『爺ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』のなかで,古代ユダヤ教についても記述したが,古代ユ
ダヤ教でポイントとなるのは,パーリア民族(賤民)であったユダ族・ベニヤミン族などの弱小部族が,パ
レスチナの都市国家に勝利して土地を手に入れるためには,各部族の神を捨てて,未知の神であった
ヤハウェを受け入れて誓約連合を結成する必要があったということだ。そしてその神観念は,ユダヤ人
の王国がアッシリアやバビロニアに滅ぼされたとき,アッシリアやバビロニアを動かしてまで,律法を守
らなかったユダヤ人に罰を与えた世界神として発展する。
また,ペルシア帝国によってバビロン捕囚から解放されたユダヤ人たちは,自分たちが律法を守り信
仰を維持したので,神がペルシアを動かして自分たちを解放してくれたのだと信じた。そして,イェルサ
レムに戻ったユダヤ人たちが神殿を再建し,モーセ五書を編纂することによりユダヤ教団を結成した。
こうして,ヤハウェは世界神・創造神・唯一神へと変貌していった。そして,キリスト教もイスラム教も
このユダヤ教を母胎として発生するということだ。
(2023/10/2)-27-