近未来編

香奈スペシャルNo.3-2

ジブトラスト膨張へ



神代のパワーアップ

神代の夫であり、頼りない香川大介は、世界のなんたらと云われる自動車会社でまだ、ぺーぺーであった。若い人が欠けている香奈ハイテク企業群なら出世できると欲を出し、密かに転職を図り、高収益高年齢の毛利ロボット工学研究所に話をして、転職した。しかし毛利ロボット工学研究所は、技術中心の会社だったので、事務屋もいた未来エネルギーシステムに管理業務を依頼していた。そこで、大介は、政則の指導を受ける事になり、小難しい経済の勉強をさせられ、やたらと難しい仕事も任され、年寄りは出張をしなかったので、未来エネルギーシステムの社員にもなり、年寄りたちの使い走りになり、こき使われる事になった。

神代は、結婚してから頭も冴え、予測の力も強くなった。まさしく大介のものは、ラーキー○○だった。神代の予測は明瞭だったが、予知できる期間が短かった。まだ3日間だった。それに自分の事は分からなかったし、自分の欲が絡むと狂いも生じていた。大介の精液を受けて、出産してから、予知の狂いが少なくなった。神子は、もっと長期間予測できたが、明瞭ではなかった。ぼんやりとした予測であった。神子は元々経済学を基礎としての予測であり、人は、最大利益を求めるように行動する事を前提とした予測であった。霊媒師のような感覚もなかったとはいえないが、神子の予測は、人は概ね合理的な行動する事が前提だった。神代は違っていた。未来が写真のように鮮明に見えた。予知と云ってもいい程だった。人は非合理的とも云える行動も時にはする。それを含めた予測であった。しかし、予測する本人にこうしたいとの欲がでれば、当然その予測は、狂いが生じた。絶頂感を味わうと、無我の境地になり、その狂いが少なくなっていた。二人で組んで、先物や株式をしていたので、カミカミファイナンシャルもジブトラストも好調だった。神代はジブトラストでは、ヨーロッパやアメリカの直属の子会社で先物と株式投資を担当し、運用手数料を貰っていた。カミカミファイナンシャルとしても取引した。大介が神代の中に出した翌日は、予測の期間は2日間伸び、より予知の精度が上がった。神代は大きく儲けたので、マリアと同様に、国内と海外にそれぞれカミヨファイナンシャルと云う管理会社を作り、運用利益の2%を管理手数料として、本体での神代の報酬等になり、運用利益の8%をカミヨファイナンシャルに運用指導料として貯める事になった。

神子と神代のチームが神之助を圧倒

大介の精液を受けると神代は、5日間の株や先物の初値、安値、高値、終値が分かり、神子と組んで、大胆に大幅に儲けだして、流石の神之助も二人のチームに負けていた。 3~5日の初値、安値、高値、終値の分かった二人に、神之助も敵わなかった。

神子のチームは、5年間程、神之助を上回り、圧倒的に儲けだした。神代の予知も勿論、100%の確率ではないが、かなりの高い確率で分かった。神子は渋谷の研究センターの中長期的予測を加味して、神子レポートを出していた。神代の予知を加え、神子のレポートも精度が上がり、お告げのように、ジブ社内で扱われた。神子レポートは先物や株式については、詳細に触れられていたが、商品相場や為替では、簡単に説明されていた。

神之助、奮闘  神元と神帥参戦

神之助は、独自に商品相場では神之助の判断を神之助のお告げとして付け加え、商品相場は、もう特に手数料や指導料にはならないものの、関係する孫会社との連絡を取りながら、取引した。取引にはその方が都合がよかった。為替は少人数のスタッフを金融センターに集め、奮戦していた。神元と神帥は、大学に入ると、少しずつ劣勢の神之助を手伝いだした。そして二人が、大学を出てジブトラストに入り、全面的に神之助を手伝いだした。 神元と神帥がジブトラストに入ると交代制で世界のマーケットでジブトラストとしては堅実に、カミカミファイナンシャルとしては荒っぽく儲けた。三人の霊力はもの凄く、結果を知って取引するのではなく、多くの孫会社も絡め、相場を仕掛けて、相手を蹴散らし、マーケットを従わせるように儲けて、要するに仕掛け相場に持ち込み、それこそ鬼のように儲けていた。神元と神帥があまり儲けるので、運用手数料も膨大になり、マリアたちと同様に二人には利益の2%分を管理手数料だけを本体に送金して、本体からヨーロッパ担当、アメリカ担当の給料として支払い、ジブカミファイナンシャルとジブカミスイファイナンシャルと云う財産管理会社を作り、利益の8%を運用指導料として、送金せずに、そのファイナンシャルに支払い、直属の子会社に管理させる事にした。税金も少なくなり、送金の手間も省けた。神元たちも同意した。神代の先物もカミヨファイナンシャルヨーロッパとカミヨファイナンシャルアメリカを作り、そこに運用指導料が貯められる事になった。

取引が増えるにつれ、直属の子会社は、単なる財産管理会社ではなくなり、取引補助や管理業務も増え、スタッフもまだ兼任であったが、増えていった。しかしディラー達を多く抱え、組織的な売買をする事までには、なっていなかった。天才的なプレイヤーとその回りのお世話係がいる程度であった。

ジブトラスト膨張化の兆し

神子や神之助たちのチームは、利益をあまりにも上げたので、運用枠が一兆を超えた時点で、枠拡大を止めた。会長と社長の枠は、小さかったので、そのままにした。ジブトラストの各子会社や孫会社の準備金は、出資金と同額の出資返還準備金を設定して、出資金の倍の配当準備金を設定して、子会社や孫会社が受け取る手数料や経費を引き取り、残りの利益の90%を配当する事にし、利益の10%を準備金として積み立てたが、それすら貯まってきた。それを超えると変動準備金として、準備金は5%だけとし、利益の95%を配当とした。ジブトラストの利益は膨張していった。配当も出資金の四倍でも出せそうだった。カミカミファイナンシャルでも上限を決めようと神太朗が神子や神之助に説得していたが、まだ上限設定が出来なかった。

香奈「神元君と神帥君が、ジブトラストに入って交代制で儲けだしてね。各地の直属の子会社でも神之助君たちの口座を置いて取引しているのよ。もう大変だよ。為替でも儲けているのよ。神子ちゃんたちと競争してね。あの五人は、もう凄い運用手数料だよ。あまり大きなお金になるから、マリアさんと同じように、直属の子会社内に財産管理会社を作ったのよ。つられて、止めるといってた正子さんまで時々先物をしているのよ。ジブトラストもついに10兆の現金が出来たよ。カミカミファイナンシャルではもっと荒っぽく儲けているらしいよ。このままでは、ジブトラストを抜く可能性もあるよ。神太朗君のチームも神一君が入って利益も上がっているのよ。投資の最大効率化と云って利益も大きく増えているんだよ。」
「マリアさんも切人君も儲けているしね。」
香奈「少し差があるけどね。」
「そんなに儲かっているなら、配当も増やすの。」
香奈「今は、ジブトラストとしても資産が増えているのよ。みんなそれぞれ独立しているようなものなの。神子ちゃんの所でも一兆もあるのよ、神之助君の所もそうのよ。配当を上げる事もできるけどね。後が大変だよ。私たちは、いくらなんでも、もうそんなに生きないよ。」
「ここにいると元気だし、香奈さんも若いから、年を忘れるよ。確かに私達がそんなに貰っても仕方ないね。子供達にもいいとも言えないよ。今はビルも好調なのに、運用会社の配当は今でもビルからの給料より遥かに多いのよ。みんなに出資をさせたからね。菊子さんの子供の菊太朗君と菊次郎君は、頑張っているけど、他の子供も気が抜けた奴ばっかりだよ。品行方正もいいけど、ジブトラストの配当頼みの生活で、若い時から年金暮らしみたいな連中になっているよ。小夜さんたちは頑張ってビルを大きくし、菊子さんも会社も作ったけどね、もう何かしようとする奴はいないよ。私たちは、無理矢理、子供たちに運用会社からの配当は、全額管理会社に出資させたけど、もう今の奴らは、管理会社にもお金はあると言って、もう半分程度しか出資しないのよ。相続で困れば、運用会社からお金を借りる事をあてにしてるのよ。病院も作ったけど、他から良い医者を集めるのよ。マチコジブ記念病院なのに、治部が頑張ろうとしないのよ。お義母さんが泣くよ。健も漸く役員になったら、重役ずらするのよ。洋之助会や運用会社の推薦があるからと気がつかないの、情けないよ。」
香奈「神二郎君はコツコツ儲からない会社を少しでも儲けさせようと頑張っているよ。利益も少し上がってきたよ。沙織さんも、又子供も出来たけどコツコツ儲けているよ。少し損もするから、神子ちゃんとは大きな差があるけど、頑張って儲けているよ。人間らしい儲け方だよ。神子ちゃんや神之助君たちの儲け方は、人間業ではないからね。」
「それでも、それが明日に繋がるような気がするよ。」
香奈「神一君は、色々と話を聞いてきて、成長企業に出資して、上手く利益出しているけどね、何か足りない気がするのよ。」
「神太朗君も香奈さんがいないとバラバラになりそうだと言っていたよ。神一では物足りないし、まだまだだとも言っていたよ。神二郎も頑張れない。会長室を頼ってくる会社も多い、会長室が大切と言ってるよ。」
香奈「そう言われるとそうだけど、もう十分な気もするけどね。」

恵たちの家系では、小夜が運営する冶部ビル、菊子が運営する菊子金属を除いて、新しい企業群はなかった。広く洋一、真智子の子供たちまで広げても、一部出資しているジブトレーディングと満と宏美が運営するヤングファンションチェーンを除いては、新しい企業はなかった。一族の会社などの株を保有する管理会社群もあったが、お金はジャブジャブ余っていた。やたらと傘下企業が増える俊子たちの家系や大きな企業群を抱える和子、香奈の家系と違い、株を保有する一族の会社の多くは、もう上場企業でもあり、出資したとしても経営に参画できる訳でもないし、どうなる訳でもなかった。関係する非上場企業を抱える人たち、菊子金属の菊太郎や菊次郎などを除いては、管理会社への出資意欲は格段に落ちていた。それにいざとなれば、ジブトラストにお金を借りて、相続対策をしようとする雰囲気があった。配当も、生活の面倒も見てもらっていた一家のドンである恵たちの手前、ジフトラストからの配当の半分程度を管理会社に出資するものの、残りの半分は、自分たちの管理下にした。それで、結構のんびり暮らす事ができた。医師とか上場企業そして政府関係の職場に勤めている人もいて、無理する必要はないと思う人たちが大勢だった。起業しようとする気持ちもなく、大企業になった一族の会社や大きな病院となったマチコジブ記念病院などに勤めていれば、それだけでエリートずらも出来た。恵、小夜、菊子たちのようにガッツを見せて、頑張ろうとする人はほとんどいないのが、現状だった。ジブトラストからの配当もほとんど管理会社への出資に回し、自分たちの企業で、走り回って働く香奈ファミリーや俊子たちのファミリーを横目に見て、みんなのんびりしていた。現在働いている企業に問題が起きたり、喧嘩して辞めても、いざとなれば大きくなった冶部ビル関係の企業にもコネが効いてもぐり込む事も出来たし、ジブトラストからの配当は入ってきた。三家族の中では、資産総額は最も少ないものの、自由にできるお金は最も多かった。一番のんびりしていた家系だった。

カミカミファイナンシャルも神子や神之助は、利益の3割は、自分たちのチームに保留していった。そしてそれが大きくなり、ジブトラストの資産を追いかけていた。それでも一兆五千億になった時点で、運用枠拡大を止めた。そして神代、神元、神帥にも独自の運用枠を与え、五人でそれぞれ運用枠を整理した。先物、株式そして商品相場は、ジブトラストとカミカミファイナンシャルとを一体となって運用していった。カミカミだけ荒っぽく取引するのではなく、慎重に運用していった。カミカミも急成長ではなく普通の成長になり、現金が貯まり、神一の薦める成長企業にも投資していった。神子や神之助もようやく落ち着いた投資になった。

香奈ファイナンシャルは、そんなに制限もしなかったが、香奈ハイテク企業の収益は急膨張していた。高齢者企業なので、大きな投資はしなかった。内部留保と配当とそれなりの社員還元をしていた。老い先が短い事はみんな自覚していたので、10年先など考えなかった。利益の一割程度は、社員への株の無償配布もしていたので、得られた利益は、配当とみんなの報酬に充てた。配当率は高く、40%程度もあった。それでも内部留保もした。最新鋭の機械や新しい研究設備を整えるのに必要だったし、年寄りたちは、逆に新しい機械設備が好きだったので、いつも最先端の機械を欲しがった。社員は、機械などの一族の企業や普通の企業の退職者や大学を定年で辞めた人を中心の企業だった。報酬は高くなったので、高給に釣られた優秀な経験豊富な年寄りが多く集まってきた。香奈年寄りハイテクでは、みんな年寄りが多く、当然、定年制もなかった。年寄りたちは、分岐状の水やリング状の水が漂う環境で仕事をして、その水も飲み、元気だった。しかし外部に出る事は少なかった。敷地内では元気でも外部にでると疲れたので、外部に出るのがいやな年寄りたちが多く、使い走りとか外部との接触要員として、若い人もそれなりに集めた。平均年齢は非常に高い企業だった。

切人の運用枠拡大!

香奈は、制約のない会社を、ジブの会長枠と併せて、暇になると大きく上がりそうな会社を見つけ、投資するやり方で取引をしていた。チャンスがあれば自由に取引していた。マリアは相変わらず同じペースで取引していたが、切人がやたらと儲け、ジブでも、海外の香奈ファイナンシャルでも、マリアホープでも異常な勢いで資産が増え続けた。切人はジブアメリカでも取引するように求められ、ジブアメリカでは、10億ドルの運用枠を貰い、ジブアメリカの特別取引担当の部長となり、切人チームもできた。ヨーロッパと同様の指導料、運用管理料を貰い、香奈ファイナンシャルアメリカをヨーロッパの海外香奈、国内香奈とで合同で作り、マリアホープアメリカを、ヨーロッパの各マリアホープで作った。国内の香奈ファイナンスンシャルも倍々以上に増えていったが、海外の香奈ファイナンシャルの成長は驚異的だった。子会社での切人とマリアの運用枠は、一定の運用枠だったが、香奈ファイナンシャルやマリアホープの運用には、制限がなかった、香奈ファイナンシャルやマリアホープの運用に比べると子会社としての運用金額が少なくなってきた。運用している金額がジブトラストより大きくなってきた。運用手数料が入る取引チームの収入は上がったが、本体には情報料が入るが、海外のジブ子会社への寄与は少なかった。利益比例の管理料が幾らか入るだけだった。子会社の首脳はジブトラストとしての運用が少ない事に不満を持ち、香奈や切人に、切人とマリアチームの運用枠にも3割ルールで運用枠の拡大を認めるように働きかけた。香奈も仕方なく、枠拡大を認め、枠拡大に使用した金額は、直属の子会社に配当として渡すお金から引いてもいいと認めた。

ごきげんソフトは、海外の子会社でも、取引する会社とのシステムを整えはじめた。国内と同様にジブトラストと香奈ファイナンシャルそしてマリアホープからのお金を年度始めに、各証券会社に割り振って、資金を一体となって運用する事になった。香奈ファイナンシャルとマリアホープからお金を預かり、ジブトラストとして運用して、利益や損失を割り振る事になった。切人はマリアと違い、株式投資もする人だったが、ジブトラストとしての株式の保有は基本的には、従来の子会社である企業投資と支援グループの領域だった。そのグループは、面白くない顔をした。それに会社から相談を受けている時に、勝手に売買されるのも問題だと言った。切人は資産効率だけの投資であり、企業支援や企業を相談した上での投資でない事を強調して、切人は、子会社の首脳とも話をして、ごきげんソフトに注文をつけた。先物と株式投資との比率を予め、ジブトラストは先物が100%、香奈ファイナンシャルは先物が80%、株式が20%、マリアホープは、株式が80%、先物が20%とするようにプログラムを組み直した。支援や企業相談を受けている会社には、国内と同様に制約をつけて、警告と取引できない取引システムを採用する事になった。それに年度初めに入れる資金も、多くとも香奈ファイナンシャルとマリアホープの合計は、ジブトラストとして運用する金額の1.5倍以下のお金を入れる事も約束した。保有する株式は売却する事があるので、それは大目にみて欲しいといった。こうして国内と同様のシステムが徐々に整備される事になった。ただマリアホープや香奈ファイナンシャルには、使用されないお金が貯まる可能性もあった。それは、先物や株式以外の債券や為替などの取引には、使用してもいいとの了解もとった。ジブトラストの直属の子会社では、債券や為替も扱っていた。

神元や神帥たちも同様のシステムを直属の子会社で採用された。もうカミカミとして荒っぽく儲ける事は出来なくなった。カミカミファイナンシャルから一定のお金を運用委託としてもらい、資金を一体化して、運用していく事になった。神代の先物も同様だった。

こうして切人たちは、ジブトラストとしての運用も拡大していく事になった。切人の生活のペースが変則的だったし、ジャンヌも良く妊娠し、子供も四人になり、切人がジブトラストにいる間は、ゆっくり休むようになった。

香奈の隠し会社構想 ほぼ破綻!

スイスのスイスカナコインは、はじめ香奈の海外の運用会社の残っていたお金の中から運用枠を与えたディラーが、運用しており、それとは別にチャがチャートを見ながら、先物を買いとか売りとか処理し、為替も長期的に処理していた。運用枠は利益分を回収せず寄付とか経費とそしてディラー達の取り分を除いて増えていった。チャは、運用手数料はカニや鯛だったので、運用金額は段々増えていった。スイスカナコインでも先物専門のディラーも出来、チャの取引を参考に取引を細かくして利益も伸びてきた、ディラーは猫の指示とは思わず、香奈の判断だと当然のように思っていた。為替も同様だった。初めチャが取引した金額がそのまま膨らんでいった。利益比例で年間を通して金も購入していたので、保有する金も増えてきた。保有する金が増えるに連れて、金の保有金額の10%分程度の金先物も別に用意し、始めていた。段々運用は大きくなっていった。

奈津実は、孫たちだけではなく、ジブトラストから配当を貰っているひ孫たちにも出資を広げていった。香奈関係の会社は多かった。それぞれの会社を創設した経緯も異なり、管理会社を束ねる管理会社を作ろうという発想もなかったし、出来なかった。香奈は自分の家系だけでは広く一族の人たちを応援していった。もっとも香奈に近い人たちが多かった事は事実だった。それぞれの会社や香奈ファイナンシャルへの出資を調整しながら、相談して出資していった。スイスカナコインは、隠れた存在でもなくなった。日本から、香奈以外の香奈の身内が年々増資していくようになった。国内の香奈ファイナンシャルでも香奈の比重が高くなった。現金も貯まっていた。香奈は国内の香奈ファイナンシャルの現金が1兆になった時点で香奈自身の出資を止める事にして、香奈自身が使わない現金は、又ジブトラストに預けるようになった。皮肉な事にその前後から、香奈の報酬がジブトラストの最終利益に比例して、拡大していった。ジブトラストでは、準備金に回すお金が減り、利益計上率が上昇していった。香奈の家や子供や孫そしてひ孫までの生活費などの多くの経費は、香奈が負担していくようになった。香奈はジブトラストへの出資も多く、勝たちも含めて、一家の通常の生活費のほとんどは香奈が負担するようになった。程度は異なるものの、敷地内の各家も同様だった。高齢者たちは、ジブトラストへの出資も多く、それに連動して収入も多かった。年寄りたちが、若い人たちの生活の面倒を見て、若い人たちが、相続のために、ジブトラストの配当を、一家の管理会社に出資すると云う構図が敷地内では一般的になった。勝のロボット工学研究所は香奈ファイナンシャルが大株主であり、勝や勝彦も働いていた。勝と真理の子供たちや孫も、ロボット工学研究所や毛利ビルの関係もあったので、香奈ファイナンシャルに少し出資したいと言った。、香奈ファイナンシャルは、菊子金属の大株主でもあったし、毛利ビルの関係もあったので、菊子の子供たちまでも香奈ファイナンシャルに少し出資し、道之助の特殊レンズ研究所などにも関係していたので、道之助と小百合の子供や孫たちも少し出資していった。香奈は、頼まれれば色々な方面に香奈ファイナンシャルとして出資していった。香奈ファイナンシャルが大きく保有をしている個々の企業の規模に併せて、関係する人の出資比率を調整しいったので、調整は大変難しかった。香奈ファイナンシャルの出資もいつもオープンにしていく奈津実が調整していった。

機械、資源開発、貴金属、カズコウォッチそして香奈オフィスなどに加えて、毛利不動産、香奈ファイナンシャルと多くの関係企業を持つ孫達やひ孫達は、調整して出資していた。香奈だけでなく、勝や真理そして小百合、道之助なども独自の資産を持っていたので、それぞれ管理会社を作っていた。出資は、いわば資産継承そして相続の準備でもあった。ジブトラストの高額の配当は、利益分与の形を取って、資産継承、相続の準備を整えさせるものでもあった。ただし敷地内では人は死なず、どんどんみんな長生きになり、子供たちはやたらと増え、それが出資対象者を増やしている事に繋がっていた。ジブトラストらの配当を受け取るとみんなで、大きな香奈の家の食堂に集まり、会議をして出資枠を調整するようになった。奈津実が香奈や勝たちの関係する各会社の現状、出資金の状況とその利益見通しについて説明して、みんなの意見を聞きながら、調整していった。奈津実は何でもオープンにして調整していく人だった。菊子の子供たちや勝や真理の子供や孫までも絡んでくるので、菊子達まで、スイスカナコインの内容を知るようになった。奈津実が主催する香奈関係の出資調整会議は、敷地内の大きなイベントとなった。

香奈の身内からの出資も増えてきた。香奈のひ孫まで出資して、隠し香奈ファイナンシャルではなく、もう一つの香奈ファイナンシャルとなった。香奈にとっては、スイスの銀行の秘密口座の窓口と金の保有するための会社と思っていたが、秘密口座よりも表の口座のお金が格段に増え、ディラー達が貰う利益の10%は年寄りの小遣いではすまない程、大きなお金になってきた。

「香奈さんはスイスでも運用しているらしいね。単なるコイン会社じゃないみたいだね。香奈さんのひ孫たちまで出資しているらしいね。みんなで出資する金額を相談しているのを菊子さんが聞いてきたよ。スイスなんかで運用していると晩寝るのが遅くなるよ。もう歳なんだから儲けるのもほどほどにしないと身体に悪いよ。」、
香奈「運用する積もりはなかったんだよ。金と金貨を保管するための会社の積もりだったのよ。証券会社を辞めた人に世話を頼んで、情報も集めて貰っていただけだったんだよ。情報だけ集めるのじゃ暇だし、少し運用枠をつけて、小遣い銭程度は自分で稼ぎなといっていたら、それが儲けだしたのよ。先物や為替はチャが示すように、試して取引していたら、それが結構儲けて、専任の人が細かく取引しているのよ。金も買うだけじゃつまらないとか言うから、少しだけ先物をやりたいと言うから、やらせているだけだよ。私は早く寝てるよ。結果の報告を受けて指示を出しているだけだよ。」、
「そうなの。凄い猫だね。本当なの?本当は香奈さんがしているのじゃないの。」、
香奈「私は先物はよく判らないのよ。為替は判るから、少しは変えるけど、変えない方がいい事が多いので、大体そのまま連絡しているよ。猫と年寄りたちの運用チームで細々と取引しているだけだよ。」、
「もう私たちは、無理して稼ぐ歳じゃないのよ。」

ジブトラストは膨張していき、大波乱の兆しが見えてきた。

一方、会長室の神二郎は、走り回っていたが、会長扱いの会社は、漸く黒字転換できる程度の企業だったり、所謂老舗で利益はあるがほとんど成長しない企業だった。受け持った株式も二千億程度で、配当も雀の涙程度でみんな合わせても15億程度で、収得価格との差もほとんどない状態だった。株価も低迷していた。沙織が青不動さんの応援も受けて五百億から少しづつ利益を伸ばし、漸く千億の利益になっていた。沙織の運用枠も少しづつ増え、三年たってようやく一千億になった。会長室の運用枠もやっと三千億になった。香奈は滅多に株式取引などはしないが、大きく儲けられる時には、流動性の高い株式についつい手を出すが、香奈自身は、よほど気に入った会社でないと、長期保有をせずに、それなりに利益が出れば売ってしまうが、神二郎が聞いたこと事もない会社に出資し、会長室として保有していた。神二郎が薦める会社は容易な事では上がらず、低迷している会社が多かった。そのため会長室は保有株は増えるものの、利益はそんなには上がらなかった。資産効率を重視する神子やいわば投機専門のような神之助のチームの運用枠は、一兆になり、利益も二兆を超えるかどうかと競争していた、カミカミファイナンシャルでは三兆に迫っていた。神太朗のチームも十兆を超える運用をして、利益だけでも一兆を超えていた。カミカミでも上場企業に投資は少ないのに3兆を越す株式を保有して四千億の利益があった。カミカミの現金だけでも五兆になった。時々しか先物をしない正子も既に五千億の運用枠になり、利益も五千億程度になっていた。マリアと切人も二人でジブとしても利益は一兆を超え、マリアホープにも五千億を超える現金が貯まった。

香奈ファイナンシャルでは、香奈は買った株は、利益が出れば、ほとんど売るので現金だけが貯まり、国内だけで2兆を超える現金を持ち、上場株は香奈が個人として保有していた一族の会社の株が中心で、非上場株は香奈ハイテクと香奈オフィス、毛利貴金属などの和子系列の会社そして長府や諏訪の不動産関係会社と香奈工業団地などを入れて、1兆近く株式や固定資産があった。配当だけでも二千億あった。香奈ハイテクは老い先短い老人たちが多かったので、配当も高くなった。香奈の海外では、切人はまだ香奈としては先物中心で、株式の保有は控えめで、3兆近い現金があった。マリア財団にも、カミカミファイナンシャル等と合わせて千五百億以上の寄付がくるようになった。

香奈「ジブトラストも怖いぐらい好調なんだよ。一時は安定したと思ったのに、影に隠れたジブでもなくなったよ。ついに15兆の現金が貯まったよ。」
「あれほど稼げば、影でもないよ。財団への寄付でも三千五百億になるよ。カミカミファイナンシャルは同じぐらいになったよ。凄いね、カミカミファイナンシャルは。」
香奈「もう限界だよ。財団も貯めた方がいいよ。瑠璃が自由に投資できるお金の額を奈津実に調べるようにいってるよ。香奈ファイナンシャルにも資金融通か増資の準備をして欲しいと言ってきてるよ。さすがハゲタカ瑠璃だよ。」
「それって不況になると云う事なの。」
香奈「そこまでは分からないね。でも陽一さんも転換点と云ってるよ。神子ちゃんも持ってる株を売りだしているよ。売りの時期だろうね。正子さんも神子ちゃんも先物では売りが多くなっているよ。神太朗君もどこまで売るか考えているよ。今まで好調過ぎたからね。切人も沙織さんも売りが強いよ。」
「みんな分かるのね。」
香奈「雰囲気がピークの感じだからね。香奈ハイテクにも、注意するように言っているよ。政則君も投資は暫く控えるようにみんなに言ってるよ。アフリカや南米が過熱しているよ。」

瑠璃は、死臭漂う動物があれば、機会を待って、空を飛ぶハゲタカのように、危機が訪れると、金を持って、鉱山などの資源利権を獲得していた。景気動向には敏感であった。ただ奈津実が実権を握りだすと、奈津美は、オープン調整し、利害関係先との調整をうるさく云う人なので、従来のハゲタカ路線も若干修正され、再生の方法も一緒になって考えるようにはなっていた。それは単なるハゲタカ路線よりは、利益も結局出たので、瑠璃もしぶしぶ従った。聖子も景気動向によって売れ筋が異なるので、肌で感じる景気動向には、敏感であった。有希も聖子も心理学を勉強した孫を自分の事業に入れ、虚栄心をかき立てたり、割安感を作る値段や売り方に注意を払っていた。高級品と低価格品と二つの路線は、違うものの、有希も聖子も景気動向には敏感であった。

聖子は低価格品の準備をさせていた。ただ世界中が好況になっていただけに、余韻は続き、有希のブランド品の好調は続いていた。しかし、神太朗は、ついに保有株の半分まで売った。神之助も売りを強めていた。ジブもカミカミも切人まで先物で売っていた。香奈は、神太朗から相談を受けた。一族の銀行株を処分したいといった。香奈も流石に悩んだが、信用で保有株の同額を売った。香奈もさすがに低くなった所で買い戻そうと思っていた。神子のグループは保有株をほとんど売り、神太朗は売らない保有株でも信用で売れるものは売っていた。沙織も売らないまでも信用で売れるものは売っていた。香奈の意向が伝わり、敷地内の一族は、一族の銀行からもほとんどの人は、預金を引き出してしまった。ジブトラストが、全預金を一族の銀行から引き出したのが、切っ掛けとなった。ジブトラストは、一族の人から、一族の銀行株も引き取り、それも信用で売り出した。先物の売り残も増え続け、買い残はどんどん少なくなった。それでもまだ少し、株価も景気も上がっていた。

香奈は、ついにスイスコインにも売りの指示を出した。チャも売れと言っていた。

一族の銀行、ついに倒産?

アフリカと南米関係の大きな企業が突然倒産し、一族の銀行の不良債権が表面化し、一族の銀行は、突然会社更生法の申請を出した。
表面的には12兆だが、もっと大きな不良債権があると言われていた。ドル円相場も円が70円を切り、60円台に突入していた。その上一族の銀行が大きなお金を貸していた別の複数の大企業の不正経理が表面化していた。大きすぎてつぶせない筈の大きな銀行がつぶれ、円は、みんなの望む円安になった。一日で10円以上も円安になり、80円になった。取引所も閉じるかどうか悩み、中途半端に後場からはじめた。それが下げを呼び、先物は一挙に制限一杯下がった。商品相場も軒並みストップ安になり、株価も軒並みストップ安になった。

実際はそんなに大した事ではなかった。12兆は大金だが大銀行では大した金額でもなかった。内々に援助の約束もついていたし、貸し出し残高が100兆に近い銀行では、12兆程度では、ゴミとは言わないまでも、更正法適用の問題になる筈でもなかった。理由は色々だった。突然選挙になり、大資本の保護も出来なくなった。もっと大きな大銀行が、円高で為替で10兆以上の含み損が生じていた。なにより与党の選挙資金が足りず、裏で為替で儲けようとした。一族の銀行の頭取が日銀総裁と銀座で女の取り合いをした。銀行内部の頭取派ともう一つの大きな銀行と通じた副頭取派の派閥争いが起きた。銀行内部でも過半数ぎりぎりで更正法の申請が決まっていた。国士ぶった頭取を追い出し、ジブからの派遣の役員を飾りの頭取として、ジブトラストから12兆貰うために仕組んだ大きな芝居でもあった。更正法を撤回して、ジブトラストとジブ上海銀行に買収させる話が裏で進んでいた。いくら金を儲けたジブトラストでも12兆もだせば、金はなくなるし、苦しくなるだろうと読んでいた。隠された不良債権を処理する名目でジブ上海銀行を一族の銀行の内部に入れ、ジブ上海銀行では、中国の出資比率を高めて、中国政府の支配力も高め、更に安くなった所で、中国が独自に、一族の銀行の株を買わせる事まで裏で話もついていた。そのための会社更正法の申請でもあった。中国政府が、ジブ上海をほぼ手に入れ、一族の銀行にも間接的に、大きな影響力も持ち、経営陣を握る計画だった。資金を出させて、ジブトラストを弱体化し、人も分散し、次にはジブトラストも分裂させ、ジブトラストの資産も手に入れる計画まで持っていた。次世代のジブトラストを担うと思われた神太朗を銀行に追いやり、ジブ上海銀行からの役員ともう一つの大きな銀行の息のかかった役員で取り囲み、銀行業務に不慣れな神太朗を身動きが出来ないように、お飾りの頭取にする意味もあった。一族の銀行を餌代わりにして、ジブトラストも釣り上げる壮大な計画が進行していた。もう一つの大きな銀行は、何でもできる銀行だった。

「香奈さんの言った通り、大変な事になったね。」
香奈「そうだね。神太朗君から、全株売りたいと云われた時は悩んだよ。ジブでも50円で信用を手じまったのに、今はついに2円だよ。」
「テレビのニュースでは、ジブとジブ上海銀行が面倒を見るかもしれないと言っていたよ。」
香奈「マスコミはきたけど、直接話はないんだよ、ジブ上海銀行からも何もいってこないよ、そう言ったよ。神一君が明日、知加子さんのお父さんに呼ばれているから、その話かもしれないけどね。陽一さんは、そんなに大きな不良債権があるとは思えないといっていたよ。」
「でも今回の騒動で、ジブ関連が大儲けして、10兆くらいは儲けたとテレビでも言っていたよ。」
香奈「みんな憶測だけだよ。」
「やっぱり噂だけなの。」
香奈「今の所では、ジブで12兆、香奈ファイナンシャルで6兆ぐらいだろうね。カミカミではもっと多いかもしれない。」
「凄いね。」
香奈「為替が大きかったね。神之助君のチームが驚異的だったね。切人まで為替やっていたんだよ。それ以外にもジブの海外の資産が、円換算でやたらと増えたの。でも税金もあるしね。」

3000円もした事もある一族の銀行の株価は、1000円まで落ちていたが、信用不安説で株価が更に落ち、更正法申請で監獄銘柄になり、値幅制限も撤廃されたが、買う人は信用で売っていた人ぐらいしかなく、倒産は、確定と云われていた。隠れた不良債権は山のようにあり、債務超過にもなっていると囁かれていた。2円では、10億株以上の大きな買いがあったので、それ以下にはならなかった。

一族の銀行の株を2円で買っている人もいた。沙織も青不動さんに言われ個人で買っていた。5億株も買っていた。中国政府に言われた会社も1円で10億株の買いを入れて待っていたが、沙織が2円で買っていたので、慌てて2円でも5億株を入れていた。3000円もした株なので、売る気もなれない人も多かったが、大企業も売らなかった。5億2千万株しか成立しなかった。一時は手がつけられない程の赤字と言われていたが、突然、救済の噂が夕方のテレビで報道され、真相が究明するまで、3日間取引停止となった。一族の銀行と云っても、純子がみんなの為にと、細々と小さな銀行を作って、担保も取らず、起業を応援し、資金繰りから経営相談をし、浪花節的な運営をしていた時から、時代は過ぎ、お国の偉いさんとの直通の経路も持ち、次々と合併を繰り返して大きくなっていた。一族の銀行も何種類もの違う銀行名のキャッシュカードがあり、どこの銀行か判らない程であった。大昔の銀行の名前のカードしか持っていない一族の人の関心は低く、香奈も気持ちは離れていた。それでも神一が岩下弥之助に呼ばれている時に、ジブ上海銀行に中国政府から話があり、香奈への親書もあった。香奈には、正人から内々の話があった。正人も日銀の偉いさんになっていた。正子も財務省や金融庁から内々の話で呼ばれていた。神一も知加子の父であり、なんとか連の会長だった岩下弥之助から、会社更正に協力して欲しいと云われていた。その翌日一族の銀行からついにジブトラストに正式に買収して欲しい旨の申し入れあり、その日、銀行もジブと協議中と発表した。それによると12兆の資金の融資と発行株式よりは少ない増資を引き受け、1株2円で90億を払う事になっていた。元々一族の持っていた株も入れ、ちょうど半分になる計算だった。当然会議を開いた。

香奈、一族の銀行を救済する決断をする!

香奈「どうするかね。もっと大きな不良債権もあると噂もあるよ。日銀からもそれとなく言われたよ。」
正子 「財務省筋からも、今回の融資をして債権放棄すれば、融資額を利益から引くと言われてます。今後の不良債権の処理もあるし、ジブ上海と手を組んで買収して欲しいような口振りでした。」
神太朗 「カミカミファイナンシャルの利益は、15兆になってます。」
香奈 「ジブ上海銀行に中国政府からも話があってね。ジブ上海銀行も入れて買収するなら、中国政府からジブ上海銀行に大きな増資すると言っていたよ。2円でも買っていたみたいだよ。」
神一 「岩下の父からは、とりあえずジブで買収して、その後ジブ上海と協議して欲しいと言われてます。あくまで創業家の買収として欲しいと言われてます。株もみんなもっているから、今回の増資で穏便に株も保全して欲しいとの事です。」
香奈 「話では、ジブトラストから頭取を出して、やがては、融資した金も債権放棄してくれと云う虫の良い話なんだよ。つまり12兆出して、頭取を出し、丁度半分になるように株を買えと云う事なんだよ。今までの株も穏便に処理したいと云う事だよ。銀行は勝手だね。」
正子 「はじめは日銀の融資とか政府の援助で処理する積もりが、急に選挙になり、大資本援助の非難を恐れて、こんな騒ぎになったみたいですよ。政府もそれで穏便に処理したいと云ってます。売らなければ所得にしないと云う理屈なんだそうです。」
神子 「陽一さんとも検討したのですが、確かにいくつかの不良債権もあり、銀行も苦しいですけど、そんなに大きな不良債権ではないと思います。」
神太朗 「たいした不良債権とは思えません。大丈夫ですよ。」
神之助 「少しは円安と思ってましたが、円安狙いの仕掛けもありましたよ。あんなに円安になるのもおかしいですよ。逆に、今は海外の直属の子会社では、少しづつ円に替えさせてますよ。カミカミも入れれば7兆になります。切人君も円に替えてますよ。それでももっと円安にしようとする動きもあって、一進一退なんです。」
香奈 「仕方ないね。やっぱり一族だからね。申し入れを受ける事にしよう。カミカミファイナンシャルとジブトラストで半々にしよう。頭取以外に陽一さんも役員になって調べて貰おう。ジブ上海の増資も少しだけ中国と一緒にしておくよ。様子を見てから、大幅な増資を中国から受けよう。私がそれは連絡するよ。それでいいかね。」
正子 「カミカミもいいですよ。そうしましょう。今度はいい銀行にしましょうよ。私から陽一さんの役員の事も含めて連絡しましょうか。」
香奈 「頼みます。」

香奈は、単に一族意識だけで、一族の銀行を助けたわけでもなかった。債権放棄による節税効果と一族の銀行の再生の可能性を考えて、マーケットがつけた最低価格での割り当て増資と融資のパッケージ案に乗っていた。もともとジブ上海銀行は出資比率が中国との比率は半々とは云え、規制の多い国では、所詮中国との窓口と云う意識しかなかった。ジブ上海銀行の増資をする事により、中国へのポーズを取ったものにすぎなかった。

こうして、一族の銀行は、会社更正法の申請を撤回し、直ぐに緊急増資され、緊急融資もされ、陽一は参与になり、銀行内部の本格的な調査を開始した。沙織の株取得も報告書が出ていた。沙織を含めれば、ジブトラストとカミカミファイナンシャルが半数以上の株を持つ銀行になった。陽一の銀行内部の調査は、様々な妨害もあり、正常債権を意図的な不良債権とする仕組みがあり、難航していた。頭取は辞め、非常勤の役員が頭取になり、臨時株主総会が開催される予定になっていた。株も希釈化されていたが、やがては、ジブ上海が中国の金を持って業務提携して参入すると観測記事が出て、以前の2000円台に戻っていった。値幅制限も緩和されたが、値が決まるまで暫くかかった。直ぐに信用銘柄に戻り、人気もつき、以前の高値の3000円まで一時上がり、売り物に押され、2000円に戻った。沙織は信用で平均すると2800円で5億株売り、2200円で買い戻していた。 そして臨時株主総会が開かれる事になった。

円安も選挙日まで、数日刻みで1兆円程度の仕掛けがあり、円安になればジブが外貨を円に換え、円高方向に動くと仕掛けがあり、円安に少し戻していた。選挙翌日から仕掛けが止まり、やがて円は前の70円に戻っていった。切人はユーロを円に替え、神之助はユーロとドルを円に替えていたので、今度は少しずつ、又戻していった。

沙織、波乱に乗じて、金を儲け、不動ファイナンシャルを作る

沙織と神二郎は、みんなと違って、運用手数料も少なく、ジブトラストからの配当があっても、管理会社へ出資するお金も少しずつ出して、残ったお金をすべてカミカミファイナンシャルにも出資せずに、少しずつ出資し、配当や手数料等で得るお金の三分の二程度は個人として持っているようにした。神二郎は、独自の視点でお金を貸したかった。沙織は、持っていた自分のお金を運用しだし、大暴落前には、個人でも先物も売ったし、銀行株を初め幾つかの株を空売りし、100億程度儲けていた。一族の銀行の信用売買で更に儲け、青不動さんの薦めるボロ株と言われた鉱山会社を3日間で、平均して100円で1億株買い、250円で五千万株売り、沙織は、又大きく値が下っていた通信会社の株を平均して300円で五千万株買い、500円を超えると全部売っていった。沙織はジブの沙織枠としても鉱山株と通信会社の株を買い、鉱山株は上がれば、半数を売り、通信会社の株は上がれば、全て売った。

その間は、なだらかな回復を見せていた市場で、神二郎は、関係する企業の対策や必要な緊急融資を詰めるのに追われていた。その上、沙織のお陰で貯まっていた運用手数料のお金やジブからの配当までも、当分黒字がでそうになく、香奈に話しても出資出来そうにない、追いつめられた中小企業に個人的に出資や増資と云って資金を出していた。元々みんなに比べると少ないので、神二郎のお金は、ほとんどなくなってしまった。沙織は、暴落の時に個人としても大儲けし、株も保有していたので、神二郎と二人で不動ファイナンシャルを作った。沙織は大した税金なんか払った事もなく、株も含めてみんな出資してしまった。神二郎は、そのお金までも、更に追いつめられた中小企業に、不動ファイナンシャルとして、出資や増資の形で緊急融資をしていった。

ついに臨時株主総会、続いて取締役会が開かれ、一族の銀行の頭取には、神太朗がなると思われたが、神一がなり、陽一が専務になった。

神一、二十歳代で、一族の銀行の頭取になる!

