『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』


 「確かに、江戸時代は平和が続き、中山道(なかせんどう)などは姫街道とも呼ばれ、女性の一人

旅も多かった。街道沿いであれば、女性の一人旅もできたんだ。当時の西欧では、女性の一人旅な

どは考えることさえもできなかっただろうね。」

 「前に、爺ちゃんから『ホントは怖い赤ずきんちゃんの話』を聞いたことがあるけど、ホントの話は赤

ずきんちゃんもお婆さんも狼に食べられておしまいという話で、子どもたちに勝手に村から出たら危

険だよということを教える教訓話だったんでしょ。お婆さんが森の中に住んでいたのは姥(うば)捨て

だよね。」

 「当時の西欧の荘園は森林を開墾して作られたものなので、周りは森林地帯であり一歩村を出れ

ば安全が保証されない無法地帯で、女性の一人旅などはできない世の中だった。」

 「江戸時代の平和な社会は、世界史的な観点から見たら、平和で安全という面だけ見れば、まさに

ユートピアといった感じがするよね。家康はどうやってそんな社会の礎(いしずえ)を作っていったの

?」

 
     

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