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かねてから用意していた「出産準備用品」を持って、私と母はこの病院の3階にある産婦人科病棟に入りました。
「初産なんて10時間以上かかってあたりまえ」なので、父にはそのまま帰ってもらいました。
産婦人科病棟のナースステーションには、すでに私のカルテが上がってきています。
トイレで採尿した後、ナースステーションで小さな紙2枚に自分の名前を記入しました。
これは小さなビニールのチューブに入れられ、一つは私の手首に、もう一つは生まれた赤ちゃんの足首に付けられます。
ちなみにこのチューブは、退院するまで決してはずしてはいけません。退院前のシャワーのときもです。
そうしないと何か事故があったとき、この赤ちゃんは確かに自分の赤ちゃんだと素早く確認できなくなります
赤ちゃんの取り違え事故もおきるかもしれません。どんなにうっとうしくても、我慢我慢。

普通はここで病室に案内されて病衣に着替えるのですが、
このときはちょっとした出産ラッシュで、ベッドが空いていませんでした。
そこでそのままナースステーションの隣にある「処置室」へ。
ここで助産婦さんに「血圧測定」と「内診」をしてもらいます。
「内診」というのは膣に指を入れて中の様子を触診することで、これまでも妊婦検診の度に医者に受けてきていましたが、
陣痛が始まっているこの段階では「子宮口の開き具合」を診ることになります。
「7cm開大」とのことでした。
それが済むとお腹にパッドを付けて、赤ちゃんの心音を確認します(「ノン・ストレスド・チェック」とかいいましたか?)。
ここで心音に何か異常があるとすぐに帝王切開などの処置が行われる事になりますが、
幸いな事に赤ちゃんの心音は実に強く、リズミカルに聞こえてきました。

さて妊婦の皆さん、皆さんはさっきから
あれはいつやるんだろう。ホントにやるのかしら?」と思っていらっしゃいませんか?
そう、マタニティー雑誌で読んだ「あれ」です。
やらなきゃいけないと頭で分ってはいてもできればやりたくない、なんとかして免れたいと思っている「あれ」です。
お待たせいたしました、それは今やります。「浣腸」です。
「イチヂク」と思ってはいけません。私の時は「バケツ」できました、「バケツ」で。それと大きな注射器
「腸にバリウム入れるみたい」と思いました(入れたことはありませんが)。
ここでびびって「うちで出してきましたから、浣腸はやらなくても結構です。」などと嘘をついたら、
後でもっと恥ずかしくて悲惨な目にあいますよ。
お産の「いきみどころ」というのは排便時のそれとよ〜く似ているので、きちんと出すものを出しておかないと、
生まれてきた赤ちゃんが、いきなりあなたのウンチにまみれてしまうかもしれないのです。
覚悟はできましたか? では、いきましょう!

注射器と肛門をチューブでつないで、おもむろに「ちゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」と入れてくれます。
少しして看護婦さんが聞いてきました。「宝塚さん、大丈夫?」
(へ? ってことは普通皆さんはこれぐらいの量で“もよおして”くるのかな?)
看護婦さんが2回も3回も聞いてくるので、なんだか申し訳なくなってきて、
それで「そろそろ行ってきます。」と、とりあえずトイレへ。
洋式の方に座ってみましたが、薬剤の量がまだ足りなかったのか、まったくそれらしい気配がありません。
(・・・アタシってば他の人より腸が長いのかなー?)と思いつつ時々来る陣痛をかわしているうちに、
どうやら効いてきたようです。ところが一度効き出すと、今度はなかなか止まらなくなってしまいました。
なぜさっさと用をたせないかというと、「いきめない」からです。
排便中でも陣痛は容赦なく襲ってきます。
でも今勢いにまかせていきんでしまうと、まだ開ききっていない子宮口が裂けて大出血を起こしてしまうかもしれません。
そうなると赤ちゃんの命も自分の命も、大変な危険にさらされる事になるのです。
トイレも命がけです。

そんなこんなで陣痛をかわしながらゆっくりゆっくり用を足しているうちに、陣痛もどんどん強くなってきました。
どうかすれば2〜3分おきにやってきます。脂汗がにじみます。ふるえもきます。
和式にしゃがんでるんでなくて、よかったよかった。
ときどき看護婦さんが様子を見に来てくれます。「宝塚さ〜ん、大丈夫〜〜〜?」(←とてものんき)
「・・・・・・・・だいじょぶです・・・・・・・」(←緊張の極み)
こんな会話が何度かあった後、やっとトイレから出られるようになりました。40分以上経っていました。

やれやれ、やっと産めるのね・・・、と思ったあなた。あせらないあせらない、まだですよ。
処置室で内診してもらったら、「9cm開大」とのことでした。おお、短時間のうちに、結構開きましたね。
「全開」が10cmですから、あと少しです。それまではどんなにいきみたくても我慢です。
では、浣腸の後ひがきがどんなふうにしていたか、それは次の回で御報告しましょう。

(99/12/8)

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