『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』
「前にも話した通り、秀吉は信長の構想を継承したのだと思う。つまり、中国や周辺諸国を制圧し、
東アジアの支配者になろうとしたのだと思う。その通過点が朝鮮半島だった。また、その構想を可能
と思わせるような軍事力があった。その頃、日本にあった鉄砲の総数はヨーロッパ全土の鉄砲の総
数よりも多かったらしい。性能も日本の鉄砲の方が良かったんだ。だから、そんなに無謀なこととも言
えなかった。
また、天下統一により日本国内は戦争がなくなり、武士の失業という問題が起こってきた。失敗した
後では無謀だったと批判もできるけれども、喜び勇んで朝鮮に渡った武士たちも多かったに違いな
い。日本の前線基地であった肥前名護屋城(ひぜんなごやじょう)は、大坂に次ぐ規模の城で、各地
の大名の軍隊が駐屯する一大軍事都市となっていたんだ。」
「じゃ、どうして日本軍は負けたの?」
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