先日、人類は中性化の方向に進化してきているという内容のNHKの番組を見た。
人類は類人猿から分かれた頃から、男性ホルモンであるテストステロンの減少が続き、男性が中性化
してきているという。人類は集団を形成することにより、過酷な自然環境を乗り越えて生存してきた。
その集団を維持するためにはテストステロンを減少化させる方が生存に有利だったのであろう。テスト
ステロンが多いと、チャレンジ精神が旺盛になると同時に、攻撃性が強まるという。そうなると、集団の
成員がお互いに協力するというシステムを維持することが難しくなる。だから、テストステロンを減少化さ
せる方向に進化してきた集団が生き残ってきたのではないだろうか。
ただ、あまりにもその傾向が行き過ぎると、他の集団に攻撃されて滅亡してしまうこともある。
ローマ帝国が滅亡したのは、国境防備のために財政が逼迫し、都市経済が衰退したのが主な原因と
考えられるが、ローマ人の若者のテストステロンが減少し、軟弱になって、国境防備のために屈強なゲ
ルマン人傭兵を雇わざるを得なくなったということも要因の一つであったと思う。
また、ゲルマン民族のフランク族が、なぜ多神教の世界に生きてきたのに、それらの神々を捨て、キリ
スト教の神を受容したのかも理解できそうな気がする。テストステロンは、筋肉量が多いほど、その放出
量が多くなるという。ゲルマン民族は筋骨隆々で、テストステロンの放出量が多く、攻撃的であったに違
いない。ローマ帝国や他のゲルマン民族を倒すまでは、その方が良かったのだけれども、フランク王国
を形成し、攻撃性の強いゲルマン人たちを統治し、秩序を維持していくためには、キリスト教の神のよう
な強力な神によって、彼らの行動を規制していく必要があったのではないかと思う。だから、フランク王
国の王・クローヴィスは、上からのキリスト教化を図った。しかも、アタナシウス派のキリスト教を採用し
た。これは、領内にいるローマ人の協力を得るためにはローマ人が信じるアタナシウス派でなければな
らなかった。
こうして、ゲルマン人たちは、自分たちにとって、しっくりとこない砂漠の宗教であったキリスト教を受け
入れることになった。その、しっくりこない感覚が、神が造ったという自然にたいして、神の秩序・自然法
則を見つけようとあがいたのだと思う。その結果として、西欧において自然科学が発達した。
イスラム教世界では、アラブ人はイスラム教を違和感なく受け入れたので、その世界に安住できた。し
かし、それ故に自然科学はあまり発達しなかったのではないだろうか。
日本人は、島国の稲作民族なので、もともとテストステロンの少ない民族なのではないかと思う。攻撃
心の少ない、和を尊ぶ民族であったのに、明治以降、欧米のまねをしようと無理して強がった結果が、
太平洋戦争の敗北につながったのだと思う。日本人は、これから、経済面や文化面で発展していけば
良いと思う。軍事面で伸していこうなどとは思わないことだ。
(2022/2/23)-16-