「神一君が頭取になったの。若すぎないの。」
香奈 「どうもあいつらの芝居だったようなのよ。はじめから、神太朗君を飾りの頭取にする計画だったの。陽一さんの調べでは、そんなに大きな不良債権でもない可能性もあるの。正人も意外な顔をしていたわ。ジブでは複数の役員を出せないと読んでいたのよ。頭取の首を替えるだけの計画だったみたいなの。ジブ上海からも言ってきたわ。中国にも1円で買わせる約束もあったらしい。でも沙織さんが青不動さんから買えと言われて買っていたのよ。我々が、完全に過半数となったし、神太朗君も、神一君の勉強にはいい機会だからといって、送り込んだのよ。」
「陽太君も優花ちゃんも議員になったね。」
香奈 「一応、立候補できる年齢になったからといって、優花ちゃんのレストランがあった所から出たのよ。ごきげん党も作ったのよ。一杯立候補して、比例で優花ちゃんも当選したの。ごきげん党も6人も当選したのよ。みんな唖然としていたわよ。」

陽太、なんとなんと大臣になる!

陽太は、最年少議員とて、わずか6人の党ではあったがごきげん党の党首になっていた。老人施策の充実と赤ちゃんをもっと産める環境整備を訴え、お腹の大きい優花も、つわりで眉間に皺を寄せながらも運動した。全くの泡沫候補で、冷静な神子は、呆れて金を出さず、優花や陽太のお金だけで運動した。レストランやビルを増やしていたので、金はあまりなく、供託費を払えば、ほとんど残っていなかった。優花のビルの相談会にきていた人たちの応援だけが頼りの選挙であった。大銀行の倒産でみんな暗い気持ちになっていたのが、突然の再生劇で、みんなの気持ちも変わり、劣勢と見られていた与党連合も頑張り、与野党は伯仲した。全くの泡沫候補の陽太たちは、独自の運動を展開し、優花は歌い出すし、陽太も自分も泡沫なのに、みんなの選挙区まで行って、応援していた。陽太の演説は、大した中身はなかった。年寄りを大切にし、子供を産み、育てられる国にしようと言うだけだった。それでも聴いている人は、気持ちが明るくなった。次第に人気が出た。与野党は中傷合戦に終始した。政策提言も細かく出したが、立候補していた立花努と知加子が頼まれて、論文でも書くように書いていた。500ページもあり、引用文献も10ページ分あり、財政学の論文だった。当然誰も読まなかった。なんと驚く事に6人も当選した。与野党の差は、野党を合わせると与党より3議席も多かった。参議院も伯仲していたが、数議席与党が多かった。ごきげん党も連立に加わり、陽太は、年寄りを大切にし、子供を産み、育てやすい政策を取り入れてくれるなら、連立に応じるといって、細かい話まではせず、ただすべてを一任して欲しいといって、財務大臣か厚生労働大臣を希望した。当然ながら厚生労働大臣になった。財源も勉強したいと云って、財務副大臣にも一人入れて貰った。大学の財政学の教授を定年で辞め、優花のお元気レストランの常連で、寿クラブの常連でもあった立花努が財務副大臣になった。陽太と優花は、折角出資していたジブトラストとカミカミの出資を、陽太が大臣さんになる前に、誤解を招くといって、返還してもらった。ジブトラストもカミカミも枠を空けて、待っている事にした。優花のお元気レストランも神子の貸していたお金を出資に替えて、神子が優花の代わりにレストラン関係の専門家を探して社長とし、優花の帰りを待つ事になった。

この時に神子は自分の管理会社を作り、自分の管理会社が大きく出資して、神子個人が貸したお金を一旦返済してもらい、更に専門家に云われるように更に少しは、レストランの店舗展開もできるようにしていた。神子は複数の管理会社を作っていた。それをみていた神之助も同様に複数の自分の管理会社を作った。神之助は商品相場、為替相場など複数の相場に関与していたので、それへの対応と言う意味もあった。しかし二人ともみんなのように自分の管理会社として運用するのは、そんなにしなかった。ジプを大きくし、カミカミファイナンシャルも飛躍的に大きくした二人であったが、自分のお金を更に運用する事はなぜかあまりしなかった。カミコファイナンシャルとかカミノスケファイナンシャルと云う、それそれの個人会社の元締めみたいな会社も作り、ジブトラストでも外部運用会社として、認めて貰っていたのに、その会社での運用は、そんなにしなかった。大儲けできる可能性もあるが、外れる事もありそうな時。つまりリスキーな投機のような投資に使った。ジブトラストやカミカミとしてではなく、運用委託として、自分の傘下の孫会社に資金提供するだけだった。もっとも、それは大概の場合、大儲けした。二人はやたらと儲けていたし、初めから、二人の個人会社の資金力は大きく、二人の個人会社群はやたらと大きくなっていた。

「凄いね、最年少大臣だと云っていたよ。財団の連中も喜んでいるよ。やりやすくなるかもしれないよ。」
香奈 「陽太君が本当に出来るかは、分からないよ。お飾りになるかもしれないよ。」

陽太は、三ヶ月間、よく勉強しましてと云う枕言葉で話して、よく勉強しまして大臣と云われ、みんなの話を聞くだけで、特に新しい事もせず、判子を押すだけの大臣だった。みんな馬鹿にして何でも教えてくれた。立花努も普通の副大臣で、ただやたらとよく調べていた。まだしぶとく形を代えて残っていた特会も調べていた。

「陽太君は、よく勉強しまして大臣と云われているよ。今までと何にも変わらないよ。やっぱり、お飾りになったね。」
香奈 「まだ三ヶ月だよ。」

突然陽太は、高齢者の無料診察制度と出産費の全額国庫負担と妊婦の回数無制限無料の検診制度を、閣議了解も事前折衝もなしに、何の財源も示さず、大臣案の形で発表し、国民の意見を聞きたいと言って公表した。政界は大混乱になった。財源論が山のように吹き出し、大臣罷免、連立瓦解が囁かれていた。野党まで無責任と言って反対した。陽太は、詳細な必要経費の試算を省内に命じ、一ヶ月間、国民からの意見を待つといっていただけだった。

「あれは、吃驚したよ。でも出来るのかねえ。出来たら、凄いよ。今まで財団がしてきた事もあるけど、国の制度でするのは、難しいと思うよ。財団でも興奮しているけど、無理だろうね。」
香奈 「そうかもしれないね。撤回しないと大臣罷免になるだろうね。神子ちゃんもそうなると言ってるよ。」

陽太、大臣を罷免される!

陽太は、寄せられた意見と立花の意見を参考に、省内から得られた試算結果を基に、国庫負担が十何兆にもなる制度と一つの特別会計の余剰金を充てる案を考え、公表し採用を迫った。当然受け入れられず、連立は瓦解し、少数与党体制で少しもったが、不信任が通り、又選挙になった。陽太は、以前の案を更に詳細に詰め、今度は全国民の無料診察制度まで拡大した詳細な国民安心プログラムを掲げて全国的に訴え、選挙した。神子は、今度はお金を貸したが、ごきげん党にも個人寄付が集まった。今度はごきげん党は、東京だけでなく、多くの地域に立候補して、比例も含めて50人に増えた。しかし国民安心プログラムは採用されず、何も決まらない大連立になった。

「ごきげん党は増えたけど、結局何にも変わらないね。」
香奈「国民の意思だからね。でも無料診察制度が論じられた意味は大きいよ。陽太君は、いつかはすべての国民が受けられる無料診察制度が実現すると言ってるよ。」、
「神一君は、大丈夫なの。大人しいね。」、
香奈「大きな組織だから、掌握するのも大変だよ。色々勉強しているみたいだよ。陽一さんも大変そうだよ。でも思ったほど悪くないらしいよ。ジブ上海からの増資どころか、12兆も要らないみたいなのよ。でも約束通り、もう債権放棄してしまったの。」
「運用会社は、大人しくなったね。もうがんがん儲けていないみたいだね。」
香奈 「一時はどこまで儲ける積もりか不気味だったけど、みんな慎重になったよ。カミカミファイナンシャルも大人しいらしいよ。切人も早く帰る時もあるよ。神之助君たちも、子供たちも結婚しそうな年になっているから、一家で取引も休んでギニアに行ってるよ。休むのも好いんだよ。相場にしがみついても、動かない時は動かないよ。」
「財団も一時大変だったけど、又安定してきたよ。色々な年齢層から、相談された時は大変だったよ。相談員も数が増えて対応できているよ。基金も一杯あるしね。マリア財団も少しずつ動いているようだね。アジアもみどりさんが漸く財団を組織できたよ。かなり動き出したようだよ。まだこれからが大変だよ。」
香奈 「規模は小さいけど神二郎君たちも、頑張っているよ。不動ファイナンシャルを沙織さんと作ったのよ。突然上がるボロ株もよく見つけるのよ。儲けるのは、沙織さんだけみたいのようだけど、ジブの会長枠も使えない所にまで、出資しているよ。会長枠も増えてきたのよ。5000億になったよ。来年はもっと増えそうだよ。沙織さんの先物も神子ちゃんとの差は大分あるけど、結構儲けるのよ。」
「今苦しいけど、良くなる所を応援するのも好いことだよ。」
香奈 「そうだね。そう思っているよ。出資している鉱山会社が挨拶にきて、瑠璃を紹介して商売の話になった事もあったの。なんかとか云う稀少金属の鉱山を持っているらしいよ。沙織さんは、青不動さんから、半分は持っていろと言われたらしい。瑠璃は、大暴落の時に幾つかの鉱山を叩き買ったけど、ここの鉱山が欲しかったらしいよ。」

大暴落の後は、なだらかな状態が暫く続いていた。震源地とも云えたアフリカや南米は大きく下落した後も暫く低迷していた。世界もそれに引きづられ、低迷し、みんなの取引も低調になった。神之助一家も珍しく家族旅行をするほどであった。ジブも神太朗のチームから神一が抜け、研究センターから陽一が抜け、神太朗も神子もチームの再編成で忙しかった。相場も低迷していたので、取引は低調だった。切人まで早く家に帰るようになっていた。そんな中、沙織は、少しは様子を見ていたが、いち早く取引を増やして、細かい利益を積み重ねていた。青不動さんもよく出てきて、不動として更に沙織の枠として盛んに取引をして、いち早く上がろうとしている株を探して、かなり儲けていた。

青不動さんは、見込みのある企業の場合は半分は持っていろと薦め、神二郎が薦める、聞いた事もない中小企業の株も買ったにも拘わらず、お金も貯まり、保有株も貯まっていた。会長枠でも香奈と相談して、株を買い、保有していった。

会長枠の企業は、元々そんなに高い株価でもなく、大きな下落もしなかった。信用で売れる所は売っていた。香奈も先物なんかはしないものの、こんな時には、暴落した株を買うのが好きだった。香奈はよほど気にいった会社の株式以外は全て処分する人だったので、そんなに保有株も増えず、会長枠の利益が3000億になり、神二郎の斡旋した出資と沙織が買った株や香奈の残した保有株は1000億となり、3割のルールで会長枠の現金は、ほぼ変わらず、保有株だけ増えた事になった。沙織の枠の1000億は、1500億も利益を持っていた。会長枠として、3000億相当の株を保有する事になったが、配当などはまだ30億も見込めなかった。沙織個人としても突然1000億程度も儲け、税金分も残さず、株も現金も不動ファイナンシャルに出資し、かなりある筈の現金も神二郎が気前よく出資し、三分の一以下に減っていたので、沙織は慌てる事になった。香奈が同情して、会長枠の利益も少しだけ沙織に渡し、沙織は香奈に税金分を借り、なんとか処理した。今後は、沙織は、会長枠として保有している株の保有額の10分の一だけ先物取引をする事になった。沙織は多大な借金を香奈からする事になった。今後は、不動ファイナンシャルとして税務処理をする事になった。会長枠は増え、沙織枠も増えた。お金としては、三分の二程度は聞いた事のない会社の株に多く替わったが、結局個人として大儲けした形となった。ジブトラスト社内でも個人取引して儲けた人も多かった。新宿では、ジブトラストとして取引もしたし、社内で取引も出来た。渋谷でも社内に取引システムは設置していないが、社外で証券会社に口座をつくり、取引をしている人もいた。個人取引には甘いジブトラストではあったが、株式保有が多くなり、誤解を生む取引は避けなければならない。ジブトラストとしての取引をする人には、個人取引を禁止するのではなく、個人として取引する時は、自己責任を明確にして、自分の個人口座をジブトラストに申告して、ジブトラストとしての年間報酬以下で、ジブトラストに運用を委託する形にする事にした。運用会社として形を取る時は、ジブトラストとしての了解を取って、ごきげんソフトに登録して行う事にした。利益比例で5%の情報システム使用料及び諸経費そして管理料など引かれるが、この形でなら、認める事にした。秘密情報に触れる機会の多い渋谷や管理セクションは自己取引を禁止した。ただ社員特典として、ジブトラスト本体もしくはジブトラストの子会社や孫会社を指定して、年間報酬の範囲内で、運用委託する社員特別出資を認めた。 社員特別出資は、ジブトラストの株主と同様の配当率を約束するものであった。社員特別出資や自己売買を認めたのは、カミカミや香奈ファイナンシャルのように、経営陣自ら、別の運用会社を組織していたためでもあった。

ジブトラスト 孫会社の管理を徹底化

ジブトラストもカミカミファイナンシャルも全体としては大きく儲けたものの、海外の子会社や国内の子会社が抱える孫会社で大きな損を出し、変動準備金どころか、配当準備金まで損は拡大していた。その上一族の銀行への特損も出て、利益や税金はむしろ少し減った。香奈ファイナンシャルも、国内では香奈が管理しながらの取引だったので、ジブの会長枠として多く取引して、香奈ファイナンシャルとしては、そんなに取引をしなかった。切人が頑張り、海外は驚異的に利益を上げていた。スイスコインも画期的な儲けをした。

香奈「銀行への特損は仕方ないけど、孫会社で大きな損を出している所があったのよ。今回はそんなに響かないけど、やっぱり放っておくわけにはいかないわ。」
正子 「投資は自己責任ですよ。沙織さんや切人さんも大きく儲けていますよ。適性のない人の退場は仕方ないですよ。」
神子 「渋谷からもちゃんと警告していましたよ。ほとんど儲けていますよ。判らない人は仕方ないですよ。」
香奈 「それはそうだけど、子会社でもかなり利益もばらついているよ。孫会社では、大きく儲けている所もあるけど、大きな損も出している会社が出たのは気になるのよ。海外でもそれぞれ寄付もしているのよ。やっぱり、前のように定期的な取引状況の管理も必要と思うのよ。」
神子 「数も増えたから、時間も取られるのですよ。陽一さんも銀行に行ってしまったので、研究センターもみないといけないです。」
神太朗 「神一も銀行に行ったので、僕の所も大変なんです。」
神之助 「そうはいってもやはり、取引状況の管理は、必要ですよ。商品相場では、孫会社にもポジションの確認をしてますよ。商品相場では、利益に差はあるものの、みんな儲けてますよ。為替は僕の所で直接していますよ。」
神子 「神之助の所は、二人も増えたからね。」
香奈 「渋谷の海外総括で孫会社担当を作って、又本体指導料を取ってもいいから、孫会社を指導して欲しいのよ。それにもうこれ以上の利益は取れないわよ。取引だってそんなに大きな量はもう出来ないでしょう。沙織さんは小さい会社も取引するから、結構時間かけて取引してるよ。」
神之助 「確かに為替も小さい単位に、既に分けていますよ。商品相場は僕の所で管理してもいいですよ。市場も限定されますし、ポジションの調整も指導していきますよ。」
神子 「仕方ないですね。研究所の人も一部兼任にして、やりましょう。」
香奈「商品相場は、神之助君の所が管理して、先物と株式は神子ちゃんが渋谷を通して、管理する事にしましょう。少し本体からも出資して、本体指導料はあんまり高くても大変だから、利益の5パーセントにしてね。子会社は本体の管理に報告して貰うわ。」
正子 「カミカミも慎重にしてね。陽太も議員だし、そんなに無理してもそう利益もでないからね。」
神太朗 「そうですね。神一も銀行だし、沙織さんの信用での売買でも色々云ってきてました。色々難しくなりました。」
香奈 「神一君とは関係ないでしょう。あれは単に上がりすぎなんだから。」
神太朗 「まあそうですけど、ジブとカミカミで過半数ですから、色々言う人もいるのです。」
香奈 「沙織さんもこの頃は、株式投資はみんながノーマークの会社を探して投資しているけど、注意しておくわ。」

沙織と神二郎、不動ファイナンシャルを運営!

孫会社にも、直接本体からお金を出資して、儲けた会社は出資金と云う運用金額がより大きくなり、損した孫会社にも従来の運用が出来るようにして、本体からの管理もより厳重に行う事にした。しかしもうそんなに大きく相場は動かず、ジブトラストもカミカミファイナンシャルも株式売買は調整色が強くなった。その上、神之助たちも神子たちも管理にも忙しくなり、ジブトラストもカミカミファイナンシャルも運用している金額も減り、1兆も使わなくなった。取引も慎重になり、運用も細かくなった。配当の変動もあるが、それぞれ利益は、五兆ペースに落ちていった。そんな事とは関係なしに、切人は、先物も株式も取引し、貯まってきたお金で、為替まで手を広げていたが、それなりの限度も持って、自然と取引は限定的になった。まだまだ元気な正子は、自由な感覚で時々先物をし、沙織はジブの沙織枠と不動ファイナンシャルとして、新しい掘り出し物を探して株式売買をたまにして、先物を中心に取引していた。沙織は、香奈にもお金を借りていたので返さなければいけなかった。沙織枠でも頑張った。青不動さんも応援した。

「ジブ関連がどうだ、こうだとは言わなくなったよ。静かになったね。色々な国からお客さんが来ているけど。」
香奈 「ジブも香奈も安定してきたよ。カミカミファイナンシャルも慎重になってね。子会社や孫会社の管理も又するようになったから、向こうからも打ち合わせにくるんだよ。」
「財団も基金が増えているから、なんとか安定してきたよ。」
香奈 「気がつくと、一番小さいけど、会長室が昔のジブみたいになったよ。沙織さんは、よくやっているよ。税金の怖さが判ってないので、私がお金を貸したよ。税理士も紹介したよ。不動ファイナンシャルの税金の面倒も見て貰う事になったのよ。青不動さんはもうすこし時間が欲しいと言っているよ。神二郎君が担当している会社も少しは利益が出てきそうなんだよ。」

神元、神帥そして神香、一挙に結婚へ

神元と神帥は、恐ろしい程儲けて、生活ペースもみんなと違っていたが、騒動が収まり、ジブもカミカミも落ち着いて、週末にはパワー充電のため、京都と奈良に二人で行った。一つ違いの兄弟であっが、双子のように連んでいた。大元帥明王さんをお祀りしている寺院があり、二人で大元帥明王さんとお話をして、元気を貰った。その後珍しく別行動を取り、神元は京都に行き、神帥は奈良市内のお寺をお参りして、更に元気を貰おうと思っていた。神元は京都の北の外れの高台にあるホテルを予約して、市内のお寺に参拝していた。京都のお寺は、繁華街の近くにあり、女子大生の2人ずれと出会った。ホテルも同じだった、ホテルは決して安いホテルではなかった。二人とも資産家のお嬢さんだったが、資産家のお嬢さんでも品行方正とは限らず、お寺を参拝する格好でもなかった。神元は義憤を持った。盛り場で働く姉ちゃんのような格好をしていた。そして一人の女の子は、もう一人の女の子を置き去りにして、前もって約束していた男とニャンニャンするために、急いで出かけた。単なるアリバイ工作で、友達と旅行していただけだった。取り残された女の子は、松山聡美と云うとやたらと露出の多い子だった。聡美は、仕方なしに神元と一緒に歩いた。犬を連れるよりは、ましだった。神元はやたらと義憤を持つタイプの男で説教するつもりで、喫茶店に入り話をした。聡美は、好き者の上、両刀遣いの女だった。男とも女とも出来た。その上変な趣味もあり、アソコに拳を入れらるのが好きだった。そしてガバガバなアソコを持っていた。小さなものをアソコに入れられてももう感じにくくなっていたが、好き者だったし、今日は独り寝になるのが嫌で、神元がトイレに行っている時に、「いつまでも元気で限定品」をコップの中の水と入れ替えた。そして自分も飲んだ。そして神元が帰ってきて一気に飲んだ。聡美は気分が悪くなった振りをして、二人でホテルに帰った。聡美は、ゴムなどは風船遊びするほど持っていた。甘い考えの聡美は、数時間後思いしった。神元は、拳よりも大きく、長く、堅かった。そして2時間突かれ、ガバガバのアソコも、もっとガバガバになり、かつてない味わった事のない快感が全身を駆け回り、そして体の中に衝撃が走って意識が消えた。

大元帥明王さん「お前みたいな女にする積もりではなかったが、お前の後に歩いていた子になる筈が、少しタイミングがずれた。仕方ないから、頑張れよ。」
聡美 「私は、どうなったの。」
大元帥明王さん 「今、お前の体と精神を浄化している。遊び過ぎて再生するのに、大変な手間だ。でもお前もそんなに馬鹿でもないから、頑張れば伸びる。大変だけどこれからが、修行だ。」

大元帥明王さんは、聡美の後ろにいた、静かな女の子を、どちらと云えば古風な神元の妻にする積もりが、タイミングがずれた。それに聡美も本来は内省的戦略的な女の子であったが、友達に染まり、派手な格好をしていた。大元帥明王さんもそれもふと考えて、タイミングがずれていた。

ともあれ、古風な神元は聡美に結婚を申し込み、快楽に引きずられた聡美も結婚を承諾した。ただ聡美は、まだ大学の4年生だった。

神帥は、東京から奈良に遊びに来ていた麻田姫子が奈良公演で鹿に餌をやっていて噛みつかれ、血を出していた。神帥は古風な近くのホテルに泊まっていた。そのホテルで、簡単な治療をしてもらった。姫子は、建築を勉強して、昔の建物に興味があった。神帥と少し話が合い、古い建物だった治部ホテルの東京本館で会う約束をしていた。それだけの事だった。  

神元や神帥たちは、敷地に戻り、神元は、聡美の事を報告した。舞子は、子供たちが大きくなってから、暇になり、三流私大で英語の講師になっており、聡美の事を知っていた。何しろまったく語学のセンスがなく、落第させるかどうか悩み、そして追試と云う名前の特訓をして、なんとか追い出した。そんなに落第させる訳にはいかなかった。聡美は文学部なのに、本も新聞も読まず、読むのは少女漫画だけの女の子であった。聡美の父は、松山俊之と云う萩の旧家であった。挨拶に来た聡美も、舞子を見て焦ったが、女は度胸と堂々と挨拶した。舞子が聞いて見ると卒業も危ないほどの成績だったので、時々舞子が教える事になった。松山俊之も挨拶にきた。明治時代に創立された、東京にも支店がある通信機械の会社の社長だった。聡美は頭も悪く、派手好きのどうしようもない娘だったので喜んでいた。  

姫子は、古い建築は好きだったし、女の子にも拘わらず、工学部の建築学科で勉強していたが、野心的な女の子だった。治部神帥が治部の息子である事も知っていた。それくらいの頭はあった。家は中小企業のベアリング工場をしていて、神二郎から出資してもらってた。父の麻田賢作も、治部神帥の事を知っていた。そして二人は工作をして神帥を釣り上げる事になり、神帥は堂々と釣り上げられ、姫子は、神帥と卒業したら、結婚する約束をした。婚前交渉などしなかったし、神帥は手も握らなかった。神帥も古風だった。  

只聡美の子宮は、正直だった。卒業前に妊娠が判り、卒業したら直ぐに治部ホームホテルで結婚する事になった。

神香は、芸術学部に行き、まだ学生なのに、なんたらと云う賞も取る声楽家になったが、卒業する前に、妊娠していた。音楽仲間とか外国人と思っていたら、ジブトラストが海外の孫会社の管理するために、知加子の紹介で採用した、国際金融学を勉強しながら、相場に関心があった岩下俊司だった。もう一つの大きな銀行の関係する証券会社に入っていたが、知加子が強引にジブトラストに入れた。東大でも優秀と云われた男だったが、野心家であった。三男だったので、婿になってもいいと言った。治部はそんな事は気にしないと言っても、知加子が強引に進め、岩下俊司は、治部俊司になる事になった。

結局三人の結婚式が治部ホームホテルで行われた。神香も聡美も妊娠していて、新婚旅行にも行けず、神帥と姫子だけがモロッコとエジプトへ新婚旅行に行った。敷地内のマンションに住む事になった。  

正子も舞子も、俊司にジブトラストへの出資を申請せず、カミカミファイナンシャルにも入れなかった。逆にパッパラパーの聡美には直ぐに手続きを取った。姫子は旅行中で、まだだった。  

香奈「神之助君の所も三人同時に片づいたね。しかし俊司君は何か感じ悪いね。青不動さんも珍しく直ぐに出てきて注意しろと言っていたよ。俊子さんも何か不満そうだよ。大元帥明王さんも神之助君に注意しろと言っていたみたいだよ。神香ちゃんのお腹が大きいから、仕方ないけどね。」
「でも東大なんでしょう。頭もいいし、ガッツもありそうだよ。」
香奈 「有希さんも昔の雅也君みたいと言ってきたよ。正子さんも舞子ちゃんもあんまり喜んでいないよ。正子さんは、カミカミにも入れないと言っているよ。私も、取引はさせないつもりだよ。」
「どうしてなの。」
香奈 「男としてどうかは分からないよ。取引としては、ああいうタイプは危ないのよ。向いているようで一番向いていないのよ。多分小さく儲けて、大損するよ。神子ちゃんの所の研究センターで暫く様子をみるよ。神子ちゃんによくみて貰う事にするよ。むしろ聡美さんの方がずっとましだよ。」
「聡美さんは、学校も大した事もないし、文学部だよ。」
香奈 「学校出てたら、取引できるものなら、苦労しないよ。東大の経済を優秀な成績で卒業した洋太郎さんも結局向かなかったし、小百合も駄目だった。小百合も東大の経済では成績良かったのよ。昔の小百合よりもずっと悪いよ。小百合もそう言っていたよ、あれは危ないと。お母さんがよく言ってたよ。馬鹿と分かっていない馬鹿が一番危ないと。沙織さんは学校なんか関係なしに儲けているよ。」
「沙織さんは、青不動さん頼みなんでょう。」
香奈 「青不動さんの応援もあるけど、沙織さんは感性がいいのよ。投資は感性なんだよ。学問でもない。儲けるためにするけど、欲が強すぎても失敗するよ。神之助君も自分のチームには入れないと言っていたよ。渋谷では取引は出来ないようにしたけど、孫会社の管理でもなく研究センターで働いて貰うよ。」
「神香ちゃんが選んだ相手なのにね。」

実は、神香は強引に俊司に犯されていた。姫子も工作したが、怖い大元帥明王も黙認した。お地蔵さんは、真理にもなんにも言わず、黙っていた。やがて姫子と神帥が新婚旅行から帰ってきた。姫子は表情が激変していた。知的な感じは一変し、卑猥なほど美しくなった。神帥は、言語に絶するほど大きく堅くかつ長かった。姫子は、決して処女でもなく、むしろ遊び人であったが、神帥のものをみて、恐怖を感じた。しかしアソコは裂ける事なく、強烈な快感が襲い、10日間の間に姫子は人格改造され、今は精神のバランスを失っていた。大学の卒業式にも神帥がついていった。姫子は自分では何にもできない女になっていた。一方研究センターに入った俊司は、神子の監視下にあった。神子も神代も注意して俊司を観察した。神之助も改めて霊視した。すると隠されていた危険が見えてきた。巨大になったジブトラストもカミカミファイナンシャルも崩壊させる危険性が見えてきた。俊司は研究センターでは、更に基礎的な研究テーマが与えられた。

一方、パッパラパーのような聡美は、お腹が大きいのに本体の神子たちの手伝いをしていた。聡美は、株はどうやって食べるのと聞くほど無知であり、言われる通りの雑用をするだけだった。それでもみんなのする事を眺めるうちに、神子に自分でも少し取引をしたいと言うようになった。神子は驚く事に神子の別の総合口座神子Aを作り、神子A用のパソコンを与え、10億入れ、先物をさせた。聡美は最低単位で買ったり、売ったりしていた。聡美は、神子レポートもそれほど読まず、ゲーム感覚で適当に取引していた。神子も正子もただみているだけだった。神元は夜中に働く夜勤族だったので、聡美は朝早く起き、神元が帰宅し、一緒にご飯を食べ、神元のものをしゃぶり、精液を飲み、神元が休むと元気よく、ジブトラストに行き、病院にも行っていた。  

姫子は、毎日のように巨大なもので突かれていたが、一ヶ月ほどすると何とか自分で行動できるようになった。神帥も夜勤族だったので、生活のペースも神帥に合わせ、夕方から夜間は暇になり、夕方敷地内を散歩する事も出来るようになった。池の鯉や鯛をみて、ホテルでコーヒーを飲んで帰ってくるだけだったが、一人でマンションの部屋で裸になってオナニーをし続けているよりは、ましだった。神帥の前ではいつも裸になる癖がついていた。ジブトラストの神代の手伝いをするようになった。姫子も素人だったので、雑用だけだったが、そのうちに慣れ、やっぱり神代も神代Aの総合口座を作り、アメリカの直属の子会社で1億ドルを入れ、姫子に先物をさせると、最低単位で売ったり買ったりさせていた。それが結構成績が良く、たまに失敗するものの、直ぐ損切りして、神代が教えてくれる明日の始値に比較して、オーバーナイトをするようになった。少しずつ単位を上げて売買もするようになった。姫子は、神帥と一緒にジブトラストに来て、別の部屋で働き、神帥と一緒に帰った。

聡美のガバガバのアソコから、聡美は神里を産んだ。子供もあっさりと出産した。夜勤族の旦那の巨大なものに取り憑かれてた、アッパーパーで派手好き聡美も、子供を産むと頭は冴え、夜にも拘わらず、キャバ嬢みたいな露出の多い格好をしながらも、又ジブトラストにいった。今度は神元と同じ時間に働く正式のヨーロッパ担当となった。正式の管理担当になれば、管理手数料として利益の2%分がジブトラストからの報酬になった。運用手数料は神元と同じようにジブカミファイナンシャルの聡美分として、直属の子会社で管理する事にした。神代は神子と違い、丁寧に教えて、相場の流れやその日の高値、安値、終値そして明日の始値、高値、安値、終値及びその自信度つまり予測確率などを聡美に言った。聡美は、それを参考にして、損切りも覚えた。何故か戦略的な先物投資になった。4つの市場で、それぞれ直属の子会社に聡美用の総合口座に1億ユーロ相当のお金を入れて貰った。神代と一緒に取引していたが、ジブトラストで儲けだして、やがてカミカミファイナンシャルからのお金を入れ大きく儲け、儲けが儲けを呼んでいた。神太朗や神子もその成績をみて、聡美にジブトラストと同様の1億ユーロ相当の運用枠を設定して、枠拡大も利益の3割認める事にした。これで聡美は、2億ユーロ相当の範囲内で取引できる事になった。

聡美は、元々パッパラパーだったので、そんなに緊張しているわけでもなかった。ヘッドホーンから喧しい音楽を聴きながら、アソコも丸見えでリズムを取りなら、取引していた。神代も見ていて、あまりにも緊張のない取引で儲けるのに、呆れていた。損切りも巧みになった。ドテン買いやドテン売りも上手かった。もっともガバガバのアソコを隠す下着をつけるのは遅かった。

聡美の子供が出来て、聡美の両親も萩から出てきた。神里は、元気な男の子だった。聡美の父の松山俊之は、神之助や舞子と話していた。元気で暇な太朗が、閉館中ではあったが、連絡して、松山夫妻を美術館に案内していた。松山夫妻は美術には関心が薄く、多くの陳列品を、通り過ぎていた。安倍鉄平や治部次平の関係の所で、足が止まっていた。 

松山俊之「安倍鉄平さんとは、関係があるんですか?」
太朗 「何代か前の純子さんと云う人が、安倍鉄平さんの孫だったのです。そして治部次平の息子に嫁いだんです。私の父も弟も安倍紡績ですが、純子さんが大きくした安倍紡績が、今の治部の始まりなんです。私の祖父たちが、この美術館をつくって、安倍鉄平さんと治部次平さんの所蔵だった美術品を保管しているんです。」
松山俊之「そうだったですか。 会社の創立者の松山三之助さんは、治部次平さんに助けられ、安倍鉄平さんの部下だったそうです。鉄平さんから貰った美術品も家にはありますよ。三之助さんが役所を辞めて会社を作った時にも安倍鉄平さんから援助して貰ったそうです。」
太朗 「それは奇遇ですね。やっぱり縁があったんですね。ここにもホテルが出来ていますからゆっくりしていってください。私の父も母も元気ですから、一緒にご飯を食べましょう。父や母なら少し知っているかも知れませんよ。」

洋太郎は詳しくは知らないまでも、多少は祖父の洋次郎から聞いていた。松山夫妻は洋太郎や俊子たちも入れて食事をして、話が弾んでいた。治部ホームホテルに泊まり、帰っていった。 

「聡美さんにも子供が出来たね。」
香奈 「聡美さんは、結構、先物の素質もあるみたいだけど、只損切りができないので、売買残が増えるのよ。なだらかな相場だったから、よかったけどね。神子ちゃんが残ったものを引き取り、整理してたよ。」
「損したの。」
香奈 「損はしてないよ。かなり儲けていたけど、損した時に追い込まれて両建てするから、後の処理が大変になるのよ。神子ちゃんもあんまり教えないからね。正子さんもそうだったからね。」
「大変なんだね。」
香奈 「でも取引そのもののセンスはあるよ。神代ちゃんに指導して貰って損切りも出来るようになったみたいだよ。俊子さんから聞いたけど、聡美さんのご先祖の三之助さんと初代の安倍鉄平さんとは関係があったそうよ。戦略家だった人みたいだよ。」
「でも聡美さんは、戦略家とは、ほど遠いよ。キャバ嬢みたいな格好しているよ。」
香奈 「本当にね。恵や小夜さんの若い時みたいだよ。」
「私はあんなに酷くなかったわよ。」

 

神三郎、加代子と結婚へ

神三郎は、外科医になり、結婚もせず、若くして講師になり「ジャパンドリーム」の評価について、教授と意見が合わず、治部病院に移っていた。天才的な手術で名声を得たのも原因だった。治部病院の若い看護婦であった高杉加代子が岡惚れし、神三郎を罠にかけ、10才上の神三郎をものにした。しかし元々やや変態の加代子は、神三郎のものが入ると完全変態になり、服も下着もつけなくなった。加代子の父もジブトラストに勤めていた。加代子の両親とも相談し、病院も辞めさし、暫く敷地内の家で、加代子は、神三郎に突かれ、精液を舐め、なんとか小康を保っていた。暫く様子を見る事になった。はじめは便器まで舐めていたが、少しずつ戻っていった。

加代子の両親と祖父が挨拶にきた。

高杉「ここも久しぶりです。俊子さんもいつまでもお若いですね。加代子は元々変な所がある娘ですが、今は服も下着もつけられなくなって、情けない限りです。あんな娘でもいいのでしょうか?」、
俊子 「もうすぐしたら、落ち着くわよ。神三郎は強烈なのよ。ここの家の男はみんな危険なのよ。」、
正子 「私も廃人になる所だったのよ。加代子さんは、正直なのよ。」、
みどり 「私も危なかったのよ。三人目の男は一段と危ないのよ。舞子さんも同情していたわ。」、
俊子 「加代子さんも落ち着くと思うから、落ち着いたら、結婚式はここのホテルでしましょう。高杉さんとは久しぶりね。悦子さんと綾子ちゃんとも会っていってね。」

加代子はまだボーとしていたが、なんとか結婚式を挙げ、神三郎の精液治療を受ける事になった。

加代子は重症だったが、先物取引は人間業ではなかった。

加代子は重症だった。神三郎の精液治療で少しは立ち直り、下着や服も着られるようになったとはいえ、自分の意志が持てなかった。不思議と先物取引のパソコンの画面をみると表情はしゃきとなった。先物の取引の画面が消え、数時間たつと裸になり、前のように神三朗の精液を欲しがる変態になった。マンションにもおいておけず、神太朗とみどりの家に同居し、家に置いておくと何をするか分からないので、ジブトラストに連れてきた。身に覚えもあった正子が可哀想に思い、正子の部屋にいた。正子が取引するのに興味を持ち、正子の先物口座の一つに10億を入れ、先物取引をさせた。するとやたら儲けるだけでなく、症状も少しずつ改善していった。症状は改善し、神三郎が病院から帰ってくるまで何とか安静しているようになった。利益が大きいほど、症状の改善は進むようだった。まだまだボーとしている加代子だったが、監督しながら、取引をさせる事になった。取引手法も正子と違い、売りも買いも複雑にして、先物取引する時だけは熟練したディラーになった。

神三郎の精液治療と先物取引だけが、加代子の救いの道だった。加代子は失敗する事がなかった。複雑に取引し、オーバーナイトもして全て儲け、正子や神子も驚いた。加代子は相場が開いて、儲けている時が表情もしゃきとなっている時だった。正子は早く帰るので、正子は、加代子の手を引いて連れて帰り、一緒にいて、神三郎の帰りを待つ事になった。神三朗は外科なので手術も夜勤もあった。正子やみどりは、世話が大変だったが、加代子は儲けだし、そしてボーとしながらも改善していった。加代子の先物取引は鬼気迫るものがあり、少しずつ翼を持った青白い炎に包まれるようになった。とても人間の取引ではなかった。そして取引の頻度が増し、利益は急速に増えていった。取引が終わるとボーとしながらも改善しつつあった。加代子が取引していた口座には、いつしか一千億の残高があった。加代子は、正子の手も借りずに、一人で100メートル離れた神三郎の家に帰れるまでに回復した。大きな進歩だった。話を聞いた神三郎とみどりは涙ぐんだ。

姫子もついに妊娠して、ジブトラストには、出てこれなくなった。そのため、神代自身が、アメリカ時間の午前中で終わり、予測した明日の始め値に併せて、予測の自信度も加味して、売買量を変えて、オーバーナイトしていた。

神三郎が、治部病院で緊急外来を作り、内科や外科も含めて担当し、夜勤族になってしまった。加代子は、相場と神三郎が一緒にいる以外ではまだボーとしていたので、夜、神三朗がいない家においておく事も出来ず、姫子が妊娠休暇だったので、夜、先物相場が開いているアメリカマーケットの先物を担当する事になった。加代子の運用手数料は、神三郎の依頼により、暫く正子が預かる事になった。加代子は治療の為に先物取引をしていたが、加代子の運用手数料と近い1億ドルを、加代子の総合口座に入れた。アメリカの直属子会社で、加代子に任せた。全部損しても、いいと思っていた。損した時の埋め合わせも話していた。ジブトラストは、切人がジャンヌの手助けで、ジブアメリカでも取引が増え、ジブアメリカは好調になっていた。加代子は、神代から、姫子と同様に神代から、損切りの仕方とか予測値と予測の精度の説明も受けた。予測もすこしはずれる事もあった。加代子は、それを上回る正確さがあり、激しく売買を繰り返して、日本の先物を超える勢いで儲け出した。加代子は、鬼気迫る表情で細かく取引し、機関銃のような早さで取引を繰り返し、鬼のように儲けていった。従来アメリカのみならず、海外の子会社や直属の子会社などでは、日本からの取引注文に従い、システムで対応しても、会社として兼任の形であっても社員が、実際に会社として取引を確認していた。あくまで会社としての取引であった。しかし加代子が機関銃のように取引をして、処理が追いつけず、社員が増えていった。そして利益も上がった。加代子も正式に本体のアメリカ担当になり、カミカミとしての運用枠もジブと同額の1億ドルの運用枠を与え、利益に応じての枠拡大もするようになった。神子や神之助以外に、カミカミとして、枠の設定がされたのは、神代に加えて、神元、神帥そして、聡美と加代子の五人となった。加代子も神帥と同様に、運用手数料をジブカヨコファイナンシャルに支払い、直属の子会社で管理する事にした。管理手数料が加代子のジブの報酬になった。

加代子は、どんどん取引量も増え、最後には、取引補助は、4人が必要になってしまった。加代子は失敗する事がなく、利益は利益を呼び、アメリカの直属の子会社のお金は加速度を持って増え始めていた。神代もヨーロッパタイムで勤め、時々加世子の様子を見ていたが、取引している加代子はしゃきとし、鬼気迫る様子で青白い炎の中、取引をし、近寄りがたいものであった。神代は、その儲けや予測の正確さに圧倒され、アメリカ時間の午後では、帰っていた。加世子は、人に教える事なんかは、出来なかった。身体の中からの声に従って取り引きしていたが、それを見ていた社員も感応していき、孫会社にも影響が及んだ。神帥も負けじと増えていた資産をもっと増やした。 加代子は、やがて妊娠が判り、益々儲け出し、出産休暇した時の加代子の取引していた口座には、50億ドルを超える口座残があった。加代子は、敷地内の病院に入院し、神天を産んだが、加代子自身はそんなに子供の世話ができず、みどりや家の人に頼っていた。加代子には取引は治療でもあった。すぐに相場に復帰し、加代子の翼を持った青白い炎はより大きくなり、パワーは増え、利益も増えた。

ジブトラストは、ワールドワイドで本格的に細かく取引するようになった。

ここでジブもカミカミもアメリカマーケットで本格的に、株式も先物も細かく取引をするようになった。国内マーケットの先物や株式の調整売買は、神子が担当した。正子も元気だったし、自分の枠の中で、時々取引していた。神子は渋谷の海外総括を通して、孫会社の取引を監督していた。加代子が鬼神のように、ジブでもカミカミでも儲けていたので、神代は、次第に孫会社を、手取り足取り指導するようになり、カミカミのお金も入れ、運用を委託する格好で運用して、孫会社も急速に利益を上げていた。

神元と神帥は、商品市場や為替では、関係する孫会社や金融センターとも連絡を取って、利益を上げる事になっていた。神之助は、全体の状況をみて、日本で商品相場や為替を担当していた。神元はあんまり、指導しなかった。ヨーロッパタイムだったので、神之助が指導する事が多かった。神帥は、神元と同じように唯我独尊タイプではあったが、合理的考え方をする人でもあった。商品相場は、それほど得意でもなく、孫会社とも連絡を取って、協調的な投資をしていた。しかし、連絡の時間も必要となり、商品相場での取引は限定的だった。得意の為替が動かないと、鬼神のように儲ける加代子と比較すると、利益としては遙かに劣っていた。元々、貴金属会社には、保有する金のヘッジするために金先物をしている人たちもいた。神帥はアメリカに行き、この人たちと対策を考えた、ジブアメリカでは、元々香奈オフィスの商品取引に強い人たちから出来ていた。原油先物に強かった人も孫会社を作っていた。その人たちとも連絡を取り、神帥は独自の商品相場担当のチームを作り、それぞれに運用枠を決め、商品相場で取引している孫会社と緊密な協力関係を取りながら、幅広い分野で取引して貰う事にした。神帥のチームとして、カミカミから運用委託の形で運用手数料を利益の10%貰い、商品や為替相場での利益が出れば、自分が貰うカミカミからの運用手数料の多くをみんなに渡し、神之助とも連絡し、商品取引チームから取引状況の報告を受け、時々自分も参加してみんなで検討して、鬼神のように儲ける加代子に対抗した。為替も為替専門会社から人も集め、ニューヨークの金融センターとも連絡を取り、神之助の指示や指針も参考にして独自の為替取引チームを作り、円中心ではなく、色々なペアーで幅広い取引をして、全体としての利益を上げるようにした。神帥は、複数の力を合わせて、神懸かりの加代子に対抗していた。

神元は、元々商品相場が得意だったし、トロくさい奴は嫌いだったし、馬鹿につける薬はないと思っていた。訳の分からないポジションを持っている奴を見れば腹も立った。それに投資は自己責任だ。元々自分の責任で投資し、金も貰っている。何も馬鹿な奴に話をする事もないと思い、孫会社との連絡はおざなりだった。神之助が注意するのを見ているだけだった。直属の子会社では、自分の取引注文を、正確に素早くしてくれるようにシステムを整え、取引補助の人がいれば十分だった。神元は、チャンスとみれば、さかんに商品相場で仕掛け、大儲けしていた。聡美より遙かに儲けていた。本体直属のスイスの貴金属会社では、保有する金を時々ヘッジする為に、あまり金が急騰した時には、神之助の指示で、金の先物を取引できる体制が整えられ、ジブドイツの管理セクションがヘッジ取引をしていたが、商品相場の取引とは性格が異なるので、気にしなかった。 

聡美や加代子は度々よく妊娠した。しかし二人とも産休期間は短かった。二人がお休みの時は神代がヨーロッパのアメリカの孫会社を管理しながら、先物を取引した。しかし取引頻度は格段に下がった。

日本、ヨーロッパそしてアメリカで株式、先物、商品相場とフルパワーで儲けるようになった。神子や神之助も、アメリカが好調となり、アメリカの孫会社に対する管理に時間が減少して、国内での取引の頻度も増え、利益は大きく伸びた。まさしく利益は利益を呼び、利益は異常な勢いで、膨らんでいった。海外での利益を国内に戻す必要もなく、加代子達の管理手数料程度の送金を受けるだけで、本来の運用手数料は直属の海外の子会社に、加代子や聡美名義としてプールしていった。二人は海外の直属の子会社の社員でもあった。二人は、社員として、運用手数料に相当するお金を税処理して、そのお金はそのまま、各地の金融センターに運用委託していくようなシステムとしていた。金融センターは、更に為替だけでなく、各地の、直属の小会社や従来の子会社にも更に運用委託みたいな事もしていた。加代子も聡美も、ジブトラストの社員ではあったが、神元みたいに会社を作り、そこが管理するのではなく、奥さんのパートみたいな扱いだった。神元や神帥そして神代は、学生の頃から運用になじんで、プロだったが、聡美や加代子は、まだ経験も不足していたので、こんな扱いをしていた。それに、ジブトラストとしての資産の効率的な運用も必要だった。そのため、ジブトラストもカミカミファイナンシャルも、一族の銀行への融資も、金融センターでの資金の中の円資産と国内での利益でほとんどやり繰りできていたが、金融センターの金も少なくなっていたと云う理由もあった。神香は神俊を産んだが、しかし俊司は敷地内の家に、帰れなくなっていた。

「俊司君は、やっぱり渋谷なの。この頃顔もみないよ。」
香奈 「家にも帰ってこないみたいだよ。金縛りにあって敷地内に入れなくなっているみたいだよ。」
「怖いね。何かあるのかね。」

神香、離婚する!

