、綱吉は武士たちに恨まれたんだね。綱吉が亡くなった後、政治や経済はどうなったの?」

 
     

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