ヒトには,愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンが存在する。それが,他の動物にも存在するという。
例えば,熊が子を育てているとき,熊の脳内にはオキシトシンが放出されているということだ。
ただ,そのオキシトシンは子育てを促す働きと同時に,母熊を攻撃的にする働きもあることが分かって
いる。ヒトは,そのオキシトシンの放出量を増大させ,家族だけではなく,狩りなどを共同で行う集団も家
族同様の仲間と見なすようになった。それにより,狩りなどにおける,その集団の協力体制がうまくいく
ようになり,生存に有利になった。しかし,オキシトシンの増大は,その集団の外部に対しては,より攻
撃的になったのだろう。
人類にとって画期的だったのは,ホモ・サピエンスが言葉を発明し,その言葉によって神を創造したこ
とだ。同じ神を信仰することにより,より大きな集団を形成することに成功した。その集団の礼拝に参加
することによって,その集団の成員の脳内にはオキシトシンが放出されたに違いない。そして,そのこと
が,その集団の外部に対しては,より攻撃的になるよう作用したと思われる。
ホモ・サピエンスは,異なる神を信仰する集団同士で殺し合うようになった。
このような人間同士の殺し合いにピリオドを打つためには,地球規模の課題を解決するために,全て
のヒトが仲間となって協力し合うことが求められる。
(2023/6/22)-25-