神香が子供を産んだ直後から、俊司は、敷地内に入れなくなった。俊司には大きな役目があった。香奈は超高齢であり、正子も高齢だった。神太朗を銀行に追い出し、香奈や正子亡き後のジブトラストとカミカミファイナンシャルの実権を握り、あわよくばすべて握り、最悪でも神之助の商品相場と為替部門と切人のヨーローパとアメリカ部門を切り離し、ジブとカミカミの大きな部門を手に入れるために神香に近づき、強姦同然に襲い、治部を名乗っていた。知加子は、知らずに手を貸していた。しかし神太朗はジブトラストに残り、銀行にいった神一は、陽一と共に銀行内部の情報を調べ上げ、銀行内部をまとめ、不穏分子を懐柔し、従わなければ任期切れ退任を迫っていた。もう一つの銀行と通じていた副頭取一派は壊滅しつつあった。副頭取も再任しないと告げられていた。俊司もジブトラストの株もカミカミファイナンシャルの株も持てなかった。焦りと共に、覆い隠した本音が出て、ついに敷地内に入れなくっていた。仕事は基礎的な研究だけだった。加代子や姫子までもジブに出資が認められ、カミカミファイナンシャルに出資していったのに、俊司は認められず、ついに離婚を決意して、財産分与を迫った。ところが法曹界で、もはや妖怪と言われ出した清香の前に屈し、腐れ金しか取れず、子供を残して撤退する事になった。

ヨーロッパとアメリカの市場は、聡美と加代子が成績を急に上げていた。聡美も加代子も儲けだして、儲けが儲けを呼び、運用枠は、もはや意味がなかった。聡美の口座には併せて80億ユーロになり、管理していた海外子会社は、それぞれの管理がしやすいように調整して、半分を引き出して、運用指導料、人件費そして税金などの経費などに充てるために保管した。整理のため、残りを4つの直属の子会社の株式口座に分割した。加代子の口座は、ついに300億ドルに達し、運用指導料、人件費そして税金などの経費も膨大になり、管理していたジブアメリカは、半分を引き出して、運用指導料、人件費そして税金などの経費などに充てた。整理のため、処理が終わった残金を株式口座にいれておいた。

パッパラパーの聡美は語学のセンスもなく、株式は取引しなかった。加代子は、不思議な事に株式も買い、取り引きしていた。ジブカヨコトラストでは、株式担当の人まで必要となった。直属の子会社は、子会社が出来る前から保有していた株も移行しており、その管理や調整売買などは、子会社の管理が直属の子会社のお世話をする管理料を利益の5%を貰っていた。直属の子会社は、元々財産管理会社の筈であった。取引の補助も現地子会社の管理の人が兼任していた。加代子の場合は、ついに直属の子会社として加代子専任のスタッフが複数必要となり、ジブアメリカも人を増やした。

その後も二人は儲け続け、儲けが儲けを呼んで、二人の口座には異常な勢いでお金が貯まりだし、直属の子会社の保有するお金は益々増えていった。もう主婦のパートのような扱いも出来なくなったので、加代子の場合は、加代子にカヨコファイナンシャルと云う財産管理会社を作らせ、その会社が運用を指導する形にして、聡美は旦那の神元と区別するためにサトミファイナンシャルを同じように作らせ、同様にした。税金もグーンと安くなった。今まで、金融センターに預けていたお金は、折角税金の安い国に、ジブトラストが金融センターを作ったので、その国にそれぞれのファイナンシャルの子会社を作り、今までのお金をそのまま運用委託する事にした、 神代は、本来、海外の先物と株式投資の孫会社の管理をする渋谷の孫会社管理チームを総括する立場であり、孫会社の取引状況はすべて把握できたし、見る立場にあった。聡美や加代子が取引する前には頻度が少ないとは云え、直属の子会社で自分の運用枠がジブトラストやカミカミファイナンシャルでもあったし、その運用指導料をうけとっっていた。ロンドンにあるカミヨファイナンシャルヨーロッパとアメリカにもお金があった。神子や神太朗と相談し、カミカミの運用手数料を上げて貰った。神代のジブトラストやカミカミの運用枠とカミヨファイナンシャルのお金は、孫会社に運用を委託して、孫会社に利益の10%を運用手数料として支払い、神代自身も得られた利益から、本体指導料として渋谷と共に、5%を貰う事になった。その上神代は、孫会社の運用担当者にもなり、運用委託した筈の一部は、神代自身が運用した。神代自身の運用は、カミヨファイナンシャルの運用指導によるものとされ、運用手数料に相当する10%は、運用指導料として、カミヨファイナンシャルに入っていた。神代の本体での報酬は、海外の孫会社の利益の5%が本体指導料として、本体に送金された金額を渋谷の中で分けていた。

神代は海外の先物と株式関係の孫会社管理の責任者だったので、報酬も多かった。複雑だったが、結局ジブもカミカミも、利益の一部を孫会社に渡しながら、運用による利益が現地のジブ直属の子会社やカミカミ現地法人に貯まり、本体が受け取る指導料も増え、孫会社の運用金額や運用利益も上がった。カミヨファイナンシャルの現地法人の税務処理は、直属の子会社であるジブイギリスの管理セクションが統一して処理した。神代は、当然ながら、自分が運用委託する孫会社は、成績が優秀な孫会社を選んでいた。ここで孫会社は大きくなる会社と運用金額が増えない会社とに淘汰されていった。成績が優秀な孫会社はより大きくなり、運用額も利益も増えていった。

本体の香奈や香奈の指揮下の沙織や社長の正子は別格だったが、神子は、国内の先物と株式の孫会社の責任者であり、海外を含めた先物と株式の総括責任者でもあった。特別の株は新宿が保有していたので、それを除いて、ジブトラストの保有株式について責任があった。神子は、本体で神子のチームを率い、カミカミの自分の運用枠で取引していたが、陽一が銀行に行ったので、研究所の担当も兼任していた。神子は、余裕があれば自分でも取引したが、管理責任もあり、ほとんどそんな暇はないのが現実だった。成績の優秀な孫会社に神子のチームの運用枠の一部を与え、同様に神代方式を一部取り入れ、自分の運用枠を孫会社に運用委託して管理の姿勢を強めていった。神之助は、国内の商品相場の責任者であり、海外の商品相場の総括責任者であり、主に為替を担当する金融センターの責任者でもあった。神之助はそれこそ多忙であった。仕掛け相場が得意だった神之助であったが、そんな時間もなく、神之助の商品相場チームを国内の孫会社や海外の孫会社の司令塔にして、神之助チームの運用枠は機敏に、各孫会社にも運用委託させる事も増えた。金融センターに保管している金額も多くなり、金融センター間との調整にも時間が取られた。

切人もヨーロッパでは、独自の視点で子会社として取引し、先物や株式投資そして為替もしたので、子会社の切人チームも増員した。切人も時々海外に行って打ち合わせまでした。香奈ファイナンシャルやマリアホープとも同様に処理するので、経費も利益配分で負担できた。子供も手がかからなくなったジャンヌも加わり、ジブアメリカの切人チームでも切人と相談しながら取引して、子会社も急速に利益が上がりだし、利益が利益を呼び、それが加速していった。子会社は切人からの指導を受け好調になった、その上孫会社からも配当を受けていた。そして海外の直属の子会社は、現地で海外子会社からの配当もプールしており、管理手数料だけを送金させていた。直属の子会社にあるお金は、加速度的に増加していった。

国内では、正子と沙織は独自の視点で先物取引をして、沙織は、たまに株式を安値で買うと云ったパターンで株式売買をし、神子が子会社も含めて、調整売買しながら、先物でバランスを取り、神太朗と神二郎が違う視点、出資して企業を育てる視点とは違い、売買差益で利益を上げる視点で運用していく事になった。神之助は、日本タイムで、全体的なポジションをみながら、神之助チームらの報告を受け、神元や神帥は海外タイムで直属の子会社として取引していた。神元と神帥は、海外の孫会社と金融センターとも連絡を取る体制になっていた。

一方神香は傷つき、子供を舞子に預け、世界各地に演奏旅行にいった。神香の歌声に哀愁がこもり、クラシックにも拘わらず、世界でレコードやCDの売上げが伸びた。 

離婚した俊司もお金持ちに!

離婚した俊司は、もうひとつの大きな銀行の証券会社に入り、ジブトラストでの漏れ聞いた経験を生かし、利益を上げていた。俊司は直ぐに資産家の出戻り娘と再婚し、個人会社も作り、証券会社でも個人会社としてもあらっぽく稼いでいた。俊司も先物、商品相場そして為替を含めて、海外市場で大きな利益を得て、忽ち、証券会社の利益の大部分を稼ぎ出すようになった。利益は利益を呼んで大きくなっていた。証券会社に、新しく海外の自己投資専門の子会社を作らし、自由に儲けようとして、それが成功して、証券会社よりも大きな利益を上げていた。もっと儲けようと、血統の良さを生かし、もう一つの大きな銀行からも高い利息で融資を受け、それが大きな利益を出し、銀行にも直ぐに返し、大きな利益を還元していた。あまりに儲けるので、証券会社も俊司の自己投資会社を吸収し、運用手数料を上げ、自由に取引させた。俊司は、海外でほとんど稼いでいたので、証券会社は、俊司の希望により、利子は高いものの、海外の銀行から、融資枠を取り、俊司は、海外マーケットで儲けだした。もう一つの大きな銀行は、海外の銀行に債務保証する事で、濡れ手で泡のような保証代で大きく稼いだ。証券会社は、10兆の株式を保有している企業であったので、証券会社の債務保証をした。債務に併せて、5%もの手数料を取った。もう一つの大きな銀行の収益はうなぎのように飛び上がった。

「神香ちゃんも離婚したね。歌は売れているけど可哀想だね。」
香奈 「真理さんに、お地蔵さんが、これでよかったといっていたらしい。神香ちゃんも強姦同然に襲われて、1回しかやってないらしいよ。奴らの計画なんだよ。中国からこっそり話があったよ。ジブとカミカミの資産を分割して売る話があったらしい。追い出して正解と言っていたよ。今頃言ってくるのよ。あいつらも買おうとしていたのよ。油断もすきもないわよ。」
「怖い話だね。でも知加子さんの紹介だったのでしょう。」
香奈 「神太朗君や神一君には謝ったみたいだよ。知加子さんは、単に有望な若い人と言われただけらしいよ。これからも大変だよ。」
「これからも注意しないといけないわね。でもそんなにみんな生きられないわよ。大丈夫なの。」
香奈 「それは知らないわよ。神太朗君や神一君が考えてくしかないわよ。神一君もなんとか分かってきたみたいだよ。」

知加子は、この間の岩下家の計画は知らなかったと涙ながらに訴え、神太朗と神一に謝り、岩下家とのつき合いもあまりしなくなった。そして神一に頼み、神一の前では裸になり、お尻を叩いて貰った。お尻を叩かれると凄く感じ、神一のものを舐め、真っ赤になったお尻のまま、床の上でバックから突いて貰った。激しく感じて、お尻を突きだしながら逝ってしまった。それが病みつきになり、神一の前では、裸でつきまとう色ボケ女となり、舐めたいとかしゃぶりたいとか言うようになり、あまりにもしつこいので、神一が怒り、力の限り、突き続けて、知加子が泡をふいたり、痙攣しても許さず、突き続け、最後に思い切り発射した。神一はなんでも程々で納めるのが普通だった。全力投球は嫌いな男だった。全力を出すと魔人のような力も出て、あれも堅く大きくなった。知加子は動けず、股を広げて、体の色々な部分を痙攣しながら、死んだように寝た。それも病みつきになり、知加子は寝室では、完全な色ボケ女になり、輝くように綺麗になり、知加子の精神は崩壊して、神一のものを見ると妖しい表情で舐めたり、頬にすり寄せたりするようになった。知加子には、神一の精液は蜜のように甘く、おしっこは、葡萄酒のように美味しかった。神一がおしっこをした後の便器についたおしっこを舐めている時に、流石に知加子もこのままでは、完全変態になると悟った。大学では一心不乱に研究するようになった。油断すると普段も変態になりそうだった。変態になるのは、寝室だけにした。知加子は暫くバックから思い切り突いて貰い、身体をヒクヒクさせながら、神一のものを掃除して、幸福感で一杯になって眠る事が出来たが、又妊娠して、しゃぶるだけで我慢する辛さも味わった。今度は敷地内の病院で出産した。しゃぶれなくなるのが怖かった。知加子にはおしゃぶりが大切だった。神一も時々全力投球する爽快感も得て、仕事でも全力を出す時もあった。

神香、再婚へ

神香は、帰国した時に成田空港でラーメン屋に入り、バイトの青年にラーメンの汁を服にこぼされ、虫の居所が悪かった神香が怒り、平誤りする店員が、洗濯代を出す事になり、店員の有り金をふんだくった。大したお金は持っていたかったので住所まで聞いて、洗濯代に足りない時は請求すると脅した。家に帰った神香は流石に反省し、バイト店員の家にお金を返しにいった。バイトしていた青年の家は、立派な家で、有名になっていた神香のわがままな態度を非難せずに丁重にもてなしてくれ、年取ったお爺さんまで出てきて大宴会になった。バイトの青年は、文学部に通い詩を作っていた。青年は神香に詩を聞かせ、神香と青年は仲良くなり、やがて神香は、3才も下の青年と結婚する約束をした。神香は知らなかったが、青年の父親は、ジブトラストに勤めていた。結婚の挨拶には、青年の父親と祖父まで来た。青年の名前は有村善作といった。聖子と組んで安いよと快適を作り、引退した有村敏夫の孫であった。

有村「ついに治部と親戚になりました。ここにくるのも久しぶりです。善作は、詩が好きでトラストにも入れられないと悩んでいたのですが、神香さんと結婚するなんて夢のようです。」
俊子 「あとで聖子ちゃんとも話をしてね。有村さんが来ると聞いて待ってるわよ。」
有村 「善作は純情だけが取り柄の男ですよ。大丈夫ですか。」
俊子 「いいのよ。神香も子持ちの再婚よ。好きな同士が一緒になる、それが一番よ。」

神香は子供も幼く、再婚でもあり新婚旅行もしなかった。結婚を記念して、善作の書いた詩を基に、神香は「明日はきっといい日になる」と云う歌を作り、優花も「きっと希望は叶う」と云う歌も作って貰い、同時に発売した。この歌は、両方大流行した。神香は透き通ったエンジェルボイスと呼ばれ、優花は気怠い歌い方で歌った。

香奈「有村の孫とも結婚するとは思わなかったわ。長生きはするものね。」
「加代子さんは大丈夫なの。朝、運用会社から帰る時は、まだボーとしていたわよ。」
香奈 「正子さんの若い時と同じよ。加代子さんも凄く儲けているわ。」
「でも看護婦さんだったでしょう。」
香奈 「なったばっかりらしいね。でもあの儲け方は天性のものだよ。正子が取引しているのを見て覚えたと言うけどね。神代ちゃんも驚いているわ。突然みんなの成績も上がったのよ。もうこれ以上は無理と思っていたのにね。なんか起きそうなのよ。神子ちゃんも神代ちゃんと相談しているわよ。」

姫子は相場撤退!

姫子は子供を産んだ後は、ボーとした所がなくなり、パッパラパーの聡美にも負けて、替わった加代子が鬼神のように儲けていた相場からは、限界と恐怖を感じて手を引いた。そして意識しないで取引した運用手数料に相当するお金を貰った。子供や神帥の世話をしながら、父の麻田賢作を、少しずつ手伝いだした。姫子は、ボーとした所がなくなると運用に向いていないと実感した。コツコツと稼ごうと思い、貰ったお金を使って、父の企業のベアリング工場に各種の建設会社や建築事務所との連絡、斡旋をする建築設計部門を作り、麻田エンジニアリングと改名した。一族のコネを生かし、一族の会社の工場の改築、増築や新設時の時のコンサルティングサービスを始めだしていた。自分の勉強した事も活かせるし、そんなに資金が要らず、一族の会社の新築や増設する時の口銭を取れる商売だった。要するにかすりを取るようなやり方で利益を上げようとした。ホテルもあり、安いよのスーパーもあり、ジブトラストのビルも多く、赤ちゃんスキ不動産、毛利ビルそしてジブタウンなどのビルもある。一族の会社もビルや工場の新設や増設もある。そこに入り込んで、かすりをとった方が、切った張ったの運用よりは自分に向いていると思った。それに親しい建設会社はあったが、一族には建設会社はなかった。この姫子のせこい考えは成功した。驚く事に一族のビルなどの建物の建設費用は、姫子のかすり分以上に安く、立派なものになっていった。旦那の朝の光で神帥の精液を貰い、旦那の神帥は昼は寝ているし、子供は託児所に預けると、自由な時間は一杯あった。

ジブトラストの財産管理会社のような直属の子会社にはお金が貯まり出した。

孫会社はジブトラストからの運用委託も増え、運用利益が上がりだし、子会社は孫会社からの配当を貰い、その上切人チームも成績が上がり、益々儲けていた。直属の子会社は、子会社からの配当を貰い、その上神元、聡美、神帥そして加代子も大きく儲けて、直属の子会社も利益も上がり、直属の子会社にプールしているお金はもっと貯まりだしていた。直属の子会社にジブトラストとしてプールしているお金が貯まり、カミカミ現地資本に保留している利益も貯まるだけだった。国内では正子も儲け、聡美も儲け、神之助や神子も儲け、子会社、孫会社も儲けていた。あまり直属の子会社にお金が貯まるので、直属の子会社に貯まっていた半分程のお金は世界各地の金融センターにも預け、神之助の管理下の各地の金融センターに為替運用を依頼する事になった。カミカミ現地法人も同様の処置を取った。金融センターは運用利益の中で、運用手数料を10%取っただけだった。  

沙織も儲け出した

みんなに遅れをとっていた沙織が、やたらと儲けるようになった。沙織は神懸かりの神子や神之助たちと違い、神子と神代のレポートを良く読み、細かい単位の先物を繰り返し、時には少し損もし、損切りもしながら、少しずつ儲けていた。取引にも大分慣れてきたが、青不動さんも遠くで見守るようにそんなに頻繁には出てこなかった。突然、青不動さんが盛んに出てきてビクつく沙織を叱咤し、元気づけ、大きな単位での取引をさせていた。ボロ株を時間をかけて集め、売り飛ばすような事もした。倍になるような株も買わせ、見込みのある企業は半分持たせ、それ以外は売り飛ばした。不動ファイナンシャルのお金も貯まりした。ついには、沙織枠として五千億も儲け、不動枠としてはそれ以上儲けるようになった。ついに香奈から借りたお金も返済する事が出来た。既に、神太朗からの借りていたカミカミ出資のお金やジブ出資の時のお金まで返済できていた。そして少しずつ、一家の大きな二つの管理会社、カミカミファイナンシャル、治部ホーム不動産に出資し、残りのほとんどのお金は不動ファイナンシャルに追加出資できるようになった。

しかし、依然として神二郎は、不動ファイナンシャルに赤字企業の株を買わせたり、夢のような戯言を言っている会社にも出資させていっているにも拘わらず、不動ファイナンシャルは、現金として、1兆のお金も持つようになっていた。ただ沙織は、香奈たちから多額の借金をし、ジブやカミカミ出資の返済をしていた時の心理的なプレッシャーから、自分の服や靴などは、叩き売っている安いよのバーゲン品の、更にその売れ残りを聖子に貰い、着ていた。俊子の家の食堂でご飯を食べれば、お金は要らなかった。朝はよく二人で牛乳を飲んでいた。安くて栄養があった。俊子の家の食堂はどっちにしても、無料だったが、ジュースよりは栄養があった。牛乳好きの聖子と沙織であった。資産は山のように持っている聖子も、同様に俊子の家でご飯を食べていた。聖子は、堂々と厚いステーキを注文し、配達させるぐらい謙虚だったので、沙織も気兼ねなく、好きな鯛の活け作りなどを注文していた。沙織は鯛が好きだった。そんな謙虚な二人は、意気投合していた。聖子は安いよの売れ残りを家に持ってこさせ、自分のサイズに合ったものだけを、勝手に自分のものにすると問題になるので、廃棄費用を貰い自分で廃棄するほど、公私のケジメをつけていた。

沙織、王侯貴族のように贅沢三昧?

安いよは低価格品と機能性洋服を景気動向に併せて販売比率を変えていたが、どうしても売れ残る低価格品を叩き売っていた。それでも少しは売れ残るものは廃棄していた。その廃棄費用が勿体ないと言って聖子は、廃棄費用を大幅に割引して自分で貰い、自分の部屋に引き取っていた。清太郎は紡績の社長でナイスミドルだったので、紡績の生地を使った洋服を着こなし、家でもナイスカジュアルの格好良い服装をしていた。家族も紡績製の生地を使った治部洋服の服を着て、聖子の廃棄のお手伝いはしなかった。綾子も高級ホテルの仕事をして、廃棄のお手伝いには、非協力だった。

娘婿の幸夫まで、綾子がちゃんとした服を着せ、廃棄のお手伝いはしなかった。しかし、沙織はそんな聖子の潔い姿勢に感動して、積極的に廃棄のお手伝いをして、自分や家族にあった服や下着などを探して着る程のチャラチャラした生活をおくっていた。神二郎も家に帰ると商売用の服を着替え、不動ファイナンシャルを大きくした沙織に協力して、安物の服を着ていた。 お休みの日には、神二郎と子供たちと敷地内を散歩し、香奈から貰った優待券で、治部ホームホテルで、割引料金でコーヒーやケーキを飲食すると云う神をも恐れぬ贅沢をしていた。ジブトラストはお昼のお弁当は会社負担だったし、子供たちの託児所のお金も神太朗やみどりが、他の孫の分もまとめて払ってくれていた。暮らしていたマンションも結構豪華マンションなのに、ジブトラストの社宅扱いとなり、お金も最低料金の給料天引きだった。そんな王侯貴族のような贅沢三昧の暮らしは、なぜかお金もかからなかった。ほとんど敷地内で割り引き料金で生活できた。神二郎は、会長枠の担当で、関係する企業に打ち合わせに出歩くことが多く、一杯飲みに行く事もあり、多少の金は神二郎は使っていた。沙織は、神子や神之助のように一千億を超える収入に比べると三百億程度しか収入がなかった。その上、残ったお金はほとんど不動ファイナンシャルに出資していた。敷地内から出ず、ほとんどお金は使わなかった。取引は、沙織の仕事だったので、一日に何百億儲けようと、それは関係なかった。

香奈「最近、沙織ちゃんが凄く儲けるのよ。会長枠でも沙織ちゃんにも、少し分配してくいるけど、沙織ちゃんの枠でも凄いのよ。五千億近く儲けているのよ。不動ではもっと儲けているのよ。もうみんなと大きな差はなくなったの。」、
「でも沙織ちゃんは、安いよのバーゲン品みたいものしか着てないよ。聖子ちゃんもそうだけど。」、
香奈 「あれはバーゲン品の売れ残りらしいよ。聖子ちゃんが廃棄すると云って貰ったものを着ているのよ。」
「じゃただなの。」、
香奈 「聖子ちゃんは、公私のケジメをつけると言って、廃棄費用も少し貰っているらしいよ。聖子ちゃんの部屋は古着屋みたいになっているらしいの。その中から、沙織ちゃんは廃棄のお手伝いと云って貰っているのよ。乳幼児施設でも貰ったらどうなの。」、
「今はそんな時代じゃないのよ。普通の安いよのバーゲン品でも手を出さない人もいるのよ。幼児服なら、貰っているわよ。でも少しはお金出しているらしいわ。聖子ちゃんも徹底しているけど、沙織ちゃんも凄いね。そう言えばレストランでも見かけないね」、
香奈 「聖子ちゃんや沙織ちゃんたちは、ほとんど食堂で食べているのよ。食堂で食べればお金も要らないしね。みんなと一緒に食べたいし、配達の手間も節約出来ると言っているけどね。」、
「聖子ちゃんは、俊子さんの10倍以上も稼いでいるのでしょう。」、
香奈 「聖子ちゃんは、ほとんど聖子ファイナンシャルにお金を集めるので、そんなに給料は貰わないのよ。ジブトラストの出資額は俊子さんの方が遥かに多いしね。まあ、ご飯代なんかはしれているけどね。不動や会長枠で株持っている会社の人が挨拶にきて、驚いているわよ。沙織ちゃんも若く見えるし、あんな、いかにも安物と云う服着ているものね。」
「沙織ちゃん、まだ香奈さんにお金借りているの。」
香奈 「もう返して貰ったわよ。お礼に不動の株を少しくれたよ。配当も手数料も出さない運用会社の株だけどね、まあ香奈も一緒だけど。一応報告書作っているのよ。それ見るともう現金は1兆もあるのよ。貯めたものだよ。株も一杯持っているのよ。聞いた事のない会社が多いけどね。もう管理会社のレベルでもないのよ。沙織ちゃんでも三百億程度の収入がある筈なのよ。」、
「凄いね」
香奈 「青不動さんは、現金が3兆になったら、不動財団を作らせるといっているわ。」
「何をする財団なの。運営する人もいるわよ。」
香奈 「青不動さんはまだ教えてくれないの。もう少し見てれば分かるとしかいわないのよ。」

超特大の大波乱が起きた!

ジブトラスト本体も好調で、子会社、孫会社も儲けて、直属の子会社も儲けて、お金が貯まり、金融センターにもお金が一杯になっていた。カミカミファイナンシャル、香奈ファイナンシャルそして不動ファイナンシャルまでも大きな現金を持ち、大きく稼いでいる時に、相場が変調をきたした。始めは、簡単な調整下げのように見えた。神子や神代も下げが続くとお告げをだしていた。警戒レターが出て、各相場では売りのトーンを強めながら、みんなで注意していた。チャも売れ売れと云った表情をして、香奈もスイスコインに売りの指示を出した。

切人から、ヨーロッパの銀行が危ないと連絡が入り、神之助からどっこかが大損しているとの連絡も入った。やたらと商品相場で損切りと思われる売りを出す、為替も円安基調なのに円を大幅に売っている所がある。よほど大損していると思うとの連絡があった。株式相場は軟調なのに先物の買残が増えているとの連絡もあった。神子や神代も協議して、暫く各相場とも大幅な下落が続くとお告げを出した。急遽、緊急レターがジブ社内で飛び交い、直属の子会社、子会社や孫会社にも連絡がいった。これはどこかの証券会社とか大きな運用会社が苦しいと思い、緊急処置として全力で売りの基調を強めた。売れる株は売ったし、信用でも売った。先物も売りが増えた。その相手は苦し紛れに無謀な買いをして、相場は時々上がり、そして少しずつ下がっていった。

ヨーロッパの銀行が突然破綻し、ヨーロッパの株式が大きく下げ、アメリカも日本も釣られて下げだした。ヨーロッパの銀行は元々放漫経営なので、影響は限定的だった筈が、もうひとつの大きな銀行の関連する証券会社の巨額損失が明るみになり、もう一つの銀行のスキャンダルも出た。政界にも波及し、もう一つの大きな銀行と財務大臣との黒い約束まで明らかになり、とても政府支援も出来なくなった。関係会社も多く、流石に会社更生法の適用まではいかないとみんなが思っていたのが裏目に出て、20兆だ、30兆だと噂された損失を証券会社が抱えて、銀行も信じられない事に、証券会社が海外の銀行から融資して貰った時の債務保証をしていた。連立していた大きな政党からは、収賄の逮捕者が続いた。財務大臣と金融庁の大臣まで逮捕の噂が出た。

日本発の世界的な金融システムの不安もでた。国家と思える程大きな銀行の信用不安と証券会社の信用破綻で、株価を初め、各相場は10日間下げに下げた、まだ時々一瞬大きく上がる局面もあったが、その後はそれ以上に下がっていった。その証券会社の赤字は大きく増え、それが下げを加速していった。円も、70円台から久しぶりに90円を超えた。

ジブもカミカミも香奈ファイナンシャルそして不動ファイナンシャルも、子会社や孫会社などのジブ関連は揃って、回転売りを続けていたが、2週間ほどたってから、手じまいをはじめた。株価も各相場も峠を越えてきた。

証券会社は自主解散を予定し、もう一つの大きな銀行の動向も話題になってきた。解散を渋っていた内閣も、離党者が増えて新党を作りだし、大連立も分裂して、ついに解散になった。経済対策は、何も手を打てなくなっていた。ジブ関連の利益は、誰も分からなかった。

「昨日のテレビでは、ジブが動かないと国が危ないと言っていたよ。」
香奈「そんな事いっても動きようがないのよ。沙織さんは、不動ファイナンシャルとして、もう一つの大きな銀行の株を8円で買い支えしているけど、負債が分からないのよ。それに一族の銀行もあるし、手が出せないの。」
「ジブの儲けで債務保証をすれば、風向きは変わるとどこかのおっさんは言っていたよ。ジブの儲けは、30兆にもなっている筈とも言ってたよ。」
香奈「単なる憶測だよ。」
「いくらなんでもそんな事はないわね。」
香奈「私も良く分からないのよ。集計させているけど、動いているから、ジブで35兆、香奈で15兆程度だろう。不動で2兆程度、カミカミは神太朗君がまとめているけど、ジブと同じ程度じゃないの。」
「強烈な儲けだね。」
香奈「最後に苦し紛れに、あそこが無茶な買いをしたのよ。それを我々が、上がった所でみんなで売ったの。アメリカマーケットでの儲けも大きかったし、為替は驚異的だったわ。為替は値幅制限もないのよ。どうも俊司君が絡んでいるらしいわ。」

もうひとつの大きな銀行も、ジブ関連が救済し、証券会社も支配下になった。

個人の破産と道連れにするのにはあまりにも大きく、色々なルートでジブトラストや香奈に話があった。中国は、今度は親書じゃなしに、政府のかなりの偉いさんが、もっと偉いさんの親書を持って、治部ホームホテルまで来て、こっそり香奈に会いに来た。今度は香奈ファイナンシャルと不動ファイナンシャルそしてジブ上海銀行で、もうひとつの大きな銀行の増資と貸し出しをして、元凶の証券会社をジブとカミカミが救って欲しいと云う案が出た。ジブトラストで会議があった。

香奈「中国からも話があったよ。わざわざ来たんだよ。ジブ上海と香奈と不動で銀行を救済し、証券会社をジブとカミカミがそっくり買収して欲しいとか言っていたよ。今度は絶対、少しでもいいからジブ上海も出したいと言っていたよ。」
正子「政府筋からも同様です。出来ればジブ上海の比重を押さえて、ジブとカミカミが香奈ファイナンシャルに協力して債権放棄する事で処理したいと言う口振りでした。」
神太朗「今日、午後に銀行と会って話を詰める事になっています。」
香奈「今度は、私たちが動く必要はないんだよ、一族でもないのに。国の金融システムも大切かねえ。証券会社の債務はどの程度なの。」
神子「厳密には20兆でしょう。保有株式等を通常の市場価格で評価すると10兆程度でしょう。今は下がりすぎですから、今精算すると大幅な債務超過になり、やっぱり30兆程度入れないと再生は難しいと思います。」
神之助「商品相場も為替の損も、実損ではなく含み損もあるようですよ。我々の海外でプールしている現金も今円に替えてますよ。円換算にすれば、もう少し利益も上がりそうですよ。切人君とも連絡取って進めてます。」
香奈「神子ちゃんと神之助君が証券会社と話して、現状を査定し、ジブとカミカミが増資と融資に応じてから債権放棄する事で金額を詰めて、神太朗君はその話を含んで銀行の増資に香奈と不動とジブ上海で応じ、どの程度融資すればいいか詰めてください。全額の債権放棄か相当部分かも詰めてね。正子さんは、政府筋と話をしてね。沙織ちゃんとは話をするわ。中国にも今度は少し持って貰うようにしないと仕方ないと思うの。中国とも話をしてみるわ。それでいい。」
正子「仕方ないでしょうね。」
香奈「まあ今度の利益が減少する程度なら、仕方ないけど、税金をそっくり取られるなら意味ないしね。」
正子「そうですね。その点を確認します。」
神太朗「午後は、証券会社も呼んで、一緒に話しますよ。香奈は15兆、不動で2兆でいいですか。カミカミは35兆でした。」
香奈「為替換算すれば、もう少し増えているみたいだけどそれでいいわ。」

結局、銀行は大きな債務が消え、発行済み株式数の同額を、1株8円で400億の割り当て増資を香奈ファイナンシャルと不動ファイナンシャルとジブ上海に対して行い、更に3社連合は10兆の債権放棄の可能性も匂わせる融資融資をした。ジブトラストとカミカミファイナンシャルは、債務を負担する事を条件に、もう一つの大きな銀行が保有する証券会社の株を全額無償で譲り受け、証券会社は、30兆の融資を受け、1株1円で60億程度の発行限度枠一杯の割り当て増資をした。融資は、状況に応じ放棄することなった。ジブ上海銀行は、融資と増資の割り当て分を5%として、この割り当て分は、ジブトラストと中国の銀行と従来の出資比率を維持して増資する事にした。不動ファイナンシャルは融資と増資の割り当て分を5%として、残りのほとんどを香奈ファイナンシャルが出した。放棄した債権の相当部分を特別損失できる事で、政府筋から内々の承諾をとった。不動ファイナンシャルは既に8円で買い支えしていたが、再建の話を始めた段階で取引は停止となった。不動ファイナンシャルは、すでに3億株も買っていた。

陽太、総理になる。

選挙は、今度はごきげん党は、優花の「きっと希望は叶う」をテーマソングにして、今度は優花も比例で立候補して、なんと200議席にもなった。神子は今度は、個人的に献金すると共に、又陽太に少しお金を貸した。ごきげん党はそんなにお金を使わない選挙をしていたが、候補者は定年退職者や若い兄ちゃんが多く、政党助成金では足りなかった。個人寄付も集まったが、それほど大きな金額ではなかった。最低限度のお金は必要だった。与党連合も元野党連合も分裂して100議席を少し超える程度になった。参議院ではごきげん党はまだ10議席で与党連合と元野党連合が伯仲していた。元野党連合も一枚岩ではなかった。夢か戯言かと言われた無料診察制度を除外しては、話が進まなくなり、与党連合もごきげん党と連立を組み、陽太は総理大臣になり、優花は官房長官になり、立花努は財務大臣になった。厚生労働大臣を含む幾つかの大臣は、ごきげん党が取り、かなり多くの大臣の椅子は、与党連合に渡した。正直に云うと、企業や大学の退職者や若い兄ちゃんが多く、人材が足りなかった。陽太は、健康保険制度を全廃して、無料診察制度とし、個人の健康手帳を作り、健康保険制度関係の仕事をしてきた人は、多くは健康増進や高齢者保護、乳幼児保護の仕事をして、全国民の無料検診制度も導入した。医療機関はすべての医療費を国庫に請求する事になったが、やはり一定の制限もあり、それを超えるものは自費負担になった。それは、国が全額貸し付ける事になった。出産に関する経費も全て無料にした。ほとんどの特別会計は、この無料診察、無料検診制度に支える事になり、不足分は、3年間は無利子国債を発行して、新たな税負担については今後の様子を見る事になった。

陽太は、シングルイシュー、つまり無料診察制度の確立と云う福祉政策で総理大臣になったが、勿論政治はそれだけではなく、外交とか経済とかなんとか、色々な課題があった。組閣作業は連立政権なので、連立与党からの大臣はいわば推薦した政党の任命に近いものだった。陽太は他の政策なんか知らない筈だと軽く考えていた。年功序列とか政党内の力関係で大臣候補が決まっていた。陽太は、その人と議論する事にしたいと言った。それは当然と誰も思っていたが、陽太はなんと1大臣に1日かけて、役所の幹部とか、政党の中で詳しい人も呼ばれ、基本方針どころか細かく、徹底的に議論した。軽く考えていた人は当然ボロが出た。何人かは差し替えられ、それぞれのプロみたいな連中と陽太の親衛隊で、一内閣一大臣の方針で内閣が出来た。陽太はその官庁の事はその大臣に任せるつりだと言った。無料診察制度と無料診察制度は国民との約束だから、すべてに優先するものの、それ以外はすべて大臣に任せるとも言った。一応誰もがそう云うが、実際はコロコロ変わると誰もが思った。それに陽太の内閣は出来る筈のない目標を掲げていたので、直ぐに諦めると思った。特別会計は特別会計だし、その本来の名目があった。たとえ実態が乖離していても必要な基金もあった。短命内閣に終わると思った事もあったが、それが続いて、本当に無料診察制度を実行して、大臣は変えなかったし、本当に大臣に任せた。いつまで経っても短命と言われながら、続いた。

前回の一族の銀行救済の時は、融資したお金を債権放棄する事で、特損とする扱いがされたが、政権も変わり、今回は約束は約束だが、税収確保に協力してくれと言われ、証券会社への融資の一部だけが、特損になりそうな雰囲気になってきた。

「陽太君が総理大臣になったよ。凄いね。無料診察制度も実現したね。」
香奈「ジブは大変なんだよ。政権が代わって、この間の税金の処理も竹花さんが財務大臣になって、債権放棄しても、特損はそんなに多くは認めてくれないみたいだよ。約束は聞いたけど陽太が総理になったから、税収確保に協力してくれと正子さんに連絡があったよ。利益は儲けたより、大分減りそうだよ。銀行にも正人を頭取にして、研究所からも人を出さないといけなくなったし、神太朗君を証券会社の社長に出したのよ。新宿からも相当、人を連れて行くのよ。人はいなくなるし、利益も減るのよ。」
「でも赤字でもないのでしょう。」
香奈「それはね、まあそんな事もあるかもと思っていたからね。前年程度の利益を残すようにしていたのよ。」
「だったらいいじゃないのよ。そんなに儲けても仕方ないわよ。一族の悲願も叶ったのよ。財団は興奮しているわよ。無利子国債と云うのはなんなの。」
香奈「相続税がいらない換わりに、利子がつかないのよ。」
「すべての財産の相続税がなくなるの。」
香奈「そんな事はないわよ。預けた現金だけだよ。」
「それでも考えてみよう。」
香奈「全体の税体系を含めて税理士に検討させているよ。財務省とも話もしているよ。」
「今回の騒動の発端は、俊司君らしいね。」
香奈「本当はヨーロッパだけど、こんなに大きくしたのは、俊司君だね。証券会社と銀行を道連れにしたのよ。最初に損切りすればこんな事にはならないのに、苦し紛れにあがくとこうなるのよ。」
「怖いわね。香奈さんの言っていた意味は分かったわ。大損も大損ね。凄いね。神太朗君が証券会社に行くと運用会社はどうなるの。」
香奈「有村の孫も手伝って貰うわ。詩を書いている場合じゃないのよ。有村も高杉も暇そうだし、新宿で少し手伝って貰うのよ。神二郎君が神太朗君の代わりに新宿をみるのよ。会長枠は沙織さんが一応担当になるの。奈津実の子供も一人、ジブトラストに入るように言ってるど、恵の所は誰かいないの。取引じゃなしに企業の相談だよ。」
「私の所はそんな元気のある奴いないと思うけど、取引なんかは到底無理だよ。」
香奈「それは大丈夫だよ。新宿では、取引はそんなにしない事になると思うの。神子ちゃんと神之助君も管理を重視しているわ。切人が、ジャンヌさんの手伝いもあって、ヨーロッパとアメリカの子会社をみているわよ。聡美ちゃんも慣れてきたのよ。加代子ちゃんは凄いのよ。」

香奈オフィスは、奈津実が瑠璃の替わりに海外に出かけ、夫の良平と共に、各国の政府とコネを作り、鉱山の開発や共同開発に取り組みだしていた。瑠璃のハゲタカ、ボッタクリ路線とは少し異なり、開発型の鉱山経営も進めていた。鉱山探索ロボットも改良させて、資源探索契約をして、採掘、販売権も取り、有望な大きな鉱山も開発し、利権も獲得して、飛躍的に大きくなっていた。香奈オフィスが世界の資源メジャーになっていた。今や資源開発をリードしていると言っていても過言ではなかった。資金力をつけた香奈ファイナンシャルの国内や海外からも大幅な増資や融通、つまり借金と云う名の支援を受けて、資金問題を乗り越えていた。それに資源や鉱山などの開発をする時には、現地政府機関や現地資本もいれた合弁会社を作る時もあった。香奈オフィス自身が中核の大きな企業集団になっていた。奈津実の子供の良一も良二も香奈オフィスに入って、各地を飛び回っていた。娘の珠美まで旦那もつれて香奈オフィスに入っていたので、とてもジブトラストに入れる状態でもなかった。

それに他の孫やひ孫たちも香奈ハイテクにも入っており、財政学に興味を持つ子もいて、機械や資源開発、貴金属、カズコウォッチも抱え、勝の血筋も含めても、人は足りない状況だった。ひ孫たちも品行方正な奥さんや真面目な旦那を選んでいて、正子たちの血筋ほど、取引適性のある人や変わり種がいなかった。恵たちの孫やひ孫も大人しい人が多かった。菊子の子供の菊太郎も治部金属で頑張っており、菊次郎も菊子金属で年寄りに虐められて、いや指導を受けていた。もう人は、いくらあっても足りない状況になっていた。 

ジブトラストの体制変更!

