『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』


 「実は、『山王外記(さんのうがいき)』という作者不詳の書物に、綱吉のことがいろいろと書かれて

おり、そこに書かれていることが事実と信じられてきたからなんだ。」

 「綱吉は将軍だったんだから、死んだ後でも綱吉を悪く言う書物なんて発禁でしょ。どうしてその本

は禁書にならなかったの?」

 「綱吉の政策は、庶民の福利厚生には良かったけれども、旗本など武士たちからは恨みを買ったん

だ。だから、綱吉の後に実権を握った、将軍家宣(いえのぶ)の側用人(そばようにん)・間部詮房(ま

なべあきふさ)や新井白石(あらいはくせき)などがそれらの武士たちの怨みの気持ちを背景に、あえ

てその本を発禁にしなかったんだと思うよ。」

 「旗本などの武士たちは、どうして綱吉を恨んだの?」

 
     

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