香奈は、再びジブトラストの組織やカミカミファイナンシャルそして香奈ファイナンシャルとの関係を整理する事になった。ジブトラスト本体は、最も古いつき合いの企業を中心に香奈の感性で出資したり、沙織が香奈と相談して進めていた会長室と会長室ながら独自の枠の中でも取引している沙織、独自に先物を中心とする正子、相談や調査をして上場や非上場の会社へ出資し、不動産管理もする神二郎の新宿チーム、研究所や渋谷の海外総括を持ち、資産効率を考えて全体の株式投資や先物を管理する神子のチーム、神子のチームながら海外先物と株式を中心とする神代チーム、為替と商品相場全体を管理していた神之助のチームに細かく別れていった。売れる保有株は既に売っていたし、信用で売っていたものも買い戻し、新しく保有株を再構成する時期だったので、運用枠の設定で若干の調整もした。ジブトラストとして認める株式の保有やポジション以外は運用枠は1兆を超えず、枠拡大も1兆を限度とした。

新宿は大変革の予感、有村や高杉まで繰り出して安定化に躍起

新宿には、結局、神香の詩人である善作を入れるだけに終わった。神二郎は、神太朗の代わりに新宿を担当する事になった。新宿では、成長する企業に融資したり、出資していたが、神太朗は神子ほどではないが、取引もしていた。神太朗はポロポロになって解体される筈だった証券会社の立直しに行く事になり、自分のチームをつれていく事にした。そこで新宿の神太朗のチームと相談した。元々神太朗のチームは成長する会社を探してその会社に出資していく事を目指していた。でもやっぱり成長の度合には差があった。神一は保有効率の悪い株は整理して、配当や将来性を勘案して保有株を再編成していこうと言っていた。最大効率を求める神一の考え方は、神一が銀行に行った後も新宿ではそれなりに影響力を持っていた。神一の考え方に刺激された、目から鼻に抜けるようなシャープな頭脳を持った人たちがいて、新宿の中では運用成績もよく、新宿の成績を底上げしていた。これらの人たちは次期新宿の責任者になると云われていた神二郎との間に、運用方針をめぐって摩擦が起きると考えた。神太朗は証券会社ではジブとカミカミから資金を入れ、利益が出れば、三分の一は運用に携わった人たちに分配する。今の状況ではジブとカミカミに対する返済は巨額になるが、返済は利益の三分の一にする事で既に話はついているし、三分の一は会社に保留し、当座の運用もジブとカミカミから資金が入り、問題ないと説明した。そのためこのグループが中心となって証券会社に神太朗と一緒に行く事になった。運用成績が優秀な人たちと神太朗の側近が証券会社に移動した。運用成績が優秀な人たちは証券会社の自己売買部門の特別チームとして、神太朗は、側近の人たちを証券会社の各部門のヘッドにして管理しようと考えていた。この構想が後に証券会社の成績を急成長させる事になっていった。

新宿に残る人たちに動揺があった。新宿は、一族の会社などの優良な資産を保有していたが、神二郎の担当していた会長枠は低収益の会社が多かった。新宿の運用利益が減少すると考えていた。神二郎はそれほど効率のいい運用をしない人と思われていた。香奈は新宿に有村と高杉を派遣して、方針を説明した。新宿は3つのチームを作る。今までの新宿で運用や出資を担当していた人をAチームとし、有村を相談役として、今まで通りの方針で運用や出資を行う。Aチームはリーダーを作り、要所要所で神二郎に報告するだけでよい。不動産管理も不動産チームを作り、高杉を相談役として、リーダーを作って不動産チームとして今まで通りの方針で管理していく。実質的には有村がAチームをみて、高杉が不動産チームをみるというものに近かった。

ただ名目的には神二郎が新宿の責任者ではあるが、神二郎自身が数人自分の信念を理解する人をつれてきて新宿Bチームを率いると云うものであった。有村も高杉も高齢なので、あくまで相談役で、チームとしてのリーダーは、今までの新宿で働いていた人がリーダーとなった。その上新宿の各チームはほぼ独立採算に近く、新宿全体の付加給を三割として、それぞれのチーム付加給を七割とすると云うものであった。有村も高杉もジブの大ベテランだった。各チームの動揺も収まった。それに神二郎も新宿にきて、皆さんの仕事は今まで通りですといった。新宿としての運用枠は微妙でもあった。運用枠は前年度の利益からの配分と新宿としての保有株式の売買益とを考慮して決められて、新宿では、株の売買差益よりもむしろ成長益を求めるものであるが、そうは云っても株価が上がっていたり、下がりそうな株式は売買する事も当然あった。そのため今回の大混乱時に、神太朗も相当新宿グループで保有していた株を売っていた。今回の香奈の決定で新宿では新たに一兆の運用枠が与えられた。その上神二郎は、会長枠から一部を分割され、新宿の枠に、Bチーム枠として追加された。神太郎が売った株の価格は二兆近くあった。その意味では新宿の運用枠は下がったとも云えるが、人も減ったので、新宿での一人当たりの運用枠はむしろ増えていた。不動産チームはもっと複雑だった。新規取得は前年度利益から配分を受けて、その中で不動産を取得する建前ではあるが、現実には不動産管理チームは、香奈と神太朗が相談して、取得する事に決めた不動産の調査や実際の購入や今までのビル等の管理運営をしているだけにすぎなかった。

有村は新宿Aチームの実質的なリーダーとも言えたが、神太朗とは違う視点も組み込んだ。有村は、快適を聖子と共に海外展開してきた。新宿Aチームとしても海外展開する会社への投資や海外から日本に参入してくる会社への投資なども考えるべきだと言った。今までの運用は国内だけに偏りすぎているのではないかとも言った。海外ジブもある意味ではライバルなんだよとも言った。日本だけで商売できる時代ではない。足の引っ張り合いは良くないが、海外ジブとも協力はするが、新宿としても国際化対応していくべきだ、香奈からも了解を取っていると新宿Aチームに訓示した。

一方高杉は、不動産管理のチームに積極的な視点が足りないと訓示した。不動産は一種の開発なんだよ、単なるビルをホテルにしたり、オフィスにしたり、住居スペースにしたりする事で不動産としての価値が高まるとも言った。言われる通りに動くだけでなく、積極的な不動産としての価値を高める工夫をしていくべきであると言った。ジブトラストとしての直属のビル以外にも赤ちゃんスキ不動産そして一族の人のビルの維持・補修を言われる通り管理していくビルの管理人みたいな存在ではいけない。もっと不動産としての価値を高める工夫をしていく必要があると言った。そして恵たちのジプタウンを例に取り、単なるビル群ではなく、総合的な町開発をして不動産価値を高めたと言った。不動産管理チームとして積極的な提案や運営を考えていくべき時代なんだよとも言った。

神二郎は資産効率を中心にする投資に切り替える事はしなかった。自分の信念に共鳴する連中を連れてきて、困っている企業に投資して応援する姿勢には変化はなかった。しかし神二郎は名目とは云え、新宿の責任者であり、新宿全体の運用成績に責任があった。神二郎は新宿Bチームそして不動ファイナンシャルとして2つのチャンネルを使い分ける事にして、運用や支援した結果が比較的早い見込まれる企業には、新宿として投資や支援して、営業、企画そして資材調達などが不足している企業にもなんとか応援していき、資金以外にも支援体制を取る事にした。神二郎として支援や出資していきたいと考える企業でも、当分成長しそうとは思えない場合には不動ファイナンシャルが資金を出して支援体制を取っていこうとしていた。神香の詩人とも言われた善作は夢のある話が好きであった。夢のような話をする企業に心惹かれた。そしてその夢を実現させるためにどのようにすればいいのか、一緒になって考えていた。単に出資だけでなく、具体的な手順について相談していた。

有村や高杉は孫の善作や加代子が可愛かった。香奈から新宿を少し面倒を見てくれといわれ、高齢にも関わらず承知した。敷地内に度々遊びにくるようになり、ついには孫たちのマンションで寝るようになった。高杉は加代子も神三郎も夜勤族だったので、奥さんまで呼び、一緒に暮らすようにになった。有村も同様だった。それに敷地内は便利だった。聖子とも話をするようになった。どういう訳か二人と奥さんはどんどん元気になっていった。それに神二郎と一緒に新宿に行くので、神二郎と同じ車で行く事が出来た。善作も一緒に行くので、大きな車にして、一緒に行った。香奈が見て、車ぐらいジブで頼みなさいと管理にいった。有村と高杉は一緒の車で行くようになったが、有村と神二郎が同じ車で何か話したり、逆に高杉と神二郎が同じ車で行ったりしていた。神二郎と善作は毎日、有村たちから色々な話を聞いた。詩人だった善作も有村から家でも話を聞く事が出来た。善作は急にビジネスマンらしくなり、聖子と有村の話も聞き、努力と方法が正しければ、夢は叶うと思うようになった。

香奈は、神二郎のしている事には理解があったし、神香の詩人の言う事にも共感していた。しかし困っている企業を応援し、夢のある話に出資していては、そんなに利益も出るとも思えなかった。運用枠は神太朗に比べて低く、設定して、神子の資産効率化の運用に多くする事にした。人数の減った新宿Aチームの人もそう思った。今までのように神太朗に頼る訳にはいかない事は覚悟した。高齢とは言え、快適を大きくしてきた有村と相談して、国際化していこうとする企業を懸命に探して、有村がそのような企業と相談していく事になった。成長していく企業を神のように見つける神太朗や投資の最大効率を求め、自ら積極的に動いていた神一とは違い、神二郎に頼る事は諦めざるを得なかった。

証券会社の債務は、ほとんどが海外銀行への現地通貨建ての債務であった。ジブの欧米の現地直属の子会社でプールしていたり、今回の大儲けで得た現地通貨やカミカミファイナンシャルの現地子会社で同じくプールしていたり、今回の大儲けで得た現地通貨で肩代わりする事になった。神之助も金融センターに保有している円の資産をドルやユーロに替えていっていた。金融センターでの資産は実は今回の融資には使用されていなかった。日本での信用の落ちた証券会社のため、日本のジブ本体やカミカミ本体から、3割程度は、日本の円で融資した程度であった。多くは大儲けしたジブやカミカミの現地海外法人から出した形になった。銀行への融資は、欧米の香奈ファイナンシャル現地法人が保留していたり、今回の大儲けで得た現地通貨を円に替えて、日本に送金したものが7割程度になり、日本の香奈国内は3割程度の負担であった。これらの処理も問題であった。

香奈は、歴史的な儲けがあったものの、反対方向にずれた時のリスクを考えた。海外の直属の子会社にお金をプールし、回収しなかったので、大きく稼ぐ事が出来たが、暴走したり、大きな損失を出す事もあり得た。直属の子会社や子会社、孫会社そして金融センター等の海外の組織についても、子会社とも話して、再編成した。

金融センターの拡大

各地の金融センターにお金に集め、本体の管理下に置き、ジブトラストの財布とする。金融センターをスイスのチューリッヒにもジブトラストとジブトラストのリヒテンシュタイン金融センターとの合同出資の形でジブスイス金融センターを作り、ドイツを含めドイツより北の国の子会社からの配当を受け取り、ドイツより南の国は、イギリスを除き、今まで通り、今までのリヒテンシュタインのジブヨーロッパ金融センターに集める。イギリスは、小さいけれども、為替機能もあったカミカミイギリスの金融センターを、ジブトラストのリヒテンシュタインの金融センターが儲けたお金に加えて、ジブトラスト自身も少し出資して、ジブアンドカミカミ合同ロンドン金融センターとした。 単なる税率云々よりも生の情報と取引しやすい場所にも金融センターをおいた。この金融センターにジブイギリスやジブカミイギリスなどの配当を集める。アメリカの資金は、ジブアメリカ金融センターが儲けたお金にジブトラストがアメリカの金融センターに預けていたお金で再びケイマンにジブケイマン金融センターをジブトラストとアメリカの金融センターとが合同出資して作った。ジブトラストとしては、アメリカの金融センターに預けていたお金の約半分とアメリカの金融センターの運用利益をケイマンの金融センターに分散させた。ジブトラストのアメリカでの利益は今後ともアメリカの金融センターに集めるが、アメリカの金融センターに大きなお金を置いておくよりは、税率の低いケイマンに分散させた。金融情報と法人税率との調整を計った。日本を除くアジアは、シンガポールのジブ金融センターに集める事は変わらなかった。
カミカミはアジアには大して出資していなかった。聖子のアジアの快適には、ジブトラストが出資していた。アフリカは、カミカミのアフリカ金融センターを発展させ、ジブトラストと合弁してジブアンドカミカミ合同アフリカ金融センターを新しく作った。南米はサンパウロにジブ南米金融センターをそのまま存続させ、快適の資金供給も代行させた。
こうして金融センターを並列させ、一つの金融センターに大きなお金が突出して貯まる事を避けた。今回の融資では金融センターのお金は結局使用しなかったが、為替による利益が大きく、その利益を分散させる意味もあり、新しく金融センターを作った。金融センターはジブトラストが完全に保有したり、カミカミとの合弁ではあったが、大きな利益を出していた金融センターは資本金の何倍、時には10倍近い現金を持っていたのだった。それを平均化させる狙いもあった。これらの金融センターには、当然為替機能も持たし、現金としてもその資産価値の保全のため、各金融センターに貯まっているお金の約半分を資産効率を考えて保有する通貨の選択つまり、為替運用していく事にした。 更に、現地ジブ子会社や直属の子会社などのジブ海外法人から、大きなお金を引き上げるので、そのための資本補強を、少しづつ各金融センターから出資させて、各金融センターの保有しているお金を調整させる事もした。金融センターは、地域によっては、一部カミカミの資本も入っていたが、ほとんどが、ジブトラストの単独資本であり、海外におけるジブトラストの財布とも云える組織であった。
ヨーロッパに3つ、北米に2つ、アフリカ、南米とアジアそしてアフリカに1つの金融センターができた。これらの金融センターには為替専門家を置き、神之助に管理させる事になった。神之助は本体内に、新しく債券チームも作り研究をさせる事にした。

直属の子会社に資金をプールする事を止め、直属の子会社は独立した。

神元と聡美の場合は、神元が、各地で作っていた現地ジブカミファイナンシャルに、聡美のサトミファイナンシャルが合併して、新しいジブカミファイナンシャルが出来た。そのジブカミファイナンシャルと現地ジブトラスト子会社や現地カミカミ子会社、ヨーロッパの金融センターからも出資する形でジブカミトラストを作り、ほぼ独立した。ヨーロッパの子会社の管理セクションの数人は従来通り、兼任の形でトラストとファイナンシャルの管理になった。ヨーロッパで元々保有していたジブトラスト時代からの株の管理は、子会社の管理セクションが管理料を数パーセントをとって、トラストとファイナンシャルの管理を管理料を取って請け負う事になった。聡美は先物専門だったし、神元は一人で取引したい唯我独尊タイプの男だったので、それほど人数は必要ではなかったが、取引チームを形だけでも作り、若干は証券会社や商品相場会社や為替関係の会社から人も入れた。スイスの貴金属会社は、本体の保有を100%に戻し、ジブトラストスイス貴金属として、純然とした金の保管に徹し、本体の管理下にしてジブトラストスイスに管理料を払い、管理に任せる事にした。スイスの貴金属会社には、かなりの金を保有していたし、ジブトラストスイスは、香奈と親しかったコッソリートが社長になっていて、香奈と連絡を良く取って本体との関係は深かった。コッソリートは既に引退していたが、金の管理も担っていた。ジブスイスは、香奈の親衛隊でもあり、ジブトラストのヨーロッパ探題で、ヨーロッパの情報収集も担当しており、本体の管理とも密接な連絡を取っていた。

加代子の場合は、取引量も多く、元々取引補助の人も多かったので、専任の管理スタッフも何人か抱え、完全に独立する事になった。加代子のカヨコファイナンナンシャルに、加代子の一部の報酬を神三朗に貸して名義人に加えてカヨコファイナンシャルとカミカミ現地法人、現地ジブ子会社が、出資してカヨコトラストが出来た。大暴落時に加代子の儲けたお金は、空前絶後のお金であったので、ジブアメリカの近くに、ファイナンシャルとしてビルも持った。形の上でも完全に独立した。ただ管理はジブアメリカからの移行した数人が核となり、本体への連絡を取らせた。加代子の影響を受けた取引補助の人たちや加代子の鬼神のように儲けるのに憧れたディラーも数人集めて、取引チームを作り、アメリカの先物と株式を担当するアメリカの会社になり、カヨコトラストとファイナンシャルの取引をする事になった。

神帥も直属の貴金属会社に、姫子も出資させたジブカミスイファイナンシャルも出資して、同じようにジブカミスイトラストを作り、ほぼ独立した。神帥は、商品相場では貴金属、食品、非食品の3つのチームを持ち、孫会社と連携しながら進んでいた。為替が得意な神帥ではあったが為替も広範囲に取り組み、金融センターとも連携した為替チームも作っていた。ジブカミスイトラストには取引チームが4つ出来た。これらの取引チームは、他の相場関係の会社や為替の会社からも人を集めていた。この人たちが、ジブカミスイトラストとジブカミスイファイナンシャルとの取引を担当した。本体としての金保有の問題もあり、管理はジブアメリカが本体と連絡を取って兼任した。

これまで直属ジブが保有していた現地ジブトラストの株式は、カミカミファイナンシャルや神元たち担当者そして現地子会社も出資するため、直属の子会社から、本体への出資返還分として返還され、本体ジブが現地ジブトラストの株を、再び持つようになった。 各地の金融センターにも、少し現地ジブトラストと直属の子会社の株式を保有させるようにもした。

独自色をもったこれらの直属の子会社では、ジブトラストは、出資金以上のリスクを取らず、半年毎に締めて、設定運用枠以上のお金は置かず、普通の子会社と同様に税金や諸経費を除いた後の利益の90%は、配当として出し、ジブトラストへの配当は、本体や本体付属の金融センターに送金させる事になった。そして子会社の下の孫会社は、本体からの資本を更に少し増やし、渋谷と本体の神之助の管理下で本体指導料を取って、より細かく直接管理していく事になった。孫会社も子会社的な側面を持ち、直接本体にも配当としても多く利益が入るようにした。運用を委託していた関連会社も、本体から出資して、子会社や孫会社と同一扱いとして、ジブトラストグループの中に入れ、資本関係も調整する事になった。ここのようにしてジブトラストを中核とする指導体制を確立した。

海外では、マリアと切人たちは、マーケットがあるヨーロッパやアメリカの子会社に対する本体の管理担当であり、それぞれの子会社の取引チームを直接指導し、子会社ながら独自色を強めていった。子会社は、従来の子会社とも云える企業支援、出資グループと特別取引部のマリアと切人たちのグループの取引チームそして直属の子会社のお世話係も兼ねた管理セクションの3つの会社の複合体のようになっていた。

取引チームは、香奈ファイナンシャルそしてマリアホープの取引もして、利益比例で経費を負担し、それぞれ比例給で報酬も変化し、マリアや切人たちの影響が強かった。管理セクションは、取引チームや企業支援、出資グループの管理業務もするし、直属の子会社の取引補助もして、利益比例のお世話代も貰っていた。孫会社からの一部配当も貰い、孫会社との関係もあった。現地子会社の管理セクションは、海外子会社の一部門ではあるが本体直属の組織として、本体に直接報告させ、本体の管理下においた。管理セクションは直接本体と連絡を取って、他の部門には指揮命令されない事を明確にした。いわば本体の一部が子会社の中に出来たようなものである。企業支援チームも取引チームも本体への連絡は管理セクションを通して行い、子会社の状況は管理セクションが一括して、本体の管理セクションに報告する事にした。直属の子会社も加代子を除いては、今までの子会社の管理セクションに管理業務を委託させ、本体が把握しやすいようにした。ジブカヨコトラストの管理セクションは、ジブアメリカの数人を派遣して、本体の直属のようにした。子会社や直属の子会社に資金をおくよりも、ヨーロッパやアメリカの子会社からの配当は、本体や本体直属やカミカミとの合同金融センターに集め、神之助の管理下に置く事とした。

香奈は、このように組織変更する事で海外での過剰に保留していた資金を回収しながら、融資に充てた。香奈は、協調して、お互いに情報交換して管理しながらもお互いに責任を持って、本体の管理下に置き、儲けていく事にした、リスクの分散と保有する現金の確保を図ったつもりであった。事業会社の管理会社となっていた子会社もあり、すべての子会社は、本体の管理セクションが、利益状況と保有株等を半年期毎に直接報告し、利益も本体管理下に置く事にした。これで半年毎に各子会社や孫会社の利益状況も分かり、過大なリスクから本体を遠ざける事になった。

ジブトラストの役員組織も改める事にした。神太朗が証券会社に行ったので、神二郎を新宿担当の常務にし、神子も神之助もジブトラストの副社長として、役員報酬の比例率が変わった。

従来、役員報酬は全責任を負う会長が全体の最終的に計上する利益の1%を取り、社長が0.25%として、管理セクションの代表である常務が0.15%とし、その他の役員が残りの0.6%を分割していた。神太朗は常務格であったが、新宿での運用利益配分を受け、神子も常務格であったが、先物と株式そして渋谷と研究所を総括してその運用利益比例の配分を受けていた。神之助も同じく常務格であったが、商品相場を初めとする残りの取引部門からの運用利益比例の配分を受けていた。役員でもそれぞれ運用利益比例の付加給が入り、運用利益と最終計上の利益が差があったから、こんな変則的な報酬体系が可能であった。これからは、ほとんど利益計上する事になった。それに今回の大暴落でジブトラストには歴史的な運用利益が出た。今後こんな運用利益が維持できるとは香奈は思っていなかった。香奈自身は最終的な計上利益配分での報酬だったし、会長枠の利益も多いものの、他の部門は比較にならない程、膨大な付加給がついた。膨大な付加給だった海外担当の四人は、多くは財産管理会社のようなファイナンシャルを作らせて、そのお金もジブトラストの新しい子会社に出資させていた。神代、切人そしてマリアも財産管理会社に多く入っていた。しかし運用比例の付加給を払う人は、運用会社の性格上多かった。来年は利益が激減すると予想された。社員の報酬が激減する事は、ジブトラストの税金対策以上に問題であった。運用比例率を今更下げる事は出来ないものの、今年の報酬にそのまま付加給をつける事は問題が多いのではないかと思い、管理の常務に税理士と相談させた。運用比例を受ける人の手取りの来年度以降を予想させた。海外でも同様の試算を会社の管理セクションに試算させる事にした。

ジブトラストの社員対策

香奈「常務、どうだったの。そのまま運用比例の付加給をつけて、前のような利益になればどうなるの。」、
常務「いきなり、4倍とか5倍に上がり、また四分の一とか五分の一に下がるのですから、大変な事になりますよ。税理士は少しずつあげていけばといってますよ。」、
香奈「でも辞めたりする人もいるのでしょう。」、
常務「やがては報酬が下がるだけでなく、あらゆる経費が一旦上がるのですよ。少しずつあげていくしかないですよ。海外でも大変ですが、国内では強烈ですよ。手取りではほとんどなくなる人も出そうですよ。辞める人には気の毒ですが、退職金で色を付けましょう。運用比例を長期間に分割して特別給を基本給に加えたたらどうです。」
香奈「約束した運用比例だから守りたいのだけどね。今回の運用比例の付加給をそのまま支給して、利益がまた以前のようになった時と付加給を三年間で分割して支払った時の計算をごきげんソフトにさせて、みんなに選択させてはどうかしら。ごきげんソフトなら簡単でしょう。でも約束した運用比例の付加給を支払わないとみんな納得しないかもしれないから、分割して今年支払わない分は社員特典として、希望すればジブトラストが無利子で貸し付けて、ジブトラストの運用に回す事にしてもいいかもしれないわね。運用は必ずしも儲かるものではない事を明確にして、運用先は、本体だけでなく子会社や孫会社も指定する事ができるとすればいいと思うわ。」、
常務「それはいいかもしれませんね。会長じゃないけど自己責任ですから。役員はどうします。会長は関係ないでしょうが、みんな大変ですよ。」、
香奈「役員はそれこそ自己責任といいたいけど同じようにしてよ。それに今後は運用利益と計上利益との差を少なくするから、役員報酬の変更も考えるわ。常務も上げないといけないわね。取引部門との差も大きすぎるからね。」、
常務「こんな信じられない程儲かると後が大変ですね。私でも管理での分配が入るから、分割での支払いを希望しますよ。」

試算結果をみせられて、自己取引して多く儲けた人もいて、運用比例の付加給は多くの人が3年間の分割で付加する方式を選んだ。その上分割で付加する人には社員特典として、3年間は、今後残り2年間で付加する予定の資金を申請すれば、本体から無利子でそのお金を貸す事にして、希望すれば、自己運用したり、本体や子会社や孫会社に運用を委託する事が出来るようにした。管理料、情報料そして運用手数料などは引かれた。ジブトラストとしては、税金負担が上がったが、支払うべき報酬の一部は運用に回った。直属の子会社、子会社、孫会社は、独立した会社ではあったが、ジブトラスト関連の会社でもあった。ジブトラストと同様の処置を取った。

ジブから独立しようとする人たち

しかしこの大儲けにより、付加給が大きく入り、それを元手に独立しようとする人たちも国内や海外で少し出てきた。まったくジブを離れて個人として運用するのは勝手だが、やはりジブの取引システム上で取引したいと思う人もいた。意外な事に神子や神之助はこの人たちに助け舟を出した。元々神子や神之助の子分のような連中が多かった。神子は、冷静に人を判断した。能力や取引適性を見抜いていた。神太朗はその人の潜在能力を伸ばそうとするが、神子はそんな邪魔くさい事はしなかったし、人にあれこれと教える事もしなかった。馬鹿は馬鹿なのだ、時間の無駄だと思っていた。それだけに神子のグループは所謂株屋や運用会社そのもので、多額の報酬に惹かれて、あっちこっちと動く人が多かった。その中で優秀な人たちが残って、神子のグループとなった。株屋の研究センターも案外人の出入りが多かった。株は結果が全ての世界なので、ゴタクを言っても、ほとんど外れる研究してやる奴に、神子は冷たかった。神子のグループや研究センターに残る人は優秀な人が多かった。神子は、けっして人情あふれる人ではなかったが、折角優秀な人を手放すよりは、広い意味で、ジブから独立させても神子のグループに残していた方が得だと判断していた。神之助は少し違った。神之助は、結構親分肌の所があった。神之助の仕掛けは複雑だった。気心のしれた連中が大切だった。神之助のグループは、あまり人の出入りもなかった。それだけに、親分、子分のような関係だったので、子分たちを大切にした。二人は動機は違うものの、香奈に言って、ジブトラストの子会社とするようにした。ジブトラストが60%出資する事を条件として、神子や神之助の管理会社そしてカミカミも出資してその人たちも出資した。独立する人の出資比率は10%として、カミカミファイナンシャルが15%、それに神子又は神之助の管理会社が15%負担した。つまり、元手の10倍の運用が出来た。運用利益の中から、5%の情報システム料と5%の運用指導料を支払えば、運用利益の10%と出資比率に応じて配当が入った。今までの子会社のように資本準備金や配当準備金、変動準備金などの準備金も運用利益の中から少しずつ貯めていく必要もあるが、独立する事もできた。

ジブトラストの社員ではなくなり、ジブトラストの高い固定給は入らなくなり、資本準備金や配当準備金、変動準備金などを貯めていく必要もあるが、運用利益のかなりの部分が、そのまま収入になる計算であった。こうした子会社は、神子のグループと神之助のグループに国内や海外で何社か出来できていた。運用資金を更に神子や神之助の管理会社が追加で運用委託して、その分の運用手数料も30%渡して上げた。香奈は特例すぎると思ったが、最初の3年間だけだよと言って認めた。運用手数料の設定はジブにとって大きい問題ではあるが、ジブ出資額も基本的に少額だった。独立したいと思うほど取引に優れている人を今後もグループとして取り込んでおく事も必要ではないかと思っていた。それに神子や神之助が今後も指導していく事を約束したし、二人の管理下で独立して運用していく事も悪くないとも思っていた。このようにして神子グループや神之助グループの子会社が、国内と海外で少しずつ増えていった。

神子グループの場合

神子は、元々予測の神様みたいな人だったので、成長する分野や会社はよく判った。神子のグループもそうした神子の影響を受け、そうした予測に従い、運用以外にも、実業を考える人もいた。日本は、まだまだアメリカの後を追っているような所が強かった。いわゆるビジネスモデルが、アメリカにあった。それを日本型に変え、新しく起業を興す人が、神子の子分たちにいた。いくら、お金がドーンと入っても、その人だけのお金では少なかったので、神子の個人会社が多く、出資して、会社を立ち上げた。大きなネットサイトを作り、そこでネットショップやニュースを流したり、口銭をとって色々な事を紹介したりする事を始めた人もいれば、ネットオークションを含めた通信販売をする会社を作った人もいた。冶部食品は、コンビニみたいなものを考えていたが、結局安いよに商品を入れ、それが伸びたので、惣菜や弁当そして冷凍食品などを売り出して、自前の丼チェーンのような外食チェーンをする会社になった。そこに目をつけて、冶部食品から商品を提供してもらい、冶部食品と協力して、食品を中心とするコンビニチェーンを始めた人もいた。

神之助グループの場合

神之助は、商品相場や為替相場を担当している人たちだったので、チマチマした仕事をする気にはならなかった。そんなに数は多くなかった。為替専門会社や現物の商品の仲買のような、相場なのか実業なのか判らない仕事をする事が多かった。元手もドーンと要るので、何人か組んで独立したりした。神之助も手口も判りにくくする意味合いもあり、ドーンと出資したり、その会社に運用委託したりして、応援した。 神之助グループは、神帥を見習って、運用と実業の複合組織のような会社を傘下に持った。

香奈は、役員や社員の報酬や運用手数料の体系も変更した。

神太朗が抜け、役員の再編成をした。神二郎をいきなり常務として、今までの新宿を総括した。今までの企業支援担当の役員とビル管理の役員と神二郎との三人体制で新宿を運営する事になった。神二郎はまだ、神太朗のように完全に総括して新宿を代表する事はできなかったものの、神二郎に勉強させるために、神二郎を三人の役員のまとめ役とした。

神子と神之助を副社長として、部門毎の独立採算性とした。香奈と正子と三人の子と管理の常務だけの常務会を中止し、全役員の役員会に一本化した。役員報酬も替えた。役員報酬は担当部門の最終利益比例とした。

香奈は、ジブトラスト全体の最終利益の2%、社長の正子は1%とし、管理の常務も最終利益の0.5%とした。取引部門の神子や神之助は国外と国内を問わずそれぞれの部門の最終利益の1%とした。神代は、常務として海外部門の先物と株式の孫会社の最終利益の1%、新宿の神二郎もビルを含めた新宿の最終利益の1%、新宿の支援担当の役員も従来通りの新宿の支援や出資による利益の中で神二郎のチームを除いた利益の1%、ビル担当の役員もビルの利益の1%とした。渋谷の海外統括は研究センターの責任者にも海外からの利益の0.2%を割り振った。先物などの取引部門で役員として総括責任者になると、最終利益の1%の報酬とした。その代わりに役員の個人による運用であっても役員の運用手数料を2%に下げた。個人だけでなく、自分たちの責任の部門の最終的な利益に責任を持つ事にした。

それぞれの取引チームへの運用手数料を運用利益の10%を配分して取引チームで分配して、国内では本体の管理に、海外では子会社の管理に、管理料を5%支払い、ビル管理を除く本体の取引チームは情報料を5%本体の研究センターに支払い、孫会社からは、渋谷にある神子のチームと本体にある神之助のチームに、本体指導料を5%支払う事にした。取引チームの責任者には、運用利益の1%が取る事にした。ごきげんソフトには運用利益の2%をシステム維持費として支払い、ごきげんソフトとしての損失が出れば、本体から補填する事にした。

海外でも子会社や孫会社の役員は、最終利益比例の報酬に切り替えた。直属の子会社では、ほとんどは海外子会社の役員を兼務していた名ばかりの財産会社の筈であったが、神元達が稼ぎすぎ、取引補助などの兼任の人へのお世話代が運用比例だったので、多額になった。これは取引による運用手数料を10%とした。要するに自分の運用による手数料を利益の10%として、管理料と情報料を併せて10%取った。その上で、責任者には、最終利益による利益配分を付加した報酬体制とした。3年間は今回の歴史的な運用比例の付加給が追加されるが、その後は自分で稼ぐように報酬を決めた。

スイスカナコインも大ブレーク

香奈は、実はスイスコインの取り扱いに苦慮していた。香奈のこっそりとした隠し会社の積もりで、スイスの秘密口座の窓口会社で金の保管会社の積もりだったが、前の暴落では二千億も儲け、今回の大暴落では驚くことに六千億も儲け、今までの儲けを併せるとついに現金が、一兆の大台に近づいていた。年寄り運用チームはある程度儲けると利益を確定し、更に回転させながら儲けていた。為替でもチャの指示の基に、年寄りたちは、細かく売買し、やたらと利益を上げた。とても隠し会社ではなくなった。スイスコインの年寄り運用チームの意気は上がり、チャもココも二匹がハイタッチするほど儲けていた。チャとココは、鯛の活け作りを喜色満面の顔で食べた。

しかし、香奈も歳だし、スイスコインの年寄り運用チームの前途はバラ色とは云えなかった。とりあえず年寄り運用チームの運用金を二千億円相当として、チャ用ではあったが為替と株式先物は、運用金をそれぞれ一千億円相当として、運用金額の半分を損すれば、取引は止める事にして、運用手数料を上げて、15%として、運用枠の拡大もしなかった。猫と老い先短い年寄り運用チームが、今更若僧たちと一緒に話してやっていけるのも難しかった。猫と年寄り運用チームはこれまで稼いでいたので、その労を無視する事も出来なかった。勿体ないが、運用額はなくなるものと超高齢の香奈は覚悟していた。年寄り連中も意外にあっさり承諾した。金もやたらと貯まっていた。仕方なしに、今までのジブスイス貴金属の地続きのスイスの山間部に思い切り広い土地を買い、大きな保管庫をジブスイス貴金属に近接して作り、スイスジブ貴金属に保管料を少し渡して管理してもらう事にした。回りには、エンジェルスターも栽培し、池の近くにパワースターも栽培した。その場の勢いで、近くにあった腐ったような小さいワインの醸造工場やブドウ畑まで買いとって、良質のワインだけを作り、スイスコインが全量買い上げる約束をした。運営は今までのワイナリーの人に任せた。金の廃鉱なども含まれていた。思い切り広い土地を買ったので、牧場まで作り、乳牛まで飼った。簡単な低温殺菌の加工工場も作り、みんなで牛乳を飲む事にした。テツダウーノが牛乳を好きと言う単純な理由だった。

日本にも留学し、日本の猫を連れて帰ったほどの猫好きの教育関係者であるネコスキーノが、テツダウーノに相談に来た。牧場の近くに小さい全寮制の学校を作りたいと言ってきた。親がいない子や親が育てられない子供を教育するための学校だった。そして猫好きのネコスキーノは、一杯捨て猫を拾ってきて、町中の家のご近所から白い目で見られていた。それでなくても、日本からの連れて帰った白い猫は、雌猫だったので、子供や孫そしてひ孫の猫までいる猫軍団を抱えていた。損害賠償騒ぎまであった。自分の家も売って近くに引っ越して学校の寮と云うか寄宿舎の世話もしたいと言った。この白い猫が高齢になり、歯も抜けてきた。ゆったりした環境で最後を迎えさせたいとも言っていた。その話を聞いた香奈は何故だか、酷く感激し、スイスカナコインとして学校と寄宿舎とネコスキーノの家を寄贈したいとテツダウーノに言った。気の大きくなっていたテツダウーノは、小さい学校と言っていたのに、大きな寮と大きな学校を作り、ネコスキーノに運営を任せ、広い家と大きな庭のある家まで作り、ネコスキーノの宿舎とした。スイスカナコインとジブスイスは同根であり、ジブスイスはジブスイス財団を作り、町に託児所を作り、ネコスキーノに運営を任せ、託児所の運営費として利益の5%を寄付する事にした。スイスコインは学校だけでなく、同じようにスイスカナコイン基金として運営費を利益の5%をジブスイス財団に寄付し、学校関係の運営を任せた。かなりの大儲けをした年だったので、基金は膨大なものになった。ネコスキーノは、単なる猫好きだけでなく、初等教育の専門家でもあった。託児所を運営すると共に、身よりのない子や帰るべき家のない子を全寮制の学校に引き取り、自分で寄宿舎を管理しながら、託児所の運営もした。 

ネコスキーノの学校の生徒は、猫と触れあいながら、子供たちと一緒に暮らした。日本から持ってきていた茶色の猫の骨も自分の庭に埋めた。親と暮らせない子供達も猫と触れあう事で寂しさを緩和する事が出来た。日本からきた白い高齢の猫も元気になっていた。この猫も幼い頃に母猫と離れて暮らしていたので牛乳好きであった。白い高齢の猫は子供たちを励まし、その白い高齢の猫の子供たちも生徒を励ました。猫たちと子供たちは、少人数で生活していたが、仲良く暮らしていた。

スイスカナコインが買った牧場や加工工場は、土地もあったし、拡張にそんな大きな投資は必要なかった。儲けた株屋は太っ腹だった。加工場も広かったし、設備も整えた。ブドウ畑や牧場などを、ネコスキーの学校の生徒もする事もなかったので、少しは手伝った。

ジブスイスの孫会社の貴金属先物チームに金の保有量の10分の一ほどの金額で、金の先物の運用をヘッジとして委託した。スイスコインの金先物チームは結果を見ながら、運用委託しながらも、独自に委託分の半分程度を自分たちでも取引できるようにした。金と金貨などの購入原資は、最終利益の10%とした。スイスコインは、チューリッヒの中心部に思い切り超高層の大きなビルを建てて、コインのお店はその中に引っ越した。ところが年寄り運用チームは、これまでの小さいビルの一室が居心地がいいのか動かなかった。ここでスイスコインのコイン部門と運用チームは分離し、思い切り大きなビルの中のコインショップは、ビルの管理会社を兼ねる事になり、ビル管理の人もビル運用の人も増えた。コインショップとビルの管理会社は一体となり、その利益の20%を社員の報酬に充て、40%を立て替え準備金とした。香奈の思いつきだけで建てたビルなので、何の計画もなかった。世界的なジブトラストの会長の個人会社で建てたビルと云う事は知られ、ジブトラストスイスまでこのビルに入り、管理をジブスイスに頼っていたジブカミトラストスイスやファイナンシャルもスイスカナコインビルに引っ越した。これらの運用会社は、株式、先物、商品相場そして為替どで大きなお金を動かしていた。金融機関や証券会社そしてジブトラストの孫会社なども集まってきた。

ジブトラストスイスはコッソリートの作った証券会社との共同歩調で進んできたが、神太朗の証券会社の付き合いも増えそうだし、多くの証券会社もそれなりの付き合いを求めて寄ってきた。スイスのジブトラスト金融センターもこのビルに入った。為替関係の会社も集まって来た。立地条件も良く、直ぐに、チューリッヒの代表的な商業ビルとなりチューリッヒの金融センタービルとなり、チューリッヒを代表するビルとなった。コインショップは希少価値のある金貨を並べ、金持ち相手の金貨専門店になった。それでも残ったお金をスイスの銀行の表の口座に半分預けた。表の口座も複数の銀行に分けた。一族の銀行、もう一つの大きな銀行の支店や子会社なども寄ってきた。残りは、万一、赤字が出た時の補填用として、運用チームの小さい古いビルの大きな金庫に現金で保管した。古い小さいビルも24時間の警備もしかれた。香奈は運用額の上限も決めたし、運用は、もうチャと運用チームの好きなように運用して貰うつもりであった。
運用チームは、株屋の寿クラブのようになり、猫の発想を自由に取引に生かし、年寄りたちも、自由に小遣い銭稼ぎに没頭する事になる筈だった。ただコッソリートの作った証券会社はジブスイスやジブカミとの付き合いを維持するために神太朗の証券会社の資本も入れ、中小の証券会社をコッソリートの証券会社が買収する事で新しい証券会社を作り、その証券会社が中核となってジブトラストの取引をするようにした。本来のコッソリートの証券会社は、スイスコインとの共同性をより高め、小さい古いビルの運用チームとの連携を強める姿勢に変っていった。小さい古いビルは運用チームとコッソリートの作った証券会社の合同ビルのようになった。チャも歳なのに取引の頻度は増え、香奈は呆れてそのままスイスに伝えていた。

香奈「誤算だったね、スイスカナコインは。」
「やっぱり損したのでしょう。猫と年寄りの運用チームだものね。仕方ないよ。」
香奈 「そうじゃないのよ。儲けすぎているのよ。隠し会社の積もりだったのよ。チャとココは、ハイタッチして意気が上がっているわよ。スイスの運用チームも意気盛んだよ。六千億も儲けたのよ。ジブトラストスイスよりも多いのよ。」、
「それだけ儲けたら、隠し会社じゃないわよ。」
香奈 「こうなったら、思い切り大きな高層ビルを建てて、コインのお店は引っ越しして、ビルの管理もしてもらうのよ。それに山間部を目一杯広く買ったから、牧場も作り、全寮制の学校までつくったのよ。教育関係者の人が猫好きで一杯猫を拾っているらしいのよ。その人の家も宿舎として作るのよ。猫ハウスみたいな宿舎にするのよ。日本から連れて帰った、白い高齢の猫もいるんだって、コシロの事を思い出したのよ。」
「香奈さん、まだコシロの事を覚えているの。」
香奈「それは忘れようがないわよ。」
「大きなビルは、良い考えかもしれないね。スイスカナタウンだね。」
香奈「でも運用チームの人は、今の小さい、古いビルがいいと言って動かないの。仕方ないから、小さいビルで運用チームは、運用額を一定にして自由に取引して貰うのよ。昔からの付き合いの証券会社もテナントとして入っているしね。」
「ここの運用会社も小さい、古いビルだよ。」、
香奈 「それはそうだね。」

カミカミファイナンシャルも、国内で証券会社へ膨大な融資を行うので、海外の現地法人からの資金を吸収し、残ったお金で現地の独立したジブカミトラストとかカヨコトラストなどに出資した形となった。加代子たちへ支払っていた運用手数料を管理してたファイナンシャルにも出資させた。
カミカミファイナンシャルの現地法人も、新しい直属の子会社に出資したので、多くのお金はなくなった。ヨーロッパでは少しのお金は残ったものの、アメリカでは、カヨコトラストやジブカミスイトラストの規模も大きく、出資したお金も大きく、残された現金は、少なくなった。元々カミカミのアメリカでの儲けは神帥と加代子の稼ぎに大きく依存していた。カミカミにもジブトラストの持つアメリカでの金の保有を分配させながら、カミカミをジブトラスト内部に取り込んだ。一方カミカミも金の分配の権利を受け、直属の子会社がまだ持っている株の部分的ではあるが、一部の権利も得る事になった。

ジブトラストは出資比率も下がる代わりに、直属の子会社へ出資していた現地子会社の株は返還させた。ジブアメリカなどのジブ子会社や各地の金融センターもカヨコトラストやジブカミスイトラストへの出資分は、配当準備金などの準備金の一部を取り崩して出資させ、大きく稼いだお金は、配当として、直接本体に吸収した。
海外の香奈ファイナンシャルは、実質的には切人の支配下になってきており、もう一つの銀行の融資に、大きなお金が必要になり、国内の香奈ファイナンシャル本体が、海外の香奈ファイナンシャルより大きなお金を借りる形となって、余剰金を吸い上げて送金させ、資金膨張も同時に制限する効果にもなった。

マリアは変わらず、マイペースで取引していた。切人はジャンヌの手助けを受けて、香奈ファイナンシャルアメリカでも、神子たちのチームとも連絡も取りながら独自のスタンスで取引をした。ジャンヌは、マリアと交代するように遅くきて、遅く帰るようになった。切人もジャンヌも、マリアと同様に、本体の取引チームの一員でもあり、子会社の取引担当でもあった。そして複数の市場で3つの財布を使い稼いでいた。マリアホープと名付けられた会社は、市場のある複数の国に別会社を作っていた。海外の子会社は、企業支援を本体と協力しながら進める部門と切人たちの取引チームと管理スタッフに別れていた。管理スタッフは、ジブトラスト現地法人と香奈ファイナンシャルとマリアホープ、ジブカヨコトラストを除く直属の子会社との間で利益比例で経費を分担した。取引チームもジブトラストとしてだけでなく、香奈ファイナンシャル海外法人とマリアホープからも運用を請け負い、利益比例の収入も貰う事になった。運用枠も無制限に拡大せずに、本体内部と同様に、一兆円相当になれば枠拡大も止める事にした。取引チームは、株式、先物そして為替として取引分野を分けた。

マリア財団は、香奈の海外の各社とアフリカ快適ホールディングに対するカミカミ出資分への配当そしてマリアホープの利益の一定割合などを寄付されており、大きな基金を持つようになっていた。

運用枠の徹底化を進めた。

更に、ジブトラストの組織を使っての取引なので、他から運用を請け負う時、本体の了承が必要として、ジブトラストの運用額の1.5倍を超えないように運用する事にした。運用実態を考えて、ジブトラストとしての組織である事を明確にした。従来のカミカミファイナンシャル、香奈ファイナンシャル、マリアホープ、不動ファイナンシャルなどの家族単位の財産管理会社等を認める事にした。
ジブトラストの社員からの運用委託は例外とした。運用付加給を分割したので、この分のお金だけは例外として、それ以外では運用金額が、年間報酬の1.5倍を限度とした。このような決定で、ジブトラストの運用額に、ジブ関連の運用会社は自動的に運用の上限が、設定される事になった。

ごきげんソフトは、このような変更の元に再び、システムの整備を計った。神太朗の証券会社との付き合いが増えるが従来付き合って、いた取引会社との関係もあった。ごきげんソフトは、システムの整備をしていた証券会社や相場関係の会社に、神太朗の証券会社からの資本を受け入れるように要請していた。新しくシステム整備するのは大変な作業で且つお金がかかった。ジブトラストも証券会社や取扱業者に意向を聞いた。すべての取り扱い業者が受け入れたわけでもなかったが、取り扱い手数料が激減する事を避けるために、多くの業者が受け入れた。ごきげんソフトのシステムはほとんどそのままでシステムの一部の手押しで整備する事ができた。

神太朗の証券会社はほとんど労せずに、グローバルな証券、相場関係の中核証券会社となった。それでも急激な資金の割り振りの変更は避けた。ジブトラストの手口が露骨に見える事は避けた。ジブトラストの取り扱い業者の選定作業は極秘事項だった。ジブトラストの取り扱い業者になるとそれだけで、取り扱い金額が急上昇し、外されると激減した。ジブトラストの取引画面は独特だったし、総合口座から先物口座等の特定口座への振り分けもジブ全体の総合口座と取引担当別の総合口座等が並立し、取引担当は特に特定口座を意識する事なく、あらゆる取引が出来た。証券会社も意識せずに、ジブトラストのメインが証券会社の残高別に、取引を自動的に振り分けて注文を出した。香奈の海外やマリアホープそして不動のように、予め株式比率をしない限り、資金は一体化され、利益や株の保有比率も資金の比率で振り分けられるシステムになっていた。取引担当者が特に意識して、例えば香奈ファイナンシャルとして株を持ちたいと操作する事もできたが、多くの資金が混同して入るので、普段は意識せずに取引した。このようにしてジブトラストは、神太朗の証券会社に資金を少しずつ多く振り分けながら、順次、神太朗の証券会社の使用比率を、50%程度とする事になった。

コッソリートの作った証券会社も例外ではなかったが、ジブトラストとは別のラインにあったスイスカナコインは、その制約を受けなかった。コッソリートの作った証券会社は、積極的に神太朗の証券会社とジブトラストの資本を受け入れ、新しい証券会社を作り、その証券会社がジブスイスとジブカミのメインの証券会社にしていった。従来のコッソリートの証券会社はスイスカナコインと一体となり、より協調性を高めた。スイスカナコイン自体は年寄り運用チームだったが、注文を受ける証券会社の姿勢が変わっていた。システム自体はごきげんソフトが供給したが、ジブトラストではないので、神子のお告げや神之助のお告げも貰わなかったが、やはり、香奈が社長であるので、ジブトラストと同様の制約は受けた。スイスカナコインは、猫のチーム以外は、株式投資が主体であったが、独自の情報と各種の相場へのアクセスを増やしていった。

このように、香奈は、ジブトラストの元に、香奈ファイナンシャルやカミカミファイナンシャルたちを一部取り入れながら、関係を整理し、資産保全も図り、本体としても、子会社としても、責任を明確にして活動して、本体に資金を集める事になった。加代子たちの稼いだ膨大な運用手数料も運用資本に入れ、海外にプールしていたお金も少なくし、本体管理の元で安定的に活動していく筈だった。

特損は、香奈の危惧通り約束とは異なり、特損はそんなに多く認めてくれず、証券会社の純債務、つまり融資の半分程度しか認めてくれなかった。銀行は証券会社から切り離されたので、特損の対象とすら検討されなかった。結果として税金などの経費負担は大きくなった。しかし、債権放棄は少なくなったが、債権放棄前提の安い価格での株式割り当てはそのままだったし、融資のお金は少しずつ、返済される事にもなった。

ヨーロッパやアメリカなどの子会社は、独立した直属の子会社の株も持つようになり、孫会社からも配当に加え、利益は複数から入る事になった。海外のジブトラストは、神元夫婦が独立したヨーロッパ法人を作り、加代子と神帥もそれぞれ独立して、ジブの子会社そして孫会社や子会社が運用を委託する運用会社の取引と多層構造で活動する事になった。多くのプールしていたお金を特別配当として出さして、各子会社、孫会社は、又利益から税処理等の諸経費を引き、利益の90%を配当として出し、ジブトラスト分は、各地の金融センターを経由して、ジブトラスト本体に送金するようにした。

カミカミファイナンシャルの取引は、神子や神之助たちが取り扱い易いように、多くは海外や国内の孫会社で取引した。海外では、カミカミファイナンシャルの現地法人が運用をジブトラストの孫会社に運用委託する形になり、人件費などの経費を孫会社と分担して、利益は、現地カミカミ子会社から、ジブトラストの金融センターに依頼して別枠として保管した。海外のカミカミファイナンシャルの事業会社からの配当で得たお金は、経費などを引き、そして税処理して、同様に、各地の金融センターを経由して送金された。神之助は、金融センターに保留しているお金をジブとカミカミ双方の保全のために為替を行う事となった。アフリカは、取引に関係しないので、アフリカにあるジブとカミカミの合同金融センターは、為替や債券の取引窓口を持たし、ジブトラストの配当分も併せて、保有通貨の効率的な運用をしながらもジブやカミカミとしての資金の供給窓口にもなった。為替と債券は神之助が最終的責任をもった。

金融センターは、こうして取り扱う資金も膨大になっていった。

香奈は、当初は、各地の金融センターは、お金の一時保管や日本への送金手続きを行うための機関の積もりで作っていた。それが神之助は、その金融センターを為替や債権を取り扱う会社にしてしまった。ジブトラストは、便宜的に各地の金融センターに、お金を一時的に預け、それを必要に応じて、日本に送金させる事にしていた。各地の金融センターは、日本円ベースと各地の通貨ベースの資産があった。そうした送金の時期やお金の総合的な管理も神之助のグループが行っていた。各地の金融センターも株式会社組織なので、人件費税金等の経費も必要だったが、そうした経費を上回る膨大な収入を得るようになるとは、香奈はこの時はそんなに意識してしなかった。パラパラと為替処理して、日本に送金するよりも、より効率的な送金ができると考えていたにすぎなかった。

神代も孫会社をベースに、ほぼ独立

神代は海外の孫会社の管理で、本体指導料の相当部分を貰い、孫会社にジブトラストとカミヨファイナンシャルの運用を委託させ、一部の孫会社では運用を委託した筈の運用を実際に神代が運用して、カミヨファイナンシャルの指導と云う事にさせ、運用指導料まで貰っていたので、報酬も高く、カミヨファイナンシャルにもお金は貯まっていたが、聡美や加代子に比べると、一国一城の主とは云えなかった。
大暴落では神代もお金を儲けた。神代は自分の会社を作りたくなった。孫会社で神代の影響力の強いヨーロッパの孫会社とアメリカの孫会社に、ジブトラストの自分の運用枠の一部を振り分け、それをジブトラスト本体からの増資として、カミヨファイナンシャルやカミカミファイナンシャルからの出資も加えて、新しいジブトラストの孫会社とも子会社とも云える会社を作りあげ、そして運用はカミヨファイナンシャルの指導によるものとして、運用指導料を8%カミヨファイナンシャルに入れ、管理指導料として2%を神代がとるとした、直属の子会社に似た会社を作り、配当を出資金の比率に従い振り分ける事を香奈に提案した。香奈は、正子と神子と相談した。神子一人で海外の先物と株式の孫会社を管理する事は難しかったが、神代の予知能力は、短期間だった。株式投資は3日とか5日程度保有すればいいものでは無かった。神子が海外の孫会社の先物や株式まで含めた責任者にもなったが、神代は、海外部門の副責任者となり、神子のグループと協力する事や神子、神代レポートを続けていく事を条件として認めた。神代の孫会社は短期間の売買に限定して、先物を中心に現地スタッフが株式を調査して、神代が判断して売買する短期売買する短期売買専門の先物と株式投資の会社となった。

神代は神子のお告げに加えて、超短期の神代のお告げを付け加え、神子のお告げは短期、中期とも充実した。しかし、株式投資でも超短期の見通しは判るものの、ジブトラストでは基本的に、株式の保有は長期保有が原則だったし、あらゆる株価が判るものでもなかった。神代は、神子の選んだ株式を元に、国内や海外で神子神代プログラムを作り、国内でも超短期の先物と株式の短期売買専門の神代の孫会社を作り、大体週2回程度は取引を行った。多くは海外先物の短期見通しを出し、自分でも運用していった。海外株式の長期的な見通しは研究センターの報告を基に神子が出し、神代が短期的な見通しを付け加える事になった。

しかし自分の会社に近い会社が出来、そこでカミヨファイナンシャルの運用もするようになると、ジブの管理などより、当然自分の会社の取引に専念しだすのは、やむを得なかった。海外の株式や先物をしていた人たちも、ジブカミ、ジブカヨコそして切人たちのチームの子会社みたいなものになるか、グループにそのまま吸収されるか、又は神子の指導の基に独立していったので、神代は、結局、経済センターの仕事をしたり海外の市場について神子と協議をし、孫会社の管理もするものの、海外の副管理担当といいながら、神代も独立したようなものだった。

兎も角、神代の海外の会社は、ジブトラストとカミカミファイナンシャルと頼りない神代の旦那も少し出資したカミヨファイナンシャルそして現地子会社の四社の出資で独立したようになった。国内ではジブトラスト、カミカミそしてカミヨファイナンシャルの3社の出資による神代の会社が出来た。神代の国内の会社は、はじめ神代一人で、忙しくなると神子のチームの人に頼んだりして運用し、海外では自分の考え方がよく分かる孫会社を選び、神代の会社と云うような会社ができ、その運用には、カミヨファイナンシャルが担当した。

神代の海外の孫会社は、結構規模もある運用会社であった。神代の運用枠を反映して、運用額、つまり資本金は大きい会社となった。ロンドン、フランクフルトそしてニューヨークにあった。これらの孫会社は、先物取引中心の短期取引専門の先物と株式専門の運用会社となり、直属の子会社と良く似た孫会社になった。神代は3日間程度の高値、安値、初値そして終値がある程度の確率で予測できた。100%とは云えないものの確率は高かった。ただ神代は取引頻度は高いとは云えなかった。突発的に高値になるが、それ以外は安値圏でウロウロする事もあり、高値での取引量が少ない事や高値を出した順番で取引が約定する事もあった。聡美のリズム感にのった瞬間的な取引や加世子の機関銃のような連続的な取引と比べると、取引頻度には、明らかな差はあった。それに神代は管理の仕事もしていたし、神代レポートも出したし、渋谷との話し合いの時間も必要だった。神代以外のディラーも海外の神代の孫会社には当然いた。カミヨファイナンシャルは、このディラーたちにも運用枠を与え、細かく取引さした。神代は聡美と違い、阿修羅のような取引も苦手だった。株式も短期取引専門だった。3日とか5日で株価が倍になったり、半分になったりする事も少なかった。ニューヨーク時間の最後までいる事もなく、ヨーロッパ時間で生活した。午後2時頃ジブトラストに来て、自分の国内の会社と云っても、名目な神代の会社、つまり神代自身が、神子のチームに管理料を払い、オーバーナイトやディトレードに近い短期の株取引や先物取引を依頼して、神子と打ち合わせをして、ヨーロッパ時間の終わり頃までいて、家に帰っていた。

国内では沙織は独特の視点で動き、時には香奈や正子もたまには株式に参加して多層構造で活動し、正規軍とも云える神子や神之助は、孫会社の管理をしながら、運用していった。結局先物や株式の子会社みたいな孫会社は国内と海外を問わず、神子のチームが担当し、神之助が商品相場や金融センターでの為替を担当する事になった。

香奈はこの再編成でリスクを避けて、ジブトラストとして資金を本体に吸収させ、安定的に運営していけると考えていた。

もう運用する事で運用しているお金が何倍も利益がでる事なんかはないと香奈は、考えていた。

香奈「折角、子会社や孫会社の管理をして貰って、成績も安定してきたのに、直属の子会社があんまり儲けるから、各地のカミカミファイナンシャルや各地のジブの子会社も出資したの。その代わり子会社の株は、本体に戻ったの。各地のジブの子会社の利益も上がってきたのよ。マリアさんや切人たちが各地のジブでも働いている形なのよね。神代ちゃんも国内や海外の孫会社に、カミカミと一緒に出資して大きな孫会社を作ったのよ。孫か子会社は判らないけどね。もう海外の会社では、ほとんどお金をプールしないようにしたの。税金も払わないといけないしね。損した時も大きくなるからね。利益は、ほとんど本体が管理していくの。税金はかかっても、安全に運営しないといけないからね。陽太の事もあるしね。これからは、安全に運営していくのよ。」、
「加代子さんは、まだボーとしているわよ。大丈夫なの。」、
香奈「成績は、若い時の正子さん以上なのよ。神帥君でも取引している加代子さんを見ると怖いらしいよ。青不動さんも、あれは別格と言ってるわ。ジブアメリカが世話していたけど、取引の頻度も多くて大変なので、専任のスタッフを加世子さんのトラストに置いたのよ。神太朗君の証券会社のアメリカの子会社を使っているのよ。孫会社に本体からも少し出資して、渋谷の管理は、孫会社だけの管理にしたのよ。各地の子会社は、本体の管理に報告して貰っているの。神元君達の直属の子会社からの連絡もあるしね。」
「複雑になっているのね。」、
香奈「本当は、もっと複雑なのよ。ジブだけでなく、香奈の現地法人もあるし、カミカミファイナンシャルの現地法人もあるのよ。それにマリアホープの現地法人や家族だけの現地法人やスイスカナコインまであるのよ。」

香奈が本体へ資金を集める形に再編成したのは、融資のお金、税金の支払い、ジブトラストの資産の安全性そして陽太のためだけでもなかった。日本の国債発行残高が無料診察制度の導入で急増し、円安となり海外通貨での資産が円換算で増えていた。無料診察制度が健康保険分の減税になり、内需刺激策でもあり、長期的には、内需が伸び、やがては、円高になると考えていた事も無関係でもなかった。アメリカやヨーロッパ、南アメリカそしてアフリカでの利益が上がっていたジブトラストにとっては、現地通貨をいつ円に替えて、税処理するかは、利益を作用する要因の一つでもあった。色ボケ女の知加子も、優秀な財政学者であり、惚け老人風の財務大臣の竹花も、内需刺激策が数年で効果を出すと試算していた。香奈も今は円に替えて、税務処理し、本体のお金とする方がいいと思っていた。税収確保にも協力しながら、やがてくる本格的な円高時代の投資を考えていた。今はもう積極的な運用よりは、より安全に運用して、次世代にジブトラストを任せようと考えていた。香奈は、超高齢ではあったが、惚け老人ではなかった。

ジブは、香奈の意図とは違い、膨張化していくのであった。 

しかし、この再編成は、ジブトラストを安定化させ、ジブトラストとして運用するお金を少なくさせる効果はあったが、家族単位のファイナンシャルは、単なる財産管理会社とは、ならなかった。独立した直属の子会社の利益は増え続け、運用手数料と配当を受け取った財産管理会社であるべき筈の各地のファイナンシャルも運用会社になり、それが更に大きくなっていった。又各地の金融センターは為替や債券で運用し、その資金を世界各地のジブ子会社に、本体の指示に従い、供給していった。

加代子は、まだ相場を離れるとまだ少し、ボーとしていたが、相場では鬼神の如く、儲けていた。加代子はまだお金の管理どころか相場を離れるとボーとして、まだ幼い子供の世話になっていた。しかし夜のジブトラストで加代子を見ると、翼を持つ青白い炎に包まれていた。同じ時間に働いていた神帥も驚く程であった。まさしく鬼神と化していた。加代子は、揺れ動くアメリカマーケットで1日に2割程度の利益を得る事はざらだった。激しく動く時には、1日で倍以上にもなり、オーバーナイトも恐ろしく当たり、あれよあれよと云う間に、資産が増えていった。特に直近の大暴落時の儲けは、ジブとしてもカミカミとしても空前絶後の利益を出した。アメリカのお金を根こそぎ取ると言われた程だった。しかも大きく下げた株を買い、倍になったら半分売ると云う情け容赦のない儲け方をした。香奈が組織改正する時に、ジブアメリカの社長が香奈に直訴して頼み込み、ジブトラストの直属の会社にジブアメリカやカミカミファイナンシャル現地法人と運用手数料が手つかずのまま残っていた加代子が出資した形で、株式と先物のカヨコトラストが出来た。そしてそれは他の直属ジブの組織に波及して、海外の組織再編成に繋がっていた。ジブトラストが60%、カミカミファイナンシャル現地法人15%、ジブアメリカが10%、北米の二つの金融センターが併せて10%、カヨコファイナンシャルが5%となった。運用するお金も300億ドルとして調整した。税金や経費の除いた利益を90%配当した、残りは準備金として保留した。

加代子はジブトラスト本体のカヨコトラストの担当でもあった。加代子の本体での給料は、カヨコトラストから利益の2%を管理手数料として渡され、運用指導料は、利益の8%として、ファイナンシャルにおくられる事になるが、当分はカヨコトラストへの出資とする約束だった。加代子の手数料を運用に回し、ジブトラストへの送金を増やす事を考えていた。加代子は半年で運用額の3倍の利益を上げ、翌半年も2倍も稼いだ。想定よりも利益が上がりすぎ、カヨコファイナンシャルのカヨコトラストへの出資は、ジブトラストの出資分を振り替えていたが、あっと云う間に、カヨコファイナンシャルの出資比率が10%になり、カヨコファイナンシャルに預ける事になり、それを一緒に運用し、かすりを取られないカヨコファイナンシャルはあっという間に大きくなった。

神三郎は、ボーとした加代子から、エンジェルのように人を救いたいと云われた。夢の中でも、翼のある人から、アメリカにも十分な医療を受けていない人がいる。そうした人を助けて欲しいと言われた。アメリカにもセイブチルドレンファンドにジブアメリカが寄付をしていた。セイブチルドレンファンドとは、違う視点で医療中心の財団と病院を作ろうと思っていた。しかし、日本の治部病院でも緊急外来を作るだけでも大変だった。力とお金を貯めてから、アメリカにエンジェルホープ病院と財団を作りたかった。日本の治部病院は、やがて変えてみせるとも思っていた。それと協力してエンジェルホープ病院とそれを援助する財団を作っていこうと思う壮大な計画を持っていた。加代子は相場では、そんな事とは無関係に無心になって取引をしていた。あれは、ボーとした加代子の戯れ言かもしれず、神三郎だけの夢かも知れなかった。

加代子は、既にお金が貯まっていたカヨコファイナンシャルとして、不思議と下値で製薬会社などの株を買い、すべては売らなかった。一族の会社の中には、製薬もあり製薬の子会社もアメリカにはあるのに、不思議な事であった。
加代子は、毎年のように妊娠していったが、産前産後の休暇は、他の人に比べると少なかった。子供たちは、同居した祖父の高杉夫妻が世話をしたし、加代子が長い間、相場から離れたり、神三郎の精液から離れるとどうなるか分からない怖さがあった。

神帥は、ジブトラストが保有していた貴金属会社に、同様の比率で、ジブアメリカとカミカミファイナンシャル現地法人とジブカミスイファイナンシャルが併せて運用額相当を出資し、ジブカミスイトラストとした。運用額も200億ドルとして調整した。ジブトラストの金保有の問題もあり、神帥が儲けてもジブカミスイファイナンシャルの出資比率も増やさず、ジブカミスイトラストから利益の2%を本体の神帥の給料として管理手数料が充てられ、運用指導料は、利益の8%を、ジブカミスイファイナンシャルへ移された。

この二つのトラストの利益が驚異的に伸び、やがては、ジブトラストやカミカミファイナンシャルの利益を支えるようになった。

聡美と神元の場合もジブトラストの直属子会社に、カミカミファイナンシャル現地法人や各地のジブ現地法人もアメリカと同様の比率で出資して、ジブカミイギリスとジブカミドイツとジブカミフランスそしてジブカミスイスとなった。併せて300億ユーロの運用会社になった。二人はそれぞれ独立していたが、夫婦でもあり、部門独立の形で統合した会社になっていた。ジブカミトラストでの利益は、先物と株式部門と商品と為替部門に分けられ、それぞれ2%は、本体での聡美や神元の給料として、管理手数料名目で本体に送金された。ジブカミトラストは、元々保有していた株の配当も受け取っていた。運用指導料は、8%を聡美や神元が出資したジブカミファイナンシャルのそれぞれの部門に渡され、利益は二つの部門を一体として処理され、税金や諸経費を除いて90%を配当として支払った。各地のジブカミファイナンスには、部門毎と共通の3つの財布があった。運用指導料はそれぞれの部門の財布に入り、配当は共通の財布に入った。聡美や神元もカミカミの現地法人に出資して、出資枠の上限に達していた。

神太朗は、今までも株式の自己売買は少なく、増資や出資対応が中心であった。ただ効率重視派は自己売買もした。多大な融資を受けたので、債権放棄されない部分は、少しずつ返済する必要があった。神太朗は急がず、取りあえず、証券会社の財務を充実させる事にした。
証券会社も自己売買を減らし、口銭稼ぎを中心としようと神太郎は当初思ってきた。ところがジブトラストの新宿の中でも取引のうまい連中も連れてきてしまっていた。連中のジブ時代の給料は高く、驚異的な給料を貰った後なので、頑張らないと実質的に受け取る給料は、大きく減少すると云う連中だった。

神太朗は仕方なしに、特別チームを編成し、自己売買特別チームとした。神子や神代のお告げがないので以前のようにも儲からないが、それでも優秀な連中なので、神ならぬ人間としてはそれなりの儲けを上げた。連中もお告げの有難さも分かったが、なんとかそれなりに利益も出た。証券会社もかすりをとれた。神太朗は当初の計画通り、対面販売、相談しながら顧客の資産を増やす、コンサルテルティングビジネスを強化した。一方ぐちゃぐちゃ言われるのが嫌いな人用に、売買手数料も大きくさげ、ネット対応も充実して、各相場へのアクセスも増やし、売買をし易くした。ごきげんソフトは、神太朗の証券会社の取引システムを考え出していた。ジブトラストもこの証券を多く使い出して、手数料収入も増加した。株価も少しずつ元に戻り始め、証券会社は直ぐに成績が急速に上がっていった。利益の三分の一を返済に廻したが、神太朗の例の自己売買特別チームに保有株の選別をさせ、保有効率が悪いとみた保有株を、時価換算で約束通り、返済金額の半分とした。証券会社はデッドストックのような株を処分しながら、返済金額を減らしたと思い、喜んでいた。

ところが、ただの人間ならぬ神子も、大化けする株が安値で労せず、大量に手に入ったので、喜んでいた。神二郎は、神二郎たちのチームで総合的な協力関係を築くように指導すれば、会長室枠の企業群も相互に成長していける会社の株も混じっていたので、神子に言って、新宿にもその株の一部を廻してもらったので、喜んでいた。三者が喜んで、結構な事だった。

銀行に行った正人は天下国家を論じる学者風ではあったが、奥女中たちの巣のようなところで出世した人間であり、元々、天下国家論が好きな社内もうまくまとめ、それなりに対応し、上品ながら上手く利益を上げていた。落ち着いてみると、元々証券会社の問題がなければ、問題もなかったので、放棄されない債務は、自己資本比率の問題もあり、融資は早い速度で返還された。株式化したくても、株式が集中しすぎて出来なかった。正人は立ち回りや法解釈の裏読みには強かったので香奈ファインシャルらに返すとみせて、返済の一部はやや危ない、そして貸し付け利率の高い債権を、香奈ファイナンシャルへの債権分与と云う手段を考えた。正人は、香奈ファイナンシャルの株主ではあったが、組織人であり、もう一つの大きな銀行の利益を優先した。

オーバーシーズファイナンシャルの誕生

香奈ファイナンシャルらの三社連合も融資していたお金も銀行から返して貰う事になった。切人とマリアは、香奈と話合い、銀行からの融資が返済されてくると、そのお金は、新しい会社である香奈オーバーシーズファイナンシャルを、海外の香奈ファイナンシャルの各社と国内の香奈ファイナンシャルが合弁する形で財産管理会社をつくり、受け入れる事にしていた。この香奈オーバーシーズファイナンシャルは、正人が貸したお金を債権としても返してきたので、仕方なしに、金融業としての免許も取り、貸し続ける事にした。その程度は政府も直ぐに特例として許可してれた。

ジブや香奈ファイナンシャルは、今までは無利子で貸していたが、今度はもう一つの大きな銀行と同一条件で貸す事にして、神二郎たちの新宿に調査と指導を依頼した。神二郎にとっては、今までの企業に比べると良好な企業ばっかりなので、経営指導は簡単だった。神二郎は、香奈オーバーシーズファイナンシャルからお世話料も貰い、香奈オーバーシーズファイナンシャルは利息も貰った。香奈や切人は、このお金は保管するだけにし、香奈ファイナンシャル自身の現金を確保する財産管理会社にする積もりだったが、少しは金融業として活動していく事になった。金は直ぐには返せないので、神二郎たちの指導も受けながら、債権は書き換え、利息も下げ、長期的に貸していく事もあった。香奈オーバーシーズファイナンシャルは結局ノンバンクのようになり、神二郎たちもその調査料も入ってきた。何より今までの神二郎達が株を保有し、指導していた中小企業との協調も取れるようになった。香奈オーバーシーズファイナンシャルも利息を貰い、現金そのまま保管するよりは、増えていった。香奈は落ち着かない年寄りだったので、ボロ株を買って叩き売る事もしたが、稀には気に入った会社もあり、この新しい会社への国内の香奈ファイナンシャルからの出資の一部とする事もあった。香奈オーバーシーズファイナンシャルは比較的大きな企業の融資専門のお助けノンバンクにもなったが、調査は、神二郎たちの調査や指導に任せた。

一方、ジブトラストも証券からもぼつぼつ返済される予定だったので、運用資金にせず、証券会社への融資をしたジブの子会社たちと一緒に、ジブオーバーシーズファイナンシャルを作り、お金だけを貯める事にした。カミカミファイナンシャルもそれに従い、海外のカミカミ現地法人と共同で、カミカミオーバーシーズファイナンシャルを作り、運用しない会社を作った。神太朗も組織人だったので、証券会社の保有する株も一部返済として渡していた。神太郎はジブトラストからつれてきた効率重視派の連中の査定に基づき、返済する株式を選んでいた。神太郎はジブとカミカミの有力メンバーでもあったので、そこはけじめをつけ、証券会社の組織として査定させる事にした。株価は底値のような状態だったが、その連中が見て、急回復しそうな株は当然証券会社に残しておいた。回復が遅い株、配当利回りの低い株や成長性が不明の中小企業の株などの株をジブトラストとカミカミへの返済に廻したつもりだった。香奈はこれらの会社のリストを神子に見せ、神太郎はこれらの株を返済の3割からが5割にしたいと言っていると伝えた。神子はリストを見て大化けしそうな株も入っていたので、それには触れず、返済は株5割でもいいと香奈に伝えた。

そしてこの中の数社は大化けし、さすがの神子もすぐには調整売買も出来ないほど上がり続けた。ジブとカミカミのオーバーシーズファイナンシャルは、返済されていくお金の受け皿であり、単なる財産管理会社となる筈だった。それが神子に運用委託したり、神子の判断で株を保有し続ける持株会社のようにもなった。これらのオーバーシーズは、名義上の住所をそれぞれ治部ホームホテルの一部屋を借り切って、そこにおいた。事務手続きや処理には、ジブトラストの管理セクションのトップである常務が個人的な形で、兼任として仕切り、お金はジブトラストが預かった。神子はジブとカミカミの有力メンバーであるが、運用委託は運用委託なので、けじめとして、神子のチームとして運用を請負、運用手数料はきっちり10%取った。

お元気レストランも大きくなった。

優花の目論んだSMクラブは、年寄りを元気にさせ、元気の出る健康食を出すレストランになり、店は増えていった。優花が又議員さんになり、大臣さんにもなり、神子は、自分の貸していたお金を、神子の管理会社からの出資に替え、会社を専門家に任せて、運営していた。神子も忙しい身なので、お元気レストランの会社としての保有するお金を多めになるように出資した上で、運営は完全にその人に任せていた。神子は、その専門家を、人間として高く評価もしていなかったが、そこそこ経営は出来る人だと安易に考えた。ある大手のレストランチェーンで頭角を表していた。優花も大臣さんなので、誤解を招かないように、自分の持ち株はすべて管理会社に預け、しかもそれを一族の銀行に管理させる事までした。つまり一切の介入や口出しもしなかった。任されたこのおっさんは会社の金を湯水のように無駄づかいし、銀座で遊びまわり、SMクラブにも入ったか思うとそうではなかった。やたらと頑張り、優花のような素人ではなかった。神子はなんとか維持してくれと頼んだにも関わらず、勝手に、料理も考え、おまけにコスト管理などもし、利益率も高くしてやたらと儲け、レストランビルの再開発もして、利益も上がっていた。

優花は経営者としては、いい加減だった。レストランは数も増えたのに、それぞれのお店の料理は、全てそれぞれの料理長に頼み、料理長は近場の店に原料を注文していた。それをこのおっさんは安いと評判だった安いよと協議し、全店一括で購入して、それぞれの店に配送してもらえないかと相談した。安いよはお元気レストランはジブの直系なので、慎重に協議して、冶部食品にも相談し、冶部食品は更に取引もあったし、会社としても近い、イチコプダクツや岡崎交易にも相談し、手配可能な食材のリストと発注量毎の概算価格をこのおっさんに見せた。このおっさんは料理長たちにこのリストを見せ、これで料理が出来ないかと聞いた、今までと違い、やたら豊富なリストだったので、料理長たちは出来ると言った。このおっさんは勝手に今日のおすすめなんかの料理を作り、コストダウンを図った。やたらと高品質の食材が入り、料理長たちも頑張らざるを得なかった。「いつまでも元気では」の値段は下がっていたし、食材は豊富に、しかも高品質になり、購入価格は下がっていた。当然美味しくなり、おすすめは安くした。優花のショーはなくなったが、優花の方法でも結構利益があったのに、更に高利益になり、値段もおすすめでは安かった。安いよは直系相手とは云え、儲けないといけないので、注文量比例の割引程度しかしなかったし、安いよ自慢のフルーツまで売り込んだ。元々冗談と思う程安かったので、お元気レストランは、デザートをただでつけた。元気が出る料理は、そこそこ人気だったのが、益々評判になり、繁盛し、利益を上げた。やたらと儲かり、このおっさんはビルを再開発しネットゲームボックスまで作り、客を集めた。こうして金をため、本格的なアミューズメント施設を賃貸で借りて儲け、自前のビルまで勝手に作り、そして更に儲けた。勝手きままに進めていた。神子は一応3年契約にしていたが、優花は帰ってこなかった。更に契約を延長している内に、どんどん大きくしてしまった。しかも優花は直ぐに帰ってくるつもりが帰ってこず、このおっさんは勝手に、儲けた金でレジャー産業にも進出するなどの我侭勝手な振る舞いをして、又レストランを増やすし、関連施設も持つなど自分勝手な振る舞いをし続けた。

神子も甘かった。優花は増資などできる立場ではないので、会社としてもう増資はしないよ。借金もしないよ。配当はしなくてもいいから、今ある金と利益で再投資できる程度は自由にしてねと軽くいったのがいけなかった。このおっさんの報酬も利益比例にしたのもいけなかった。このおっさんは、勝手にどんどん利益を再投資に回し、会社の利益は増えつづけ、更にその金を投資して更に会社を大きくした。しかも当初の予定より優花の復帰は益々遅れ、このおっさんの運営は続いていった。このおっさんの報酬も利益比例だったので、このおっさんも金が貯まっていた。神子もあまり勝手な振る舞いに腹を立て、このおっさんの貯めた金を神子の個人会社が取り上げ、お元気レストランに少しではあるが、罰として出資させる事にした。配当をしない株なのに、このおっさんは、神子が評価してくれたと勘違いし、配当もしないまま、利益を貯めて、更に努力し更にレストランも増やし、持っていたビルも再開発して、会社は大きくなり利益も上がり、いわれた通り借金もせず、会社の内部保留も増やした。このおっさんは今や外食産業の旗頭と言われるようになった。いよいよ図に乗ったおっさんは、益々会社を効率的に運営し、大きくしてしまった。10年近く経つと、素人の優花が運営できるような会社ではなくなってしまっていた。神子はぼやいた。「これじゃ優花ちゃんが帰ってきても何も出来ないじゃない。これだから、会社の運営など人に任せるといけないのよ。」

神子は、予測にかけては、神様みたいな存在ではあったが、神子にも予測がはっきりしない事もあった。神子は経済合理性に沿って予測しているので、その企業がやがては回復するとか成長するとかは判った。しかし、その会社の社内の人間関係とか、人と人との信頼関係、報酬以外に人が期待以上に働く事とかは、神子の合理的な予測の範囲から超えた。神子は、人は金即ち利益に基づいて行動すると考えて予測していた。経済的には当たり前の事であった。人は見えざる手によって、結局金になる事、即ち利益が取れる方向に行動する。神子はこうした予測の達人でもあった。長期的な予測は、概ねそうした予測の上に成り立つものであった。不利益になる行動を多くの人がすると考えると、予測は成り立つものではなかった。神子は、神子グループの取引チームの人や経済センターの専門家たちが、実業として独立する時も、成長する企業に経営陣として入る時にも、神子の予測に従い、神子の個人会社として、出資して応援してあげた。その会社が伸びると、合理的に予測していたからでもあった。神子の予測は概ね正しかったが、しばしば予測が狂う事もあった。大した報酬でもないのに、やたらと頑張る人もいた。神子は、報酬に伴わない行動は、自分の予測からずれるので、神子の個人会社から出資した株式をその人たちにそれなりの価格で少しつづ分けてあげたし、大きな資金が要る時は、神子の個人会社も増資した。神子は、特別な善意でもなかった。株式は、高く回収できるし、今後の予測の精度も上がると考えた。結局神子グループの実業の会社は、神子の予測を超えて、成長していった。神子の予測のずれは、お元気レストランだけでもなかった。

神子グループの独立した人は、ネットビジネスや通販ビジネス、コンビニチェーンなどを始める人がいた。神子の個人会社は始め大幅に出資比率を持っていたが、大きくなっていくにつれて、神子は、程ほどの値段で、つまり時価で、運営する人の要望により、株式を分けていった。運営する人にも少し、やる気をださせ、神子の個人会社の資金を回収して、より儲けようとしたものだったが、神子の予測とは違い、やたらと大きくなった。神子は忙しかったので、運営する人の自主性に任せるためにそうした。神子の個人会社はカミコファイランシャルを始めとして、複数あった。結局、実質的には、神子の個人会社が多く保有していたが、神子の個人会社と云っても、神子名義や陽一名義の多い会社とかに分かれて、それぞれに分散させたので、個々の会社名はみんな違い、保有会社としては、微妙に違っていた。陽太は総理大臣になり、個人資産は公開された、神代は既に資産があった。神子の個人会社は、みんなと違って、子供たち名義で出資させる事ができず、そのためこんな変則的な事をした。陽太が総理大臣を辞めれば、じわりじわりと個々の神子の個人会社に出資させるつもりであった。しかし、単独では、結局運営している人の比重が一番大きくなり、知らない人は運営している人の会社だと思っていた。こうした会社は、消費者直結の会社だったので、運営している人は、時の人扱いされ、不思議な事に、更に大きくなっていった。これも神子の予測は大きくずれていた。

優花の子宮の稼働率は高く、妊婦の官房長官として有名になった。陽太は総理になったが、無料診察制度が実現したので、辞めようと思った。優花も辞めたかった。官房長官の産休は少なかった。ほとんど妊娠している優花には、気楽な稼業でもなかった。ごきげん党の古株を副長官にしてなんとか乗り切っていた。陽太の夢につき合っただけだった。しかし思うようにはならないもので、直ぐに辞める事は出来なかった。

無料診察制度は初年度大きな赤字になった。無料検診も一方的な出資で終わった。無利子国債では、補えなかった。普通の赤字国債も出した。しかし増税したり、一旦始めた無料診察や保険制度を廃止させる事は難しく、その後始末をしてからと言われ、早晩行き詰まると言われながらも、陽太の内閣は続いた。2年目医療費は少し減った。税収が何故か伸び、国債の発行額は激減した。無責任と言われながらも続けた。3年目医療費は大きく下がった。税収も維持され、無利子国債の発行額まで減った。只今後は増税が必要になり、消費税と思われた。しかし陽太は、法人税の大幅な増税と所得税の増税とした。所得税では健康保険料相当の少しの増税だった。国内での直接支払う従業員への給与総額と従業員数に応じた雇用促進法人減税をセットで出した。国内雇用の維持に協力している特典だった。そのため、輸入品関係を扱っていると減税分が少なく、増税分が多くなった。無利子国債と並んで、国に対する寄付控除を新設し、特定の財団に対する寄付控除も上げた。個人や企業にも大幅に認め、相続税の対象金額にも無利子国債の購入者については、国への寄付についても累積控除を認めた。余裕のある時に、国に多く寄付しておくと、次年度以降にも繰り越して所得税や相続税でも控除できた。それに少し減税になった。国家財政に貢献した特典のようなものだった。又、企業が無利子国債を保有していると、その株は、相続の時に無利子国債保有分だけ、課税対象額から引かれる事になった。極端に言えば、株の価値の評価と無利子国債の保有額が同じなら課税対象額はゼロになった。期末時に保有している無利子国債が対象となった。それに無利子国債を保有している企業はほんの少し法人減税になった。
無利子国債は、逆プレミアムがついた。寄付の対象も国の事業を細かく分けた。支払い者が国の事業を選び、相続税や所得税を前払いするようなものになった。

従業員数が多く、給与総額も多く、国に寄付し、特定財団に寄付している会社は増税ではなく、減税になったが、逆の会社は大幅の増税となった。特に少人数でやたら儲けて、無利子国債も買わず、寄付しない企業には、法人減税はまったく適用されず、大きな増税になった。国内雇用にあまり関与していない輸入品関係の会社も、国内での雇用が伴わず、無利子国債を購入したりや国や特定財団への寄付をしないと大幅な増税となった。予算編成権の侵害とか、経済成長への大きな障害、自由貿易の阻害とか、大きな非難もあった。

陽太は、信じられない事にこんな血も涙もない増税案を掲げて選挙した。今度は誤解を招くといって神子もお金を貸さず、陽一、神代そして大介と共に個人献金だけをした。個人献金も少しづつ集まって、政党助成金と個人献金だけが頼りの選挙だった。陽太や優花は、少しあった自分のお金をごきげん党に貸した。法人増税を公約に掲げる政党に献金する企業はなかった。他のジブ関係者は誤解を招くと言って、太朗も正子まで、個人献金もしなかった。陽太は世界的な資産家グループの一員なのに、選挙資金は足りず、みんな危機感を持って、走り回った。陽太も負ける事を覚悟していた。陽太は負けたら、あっさり引退して、優花の事業を手伝い、敷地内で陶芸をして、優花は、神子に任せていたお元気レストランに復帰して、ショーをする積もりだった。神子からの借金もたまっていた。奴隷コスチュームも手入れした。 信じられない事にごきげん党は、前回よりも増やし、240議席も取った。参議院でもごきげん党は第一党とは到底云えないものの、そこそこ勢力を伸ばしていた。比例区ではそこそこ議席が取れていた。やっぱり陽太が総理になり、法案は通った。陽太が陶芸家になり、優花がレストランで歌う日は遠のいた。

「凄い法案が通ったね。」
香奈「ジブトラストは、凄い増税になる筈だったけど、財団への寄付控除も認められたので、そんなに大きな増税ではなくなったよ。それに赤ちゃん対策や幼児対策、妊婦の無料検診などの事業に寄付するようにするよ。個人でもそうしようと思っているよ。」
「私は、青少年の指導教育にも寄付するよ。」

実効法人税率は45%を超えており、税金の2割は、国への寄付で置き換える事が出来ていた。早期の寄付では、割引もつけた。多量に雇用したり、従業員が多い企業は10%も減税があった。それに寄付すれば、少しは税金も安くなっていた。特定財団への寄付も、利益の5%まで寄付控除が認められ、思い思いの財団が出来て、国の事業への寄付も増えていった。無利子国債も拡充され、10年国債として、相続税対象額は勿論として、企業では、所得からの控除金額も国債の購入金額に比例して少し増やしていった。

国際企業は、海外に子会社を作り、その子会社が利益を貯めたり、国内企業の空洞化とか言われた。金持ち優遇税率とか云われた。内需なき持続的な成長はなく、福祉を充実させる事により、基本的消費材の需要が刺激され、こっそり金を抱いている人や企業から無利子で金を借りて穴埋めして、日本の内需が伸び、国内へ製品を輸入し、販売する時の税金でやがて調整された。逆に、外国企業が日本で製造し、販売して法人減税の適用を受けたりした。法人税も税金なので、利益が上がらなければ、払らわないものだった。タックスヘイブンと云われる税金が、くそ安い国や地域は、昔からある。そんな所で大きな企業が出来た事がない。精々運用会社が出来る程度であった。企業は、需要に応じて製品を作っている。需要のない国に企業は栄えない。他の国の需要頼みの経済からの脱却が必要だと思っていた。消費者に、お金と余裕が出来てこそ、価格は高くても、高品質の製品が受け入れられ、それが日本の産業を押し上げてきた、他の国用に作った製品が始まりではない。日本は、単なる生産工場の国ではない、日本の消費者が受け入れ、品質が上がり、それが世界で評価されたのではないかと竹花は思っていた。

近隣諸国からの人の流入も大きく、医療難民の流入も発生した。医療水準が高くて無料になったからである。無料診察を受けるためには、前もって無料検診を受け、国民健康手帳を貰っておく必要があった。その国民健康手帳には、検診結果が記入されていたが、その国民健康手帳は国籍と無関係だった。一定の居住実態又は所得税の納入があれば良かった。偽造される事もあった。それでもあまり厳しく取り締まる事もなかった。総医療費は、無料検診制度や「ジャパンドリーム」や「いつまでも元気で」の貢献もあり、減少しており、医療機関の経営が圧迫されていた。何もなければ、無料検診制度の維持も含めて、半分以下に落ちる筈が、3割程度しか落ちなかった。医療機関の維持のために、厳しく取り締まりは出来なかった。医療機関はやがて、健康相談や地域検診の比重が強くなってきた。

雇用も少し増えた。人件費の圧縮が、税の上昇を招く事になった。国への寄付制度により、不人気な事業への寄付は少なくなった。寄付なので、寄付者への事業説明も必要だった。

一方、ジブトラストは、更に驚異的な儲けが続いていた。流石に為替からの異常な儲けはないものの先物や商品相場では高水準の儲けを持続していた。トラストの運用枠の数倍も儲けていた。香奈は、そんなに異常な利益は続く筈もなく、安全に運営していく積もりであったが、香奈の予測とは違い、その後も直属の子会社と云うよりも独立した会社は儲け、子会社自身も切人のチームが儲け、その上直属の子会社からの配当も入り、更に利益が上がった。本体の管理下に入った孫会社は、神子、神代そして神之助の管理とそしてカミカミの運用をする事で利益は高水準を持続していた。みんな好調を持続し、運用利益は増え続け、運用枠の何倍も利益が出ていた。更に、孫会社は直属の子会社からの配当を貰っていたカミカミファイナンシャルの現地法人も、お金が貯まり、そのお金は又、孫会社にも一部回り、神子、神代そして神之助は、孫会社を管理しながら、指示を出すだけでなく、カミカミとしても運用していった。

特に独立したカヨコトラストなどの直属の子会社は、時には、運用元金の数倍近く、利益を上げ続ける驚異の成長をして、一定の運用額だったトラストよりも、加代子、神帥、神元や聡美の家族会社である筈のファイナンシャルの資産は、大きくなり、それを運用して更に大きくなった。トラストがファイナンシャルから資金提供を受け、運用していたが、ファイナンシャルが大きくなり、逆のようになった。スタッフの報酬なども自由なファイナンシャルが、運用利益の比例率を上げて、利益比例の付加給を増やしていった。本来ジブトラストの子会社であるトラストも運用利益の付加給を利益比例で負担する筈だったが、ジブトラストの定めた比例率は低く、ファイナンシャルがすべて、利益比例の付加給を負担するようになった。これは何も善意だけでしなかった。トラストの利益によって、ファイナンシャルの運用も左右される傾向もあったからである。トラストの最終利益の90%は配当されるが、残りの10%は、変動準備金として運用しないお金として備蓄される。変動準備金がある程度たまれば、運用枠への一時的な転用も認められた。運用に余裕度が出た。

加代子は、エンジェルホープ財団を作り、病院も作った。

加代子が、敷地にきて、結婚してから6年ぶりに敷地外に、外出する事になった。しかもアメリカに行った。幼い子供たちも心配した。カヨコファイナンシャルのお金も貯まり、神三郎がエンジェルホープ病院となる候補病院を見付け、エンジェルホープ財団もアメリカで立ち上げる最終打ち合わせに行く事になった。子供の世話は、みどりがしていていたが、加代子が5日以上、神三郎の精液を飲めない事は危険だったので、加代子もついて行った。エンジェルホープ病院の候補病院は、廃院予定だった大きな公立病院を買い取り、貯まっていた赤字も負担し、医療援助するエンジェルホープ財団も予め、日本からも、清香の事務所が斡旋して、ほとんど目途がついていた。ただ神三郎もやっと取った一週間の休暇なので、自由に動きたかったので、加代子の世話は出来ず、カヨコトラストを一緒に訪ねて、加代子を預かって貰う事にした。加代子は、もはや伝説の人となっており、カヨコトラストとカヨコファイナンシャルは、保有株も多く、ジブアメリカの近くにカヨコファイナンシャルは、ビルまで所有していた。ビルの中に大きな事務所に構えて、トラストとファイナンシャルは一体となって取引していた。加代子の伝説に惹かれて、ある程度の運用枠を持つ何人かのディラーも集まっていた。加代子の手口を参考に取引していた。管理の人も専任のスタッフまでいた。もうアメリカの会社そのものだった。加代子は、早速取引を始め、加代子が取引を始める時に、翼のようなものを持つ青白い炎が、一瞬にして、社内に充満した。そしてその日から、加代子以外のディラーも社内では鬼になった。加代子は、日本に帰る前に、車でエンジェルホープ病院の候補病院を一瞬だけだが訪れ、事務局まで見た。青白い炎は、病院の中を駆けめぐり、加代子は日本に帰った。

神三郎は、病院を決め、エンジェルホープ財団は、ジブカヨコファイナンシャルの利益の10%の寄付を受ける事にした。そして財団の安定化の為、ジブカヨコファイナンシャルの保有する会社の株の半数を財団に寄託するようにした。エンジェルホープ病院には、「ジャパンドリーム」も多用した治療を行うようにもした。神三郎は日本人だったので、日本人の医者も集まった。そしてこの年のカヨコトラストの利益は大暴落時の時ほどでもないが、画期的なものとなり、カヨコファイナンシャルも病院や財団への拠出もあったものの、画期的な利益を上げ、神三郎が持っていた財政的な不安もやわらいだ。初代次平の試みた無利子無担保無期限での貸し付け制度の医療をアメリカでするので、不安が一杯であった。そのため神三郎は、10%以上のお金、想定される3年分程度の医療補助に相当するお金を財団に寄付して基金を作り、財団の安定化を図った。思いがけずエンジェルホープ財団が株を保有していた、がめつい筈のアメリカの製薬会社や他の会社も、病院や財団に寄付してくれる事まで起きた。不思議な事だった。単にこんな人や会社から寄付を貰いましたと張り出していただけだった。加代子は、それから数年間は、又敷地内から出ず、ボーとした状態は、少しずつ改善していった。

神帥は、独自の会社群を作り上げていった。

神帥は、直属の子会社である貴金属会社への出資を制限されたこともあり、ジブカミスイファイナンシャルとしても、相場の安い時に金を保有し、貴金属会社に金の保有を頼んでいた。ジブカミスイトラストが儲け、ファイナンシャルも儲け、ファイナンシャルの現金や保有する金も増えてきた。預かって貰っている貴金属会社とは別に貴金属会社が必要になっていた。

神帥は、金を保有する貴金属会社を探していた。偶々敷地内に帰ってきた羽朗と会い、売りに出ていたブラジルの宝石貴金属店を買うように頼んだ。貴金属会社は別に作り、保管庫や工場を作り、買っていた金を保有させ、貴金属店には販売していくように手配を頼んだ。ジブカミスイファイナンシャルが完全に保有するブラジルジブ貴金属とした。神帥は、相場師だったので、貴金属会社や貴金属店は、快適に運営を任せ、快適ルールに従い、利益が出れば、利益の10%をジブカミスイファイナンシャルに戻し、残りは現地で保留したり、投資したり、事業を拡大するなどの運営も任せるようにした。神帥は単に貴金属の保有会社を持って、ぼつぼつ販売する貴金属店を作った積もりだった。ジブカミスイファイナンシャルの利益の5%を貯めて、相場の安い所で金などの貴金属を買い、ブラジルジブ貴金属に、買った貴金属を増資の形で、出資していくようにした。神帥は金以外でも、銀やプラチナなどの貴金属を安値と思えば買い、ブラジルジブ貴金属に保管させた。後はこれらの会社に任せた。羽朗の妻のハナが進めていた南アメリカでの子供を助ける運動にも、ジブカミスイファイナンシャルの利益の5%を寄付し、運動の基礎に援助する事になった。

ブラジルにいた羽朗は、神帥から頼まれてブラジルジブ貴金属とブラジルジブ宝石貴金属店を作った。ブラジルジブ宝石貴金属店で販売するための貴金属加工の作業場を持ち、金などの貴金属の溶解や精錬したり、宝飾用に加工するための工場も作った。ブラジルジブ貴金属は、神帥が貯めていたニューヨークの金を神帥からの出資の形で引き取った。神帥は、ジブカミスイファイナンシャルの利益の5%の枠内で、相場が安い時に、金や貴金属を購入し、ブラジルジブ貴金属に送っていた。羽朗は、ブラジル快適の社員を、ブラジルジブ貴金属の運営にあたらせ、宝石貴金属店にも人を送りこんだ。快適では未経験の分野だったので、慎重に運営した。ブラジルは発展し、富裕層や中間層も増え、貴金属の需要も膨らんでいた。神帥の買っていた金の値段は大分安かったので、ブラジルジブ貴金属で保有する金を、聖子流に、市価つまり相場より少しだけ安い価格で販売した。何故か、思いがけず多量に売れ、ブラジルジブ貴金属にもお金が入った。パンツやシャツそしてオレンジなどは、思い切り安くしてもそんなに売れないのに、金を少しだけ安くすれば、こんなに売れるとは、羽朗や快適の人たちには、意外な事だった。神帥は儲け続け、保有する貴金属は増え続け、金などの貴金属の価格も上がり、ブラジルジブ貴金属も販売量が増え、お金も貯まってきた。貴金属店でも、溶解や精錬設備もあるので、金地金も売り、売った金地金も少し市価より値を下げて購入したり、金製品や宝飾品も金含量に比例して、金の市場価格から、一定の比率を引いて引き取る事を約束して販売した。単に毛利貴金属の方法を真似しただけだった。すると金は上がり続けているのに、金を売る人もいて、ブラジルジブ貴金属の金の保有量はそんなに減らなかった。ブラジルジブ貴金属は、金や金の宝飾品を一般の貴金属店にも販売していった。ブラジルジブ貴金属や宝石貴金属店はお金が貯まり、運営費や経費を除いて、利益の10%は神帥に渡し、残りは、貯めておいた。相場より少し安くしただけなのに、そのお金はあっという間に貯まり出し、直ぐにブラジル国内で幾つかの宝石貴金属店を買い取り、お店も増えてきた。ただ貴金属店なので、店舗の数をそんなに増やす事はしなかった。やっぱり安売りスーパーとは違うと思っていた。

ブラジルジブ貴金属には、神帥が儲け続けるので、神帥が買う貴金属と販売していったお金が貯まっていった。羽朗は、自分たちのよく判る分野で、貯まったお金を運用しようと思い、南米の快適の食品会社を総括できる、研究所も持つ大きな食品会社を、快適と合弁で、作ろうと思って計画を始めた。南米では、快適は農園も増え、食品関係の会社も増えていたが、乳製品の食品会社がなかった。大きな牧場と乳製品の会社と工場と総合食品研究所を造る構想を立てて、詳細な計画を立てた。ブラジルには快適も出資したブラジル資源開発もあり、化学工業の会社であるブラジル快適化学を作り、日本の安倍化学とアフリカの快適化学と協調して、大きな会社になり、快適洋服も工場を集約して、効率的な生産を行う、大きな工場を作っていた。

ブラジルジブ貴金属は、貴金属の保有が増え続けていったので、神帥は、ニューヨークの貴金属会社で保有している金やブラジルで保有する貴金属については、貴金属相場専任のスタッフを置き、取引させる事にした。ブラジルで保有する貴金属は増え続けており、貴金属の先物相場に必要な資金は、ジブカミスイトラストとブラジルジブ貴金属が保有量割合で分担して提供する形で実質的には、ファイナンシャルが貸す事にした。専任の担当チームの基本給はファイナンシャルが出し、運用手数料として利益の10%を払って、先物ヘッジをして、残った利益を融資分を精算して、それぞれ返す事にした。貴金属相場は、専任のチームが、保有量を見ながら、ヘッジしていった。神帥は、このチームに前年度のファイナンシャルの利益の5%分の貴金属の現物の購入もさせた。貴金属相場については、独立したチームが、ファイナンシャルやトラスト分を併せて取引した。神帥は、その取引状況の管理をする事になった。商品相場は、それ以外に食品相場と非食品相場のチームを作り、それぞれ独立させ、貴金属相場と同様にしていった。食品相場や非食品相場のそれぞれのチームも、貴金属のチームと同様に、現物を安値で買い、販売したくなり、神帥に頼み、それぞれの仲買会社を買い取り、ファイナンシャルが完全に支配するジブカミスイコーポレーションを作った。ここでジブカミスイファイナンシャルは、単に商品相場だけでなく、それぞれの商品の仲買会社も持つようになり、神帥自身は商品相場を単に管理監督するだけとなり、為替チームをチームと云うより為替会社のようにして為替に専念していった。

神元は相場師だったので、相場に専念

ジブカミのヨーロッパの会社では、出資比率は、10%まで上がってきたが、ジブカミとスイスの貴金属会社は切り離された。そのため神元はファイナンシャルとして、商品相場で稼ぐ利益の5%程度は、金を安い時に買って、貴金属会社にジブカミ分として保管して貰っていた。。神元は生粋の相場師だったので、金の保有以外では儲かりそうな貴金属であれ、何の商品であれ、複数の市場で、取引し、為替も取引し、儲けるだけに専念した。せこい儲けの実業や取引能力の低い奴らに任せるよりは、自分一人で取引していく事を選んだ。取引では儲け続け、年間では、運用した額の5倍の利益を得る事もあった。実際の取引の処理とか管理手続きだけを現地法人からの人に任せていた。
 

聡美は、株式保有も始める

聡美は、語学のセンスがなく、ヨーロッパのマーケットでは、先物しか取引しなかった。神子や神代のレポートに基づき、自分の感性と相場の流れだけで、先物の売買をしていた。元々聡美は、株や先物と云うよりもゲーム感覚だった。そして先物を取引するうちに、いくつかの手法を知るようになった。それは、所謂、罫線屋に近い感覚だった。株式や先物も所謂生き物だと思うようになり、チャート分析が得意だった。先物は会社が判らなくてもよかったが、株式は別物だった。株式をしたくても、第一会社の名前も分からず、何をしている会社なのかも分からなかった。アソコが丸見えで取引しているので、切人の妻のジャンヌが時々毛布やショールを膝に掛けてくれた。そしてジャンヌと話をするようになった。

ジャンヌの個人会社から始まっていたマリアホープでは、ヨーロッパの株式も保有しており、上がりそうな株などを保有していた。聡美も見栄をはって、貯まってきたジブカミファイナンシャルの自分のお金で買いたくなり、この株は上がるわよとジャンヌが云っていた会社の株も少し買ってみようと思った。聡美もパッパラパーとは云え、相場をしている人間なので、チャートを見て、低い時に買う事にしようと時々覗いていた。先物感覚でも全体の流れは上向きなのに、なぜか言われていた会社の株は下がり、チャートから見ても底のように見えた。先物取引は好調だったので、先物取引の合間に、取りあえず買っておいたが、三つの財布で複数のマーケットで、先物の取引をしていたので、先物が忙しくなり、買った事すら、忘れてしまった。聡美は気前よく、一週間、安値で買いを出し続けた。ただ取引してくれと言ってきた証券会社をみんなお義理で、金額の差があるものの、みんな使った。ジブシステム外の証券会社を使う事は、ごきげんソフトの総合口座システムに違反する行為であったが、聡美は先物専門だったので、特に意識もせずジブカミとして証券屋を使い、個人売買のような形で購入していた。ジブカミも管理は、現地法人に管理費を払い、管理して貰っていた。聡美は、株は分からず、ただジブカミファイナンシャルの聡美分は、大量に貯まり、聡美は、ジブカミトラストと同量程度運用していたので、ジブカミファイナンシャルの口座残高は、余っていた。ジャンヌの云った食品会社とは違い、オーストリアの鉱山会社の株と云う事は、初めから気がついていなかったし、倒産も噂され、猛烈な売りが続いていた事も知らなかった。当然発行株数も知らなかったし、50%を超える株を買っていた事なんか知るすべもなかった。聡美があまり買うので、浮動株もなくなっていた事なんか知らなかった。

沙織と神二郎は不動総合企画と不動工業団地を作った。

沙織も加代子の外出と同じ頃、結婚して以来、始めて外出し、新しく作った不動工業団地を見に行った。神二郎が言っていた、中小企業を集め、集約した大きなビルを作り、関係する企業が一つの柔らかな企業のようにまとまるものであった。ただ企業の独自性とか、それぞれ企業の技術レベルの違いとか問題は大きかった。沙織は、久しぶりの敷地外で興奮した。タバコを久しぶりに吸おうと思い、コンビニで買おうとしたら、もう30の半ばも過ぎなのに、年齢確認の書類をみせてくださいと言われ、買えなかった。

「加代子ちゃんが、アメリカにいったね。大丈夫なの、子供たちが心配していたよ。迷子になったら、どうしようとか言っていたよ。」
香奈「大丈夫だよ。ホテルは、エレガントホテルでよく頼んでいると綾子ちゃんも言っていたよ。それに昼間は、ジブカヨコトラストにおいておくと神三郎君も言っていたよ。トラストの人も面倒見てくれるよ。相場が始まれば、加代子ちゃんは、しゃきとするよ。」、
「沙織さんも外出したね。珍しいわね。高校生みたいに見えるような若い格好していたよ。」
香奈「結婚して始めてといっていたよ。不動ファイナンシャルとして、全て持つ始めての会社だもの。不動総合企画と云って、不動工業団地を持って、管理とか企画とか営業まで請け負う会社らしいよ。沙織さんは、妊娠する度に若くなるよ。タバコ売ってくれなかったとぼやいていたよ。姫子ちゃんの会社に頼んで、勝のロボット工学研究所のロボットまで入れて、未来エネルギーシステムの発電システムでハクテク工業団地を作り、技術だけと言った、神二郎君が援助していた会社を集めたらしいよ。うまくいくかねえ。みんな文句の多い職人みたいな人が多いからね。でもこれで神二郎君もこの会社の中で出資したり、援助すると言っていたから、沙織さんも楽になるよ。結構お金も入れたらしいよ。」 

不動総合企画は、資金繰りから、営業活動、税務や管理まで一貫して面倒をみていた。この不動総合企画を窓口にして、製造と技術だけの企業を集めて総合工場を作ったのが不動工業団地だった。不動総合企画は、多くの中小企業の営業窓口のような会社だった。製造、企画、資金繰りから受注、資金回収までして、利益の中から、一定の口銭を貰う会社だった。新宿では、利益ベースの仕事にはなったが、神二郎は資金だけでなく、多くの支援体制が必要だと新宿Bチームの活動で分かり、この会社を作る事にした。単なる経営コンサルではなく、実際に一緒になって仕事を支援していく会社だった。この会社が、職人肌の人たちを宥めたり、すかしたりして、一つの会社のように仕事を進めていく事になった。相談したり、説得したりする仕事なので、そんな人たちが多く必要だったので、人も集めだした。この会社が出来た事で新宿Bチームの仕事がしやすくなり、善作の夢のような話も具体的な手順をより求めやすくなった。ここでBチームは、質的に変換した。単に運用会社が出資するだけの存在ではなくなり、企画、営業等あらゆる事まで斡旋できる事になった。おまけに海外展開をしていった快適の創立メンバーだった有村が、海外進出の相談も受け、知り合いの多い、快適交易やジブトレーディングと調整までした。有村はなんやかやと敷地内に遊びにきて、奥さんまでつれて、善作の家に同居し、一族専用だったマンションまでやがて借りるようになっていたので、調整は容易であった。それに「転んでも金を掴む」聖子も儲かる仕事なら快適も一緒に参加した。有村は高齢だったので、短期間のパートやアルバイトのような積もりだったが、奥さんも含めてやたらと元気になり、しぶとく新宿で働き続けた。

世界は好景気に

再び世界的に好況の波が押し寄せ、世界各地で好況になった。日本も若い世代が増え、子供たちも高齢者も増え、日本の個人消費も伸びていった。世界のどこかの地域では、問題が起きる事はあったが、それが大きく世界に波及する事はなかった。日本の内需も増え、消費も増え、外需先行型の経済は変わっていった。ジブトラストの新宿で保有していた会社も伸びたが、会長枠で保有していた会社や不動ファイナンシャルが株を保有していた会社は、大きく伸びた。日本の人口も伸びていった。ごきげんソフトは、商業用のソフトとして、大きく伸び、会社実務のパッケージで管理する中小企業診断や経営相談までする会社になり、ネットでの相談は急増していた。それに研究所の研究プラットホームまで作り、通信回線もジブトラストのジブテレコムと組み、回線リセールも行い、通信まで入り込み、元ハッカーまで雇い、大きなソフト会社となっていた。ジブトラストから最初に支援を受けてから、ジブトラストの出資も増え企業規模は、段々大きくなり、ジブトラスト関連専用のOSまで作り、やがてオーダーメイドOSを各企業宛に開発し、そのOSに合致したアプリケーションソフトを安く提供すると云う手法で業務用ソフトの大きな分野を手にした。ゲームしたり、AVビデオを再生する機能なんかは省いた特殊なOSだったので、ハッキングや盗聴されにくいのが売り物の会社だった。

製薬の子会社の種苗会社は、遺伝子研究センターと快適農作物研究所と共同して、開発した、収穫量の多い農作物は世界の食糧事情を変えつつあった。医学も大きく進歩した。難病と言われた病気も治りはじめ、疾病率も大きく落ち、医療機関では、直接の医療活動よりも検診や健康指導が増えてきた。世界中活気が出て、株も持っているだけでみるみる間に上がった。

「どこも景気が良くて、財団も子育て講習とか赤ちゃんの育児相談なんかをしているよ。外国の人まで相談にくるよ。昔みたいな深刻な悩みは影を潜めたよ。」
香奈「少し行き過ぎのような気がするよ。確かに世界の各地で発展しているけど、経済はやはり波があるものなのよ。深刻ではないと思うけど、調整はあると思うよ。」
「運用会社は、凄く儲けているらしいね。テレビでも言ってたよ。ジブ関連では毎年、二十兆を超える利益が入っている筈だと言ってたよ。」香奈「みんなやたらと儲けているよ。でも神子ちゃんは少しずつ売ってるよ。加代子ちゃんも先物の売り残が増えているのよ。切人も沙織さんも売り残が増えているのよ。売れる所は売っているよ。信用の売りも増えているのよ。なにか起こりそうな気がするのよ。」、
「そうかね。」

世界経済は、少し調整模様

満ちれば欠けるように、過熱感が充満して、世界的に調整色が強くなった。今回は、そんなに長引かなかった。日経平均も3万円をつけた後、一ヶ月間下落し、二万五千円をつけて底になり、やがて又上がっていった。世界も基本的には、経済の枠組に問題もなく、よく似た傾向で上がっていった。

ジブトラストもカミカミファイナンシャルも香奈ファイナンシャルそして不動ファイナンシャルやマリアホープなどは、主に保有する現金だけが増えた。ジブの先物は、正子の影響を多少なりとも受けて、基本的には、売りには強かった。準備金も貯まりだした。各地の直属のジブも子会社も孫会社も利益が凄く出たので、配当の安定化を図るために、運用しないお金を、出資金の2倍の配当準備金と出資金に同額の資本準備金を、つまり出資金の3倍の準備金を持つようにしていた。それが貯まれば、税引き後利益の10%を準備金として置く事を止め、5%だけを変動調整金として貯め、この二つの準備金つまり、配当準備金と変動調整金がなくなれば、取引も一旦中止する事にした。又3期連続赤字になっても取引を一旦止める事にした。子会社や孫会社にそれ以上保留しない事にして、配当も急減する事も避けようとした。配当は、出資金相当額、5割、2割そして1割と減っていって、配当が突然減る事を防いだ。半年ベースなのでそれ以上の配当は、もう考えなかった。それすら貯まりだし、配当率も上がった。

スイスカナコインは安定

スイスカナコインは、ジブトラストとは全く別の組織だったので、神子や神代のお告げもなく、年寄りたちの調査や情報収集に基づいて長年この世界で生きていた年寄りの感性とチャの感性だけで取引した。しかし、コッソリートの作った証券会社は、各種の情報を提供して取引高の維持を図っていた。香奈も、報告は受けるが、時々取引の指図をするだけで、そんなに頻繁に指図しなかった。チャは細かい取引などはしたくても出来なかった。年寄りもそんなに機敏には動けなかった。ただ変に情報は詳しかった。どこで集めてくるのか判らないような話も香奈に報告してきた。掘り出し物の株も見つける事もあった。先物もチャに言われなくても中期的に取引した。突然の株式のボロ儲けとコツコツとした先物を重ね、運用枠の半分程儲け、チャも同様に枠の半分程儲け、ココもスイス情報と持ち前の感性で国内の香奈ファイナンシャルで儲けていた。スイスコインとして安値で買った株は、一部は保有するようになり、香奈もそれは特例として認め、運用枠から除外した。そうすると年寄り運用チームは配当がいい会社を選び、稼ぎの中からこれらの会社の株を少しずつ買って、特例を増やし、保有株は増え、配当で稼ぎを底上げすると云う、こすい方法を考えた。思い切り大きな高層ビルや思い切り広いと土地を買って金の保管庫などの多大な出費をしたので、折角一兆の大台を目の前にして、大きく後退して、長らく足踏みしていたが、やがてスイスコインの現金も一兆になり、半分程度はジブトラストのスイス金融センターに為替運用を委託する事にした。香奈のスイスの秘密口座構想も少し変わっていた。神之助の影響下のジブトラストの孫会社に、金の先物のための資金も金の保有金額の10分の一ほどは、貴金属先物として、運用を委託していた。これらの為替や金先物は、チャと年寄り運用チームとは別系列だった。

コインのお店はそんなに繁盛したとは云えないものの、豊富な資金力で、金貨やプラチナ貨そして銀貨のコレクションが出来ていた。ブラジルジブ金属やドイツジブ金属に持ち込まれた金貨も金として買う交渉をした。税金は要ったが、掘り出し物もあり、金貨コレクションは更に充実した。コレクションの一部は販売し、コインのお店は、ビルの管理会社も兼ねていた。ビルは結構収入があった。ワインは限定品となり、スイスコインの年寄りや香奈だけが飲むのでなく、少しは市販し、高値で販売するようになった。ワイン用のぶどうも快適農作物研究所が交配し、品種改良が進み、快適も南米でワインも作りだしていた。スイスコインもぶどう畑を少しずつ広げ、ワイン工場も少し大きくした。調子に乗って学校や牧場まで作り、牛乳は学校関係者やスイスコインの中だけでこっそり飲んでいたが、来客が飲み、美味しいと云われ、牧場も広げ、設備をすこし拡大して市販する事にして、スイスコイン直属の乳業会社になった。スイスコインは益々、利益を上げ出していた。全寮制の学校は、はじめ、親のない子や育てられない子供たちの為の学校だったのに、生徒はやたら秀才ばかりになり、親がある子供や金のある家庭の子供までは入るようになり、普通の学校のようにもなった。誰が教育補助や生活補助を受けているかなどは判らないようにした。猫たちも元気で走り回っていた。学校の授業を聞いているような猫もいる程だった。子供たちを励まし、勇気づける猫たちだった。日本からの高齢の白い猫も益々元気になり、牛乳を良く飲んで、孫やひ孫など一杯の猫たちを引き連れて、のんびり過ごしていた。

ジブトラストで、香奈は運用金額の数割も儲ければ上等と思っていた。しかし、直属の子会社の利益は高水準で続き、カミカミファイナンシャルも出資し、家族単位の会社も出来たので、カミカミとしての運用は、直属の子会社では、しなくなってきた。

沙織は会長枠の出資の窓口にもなった。しかし神二郎は、大きな枠を持つ新宿を担当し、会長枠も少し分けてもらっていた。不動総合企画が、中小企業の資金から、営業までなんでも相談窓口になり、取り扱い商社のような役割や増資等の調整もした。 沙織は、企業相談など出来なかったので、不動ファイナンシャルのこの年の儲けは、税金などの経費を除いて、不動総合企画に増資した。その後は、香奈や青不動さんの教えの通り、ジブや不動ファイナンシャルとして、一発倍増の機会をじっと待って株式投資して、普段は先物の取引をコツコツした。神子と神代がまとめたレポートには先物の3日間の始値、最低値、最高値、終値とその予測率が書いてあり、長期的展望までついてあった。香奈は、超高齢なのに、たまに一発倍増の機会を狙う姿勢は変わらず、ジブの会長枠や香奈ファイナンシャルとして株式投資をしていた。

一番影響を受けていない神之助も、激しく動く相場だったので、孫会社の管理に結構時間が取られたが、世界的なホジションの調整をして、ジブでもカミカミとしても利益を上げた。聡美は結構稼ぎ、加代子は驚異的であり、古風な神元や神帥は男の面子がかかっていた。ジブでもカミカミでも、頑張った。

神太朗や神一の抜けた穴は大きく、企業支援グループは、困っている企業に出資する神二郎や夢を追いかける詩人に頼る事を諦め、自分達で自分達の給料を維持する為に、頑張った。神二郎や詩人も、みんなの足を引っ張らないように、ある程度の利益がでるように考えて出資していった。なんといっても神二郎は、新宿の責任者であった。それでも神二郎や詩人は、今は利益が出ない企業には、不動総合企画から出資していった。沙織も妊娠しながらも、少しでも利益を出すために、不動としても先物もして、一発倍増の機会を狙っていた。利益は、稼ぎを期待出来ない神二郎のためにも、ジブとしての運用手数料を稼ぐために、先物取引で儲けを積み重ねていた。 

しかし、神二郎のグループは、そんなに大きく利益を減らす事はなかった。それにややこしい社債の引受、証券金融などは神太朗の証券会社に協力するだけだった。時代も良かった。経済も上がり調子だった。証券会社も資金力のあるジブやカミカミの助けも借り、債務を圧縮し、落ち着いてみると、保有している株式も評価額が上がっていった。従来あったアメリカだけでなく、ジブトラストのヨーロッパの子会社があった場所にも、神太朗の証券会社は、資本参加し、あるいは子会社を作って、ジブやカミカミなどの取引も扱うようになり、更に成績が少しずつ上がっていった。そして返済もその速度が上がった。銀行に正人が行き、調べるとそんな融資もあまり必要もなかったので、銀行はもっと返済が早かった。日本の金融センターともなった3つのオーバーシーズファイナンシャルのお金は増えていった。神之助は、これらの保有する通貨の選択を任され、世界各地のジブやカミカミの金融センターと協調して、保有通貨を変更していく事になった。 

香奈の安全に運営しようとした意図とは異なり、ジブトラストもカミカミファイナンシャルも香奈ファイナンシャルも不動ファイナンシャルも異常な儲けが続けた。香奈ファイナンシャルの国内だけは、ジブ社内の状況を案じた香奈が、みんなの調整や管理に時間が取られ、香奈自身の取引は、ココが鳴くものに投資する程度で、活発には投資しなかったが、香奈ハイテクや香奈オフィス関係の合弁会社が伸び、配当が増えた。 

ジブトラストは、本体への資金を集めた事もあり、今まで現地に貯めていたお金も利益に計上するようになり、税金分どころか、みんな利益が増え、香奈に係る比重も責任も増えた。香奈は運用手数料の分割を取り入れて、翌年以降の運用手数料をジブトラストで、社員特典として運用させる事を認めていたが、特例が特例でなくなるのは、世の常なので、ジブトラストの社員も運用手数料と云うか、運用比例の付加給は、三分の二程度は、大抵ジブトラストの関係の運用会社で運用委託する事になった。自分たちの報酬も会社の利益と明らかに連動するので、社員たちは頑張り、ジブトラストの利益は上がり、社員の報酬も高くなった。

「結局、ジブもカミカミも香奈ファイナンシャルも、むしろ寄付も増えているわ。もう基金が増えるだけだよ。」
香奈「危なそうだけど、利益があるのよ。神二郎君や詩人の新宿も利益は大して変わらないのよ。聞いた事もない会社の株は増えるけど、みんなが頑張ってるのよ。ジブの先物は、神様みたいに儲けるのよ。みんな人間業じゃないのよ。加代子ちゃんは、相場離れたら、ボーとした腑抜けなのに、凄い利益を上げるのよ。正子さんの若い時より、酷いのよ。取引が終わるとボーとして正子さんの家まで帰っていくのよ。
お金の管理どころか、他の事はなんにも出来ないのよ。高杉が奥さんつれてと泊り込んでいるわ。少しはよくなっていると言うけど、ボーとしているのには替わりはないの。聡美さんも益々酷い格好になっているらしいよ。切人も見ないようにしているらしいよ。聡美さんのアソコは丸見えだそうよ。ジャンヌさんが、時々覗いて毛布を掛けたりしているらしいの。」
「大変だね。でも神帥君や神元君たちの利益には敵わないでしょう。」
香奈「二人で併せるといい勝負なのよ。為替が大きく動く時は別だけど、いつも動く訳でもないから。加代子ちゃんは凄いのよ。正子さん以上の稼ぎなのよ。洋之助おじさんの家の男たちにかかると化けるのよ。ボーとしている時が凄いのよ。姫子ちゃんもボーとしていた時は凄かったわ。早く治って、相場も止めたよ。」
「あそこの男たちは危険なのね。でも知加子さんや沙織さんは大丈夫でしょう。」
香奈「そうでもないらしいわ。知加子さんも神一君の言いなりになっているみたいだよ。岩下家とはほとんど連絡も取らないのよ。沙織さんも貢いでいるようなものよ。沙織さんの稼ぎも聞いた事もない赤字会社の株になっている事もあるし、儲かりそうもない不動総合企画なんか作ったしね。やたらと人を集めているのよ。赤字になりそうなのよ、あの会社は。」
「みんな危険な男たちなのね。」
香奈「正子さんは、自分を取り戻すには8年かかったと言っていたわ。」
「香奈さんも大変ね。楽にはならないね。」

香奈「凄く儲かっているけど、なんか危なそうだから、管理は大変なのよ。神一君ぐらいジブトラストに帰って欲しいのよ。社内が安定すれば、適切な人を探して帰ってくる筈なのよ、もう十分勉強したのに。」

沙織は元々貢ぎ癖もあり、神二郎の云う通りに、聞いた事のない会社にも、不動ファイナンシャルから出資していた。しかし、中には神二郎が出資した会社も大きく伸びる会社もあったり、上場した会社も出てきた。詩人に夢を語った会社にも伸びていきそうな会社も出てきた。沙織は複数の株式を同時に買い上げ、高くなるのをじっと待ち、高くなると、多くは全て売り、時々は、半数を持つ手法だった。多くは神子も予想もしない銘柄だったが、重なる銘柄も時にはあった。人も多い不動総合企画は、当初は赤字続きだったが、意外にも利益を出しはじめ、大きくなり、資金力もつき、営業、企画管理そして法務などの人を更に多くの人を多く抱え、企業の相談にも乗りだした。神二郎も仕事がしやすくなった。ジブもカミカミも香奈も不動も利益が増えていった。益々香奈の責任も比重も増えていった。 

直属の子会社の異常な利益は尚も続き、ジブ本体にも現地子会社にも配当を出して、資金が流れ、カミカミファイナンシャルもその利益の一部を孫会社に運用を委託して、更に資産が増えた。沙織の不動ファイナンシャルも沙織だけの稼ぎに加え、株を保有する会社も配当を出しだして、更に大きくなった。海外の香奈ファイナンシャルも、もう一つの大きな銀行への出資の時に、大きなお金を日本に還流させたが、切人の異常な稼ぎが続き、香奈ファイナンシャルの海外は、又膨張していった。

不動財団誕生!

ついに、不動ファイナンシャルには、3兆の現金が出来た。株も一杯あった。青不動さんは、沙織と話をして、不動財団を作らせ、破綻したり、倒産した企業や自己破産したり、行き場のない人のための再生を援助する財団にした。不動総合企画の中から運営する人を選び、五千億の基金を作り、赤ちゃんスキ不動産に手法を見習い、ウィークリーマンションのような賃貸住宅ビルを複数作りだした。人や企業を援助し、協力してくれる弁護士や運営に協力してくれる人を探していた。不動ファイナンシャルは、不動財団に利益の10%を寄付する事になった。運営を手伝ってくれる人は、まだまだ少なかったし、援助していく人や企業は多かった。財団の活動方針や運営は、これからだった。青不動さんは、計画している事もありそうで、何故か自信がありそうだった。

香奈「ついに不動財団が出来たよ。青不動さんから、私にも宜しく頼むと言われたよ。」、
「でも大変な仕事だよ。いい加減な奴らも多いし、運営は大変だよ。確かにお金が貯まらないと出来ない財団だね。」
香奈「だから、3兆貯まるまで待って、不動総合が大きくなるのも待っていたんだね。不動総合の人たちが主体で動いているけど、今後の運営に協力してくれる人を探しているよ。これからだよ。清香さんの事務所も協力していく事になったし、安いよも協力してくれるらしいよ。きっちりお金は取るらしいけど、少しは安くするとは聖子ちゃんは言っているよ。国内の香奈ファイナンシャルも協力していくよ。利益の5%を寄付していく事にするよ。」、
「これからも大変だね。」

青不動さんは日本で、再生援助の財団も作り出した。まだまだ運営が暗中模索の状態だった。人生や社会に絶望してる人を再生させるのは難しかった。希望のない会社も再生への道は遠かった。ウィークリーマンションのような住居を与え、ボーとして暮している人も多かった。やる気を失った人しかいない会社を再生させるのも難しかった。小さい食品工場が倒産していた。元々小さい豆腐屋さんから揚げ物や練り製品まで手がける会社になったが、工場を拡張するのに、多額の借金をして売上げが低迷して、利子も返せず倒産してしまっていた。働いている人は多かった。やたらと借金して破産した人もいた。工業用の捻子や小さい部品を作っている会社も売上げが低迷して倒産してしまっていた。通信ソフトを作っていた会社も倒産してしまっていた。不動財団も運営する人も少なかった。不動総合企画は、やる気がある人しか相手にしていなかった。資金を入れ、一緒に考え、運営して多くの会社を再生して大きくしてきたが、いわば資金を援助し、運営を手伝う事で再生させてきた。やる気も失っている人や企業を再生した事はなかった。潰れた人の法律的な処理を清香の事務所が不動財団が依頼し、企業も法律的に処理して、不動総合企画が再生を請け負い、希望を失っている人を勇気づけ、今までのキャリアーを聞いて、潰れた会社と一緒に再生を目指す事になった。陽太が忙しい中、不動財団に来て、みんなを集めて、特に具体的な内容のない演説をした。みんな、しぶしぶボーとして聞いていた。陽太は帰った。しかし、何故か聞いていた人を、元気が出た。陽太は聞いている人を明るくさせる魔力を持っていた。政治家は所詮、口舌の人なのでみんなを明るくする事が政治家の使命だと陽太は思っていた。国会でも総理への質問は少なかった。総理、総理と迫ってもいつもその問題は担当大臣に任せていますとか、無料診察制度は国民から信認を得ていますとかいった。それになぜかみんなを明るくさせる言葉があり、質問した議員をはじめ、みんな最後に笑ってしまった。厳しく追及しても、最後は笑顔で笑うので、担当大臣に質問するようになった。優花に至っては歌の文句のような答弁をして、みんなで歌を歌い出しそうになった。二人の才能は、独特であった。

不動財団は、聖子の安いよスーパーから安物の服と弁当などを少しだけ安く買い、みんなに配った。安物の服を着て、安いよ食品からの食品を食べていただけだったが、元気が出てきた。住居は、ニコニコサービスからハウスクリーニングを受けていた。清潔な住居で色々なカウンセリングもスタートした。元気が出ただけでは、事態は変わらなかったが、それでも、幾つかの案をまとめだしていた。ボーとしていた人も、色々のキャリアーもあり、興味のある分野に散らばり、みんなゼロからのスタートとなった。優花の「きっと希望は叶う」と神香の「明日はきっといい日になる」の歌が、不動財団のマンションから流れてくる事になった。

神代財団も、不動財団に対抗して誕生!

神代は、幼い時から神二郎と兄弟のように仲良かった。神二郎が不動財団を作った事を聞いて、自分も何かしようと思ったが、運営する人もいなかった。神代は自分の影響化にあった海外の三つの孫会社に相談したが、短期専門の株屋たちなので、大した考えは無かった。頼りない旦那の香川大介は、神代のお陰で毛利ロボット工学研究所と未来エネルギーシステムのヨーロッパとアメリカの子会社を作り、カミヨファイナンシャルも出資して、未来テクノロジードイツそしてアメリカをつくり、その社長にしてもらった。徹も勝も超高齢だったので、海外に出張できず、ロボット工学や未来エネルギーの有能な年寄りも海外出張はしない隙をつき、みんなのコネをいかして人を集めた。勝はドイツの機械会社との付き合いは深かったし、徹も海外で顔が利いた。勝や徹などのコネを使い、ドイツの機械会社などを辞めた人たちを集めて、毛利ロボット工学研究所と未来エネルギーシステムの現地での販売会社である未来テクノロジーを作っていた。それでも未来テクノロジードイツの近くにはキクコドイツメタルやドイツの機械会社もあり、それらの会社を歳で辞めた人を中心に人が集まり、ヨーロッパでの需要もあり、輸入販売だけでなく、製造工場まで作るようになった。未来テクノロジーアメリカは、初め純然たる販売会社だったが、修理や補修の必要もあり、やがては製造工場も持ち出した。パテント代を毛利ロボット工学研究所と未来エネルギーシステムに払い、少しずつ自分たちでも作りだした。ヨーロッパでもアメリカでも元気な年寄りはいた。勝たちや徹たちと違う発想もあった。カミヨファイナンシャルにも金はあった。頼りなくとも香川大介も馬鹿ではなかったし、この2つの未来テクノロジーは大きくなっていった。

大介は本当は頼りないわけではなかった。単に自分で判断したり、責任を取る事がいやだったのにすぎなかった。それに信念も大きな指針もなかった。ただ出世はしたかった。そんな大介は未来エネルギーシステムで、政則に鍛えられた。政則は賢かった。要するに前例主義の 権化のようだった。色々な前例を巧みにデータバンクとして、それを適用して物事を判断した。うまくいかなかった時の逃道を作っておくと云うやり方だった。徹や勝は自分の見識や知見を磨き、それに基づいて判断していた。大介は、それも利用してしっかりデータバンクとして使った。それでも判断に困ると、徹や勝及びその協力者に聞いて、自分の判断のように海外の未来テクノロジーで判断した振りをする事にした。大介にも長所はあった。口がうまく、人をおだてて木でも山でも登らせる能力があった。そのため有能な人を探し、その人を煽て、ヤドカリのように有能な人を働かせる事にした。未来テクノロジーもそうして運営し、大介の方針はそれなりにうまくいっていた。それで満足していた大介だったが、神代は不動財団のようなものを作れと無茶をいった。大介は他人の成功例をパクルのが、好きだった。未来テクノロジーのヨーロッパの会社にシモンズと云う現地社会にコネのあるおっさんがいた。大介は神二郎が作った不動財団と不動総合のような会社を作り、つぶれた人と企業を再生するための組織を作りたい、適切な人を探して欲しいと、さも自分の考えのようにいった。このおっさんは感激して、ヨーロッパ中に触れ回った。

悪い事に、このシモンズと云うこのおっさんは口がうまく、この話を聞いた人の中には感激した人も多くいた。多くの人と寄付もあつまり、おまけにカミヨエンジニアリングという会社まで作る事ができた。ただカミヨファイナンシャルは不動に比べると資金力が弱かったし、大介も勿体ないと思って、不動財団や不動総合の半分程度の資金で始めた。ただ神代の運用会社がヨーロッパにあった事もあって、神代までその話が届いた。神代はなんで不動より小さいのよと文句をいった。大介は、いやアメリカでも作るからとか言って誤魔化した。シモンズは大介より口がうまく、寄付や出資も相次ぎ、結局ほとんど同じ規模になってしまった。集まってきた人はしっかり日本の不動財団や不動総合の事は知っていて、やり方も真似をした。ただ完全にやる気まで失った人まで対象にはしなかった。やはり文化の影響もあった。援助を求めない人には何をしても駄目とも思っているようだった。ただそのため不動に比べると再生は早かったし、未来テクノロジーの技術を広げてくれる人や会社まで出た。結局不動よりも成功例は多かった。大介はそれで忘れようとしたが、神代は覚えていて、やっぱりアメリカでも作る事になり、シモンズの友人であるアメリカに住むマルコイに適切な人を探して欲しいと頼んだ。このマルコイはシモンズよりも、更に口がうまかった。マスコミや協会関係の人まで触れ回った。不動の約半分ほどの資金を準備したのに、結局不動よりも大きい組織となり、人もいやになる程集まり、ヨーロッパよりも早く再生し、成功例も増え、カミヨエンジニアリングアメリカも成功した。

大介と神代は、奮闘した。

しかし、カミヨファイナンシャルの資金力では無理をしすぎた。不動ファイナンシャルより資金力が弱いカミヨファイナンシャルの余裕資金は全くなくなってしまった。カミヨファイナンシャルとしての運用資金さえ少なくなった。不動ファイナンシャルより小さいくせに神代が見栄を張って同じ規模の会社や財団を作ろうとしたつけがまわってきた。ジブやカミカミの資金で少ない運用手数料も稼ぐ事が必要となった。神代は又金儲けに奮闘する事になった。神代は細かく取引すれば、短期予知の能力を活かして、せこい儲けは出来る人だった。大介も未来テクノロジーで頑張らなくてはいけなくなった。折角作ったカミヨエンジニアリングなのに、シモンズとマルコイに丸投げの状態になり、二人は本業に没頭した。元々二人には、さしたる信念も指針もなかった。単なる神代の対抗心から始まっていた。不思議な事に、結局二つのカミヨエンジニアリングは大きな会社になり、再生した企業が山のように出た。最も成功した再生ファンドとか言われるようになったが、神代も大介も知らなかった。世界は広かったし、有能な人も一杯いた。カミヨファイナンシャルは、結果として多くの会社に、カミヨエンジニアリングを介在させて、資本を出しているとは長い間、神代も大介も知らなかった。大介は、その再生した会社を協力会社にして仕事していたのにそれすら知らないという不思議なおっさんだった。

神代と大介がアメリカに行って時間があったので、カミヨエンジニアリングアメリカに行く事になった。前もって連絡して住所は聞いた。タクシーの運ちゃんに、住所を書いていたメモを渡して連れて行ってもらった。でっかい大きな高層ピルの大きな会社の前にとめられ、ここだと言われた。そんな筈はないと思った二人だったが、でっかい黒人の運ちゃんだった。根性なしの二人は、言われるように、大枚のチッブも払ったが、本当は、もっと小さいビルと思い、カミヨエンジニアリングアメリカのビルの周りをウロウロして探して回る事にした。このビルは高層ビルのくせに、広い敷地だった。二人は疲れて、このビルのソファーで休む事にした。二人が休んでいる時に、創業者が来ると待っていた会社の人と会い、カミヨエンジニアリングアメリカの説明を受けて吃驚したと言う訳のわからない話まであった。

神代と大介は特に信念もなく、指針もなかったが、多くの人と多くのお金を集め、多くの会社を再生させた。カミヨエンジニアリングアメリカでは三分の一程度、ヨーロッパでもカミヨエンジニアリングの5割程度の出資比率にすぎなかったが、カミヨファイナンシャルが間接的に保有している会社は山のように多かった。最大の出資者が成功したにも関わらず、配当を要求しないので、他の出資者も何も言えない状況になっており、カミヨエンジニアリングはより一層大きくなり、ついに焦れた他の出資者が配当を要求した時には、配当は出資の3割近く出せる状態になっていた。

荒稼ぎしたカミカミファイナンシャルは、変容しつつあった。

カミカミイギリスは、ホテルチェーンに出資した時に出来た現地法人であったが、その後カミカミとしての取引口座も持ったが、ジブトラストとして孫会社の管理を徹底するようになり、株式や先物では、神子と神代が、カミカミの資金を、運用が良好な孫会社に運用を委託する形で、運用していた。先物が中心の神代のカミヨファイナンシャルが出資し、運用指導料を貰っている会社もあった。神之助も商品相場では同様の事をしていた。ただ、カミカミイギリスに為替口座も持ち、ジブイギリスやイギリスの孫会社からの本体に送金する窓口にもなり、為替部門は、カミカミファイナンシャルとジブトラストとが合弁してジブアンドカミカミ合同ロンドン金融センターとなって独立した組織になった。カミカミフランスは、商品相場と先物と株式相場を別々に選び、管理しながら、運用を委託する形で運用していた。カミカミスイスも同様であった。カミカミドイツは、キクコドイツメタルへ出資した時に出来た財産管理会社であったが、取引口座も持ったが、やはり、次第に神子や神の助たちが、ジブトラストの孫会社を管理しながら、カミカミとして、運用を委託する形で運用を行っていた。アメリカは、エレガントホテルチェーンに出資する時に出来た財産管理会社であったが、やはり、取引口座は持っていたが、商品相場や株式先物では優秀な孫会社もあり、そこに運用を委託する形で運用していた。ニューヨークには、ジブの金融センターもあり、ジブとしての為替取引をして、カミカミの資金も預かり、為替取引をした。

カミカミギニアは、アフリカ快適ホールディングが作った時に出来た現地法人でその後のホテルや病院を作る時にも、カミカミファイナンシャルの資金の受け皿となり、財産管理会社となった。カミカミモロッコは、ホテルや病院、砂漠研究センターを作る時に出来た財産管理会社であった。二つの財産管理会社は、アフリカでのカミカミの資産の保全を図り、病院やホテルの維持改修費もあり、ジブトラストのリヒテンシュタイン金融センターと合同でまったく取引とは関係がないジブアンドカミカミアフリカ合同金融センターを共同で作り、保有する通貨を神之助が選んでいた。アフリカのジブトラストの配当などの保管や為替そして送金などの処理をする機能は持っていた。やがてジブトラストのアフリカでの配当などの資金も受け入れて、同様に処理し、海外の香奈ファイナンシャルからのマリア財団への寄付を受け入れ、為替処理をして、マリア財団に渡す手助けもした。

神子と神之助は、国内でも孫会社を管理しながら、カミカミとしても運用を委託して取引した。神之助は、海外の金融センターのお金を、ジブ上海銀行そして一族の銀行、もう一つの大きな銀行そして専門の為替会社などを使って、為替運用も管理していた。新宿は神二郎がジブトラストとして企業相談や支援などの独自の視点で活動しているので、ジブの孫会社を使ったカミカミの海外での取引は、ほとんど欧米が対象なので、渋谷経由が中心になっていった。海外関係は、多くは渋谷を経由して、海外を管理し、指示が与えられていた。一方、ジブトラストの金融センターはジブの子会社でもあり、本体への報告は、本体の管理に対してするので、同時に本体からの指示により、直属の子会社、子会社そして孫会社からの資金を保管して本体への送金や為替処理を担当していた。為替取引は管理の中に為替専門の部署を作り、神之助の直轄の組織になった。

神元、神帥、加代子、聡美は、カミカミファイナンシャルも出資した直属の子会社を作り、配当をカミカミファイナンシャルにも出すようになり、運用額制限もあり、カミカミファイナンシャルとしては、次第に取引しなくなった。孫会社の成績が良好な会社にカミカミとして運用を委託するようになった。神子や神之助は、孫会社や子会社の利益により、報酬も入り、尚かつ責任もあった。昔のようにカミカミとして荒稼ぎする時代ではなくなった。神代も海外の孫会社全体の先物取引に、責任があったし、自分の運用会社とも云える孫会社もあった。

神子と共同して、国内で、ジブトラストとカミカミの資金で、神子神代超短期プログラムを神子のチームによって細かく取引する程度であった。
神之助でも商品相場は、神之助のお告げに従い、カミカミの自分の運用枠を国内と海外の成績の優秀な孫会社に割り振って、取引させ、管理していた。神之助が管理する金融センターのお金は膨大になり、その管理に大きな時間をかけるようになった。

ジブトラストの利益は、国内は相変わらず、沙織も会長室もコツコツと儲けていたが、上がり調子の時は、正子も取引頻度も減り、神子も神之助も、自分たちのチームを管理しながら取引し、国内の孫会社に、ジブトラスト分とカミカミ分を配分して取引させ、配当が占める割合は増えてきた。しかし、所定の準備金は、アッという間に貯まる程、直属の子会社は好調で、各地でプールする事は少なくなり、本体管理の現金となり、ジブ本体の資産は大きく増え、現金として保有が増える事になった。カミカミファイナンシャルは、運用している金額も減ってきた。投資している事業やヨーロッパやアメリカからの利益が増えて、保有する現金が増えていった。アフリカは成長し、カミカミの株が多い事業会社は、配当は利益の三分の一を出したので、カミカミファイナンシャルの利益の底上げをしていった。

一方、ジブトラストの現地子会社も好調で、香奈ファイナンシャルやマリアホープからの資金も使い、取引の頻度も増え、そして利益も増え、保有する株も、マリアホープと香奈ファイナンシャルの現地法人の合弁会社が保有する事になっている事もあった。切人には、ヨーロッパとアフリカの人の希望を叶えたいと云う夢があった。

経済も順調に伸び、みんなの利益も高水準を続けていた。ジブトラスト本体とカミカミファイナンシャルは、配当依存の利益が増えてきた。事業会社に対して大きな出資もしていていた事もあり、事業の維持を中心に投資し、配当を貰う事が利益の大きな比重を占めてきた。一方、各地の独立したジブは高水準の利益を続け、子会社や孫会社も同様だった。

ジブトラストの下に、ジブトラストが主に出資している世界各地のジブの子会社があり、その子会社の下に実際に取引している取引担当者別の孫会社があり、その孫会社には、本体からも出資し、本体管理の元に、本体指導料を本体に払っていた。それと並び主なマーケットのある国には、本体の担当者である神元らも出資し、ジブトラストが主に出資し、カミカミや各地のジブの子会社も出資したジブカミとかジブカヨコなどが並列していた。香奈ファイナンシャルやカミカミファイナンシャルの現地法人そしてマリアホープやジブカミファイナンシャル等の家族単位の運用会社、スイスカナコイン、現地法人で働く人のお金も社員特別出資として加わり複雑な多層構造になっていた。国内でもジブトラストとカミカミファイナンシャル、香奈ファイナンシャルそして不動ファイナンシャル等があった。

カミカミファイナンシャルは、正子の運用手数料や配当を管理するためのものであったが、正子は、とっくに新しく出資する事を止め、出資の調整をして神太朗たちも正子と同額の出資額とし、それぞれの出資を止めていた。正子の出資額になるまで、孫の神一や神代も出資上限に達し、止めていた。稼ぎも悪く出資も少なかった神二郎たちなども出資を続けていたが、沙織の稼ぎで出資額の上限に達した。遅れて出資していた筈の加代子、神帥、神元、聡美なども直属の子会社が驚異の成長をしたので、直ぐに出資を止めた。稼ぎの少ない神香の詩人や神香が出資を続けていたが、新宿の成績も良く、終わりそうだった。陽太や優花だけが、若くして陽太が大臣さんなどになったので、数多くの企業に関係していたジブトラストもカミカミも誤解を招くと云って一応出資を返還していた。

無料診察は一族の悲願ではあったが、一族の人でも直ぐに出来るものと考えていなかった。ただ財団の影響下にある特定の病院が、限定的な環境下で貸し付け制度にして行っているのに過ぎなかった。初代の治部次平も結局出来なかった。理想主義者でもあり、現実主義者でもあった神太朗はそう思っていた。神子もそんなに楽観していなかった。神之助は、それを悪用しようとする人が多い事も知っていた。陽太は資産家一族なのに、敷地内でのマンションも出ていったので、今は家なき子で官舎住まいであった。神子は空き地も漸く確保したのに、しかし計画していた大きな家を、まだ建てていなかった。陽太も直ぐにも行き詰まると言われ、直ぐにでも辞めそうだったのに、なかなか帰ってこなかった。一族の人たちは、陽太が辞めた後、暖かく迎えてあげようと思っていた。

エンジェルホープ財団は、新しい病院を建設

カヨコトラストとファイナンシャルは、大きくなった。ディラーも増えてきた。流石に加代子ほどの稼ぎは出来ないものの、利益は上がり、株式の保有も増えた。エンジェルホープ病院も、ジャパンドリームを使った治療が効果を上げ、エンジェルホープ財団も医療補助や医療援助を始めていた。貧しい人たちだけではなく、お金持ちも利用して、思いがけず寄付も集まり、製薬会社からも新しい薬の案内もいち早くきた。エンジェルホープ病院は、増設する計画もあり、周囲の土地も買いだした。空き地にしておくのは勿体ないので、取りあえず庭園にして、薬草も少し植えようと製薬のアメリカ子会社に話すると、ジャパンドリームのエンジェルスターとパワースターが直ぐに増殖すると云われ、栽培する事にした。パワースターは、水田のような環境がいいと云われ、小さな池を作り、その周囲に栽培した。まだまだ限定的だったが、アメリカでも、治部の悲願が叶いそうになってきた。カヨコファイナンシャルもお金が貯まり、当分財団の経費補填は出来そうだった。加代子も漸く五人の子供に励まされ、相場以外でも、頭の雲も晴れ、ボーとした所も少なくなった。

そうなると自然に手が動き、取引で始めて損を出し、損切りも経験した。カヨコトラストの運用枠は300億ドルなのに、カヨコファイナンシャルは、気が付くと、病院や財団も作ったのに、2000億ドルを超える資産を持つ運用会社になった。取引も慎重になった。普段は、翼を持つ青白い炎も小さくなり、神子たちのレポートと身に付いた勝負感で取引はしていたが、規模も大きくなり、利益は段々減り、前年以下の利益が続いた。漸く加代子も自分を取り戻していた。今までは、無心で取引していたが、自分を取り戻すと雑念も入りだした。心を静めて、神子や神代のレポートもよく読み、相場の流れを勉強し、普段は少量ずつ分散させ、コツコツ取引するようになった。時々青白い炎が大きくなる時は、加代子が無我の境地になり、大胆に儲けていたが、それは減ってきた。加代子に影響されていたジブカヨコトラストとファイナンシャルのディラーも同様だった。財団に半分、保有株式を寄託したので、ファイナンシャルの保有株も少なくなっていた。利益も前のように、鬼神のように、利益が運用枠の数倍にもなるような信じられないような儲け方は出来ず、カヨコトラストもファイナンシャルも大体同額運用し、1年間でカヨコトラストとしての利益が出資額程度になり、落ち着いてきた。

エンジェルホープ病院での治療結果は上がり、増設よりは、ニューヨーク以外でも他の地域でも作って欲しいと云われ、シカゴで新しい病院を探した。エンジェルホープ病院も、無期限無利子無担保の医療費貸し付け制度と一定額以下の医療費の援助、即ち無料医療もしたが、治癒率が高く、神三朗が当初考えていた程の大きな赤字が出なかったので、エンジェルホープ財団は、新病院を建設しようとしていた。ジブカミスイトラストとファイナンシャルは食品相場関係は、独立させ、シカゴにオフィスを移転する計画があり、一緒に探して貰った。

エンジェルホープジャパン病院の構想持ち上がる

神三朗と加代子は夜勤だったので、出勤する前に、子供たちと一緒に、よく敷地内を散歩していた。夜中は高杉が奥さんと一緒に子供たちと一緒に寝た。高杉が加代子の家に同居しだして数年後たった頃である。
神三朗が、治部病院を変えようと、緊急救命センターを作った。初代治平の夢を叶えようとしてきたが、外科の巨大病院となった冶部病院は変わらなかった。いっその事、エンジェルホープ病院に行こうかと思う神三郎であった。アメリカのエンジェルホープ病院ではニューヨークに続いてシカゴでも建設していた。それに加代子の会社はもうアメリカの会社であった。加代子に相談した。加代子は言った。神三郎さんが病院をつくればいいんだよ。アメリカにいってもいいけど、悔しくないの。日本でも神三郎さんの病院を作ろうよ。内科のマチコジブ記念病院や冶部産科婦人科病院と協力したら、立派な総合病院になるわよ。

新病院建設構想が、ジブシティー建設構想に拡大

神三郎はマチコジブ記念病院と相談した。恵は病院の理事会から報告を受けた。恵は小夜に言った。財団でもマチコジブ記念病院や産科婦人科病院の増設を望む声があった。神三郎と協力して、新しい病院を作るように計画を立てなさい。財団でも資金の都合があるからね。計画が出来たら、報告しなさいと小夜に命令した。小夜は第二ジブタウンの構想を捨ててはいなかった。冶部ビル本体にも各地の冶部ビル子会社にも金はあった。ショッピング街やオフィス街などの構想はなんか物足りなかった。メディカルセンターを作り、医療拠点都市構想を立てた。メディカルセンター、ショッピングセンターそして住宅ゾーンなどを備えた心と体にやさしい町作りをしたいと思った。都心から離れたサテライトオフィスまで、完備して、ネットでの勤務が可能な時代なのだ。早速壮大な構想を練った。恵に基本構想を話した。

そんな壮大な構想を立てても出来ないでしょう。私は単に病院を作ろうと言ったのよ。出来もしない事を言って駄目とつれなかった。小夜は菊子と相談して、更に構想を練り直した。菊子は、色々な人と相談した。加代子、有希そして徹や勝まで話した。加代子は相談を受けて同居していた高杉に相談した。高杉は益々元気になっていた。不動産の管理人のような不動産管理グループを根本的に変えたいと思っていた。不動産管理のグループと相談した。連中も本気になった。連中は昔、神太朗に言われて、カミカミ大同機械から、カミカミとしてジブの里の上に広い土地を買った事を覚えていた。その土地を造成して、新しい町を作ろうといった。都心から離れるからオフィス街は難しい。ジブが出資している企業を中心とした、最新式の工場を未来エネルギーやロボット工学の技術を導入して作るハイテク工業団地の構想を提案した。

高杉は神二郎と相談した。神二郎は第二不動工業団地を考えていた。不動ファイナンシャルで工業団地を作ろうと思いそれにのった。神二郎が懇意にしている企業のいくつかに声をかけた。金を貸しても、増資してもいいから、ハイテクを駆使した工業団地に工場をつくらないか新しい工場を考えていた企業は、この街づくりの提案に興味を示した。ハイテク技術を駆使した工業団地だったので、徹と勝にも協力を求めた。徹と勝は場所を聞いた。二人も超高齢なので、遠くでは出かけられなかった。思わず近くなので、やたら興味を示した。業績が伸びていたが、出張も工場の増設もしないので、本当は欧米への販社のつもりで作った未来テクノロジーに仕事を譲る事が多かった。未来テクノロジーは子会社だったが、現地で製造工場まで作り、逆に日本に輸出までするようになってきた。最近好調になり、納期がアーダコーダと遅くなった。不動工業団地を作るというなら、ロボットも未来エネルギーも工場をつくりたいと言った。それくらいの金はあるねと政則を呼んだ。政則はこの頃受注残も増えていたし、工場増設も必要かもしれないと考えていた。第二不動工業団地を作ると、又受注が増える。先に我々の工場をを作らないといけませんといった。内部保留は積んでます。工場の建築案を示して、建築費用の概算を姫子の麻田エンジニアリングに計算させますと答えた。もうひとつの大きな銀行を辞めたばかりの正人を呼んだ。念のため香奈ファイナンシャルからの増資が受けられるかどうか、正人にも聞いた。正人は工場を建てる程度の金なら、香奈おばあさんにも聞かなくてもだせますよと軽く言った。正人はチマチマした出資の事を香奈に相談して、怒られていた。大きな銀行の頭取までしたのに、それ位の判断も出来ないのと言われていた。徹と勝は、先に我々の工場を建ててもらわないと、ハイテクを駆使した工場は出来ないよと神二郎に言った。神二郎は、香奈ハイテクの工場に必要な広さを教えてもらう事にした、不動総合にも第二工業団地の計画を立てて、必要な面積をジブの不動産管理チームに伝えるようにいった。

こうして恵の意図とは、別に工場建設の計画が既に進んでいた。ロボットと未来エネルギーそして不動工業団地だけでも大きな土地が必要となった。当初の病院やショッピンググタウン、住宅ゾーンなどを考えると土地を買収する必要があった。ジブの年寄りたちは、遠くにはいかない事を知っていた不動産管理の連中は城跡付近から、ジブの里よりの土地を買収していった。そしてこの三社向けの広い土地も買収した。姫子もヤイノヤイノと言われた、いくら元気でも年寄りは気が短かった。概算価格を出したら、政則がこれくらいなら土地代も入れて出せる。直ぐに工場を作れと言われ、また急かされて、工場建設用の造成が始まった。不動産管理の連中は、城跡付近には、それをぶっ壊して、住宅ゾーンと考えていた。一応カミカミの所有地なので、神二郎が神子に聞いた。あそこの土地を使わしてください。神子は知らなかった。そんな土地をカミカミとして持っているの?と逆に聞かれた。それは神太朗兄さんしか知らないわよ。神太朗兄さんに聞いてよと言われ、神太朗に聞くと、神太朗もすっかり忘れていたが、なんとか思い出した。簡単にいいよと言ったけど、約束も思い出して、あの城跡だけは、そのまま公園として残してね、約束なんだからと言われた。結局、又土地が足らなくなり、ジブの里に近い所を中心にして土地を買収していった。香奈オフィスが持っていたあの鉱山付近の土地の利用も奈津美に聞いた。奈津美はレアメタルの調査結果をみながら、城跡近くの山の麓を指定して、鉱山より上はまた採掘するかもしれないから、そのままにして置いておいてねといった。

ロボットや未来そして不動ファイナンシャルは土地を買うつもりだったので、お金は立て替えのさや抜きの手数料商売の積もりだった。新宿だけの判断内で買える土地は買った。神二郎は加代子とも相談した。
一方、加代子はアメリカの責任者と相談すると、カヨコファナンシャルの余剰金の中で10兆程度出しても運用には影響しないと言ったので、それを日本に送金できないか、神帥の為替会社と相談してよと頼んだ。まさか、そんな大金を日本に送金しろとは言わないと思っていたので、数字は誤魔化さずに正直に言った。そんな大金とは思ったが、渋々加代子の言う通りにした。いくら神のように儲けていても、10兆は加代子のファイナンシャルにとっても大金だった。同額運用だから、トラストの運用枠相当のお金を残して、ほとんど日本に送金するようなものだった。神帥の為替会社は、多量の資金だったので、神帥に聞き、神帥は神之助と相談した。神之助は、ドルをそんなに売ると為替が動きすぎると難色を示した。神之助は資金用途を加代子に聞いて、神三郎の病院作るのに10兆もいるのと不審に思った。病院作るだけでしょう、町を作るわけじゃないでしょうと確認した。加代子は町毎つくりそうな気合が入っていた。神之助は、香奈に相談した。そうして香奈は神二郎を呼んで、報告を受けた。高杉もついてきた。土地の買収は、新宿のお金でなんとかなっていた。新宿もその程度のお金はあった。しかも香奈ハイテクや不動は土地毎買うと言っていたので、その気になれば、直ぐに回収もできた。

香奈は、その構想を聞いて、住んでいる人の足はどうなるのよ。そんな不便な所には人は寄ってこないわよ。車でしかいけない町にショッピングセンター作ってどうすんのよ。安売りのアウトレットモールなんて今は時代遅れだよ。ジブ交通と云う会社を作って付近の駅まで、電車を作りなよ。短いし、田舎だから大して金はかからないわよ。神二郎君の知り合いを集めて会社作りなよ。適当な人が見つからなければ、神太朗君や神一君に頼みなよ。それ位、特別枠としてあげるわよ。町や建物作るだけが、不動産開発じゃないのよと言った。

神三郎と加代子が、新しくカヨコファイナンシャルジャパンを作り、ジブとカミカミのオーバーシーズから無利子の融資を受ける。アメリカのカヨコファナンシャルが同額をジブの金融センターに対して無利子の融資を行う事にした。カヨコファイナンシャルジャパンは、そのお金の五分の一でエンジェルホープジャパン財団を作り、又五分の一を神子に預け、運用委託を依頼する事にした。残ったお金はそのままカヨコファイナンシャルジャパンのものではあるが、そのお金は必要となるまで、神之助が預かる事で決着した。結局多くの金は帳簿上、動いただけだった。ジブの金融センターも、黙ってお金を持っていた訳でもなく、資産保持のために保有する通貨を替えて、為替処理をする事になり、神之助も同様だった。ただアメリカでは、当然ドル換算での資産評価をするが、神之助は、日本ではオーバーシーズの持つ現金を併せて、資産保持をして、円換算で資産評価していた。

香奈「加代子ちゃんもおおげさよね、病院建てるだけだから、そんなにお金を持ってこなくてもいいのよね」
神之助「ドル資産は、案外、円に替えたおいた方がいいかも知れませんよ。まあ加代子ちゃんはそんな事を計算している訳ではないでしようが」
香奈「アメリカはそんなに良くないの、日本も、まだまだ赤字国債の発行残高は多いのよ、」、
神之助「アメリカのトータルの債務はすごいですよ。地方の債務は不明の国なんですよ、州も小さい国ですから。すぐにはそんなに変動しないでしょうがね。今、突然10兆の金を動かすと凄く為替が動くのですよ。日銀からも言われているのですよ。そんなに激しく動かないでくれと。僕も少しずつドル資産は減らしていく積もりです。加代子ちゃんの分もお金も整理しておかないといけませんしね。取りあえず、4兆円分は日本に移動しないと、オーバーシーズのお金を補充しておく必要があります。いずれは加代子ちゃん分は、日本に持ってこないといけません。そのために、アメリカでも円資産に少しずつ変更していく積もりです。」、
香奈「神子ちゃんには言ったの、今回の運用委託は、神子ちゃんの所の運用枠の除外としておくと。だから神之助君の所も、少しずつ調整していってね。」


そうしたジブシティの建設がはじまり、造成工事も始まっていた。
菊子は、不動産チームから報告を受けて、既に工場用地の造成も始まり、ジブシティーの建設は始まっていると告げられた。恵さんがゴネると厄介なので、頼みますと言われた。 菊子は小夜に報告し、一緒に恵に話をしようといった。小夜は恵が苦手だったので、恵説得の役目は菊子に押し付けた。

菊子「ジブシティーの計画は進んでます。先に、工場の建設がもう進んでます。我々は病院と第二ジブタウンだけなので、ビルの余剰金だけでも出来ますが、いざとなったら、菊子金属からも出資します。」
「もう勝手に進めて、財団もそんなに出せないよ。」
菊子「病院は加代子さんが全額出してもいいと言ってます。マチコジブ記念病院や冶部産科婦人科病院には、出資ではなく、人の派遣を協力して欲しいと言ってきました。アメリカのエンジェルホープ病院との姉妹病院にしたいそうです。」
「でも第二ジブタウンのお金は大丈夫なの。」
菊子「その程度は出せるとお義母さんも言ってました。いざとなったら、菊子金属にもお金はありますよ。増資でも共同出資でもします。」
「あんなに壮大な構想だったのにね、香奈さんにも聞いてみるわ。」
「香奈さんもいいの。町作るような話だよ。」
香奈「私は、神之助君から報告を受けて知ったのよ。加代子ちゃんが10兆も日本に送金してくれと言っていたらしいの。それで神之助君も困って相談にきたのよ。神二郎君に聞いたら、新宿で出来る範囲とか言っていたよ。土地はジブが少し追加するけど、元々カミカミや香奈オフィスが土地を持っていたのよ。そこにジブが追加するだけだよ。香奈ハイテクや不動も工場を建設する程度の金はあるよ。でも鉄道ぐらい作らないと不便だよと言って会社作らせている位だよ。」、
「あんなに壮大な計画だったのにね。」
香奈「今度はみんなでやるからね。それでなくても加代子ちゃんは町毎つくりそうな意気込みだよ。加代子ちゃんの会社はデカイのよ。」

この時はジブシティと言っても、土地の有効利用と香奈ハイテクや不動などのファミリー企業の工場建設とジブ交通と云う小さい会社の設立の話であった。それに都心から離れた山の中なので、土地もそんなに高くなかった。

神帥は、実業を強化し、カミスイグループは複合化させていった。

神帥は得意の為替により、利益は変動するが、数倍なんかにはならないものの、トラストとファイナンシャルとして同額運用して、年間でジブカミスイトラストとして、運用枠の倍程度で、安定してきた。ジブカミスイファイナンシャルは、ブラジルジブ貴金属とジブカミスイコーポレーションを持っていた。ジブカミスイコーポレーションは商品先物がある食品や非食品を現物で買い取り、それを販売する会社であったが、納入先の食品会社や資源会社に大幅な資本参加をして、納入先の安定を図った。アメリカの貴金属会社はジブトラストとしての金保有のための会社だったので、新しくジブカミスイ貴金属を作り、更にジブカミスイファイナンシャルの利益の5%を貴金属購入の原資として、貴金属購入の比率を増やした。毛利貴金属のニューヨークの店と協力して、北米に貴金属店も幾つか作っていった。神帥は、シカゴに穀物相場を始めとする商品相場の食品部門を集め、トラストとファイナンシャルの食品関係の商品相場を集め、ジブカミスイフードコーポレーションを独立させ、非食品部門をニューヨークでトラストとファイナンシャルの非食品関係の相場を担当させ、ジブカミスイエネルギーコーポレーションを独立させた。貴金属はジブカミスイ貴金属を中心に、トラストとファイナンシャルの貴金属相場を担当させた。元来のジブカミスイトラストの基本だった貴金属会社は金の保管所になり、金の先物関係はここに集約した。 神帥は、この3つの報告を受け、管理しながら、得意の為替チームを直接監督した。神帥は、商品相場では、ジブアメリカの孫会社とも協力させて、為替では、神之助とも連絡を取って、ニューヨークやケイマンのジブトラストの金融センターやブラジルの金融センターとも協力しながら、儲ける事にした。大きな意味でチームジブを作り、まとめながら、個々に責任と利益を反映させ、実業にも手がかりを掴んでいた。加代子という巨大な鬼神に対抗するための組織的な対応の成果が上がってきた。

ブラジルの羽郎は、神帥と歩調を合わせるようにブラジルの事業も整えていった。

南アメリカの各宝石貴金属店は、南アメリカが成長するにつれて売上げが伸び、利益も伸び、出資金に対して10%の配当を出しても、利益は高水準に推移していたので、財団に対して、利益の10%を寄付できるようになった。宝石貴金属店の客も時には寄付してくれるようになった。宝石貴金属店はブラジル以外にも進出して、快適のインフラ用の資金と併せて、託児所、子供の家そして学校を増やし、多様な援助をブラジルジブ財団は出来るようになっていった。

ブラジルジブ貴金属と快適が、合弁で作った乳製品を主力とするブラジルジブ乳業が、漸く出来、ブラジルジブ財団の食料品援助にも役立った。エンジェルホープ病院での治療実績を聞き、協力してくれる病院も出来そうだった。まだまだ限定的だったが、医療援助もできるようになり、財団の行動を支える人も養成する事ができるようになり、活動範囲が広がっていった。

羽朗の妻のハナは、神帥の寄付を元に、ブラジルジブ財団を作り、まず託児所やこどもの家そして学校で働く人を養成した。羽朗は、南アメリカ快適のインフラの一環として託児所、子供の家そして学校を作った。そして養成した人の給料や運営費を財団が補助していった。相場師からの寄付なので慎重に考えていた。しかし神帥からの寄付は安定して推移し、基金は貯まっていった。

アジアの辺郎は、独自の路線を堅持

アジアの快適グループを率いていた辺朗は、日本が近いだけに、本体からの意向にも左右され、抱える人も多く、苦労していた。細かい軽工業を中心としながら、アジアの快適洋服や快適農園をまとめていた。ブラジルの羽朗と違い、工場を集約せずに、大きな企業もなく、大きな投資もせず、快適では珍しく、内部留保を多くして、多くの人の雇用機会を確保して、洋服、農園や養殖そして軽工業を中心とする人手のかかる仕事をあえて選び、各国の発展と歩調を合わせ、アジアの快適グループとして統一された方針で活動していた。聖子の作った僻地の工場を守り続け、各地での雇用の維持に努めていた。元々聖子は出資比率に拘らず、利益の指導料さえ貰えばよかった。辺朗は頑固に、手作業を重視して、丁寧な仕事をしていった。大きな投資で仕事をするよりは、色々な分野で小さい企業を作り、利益を積み重ねていた。日本の紡績より、アジアの快適は、紡績的な家族会社群になった。製品の品質は上がり、インドを含めて、アジアの快適洋服は、安かろう悪かろうではなく、丁寧な仕事と地域に密着した企業姿勢が評判になった。快適のある街はインフラが充実してきて、社会と共に歩き、社会に貢献する快適と云う企業ポリシーが確立してきた。「会社は利益を求めるための組織ではない。会社は働く場所を提供し、人を愛し、社会に役立つ製品を作るための組織である。利益は会社が存続するのに必要なだけだ」と純子が洋次郎に言った言葉が、日本語と各国語で額に入り、アジアやインドの快適の社内で掲げられる事になった。純子は、様々な思いを秘めていたが、辺朗が運営するアジアの快適では、金科玉条の言葉になっていた。これがアジアとインドの快適の精神となっていった。聖子が二郎に突き続けられたいと云う思いで作ったアジアとインドの快適が、一種の騎士道精神と云うか博愛主義の宗教団体のような会社に改変していくとは誰も考えなかった。

これには訳があった。辺郎も羽郎も、幸夫や綾子が海外に仕事で出かける事が多く、もう曽祖父であった洋太郎が元気で家にいてこの二人の面倒を見ていた。洋太郎は紡績の会長の座にしがみ付いていたが、いつも同じ事を言う洋太郎は役員会でもないとする事がなかった。洋太郎はくどくどと同じ事をいった。「会社は利益を求めるための組織ではない。会社は働く場所を提供し、人を愛し、社会に役立つ製品を作るための組織である。利益は会社が存続するのに必要なだけだ」、純子が洋次郎に言った言葉だった。洋太郎の父の洋之助は、紡績の財政規模を充実し、優良な子会社を一杯作ったが、自分の管理会社も一杯作り、子会社の中にさり気なく出資させたり、清香や彩香の管理会社まで使い、紡績の子会社も作り、紡績の利益の安定化を図った。化学や商会からも仕事を取り、更にこの子会社は紡績の仕事だけでなく、新しい仕事をして化学や商会とも取引し、利益を上げていった。紡績は多くの利益を得たが、やっぱり公私混同との批判もあった。洋之助は、社長になって、営業や管理部門を完全に押さえ込んだが、洋次郎以来の古い紡績は製造に健在だった。洋太郎は、その製造に長くいた。おまけに洋太郎は、洋之助から「会社は人を教育する場所でもある。」と教わった。そして洋太郎は洋之助が次から次と大きな会社の馬鹿息子やドラ息子の再生を任され、それを洋太郎が製造の現場で教えていき、洋太郎も学んできた。そしてその人たちは親の会社に戻り、名経営者と呼ばれるようになった。まさしく洋太郎にとって会社は、単に利益を得るための場所でなく、職場は学校でもあった。悪い話ではないが、時代遅れと言われかねない話でもあった。それに洋太郎はくどかった。何回も同じ事をいった。賢い羽郎は直ぐに洋太郎の話に飽きた。辺郎は、何度聞いても、目を輝かせて、熱心に洋太郎の話を聞いた。洋太郎は、製造に昔からいる人から聞いた祖父の洋次郎の話もした。「愛は、会社も人も救う」とか、「会社は利益を求めるための組織ではない。会社は働く場所を提供し、人を愛し、社会に役立つ製品を作るための組織である。利益は会社が存続するのに必要なだけだ」とかの話もした。羽郎はフーンと思ったが、辺郎は感激した。

聖子は忙しかったが、羽郎は可愛がった。聖子は自分が儲けた話をした。必要とする場所で必要とする物を作ればいいとかどうやって利益をだしたとか、需要はどうやってつかむとかの話もした。辺郎はフーンと思い、羽郎は目を輝かせた。不思議な事に熱心に聞いてくれる人には、人は熱心に話し、フーンといった顔をされると興がさめた。こうして聖子は羽郎に、ビジネスの話を、洋太郎は辺郎に、熱心に洋次郎の言葉や洋之助が洋太郎に言った言葉を話した。

辺郎も羽郎も大学を出ると直ぐに、快適に入った。辺郎はタイをベースとするアジアに、羽郎はブラジルをベースとする南米に行かされた。幸夫はイギリスにいた事もあり、欧米の空気が好きだった。そのためアジアや南米には、若い二人を連絡役をさせた。辺郎はまじめな青年だったし、アジア快適の古株、現地の顔役に愛され、アジアの快適の人気者になり、妻のケイも笑顔の似合う女の子だった。たちまちアジア快適やインド快適の人心を掌握した。辺郎が紡績の伝統を言うとみんな感激した。でも出来るのと思う人もいたが、真面目な辺郎が熱心に言っているのに、人をこき使って利益を上げるのが企業とは言えない雰囲気だった。時代も良かった。アジアもインドも発展していた。結局、辺郎は紡績よりも紡績的な会社をアジアやインドに作った。それに辺郎も多少は、聖子の話も聞いていたし聖子ファイナンシャルの査察もあった。利益目標も出された。それはなんとかクリアーすれば何にも言われなかった。聖子は海外出張はあまりしないし、幸夫まで欧米が忙しいと言ってこなかった。アジアを掌握した辺郎は紡績の製造に技術指導を頼んだ。紡績はぼんやりの二郎ではなく、優秀な清太郎が社長となり、紡績を普通の会社にしようとすこしずつ変えていった。あまりにも巧妙に変革が進むので、古い紡績を引きずっていた製造は、異論を言えないものの、不満があった。製造の人はアジアの快適に行くと、昔の紡績そしてもっと徹底した紡績がそこにある事に感動し、二郎や清太郎に報告し、二郎は洋太郎に報告した。清太郎は苦笑いしただけだったが、洋太郎や二郎はアジアとインドの快適洋服を激賞した。聖子はもっと利益をだせばいいのにと思いながら苦笑いしたが、いかな聖子も洋太郎と二郎を敵に回す事はしなかった。アジアの快適の縫製は日本の紡績と並ぶ水準になり、使用している生地は聖子の指定する化学繊維入りの生地も多いものの、辺郎は冶部レーヨンと合弁の技術センターに言って、良質で地域にあった生地を考えていた。

これには聖子ファイナンシャルの組織体制の影響もあった。聖子のさや抜きのための会社ではあったが、聖子は経営コンサルタントを入れ、ここを各地の快適の子会社の経営指導と云う名前の査察をするための会社とした。経営情報の秘匿があるか経営実態はどうか現地の経済状況はどうかなど、綿密に報告させるシステムとした。その上で利益目標を聖子ファイナンシャルが決めた。その目標をきめた経営コンサルタントは、現地がこんな目標なんか出来るかと言うと、実際に経営する必要があった。聖子ファイナンシャルは、経営指導料として、利益の5%もさやを抜いていた。経営コンサルタントは、もっと利益が上がる方法を示せば、いきなり経営陣の中に入れた。役員なので、口だけの奴は直ぐに首に出来た。査察する方もされる方も恐ろしいシステムを聖子はつくりあげていた。それに聖子ファイナンシャル自体も査察されていると噂もあった。突然、幸夫が出張に行って、その査察の数字を検証したりするからそんな噂がたった。それなりに緊張感のある査察であった。でもアジアやインドの快適は、この利益目標をいつも少しだけ上回っていた。聖子ファイナンシャルの査察の人もアジアとインドは苦手だった。寺か修道院のような雰囲気のある会社になっていた。長くいると本当に息苦しくなる会社だった。査察結果も利益目標もいつもそれなりに甘いものだった。聖子はもっと利益を出せる筈と直感的に思った。幸夫は、聖子の厳命を受けて検証したが、やっぱり幸夫自身も息苦しくなった。それに利益はそれなりに上がっていた。アジアもインドも成長していた。利益も対前年比でも伸びていた。ここで駄目なら、欧米はどうなるのかとの思いもあった。幸夫の報告も、アジアとインドはこの程度の利益を上げれば問題ないと云う結果になった。聖子の追求も中途半端に終わっていた。その後それなりに辺郎は利益を上げ、次第に誰も言わなくなり、アジアの快適はこうして独特の雰囲気をもった会社になった。

一方、南米の羽郎は凄かった。羽郎は、聖子ゆずりの賢さと商才があった。聖子のように、思いつきで利益のある所だけ摘むような事はしなかった。需要量と目標需要量を決めて、合理的な最適な製造設備を集中させ、低コストにして、一挙にマーケットを握り、利益を上げた。そして次々と進出する分野を広げていった。ブラジルの快適農園も広大な農園にして、快適農作物研究所に農作物の検討をさせ、最も利益のでる農作物を栽培させ、安いよスーパーでせこせこ売る事ではなく、世界相手の商売をした。聖子ファイナンシャルの査察の連中が設定した目標利益を軽々と超え、地域のマーケットでブライスリーダーとなれる分野に集中的に投資し、その分野を少しずつ広げていくやり方だった。ここでも聖子ファイナンシャルの連中はヒビった。常人のなせる技ではなかった。常に頭はフル回転する事が求められる会社だった。給料は現地では、驚くほど高いが、驚くほどの努力と頭脳が求められる会社だった。無駄話なんかできる状況ではなかった。会社には精神科医まで検診して心身とも検診したが、何も従業員のためだけではなかった。会社にとって最適な労働、思考が求められた。ここでは聖子ファイナンシャルの査察のチームは、自分たちで達成できる利益を目標利益とした。指摘するなら、やってみろと言われて出来なければ、首と云う会社が聖子ファイナンシャルだった。

いつしかアジアの快適と南米の快適には、だれも文句が言えないグループとなった。辺郎は、快適で許された利益の上限5%のインフラ設備を現地にあったやり方で進めた。羽郎は、快適の利益が上がる所を中心に集中的にインフラ投資をしたのに、辺郎は、特に快適の利益にならなくても、現地社会で必要とされる事は、細々とインフラ投資をしていった。辺鄙な所に小さな学校を作ったり、乳幼児施設を作っていった。作った施設を、ケイが現地ジブや日本の財団と相談しながら、運営した。
妻のケイは、みどりと一緒に、アジア各国に財団を組織していた。みどりは、一部日本の財団から、資金を融通していたが、ケイは、初め、運動を進める人の養成に時間が取られていた。微笑みは余裕がないと苦笑いになる。人に余裕のある組織を作りたかった。快適の組織も使っていたが、専任のスタッフは足らなかった。ケイは、恵のようにケイ教を持たなかったので、財団の主旨に賛同してくれる人と、養成したスタッフを使い、医療や食料援助を小規模から始めていた、ケイは元々、資産階級のお嬢様だったので、それほど深い思い入れもなかったが、活動を続けるうちに、アジアジブ財団にも多くの人が集まり、医学奨学資金だけでなく、多くの奨学資金を作り、活動してくれる人を育てると共に、子供たちを単に預かるだけでなく、教育していく事が重要と思い出した。ケイは育児の専門家だけでなく、幼児教育や初等教育の専門家にも協力を求め、各国で快適からのインフラの一環として、教育機関、即ち幾つかの学校を作りながら、明日の運動を支えてくれる人を育てていく事を進めていた。
辺朗とケイは不便で辺鄙な土地に快適学園の学校を数多く作り、教育補助の為の快適奨学金をジブトラストの現地法人と一緒に作り、単なる託児所や幼稚園ではなく、初等教育まで拡張していった。羽朗がブラジルを中心とした南アメリカで快適が大きな会社をまとめ、発展していった事は知っていたが、辺朗は地道に事業を進めていこうと思っていた。辺朗やケイは、華やかな活動でもなく、利益も大きくなかったが、長期的に活動できるように、土台づくりからはじめていた。雇用機会を多くして、子供たちに生活支援をしながら教育の機会を援助する事を目指していた。辺朗は、幼い時から聞かされてきた洋太郎の話を忘れなかった。人に雇用機会を与える事が、企業の使命だと云う初代鉄平や純子の考えを、大切だと思っていた。アジアやインドの快適は、丁寧な仕事を心がけた。そして各国にあった洋服や産業を重視した。みんなのために役立つ会社でなければならないと思っていた。それは紡績の考え方とも一致して、アジアやインドの快適と紡績の製造は結構交流していた。そして、それはアジア快適の技術レベルのより一層の向上をもたらした。聖子の考えと紡績との融合を、辺朗を求めていた。

二郎は清太郎に押し出されるように副会長になった。高齢の洋太郎は外出しないので、代理の対外活動をすると云う名目だった。清太郎は紡績入社以来、紡績の明日を担う人とみんなに思われ、本当に優秀だった。二郎は、所詮小さい洋太郎だった。それがまだまだ元気な二郎が副会長になった原因だった。洋太郎は製造をガッチリ抑え、親分肌で製造に修業にくる馬鹿息子、ドラ息子を鍛えてきた。対外人脈はやたらと強かった。洋之助は、単にお節介とかボランティアのためにしたものでもなかった。洋之助はそれをきっちりとビジネスにも生かしてきた。
洋之助の関係会社は調査会社、運送会社、倉庫会社などいたる業態にわたってあった。何も紡績の子会社だけではなかった。どこまで洋之助の管理会社、子供たちの管理会社が出資しているのか、紡績として出資しているのか洋之助自身も分からない程複雑だった。結局そんな会社のためでもあった。洋太郎はそんな事は知らなかったが、洋之助亡き後も洋太郎は色々な人を受け入れ、教育し、親元に返していた。洋之助と違い、明確な計算は出来なかったが、法人需要は、紡績が一番強かった。そして洋太郎は社外で有名だった。ただそれを商売の種にするつもりはなかった。それが返って商売ベタの洋太郎の強みであった。有希の助言も適切だったが、紡績の業績が安定していた理由の1つに、洋太郎の人脈の豊富さがあった。それでも過去の遺産は遺産なので、二郎のように小さい洋太郎ではなく、優秀な清太郎を期待する声が高くなり、二郎も清太郎の優秀性を認め、まだ20代と若い清太郎を社長にした。清太郎は、洋之助の作った業績の好調な子会社を紡績内部に取り込み、過去の資産を食いつぶす前に、紡績を普通の会社に変えようとしていた。冶部レーヨンは逆にそれを察知して、完全独立の上場企業になろうとした。清太郎はまだ社長でなく、二郎がそれを認めてしまった。それでも紡績は、過半数の大株主であった。上場益も入り、清太郎は少しずつでもいいから、会社を変えて、1つの会社でなくても、紡績連合体として紡績の未来を考えていた。

清太郎は業界きっての理論派として知られ、中途半端でぼんやりの二郎は洋太郎の代理でしかなかった。洋太郎を訪ねてくる人は多く、元気だった洋太郎がたまに外出すると、みんな歓待してくれた。二郎が代理で行くとお父さんはお元気ですかと常に聞かれた。それに対外活動をする筈の二郎であったが、子分を一杯持った洋太郎や優秀な清太郎には、名指しでお願いがきたが、二郎は会社名義で来たものとか、洋太郎の代理で対外活動をするだけだった。それでも古い紡績を代表する人脈の一人で、会社では、それなりに存在感もあった。

神元、巨大損失!

ジブトラストでは、みんな儲けていたが、神元が大きな損を出した。神元としては、初めての大きな損だった。初めは、大した事もなく、ジブカミドイツトラストで、1割ほど損をしただけだったが、損切りすれば、大きな事ではなかったのに、儲けるのが当たり前になり、これはヤバイと思いながら、そのうち儲かると放置して損が拡大し、独立したからと云って、神之助にも相談せず、孫会社とのポジションの確認もせず、他のヨーロッパのジブカミトラストやジブカミスイファイナンシャルの商品部門まで繰り出して、損をカバーしようと同一方向に賭けた。それが裏目に出た。損は拡大して、神元は熱くなり、まだ気付かなかった。孫会社群の管理も適当になり、孫会社のポジションの確認もしなくなった。神之助は総括責任者ではあっが、神元は商品相場が得意だったので油断していた。人が多くいた神帥のチームが異常に気付き、神帥が神之助に連絡し、神之助が調べると、損が判明した。一部は、孫会社と相対させたが、この時点で損を切った。商品相場の損としては、ジブカミトラストで二千億、ジブカミファイナンシャルで三千億に達していた、商品相場の損が出てから、為替取引はほとんど出来ておらず、それでも、それぞれ一千億程度の利益あったが、最終的には大きな損になった。今期の取引は後1ヶ月弱を残して締め切った。ヨーロッパの商品相場の孫会社と為替担当の金融センターは、神之助が管理しており、通常の利益だったが、ジブカミとジブカミスイは、ジブトラストとは、独立して独自に運用する建前だった。日本の経済新聞やヨーロッパの経済新聞にも常勝ジブのヨーロッパ法人で商品相場部門で巨額損失と云う文字が踊った。大元帥明王は、いい経験と冷たく言った。聡美はパッパラパーのままだったので、元々無心だった。相変わらず儲け、この時点でジブカミトラストで四千億、ジブカミファイナンシャルで四千億の利益を出し、古風な神元は、赤字を出したため、運用手数料や管理手数料も入らず、ジブトラストの給料も最低保障の涙金になった。ジブカミトラストの前半年の利益は、為替が好調で一兆二千億も儲け、出資額以上の配当を出していたので、最低配当として出資額相当の配当を出すが、神元は、配当準備金を減少させた事にされた。聡美の稼ぎで全体としては赤字ではなくなったが、部門換算された。

次期半年度の保証配当は、前半年度配当の半分となり、部門換算で3期連続赤字の取引担当者は、取引適性なしと判断され、直属の子会社の取引担当から外されるシステムになっていた。神元は、最低保証の涙金とジブトラストの配当などが入り、聡美の扶養家族には、ならないものの、神元の自尊心は傷ついた。今まで聡美の倍近くあった管理手数料も一挙になくなり、ジブカミファイナンシャルの神元の部門にも当然運用手数料は入らなかった。聡美との収入の差は大きく、世帯主の面子も傷ついた。聡美が稼ぎ、神元はチンタラと事務の仕事をして、ジブの配当で年金暮らしのような生活にしている自分の姿が頭をよぎった。香奈も追い打ちをかけた。商品相場もヨーロッパに孫会社があるし、金融センターもあるし、ジブトラストの管理の仕事をして貰ってもいいかも知れないわねと言った。実際ジブトラストの管理は、オーバーシーズが出来て、人は足りなくなっていた。大元帥明王さんに言われて、傷心の神元は、取引禁止1ヶ月の処置も受けた。その上、途中の損失はあるものの、長期保有株の含み損を除いて、先物や商品相場や為替の運用で、大きな損失は、ジブトラストでは、子会社システムに切り替えた当座はともかく、孫会社では、時々あったが、子会社では珍しかった。数日間、謹慎して、奈良のお寺に大元帥明王さんに会いにいった。特別拝観できる日だった。大元帥明王さんは、施しが足りないと神元に諭した。帰ってきた神元は、聡美と話をして、ジブカミファイナンシャルとしても、利益の5%は、現地法人と話をして、地域の子供を助ける運動に寄付する事にした。1年間で運用金の5倍も利益を出していた事も稀でなく、利益が利益を生んでいる事が当たり前の神元にとって、大きなショックであった。

聡美も被害を受けた。大きなペットボトルのような神元のものも大きく堅くならず、「いつまでも元気限定品」を飲ませた。それでもそんなに大きくならず、焦って、ハイパワー品も飲ませ、自分も飲んだ。元気がなくなったとはいえ、元々神元は、魔人であった。朝方の惨劇が起きた。巨大で長く堅いペットボトルが聡美の中に出入りし、聡美の子宮にも直接当たるように長くなり、聡美は、絶頂感が2時間も続き、ガバガバのアソコもかつてないほど広がり、全身が痙攣し、子宮に大きな衝撃を受けて、意識もなくなり別世界に入った。

大元帥明王さん「聡美、焦ってあんな危険なものを飲んだらいけない。神元は、それでなくても危険なものを持っているのに、今度は双子になるから、大きなお腹になるぞ。」
聡美「神元さんが元気ないから、つい、聖子おばさんから貰っていたものを飲ませたのです。とっても良かったよ。」
大元帥明王さん「まだあんな危険なものを飲まなくても大丈夫だ。神元も又儲け出す。お前も、やたらと儲けるようになるから、前にジャンヌから言われた食品会社の株を買っておけ。倍程度で売るなよ。化けるからな。鉱山株も持っておけ。倍程度で売るな。5倍以上は堅い。全部売るな。少なくとも半分は持っておけよ。」、
聡美「そんな株を持ってましたか?」
大元帥明王さん「鉱山株は既に買ってる。食品会社の株は、もう一度ジャンヌに聞いて買っておけ。明後日から一週間買い続けていけ。」
聡美「判りました。」

聡美は、もう一度、ジャンヌに会社の名前を聞き、わざわざ紙に書いてもらった。ジャンヌは、この会社は、今年赤字になりそうだから、私たちは、もう既に売ったよ。上がると思ったのに、切人さんも儲けが薄くがっかりしていたわ。明日の朝決算なの。悪いような気がするのよ。買うのをもうすこし先でもいいと思うわよと言った。

悪いなりに予想より、良ければそんなに下がらないが、予想を上回る大幅な赤字となり、売りが殺到した。語学のセンスのない聡美は本職の先物も忙しく、現地時間のお昼頃、漸く株式のこの会社を見付け、お金も思い切って株式に入れ、やたらと下がっていたので、売りをみんな買った。聡美も相場師なので、買った価格の中で、一番安い値段に週間限定の買い注文を出しておいた。その買い注文が発行株式の50%を超えるとか、解散価格と云われている価格だった事も知る由もなかった。聡美は先物が忙しく、その事は忘れてしまった。聡美は結局トラストもファイナンシャルも五千億の利益を出して、半年を終えた。

「ジブのヨーロッパ法人が商品相場部門で巨額損失とか書いてあったわ。大丈夫なの。」、
香奈「神元君が大きな損を出したの。いい勉強よ。今までが異常なのよ。損もしない事がおかしいのよ。加代子ちゃんも損を出して慎重になったのよ。運用は儲けを大きく、損を小さくするものなのよ。常勝なんてないのよ。常勝と思うからと儲けを少なくして、損を引きずって大きくするのよ。利益が利益を生むよりも、もっと大きく損は損を拡大させていくのよ。聡美ちゃんが稼いでいるから、ヨーロッパの直属子会社では、損失も出てないのよ。」、
「でも利益は減るよ。」
香奈「こんな事もあると思っていたから配当準備金を積んでいるのよ。ジブ本体には、そんなに大きく響かないわよ。これが赤字で減り続けると適性がないと云う事になるのよ。今は、神元君も慎重になって少しずつ儲けだしているわ。直属の子会社も、普通の子会社と同様に取引状況は本体の管理に報告して貰う事にしたのよ。損もあるのが、運用なのよ。」、
「厳しいものだね。」、
香奈「そうよ。みんなにもいい勉強になったと思うわ。聡美ちゃんが、今度は驚異的に儲けているけど、こんなペースは続かないと思うわ。」

聡美は次の半年に入ったら、先物が驚異的に儲けだし、やることなすこと全て儲け出し、忙しくなった。8千億円相当を超える利益が、トラストとファイナンシャルとであった。お腹も大きくなり、今度はつわりも酷く、聡美としては早く、産み月の前月には、お休みした。二ヶ月間も今期の締めまであったが、残された各地の先物担当は、今まで通りの給料を貰うが、今回は三ヶ月近く聡美が復帰するまであり、旅行などに行ってもいいことになっていたが、聡美と話をして、トラストとファイナンシャルから等分のお金を出し、併せて四千億の運用枠みんなで貰い、利益が出れば利益の10%をファイナンシャルから運用手数料を貰い、損をして運用枠の半分になった取引担当者は取引を止める事にした。パッパラパーの聡美に出来るのだから、神子や神代の見通しがあれば簡単に儲かると思っていたら、聡美の四分の一も儲ける事が出来なかった。先物担当は、パッパラパーの聡美に対して、少しは先物取引の才能を認めざるを得なかった。

神元、宝石貴金属店グループ買収、ついで鉱山までも手に入れる 

神元は、慎重に取引して、今度は、神之助の意見や孫会社とも連絡を取り、少しずつ利益を上げていった。損切りもした。それでも利益が大きく取れるものもあった。なんとか最低保障の配当は上回りそうな利益が貯まりだした。少し余裕を取り戻した神元は、ジブスイス貴金属会社に、貴金属会社を探して貰い、神帥のようにジブカミファイナンシャルの商品相場為替部門としても、貴金属会社の株を保有していきたいと考えていた。

ドイツとオーストリアにまたがる宝石貴金属店チェーンが資金難で新しい出資先を探していたのが分かった。香奈に相談して、真理に聞いて貰った。真理は小百合たちと相談して、この宝石貴金属店チェーンを調べた。金や銀の宝飾では技術が高いものの、無理して多くの店舗展開をして、銀も大して出ない鉱山まで買い、信用不安が囁かれていた。業界では現金でないと商品を納入しない会社だと云っていた。ジブトラストドイツも実は知っていた。店は立派だし、技術も高いし、オーストリアに銀の鉱山も持っているけど、鉱山は古く、二束三文で、財務はボロボロで、明日倒産してもおかしくない会社だと言った。負債総額も多かった。こんな会社の株なんてちり紙にもならない。年々増資して、金は泡と消える。負債をよく調べて思い切って増資して、完全に買い取り、経営陣を一新しないと意味がないが、そんな価値のある会社とは思えないと言ってきた。ただ、真理は、「小百合さんや美枝子さんも云っていたわ。本当はいいお店なのよ、立地条件もいいし、宝飾の技術もいいのよ、経営陣がしっかりすれば、いいのにね。全部買えるなら、毛利貴金属でも欲しいし、運営の人はアメリカや日本から出してもいいけど、高い値段を言うと思うわよ。」とも言っていた。神元は、巨大な損を出し、多少の金額には驚かなかったし、運営を任せる人がいるのも魅力だった。神元は生粋の相場師だったので、会社経営や運営には興味がなかった。単に少しでも安定的な収入が欲しかった。神元は、ジブトラストドイツに完全に買収する事を前提に交渉をさせた。相手側は、思い切った高値をいった。お得意の大型増資をして、割り当てに応じ、かなりの高値でTOBをして創業者一族の株も買って欲しいと言ってきた。負債も全て引き取って欲しい。新しく店を出した方が遙かに安い。ジブトラストドイツも呆れる価格であった。ジブトラストドイツの担当は、子供の使い扱いされて憤然として帰り、神元に、価格を伝え、あんな所は倒産してから、叩き買った方がましですよと言った。神元は、前に出した損に比べると半分以下なので、それでいいから、買い取って欲しいといった。宝石貴金属店チェーンも金の算段もつかなくなり、吹っかけすぎたと反省し、少し値段を下げてきた。ジブトラストドイツの担当は、叩き買おうとも思ったが、話をしても腹が立つので、根こそぎ買う事で、交渉を終え、さっさと金を払い、最低期間のTOBとした。高い値段のTOBなので、ほんとんどの株は集った。神元は、新しく貴金属会社を作り、スイスで預かって貰っていた金を出資する形で、ドイツジブ貴金属を作り、この宝石貴金属店のチェーンを吸収合併させた。お店は毛利貴金属に運営を任せた。毛利貴金属に運営料を払い、利益が出れば、税金などの経費を除いて、利益の一定の割合で毛利貴金属に支払い、残りは、会社に保留する分とジブカミファイナンシャルの神元の部門、そして従業員の三分割する事に決めた。ジブカミファイナンシャルの神元のお金は相当消え、神元は心機一転して、初心に戻り頑張ることにした。ただこの宝石貴金属店のチェーンもみんなしっかりしていなかったわけでもなかった。お店には、いい従業員もいたし、宝飾の職人さんもいい技術を持っていた。毛利貴金属は、ニューヨークや日本から数人の人を派遣して、必要な人には残って貰った。創業者一族は単なる株屋だから、経営など出来ず、泣きついてきて、又経営に戻れると軽く考え、みんないなくなっていた。債務も消え、神元が金などの貴金属を安値で買っていたので、安値で使用できた。あっさり上手く経営できた。鉱山部分は独立させ、ジブドイツ鉱山として細々と銀を採掘した。

聡美が多量に株を買ったオーストリアの鉱山会社

聡美が買っていたオーストリアの鉱山会社は、ハプスブルグ家の流れを汲む旧家が創業した古い会社で頑固なおっさんたちが経営していた。多くの家に分散化して保有していたが、オーストリアの山間部に広大な土地を持っており、鉱山も相当持っていた。ただ鉱山は古く、そんなに銀や銅などは取れず、成績は低迷し、財務的に苦しくて一つの鉱山も売ったが、倒産も噂されていた。

香奈オフィスの奈津実は、稀少金属が取れるかもしれないと思って、この山間部の資源探索のため、オーストリアの鉱山会社と資源探索、採掘そして販売までの契約を求めていた。突然と株を買ったジブカミを調べ、何か言ってくるかと待っていたが、名門意識もあり、挨拶には行かなかった。オーストリアの鉱山会社は、香奈オフィスが大株主のジブカミの聡美の親戚筋と云うことは知っており、ボッタクリの瑠璃とかハゲタカの瑠璃と云われた瑠璃が経営している事も知っていた。疑心暗鬼で話を聞いていた。ボッタクリの瑠璃と云われた会社にも拘わらず、香奈オフィスも丁寧で、大株主風もみせず、普通の交渉態度で、何か見つかった時の利益配分も妥当なものだった。頑固なおっさんたちも感心して、聡美が助けてくれると勝手に思い、香奈オフィスの出した条件に直ぐにのった。どぶに落ちた犬は、更に蹴飛ばして、半値三掛け五割引で叩き買う瑠璃であったが、今回は、単にジブカミが過半数を持っていた事を知らなかったので奈津実が言った条件に同意していた。異例のスピードで交渉はまとまり、オーストリアの鉱山会社は、金を出さず、一定の利益が入ってくる契約、資源探索や稀少金属の採掘と販売を香奈オフィスに任せ、その利益の比例配分で相当部分を貰う契約をした。

香奈オフィスが、資源探索ロボットを使い、探索していた。その探索結果が漏れ、市場で噂になり、探索の結果をまとめ、鉱山会社は新しい鉱脈を見付けたと正式に発表した。聡美が多量に買っていたので浮動株は少なく、発表後5倍どころか10倍になった。聡美は、妊娠休暇に入る前に、珍しく夢に出てきた大元帥明王さんに売る準備を頼んでおけと言われ、ジブドイツのお世話係の人に5倍になったら、トラストもファイナンシャルとしても半分売ってねと頼んでいた。ジブカミトラストは、先物担当だけしかいなかったので、管理料を払っていたジブドイツに頼んでいた。倒産するかと噂されていた会社なので、バッパラパーの戯言と思い、ジブドイツの人は忘れていた。この鉱山会社が急騰して、話題になり、漸く思いだし、ジブドイツも株屋なので、10倍にもなったので、10倍以上になったら、少しずつ売っていった。利益に比例して手数料も貰っていた。この鉱山会社の鉱脈の中に、ドイツジブ鉱山の鉱山もあった。瑠璃が何気なく真理からこの鉱山の話を聞いた。香奈オフィスは、ドイツジブ鉱山にも許可を求めた。ドイツジブ鉱山は、神元に相談したが、神元は相場に一心不乱に取り組んでおり、調べて貰って後は任せますと言っただけだった。この鉱山にも資源探索ロボットを入れて調査した。銀は大した事はなかったが、同じような稀少金属が大量に見つかった。ドイツジブ鉱山は、仕方がないので、運営は香奈オフィスに任せ、ドイツジブ貴金属と同様に処理する事を神元に提案した。神元もそれでいいと言った。この鉱山には、従業員に加え、鉱山採掘ロボットを入れた。採掘は一挙にはかどり、この鉱山をベースに、香奈オフィスは、ロボットも使い、一貫して、この鉱脈の採掘と販売を行う事になった。毛利レアメタルの分別化ラインも改善され、コンパクトになっていた。かなりの純度まで分別して、今までの精錬の常識を越える前処理をした。そしてこの稀少金属は一気に注目され、あっという間に、高値で取引され、香奈オフィスも儲かり、ドイツジブ鉱山も儲かり、オーストリアの鉱山会社も儲かった。株価は好成績を反映して上がり続け、ついに15倍にも達し、ジブドイツは、あまり上がるので値を落とさないように、もっと少しずつ売っていたが、やっぱり、鉱山会社には判り、鉱山会社から、安定的に保有してくれますよねと言われ、香奈オフィスとの関係もあり、オーストリアの鉱山会社の頑固な経営陣も思い切った高配当を出したので、産後働いていた聡美と相談した。聡美は言った事すら忘れていたので、それなら保有しておいたらと簡単に言って、買った株の五分の一程度しか売れなかった。

聡美が多量に株を買ったドイツの食品会社

聡美が買った、ドイツの食品会社は、画期的な食品を開発していた。一粒300メートルとは違い、チーズのようなペースト状のものを作り、「元気でねペースト」と名付けた。全ての栄養素の体内吸収効率を上げる食品だった。多くの栄養素は体内で吸収されず排泄されてしまう。このペーストは栄養素の体内吸収効率を上げて、パンに塗って食事を取れば、食事は美味しくなり、必要以上の栄養分も内臓強化に使われ、残りは体内の老廃物を掃除して一緒に排泄すると云うものだった。栄養の足りない人が食べれば栄養分となり、太りすぎの人は体内新陳代謝を活性化して、元気に痩せていくと云うものだった。発表してもみんな本気にしなかった。夢は寝てから見ろと言った。怒った食品会社の担当者は、公開実験をした。ビヤ樽みたいな栄養過剰のおっさんやおばさんそして、くびれなんてない、スタイルがいいとは言いかねる姉ちゃんたちを、公開で集め、テストした。驚く事に、栄養過剰のおっさんやおばさんは、元気にスマートになり、内臓も健康になった。

くびれなんてない、スタイルがいいとは言いかねる姉ちゃんたちは、モデルのようにくびれが出た。顔は変わらない筈なのに綺麗になり、体も健康になった。

ただ言われないものの副作用もあった。やたらと性欲が湧いてくると言うものであった。「いつまでも元気で」は、ヨーロッパでも普及し、「元気でねペースト」と併用すると、女は感じ、男は70でも反り返り、精液は溢れる程出て、ゴムも突き破る勢いがでた。子宮も保護され、受精卵の子宮への着床率も上がっていた。男も女も我を忘れる絶頂感を味わい、妊孕率も驚異的に上がり、良かったねと赤ちゃんが祝福してくれた。食品会社は黙っていた。食糧事情の悪い国を想定していると云う名目だった。それでも栄養状態のいい先進国で販売し、高い値段で売った。画期的な利益が上がった。マリア財団は、食品を供給した方がいいと云う意見もあったが、持ち運び安さも考えて、テストした。パンと水と「元気でねペースト」とで、栄養状態は飛躍的に上がった。「元気でねペースト」は、栄養補給として作用している時には、性欲増進効果はなかった。

「元気でねペースト」は、決して安い値段でもなかったが、先進国でいやになるほど売れた。レストランでは、常備しているようになった。不味いものもそれなりに食べられるが、美味しいものはもっと美味しくなった。知りたがりは、どの国にもいて、製品分析、栄養分析もしたが、チーズスプレッドとしか云えなかった。

実は、この「元気でねペースト」の秘密は、牛乳と乳脂肪にあった。乳脂肪の脂肪酸に独特の修飾基をつける、独自の製法で作っていた。この修飾基がつくと栄養分の体内へ吸収が驚異的に上がり、余分な体脂肪が分解され、分解された体脂肪が内臓器官を保護していた。脂肪酸の立体構造が変化し、分岐状の水とミセル状になって、徐々に分岐状の水を体内で放出し、健康を維持していた。この脂肪酸の修飾をする工場を作る為に、夢に取り憑かれ、身の丈知らずの莫大な投資をして、大きな赤字を出していた。元々味にうるさいおっさんが独自の放牧で育てた乳牛から作った乳製品からはじまったメーカーであった。一族がうじゃうじゃと多く、血縁関係でがんじがらめのような会社であり、一族の株が50%を超えていたが、中には、遊び回る奴とか借金で首の回らない奴もいて、この会社の株も、担保に出し、情け容赦もなく、叩き売られ、聡美が出した信じられないような価格で売り飛ばされていた。

この会社は広大な土地を持ち、一部の山間部の土地は売ったものの、自前の広い牧場を持ち、乳牛を育て、安くはないが、質のいい乳製品を作っていた。売った土地では、製薬がエンジェルスターを栽培していた。どこでも生育したが、栽培条件のいい所には、やたらと生育していた。この土地の山間部ではやたらと生育していた。エンジェルスターから分岐の水が少しずつ地下に流れ、山間部の川や地下水に影響を及ぼし、乳牛の体内で、分岐状の水が牛乳に入り、乳脂肪まで影響を与えていた事は、食品会社では分からなかった。単に脂肪酸の修飾基を付けた事による効果と思っていた。

牛乳や乳製品は美味しくなり、売上げも少しづつ上がり、含み資産もあり、切人はこの株を買っていた。しかし、創業一族が50%以上ある会社なので、身の丈知らずの過大な投資をしたので、赤字になると思い、切人は、利益がある内に売っていた。大きな赤字が出て急落し、それを聡美が買った。そんなに安くなるならと思い、切人も買おうとしたが、膨大な買い板があり、安値で買えず、その板の上で、切人は買っていた。それでも売る奴もいて、聡美の買い板はほとんど食われていた。切人が香奈に聞くとジブカミが相当購入していた事が判った。聡美が信じられない程買っていたので、浮動株も減り、新製品が好調で業績も上がり、株がつり上がり、値段に負けた一族の売りが散発的にあり、それを提灯買いや信用の損切りの買いもあり、株は高止まりしていた。

ヨーロッパで有名になった「元気でねペースト」は日本にも入り、ジブホームレストランでもでたが、それほどの効果もないようだった。しかし遺伝子研究センターでは、このペーストを研究し、脂肪酸の立体的な構造が分岐状の水の保護に役立っている事を突き止めた。敷地内の肉牛の脂の中でも同様の脂肪酸の構造があった。ただ独自の修飾基をつける方法は分からなかった。

聡美は買った事さえ忘れており、売却すらジブドイツに頼んでいなかった。大元帥明王さんも今度は、教えてくれなかった。分散して購入していた事でもあったし、株数などは知る由もなかった。切人が聡美に会い、この食品会社の共同の管理会社を作る事を提案し、切人が管理する事になった。実は聡美は、特に意識する事なしに、ジブカミスイファイナンシャルだけでなく、ジブカミトラスト名義でも買っていた。システムとしては、特にトラストとファイナンシャルを区別していなかった。しかもこの時は、株式を購入するので、限度一杯ファイナンシャルの資金を出していた。

切人は、会社側に、ジブドイツを通して協議したい旨の連絡をした。緊張した会社側は、日本まで、弁護士をつれて、週末に飛んできた。妖怪と云われていた清香も同席した。マリア、聡美そして神元まで同席した。マリアが通訳をかって出た。

切人の要望は、アフリカ用の食品を安く作って欲しい、製薬との業務協力をして欲しい、配当の利益比例を考えて欲しいと云うものであった。経営権の問題には触れなかった。回答は判で押したように、いずれ検討してと答え、非公式の食事会が開かれ、徹行も参加して、少しずつ本音を言い合う会合があり、大体の方向性が決まった。アフリカ用の食品は、別の食品会社で別ブランドで作り、原料供給を食品会社がする。製薬のヨーロッパ子会社と具体的な協力体制を考える、山間部の土地を製薬の子会社が借りて、エンジェルスターを栽培する、食品会社の借り入れ債務は、ジブカミが融資して、チャラにするから、配当は利益の三分の一を貰い、会社の保留分が貯まったら、融資を返済してくれる事になった。ジブドイツからの役員を一人受け入れるが現行の経営陣で経営する事が決まり、非上場となった。残った株は、流通出来なくなるので、直近半年の加重平均値で、希望があれば、ジブカミファイナンシャルが買い上げる事になった。売上げや利益そして配当予測値まで公表した。安値の10倍近くつけた高値で買っても、2割程度の配当だったのに、信用せず、わざわざ安値で売る人もあり、ジブカミファイナンシャルの保有比率は上がった。その後、マリアホープが、保有していた別の製菓会社にもっと出資し、実質的に買い取りに近いように影響力を高めながら、この食品会社から、乳脂肪や牛乳を使って、ビスケットなどを作り、マリア財団の運動の手助けの食品とした。食品会社も少しは儲かり、少し牧場も広げ、エンジェルスターの栽培も少し増やす事になった。売上げも利益も少し上がり、配当も少し上がった。この食品会社の創業一族の中にはしっかりした人もいて高くなった配当を集めて、ジブカミとともに増資して、ジブカミからの会社の債務は消えた。ただ、しっかりとした人は案外少なく、また少しカミジブの保有率は上がった。元々しっかりとしていない聡美は、判らないのでみんなに任せた。この食品会社は債務もなくなり、儲けた金で、もっと牧場も増やし、もっとエンジェルスターの栽培も増やす事になった。そして牛乳の中の分岐状の水ももっと増えた。「元気でねペースト」の効果はもっと上がり、もっと売上げが増え、もっと利益も増え、もっと配当も増えていった。

ブラジルの羽朗も、この食品会社での実態が判り、ブラジルの牧場の近くにエンジェルスターを栽培した。神帥も知って、快適が持っていた北西部の牧場で試してみる事にした。資本参加した食品会社にも話をさせ、ジブカミスイファイナンシャルとして増資して、牧場で取れた牛乳を使った製品を開発してもらう事になった。タイの辺朗もアジアやインドの快適としても快適牧場を計画していた。

聡美が鉱山会社も買っていた事も分かり、香奈オフィスから役員を一人送り込む事になった。ジブカミファイナンシャルからの寄付が多くなり、株屋の子会社のくせに、株屋を信頼していないジブドイツではあったが、元々ジブドイツは、ドイツキクコメタルや機械会社の株も保有している事でもあり、ジブカミにも安定的に保有している株もあり、事業会社からの配当も入り、大きなお金になってきた。株屋を馬鹿にしても、所詮株屋であり、独創的な考えはなく、日本やスイスの財団を参考にして、育児の専門家たちに丸投げし、「ジブドイツキンダーランド」を作り、日本の財団と良く似たジブドイツ財団を作り、日本やスイスとよく似たシステムを作るようになり、ジブドイツとしても少し寄付するようになった。ジブ本体も寄付分を利益から除外する事も了承した。相場師の二人は稼いでおり、少しずつ財団の基金も増え、ドイツ語圏で、「ジブドイツキンダーランド」も増えていった。

香奈「聡美ちゃんがそんなに多く株を買っていたなんて知らなかった、もっといい条件で契約できたのにと瑠璃がぼやいていたわ。食品会社の時は、切人が調べたみたいだけど、あれは、大変な作業なのよ。そんな事は判らないわよ。ジブカミトラストの保有は判るけど、ジブカミファイナンシャルのような家族単位の会社がもっている株なんて分からないわよ。今回はジブシステム外の処理だったのよ。大元帥明王さんに言われて、聡美ちゃんが買っていたみたいなの。」、
「貴金属店は真理さんの毛利貴金属が運営しているし、鉱山会社も、香奈さんの所が儲かっているから、いいじゃないの。あのビスケットも、ペーストと同じように日本にも入れるのでしょう。みんなの役にも立ちそうだよ。」、
香奈「それはそうだね。あの貴金属店の宝飾技術は高いのよ。真理さんや小百合も喜んでいたわ。デザインや宝飾の幅が広がったといっていたわ。他のヨーロッパの国にも店を広げていくらしいわ。」、
「神元君たちが損だよ。もっと儲かるのに。」、
香奈「そんな事はないわよ。貴金属店は好調なのよ。食品会社でも配当だけで直ぐに元を取るみたいだよ。鉱山会社の株も少し売っただけなのに、倍以上のお金が入ってきたらしいよ。配当も高いみたいなのよ。あの稀少金属は貴重だと瑠璃も言っていたわ。配当だけで儲けるのが、本当の運用かもしれないわね。」

神元の大きな損失や聡美が会社を買収に近い程買っているのが判らない事を反省して、香奈は、ジブトラスト関連で使用しているシステムを一元化させる事にした。香奈は、ジブトラストの取引システムの見直しをごきげんソフトに命じた。

今まで、ジブトラストの香奈のコンピューターはジブ本体は勿論、国内子会社、孫会社の資産状況及びジブトラストの直属の子会社の各トラストや子会社、金融センターでの取引や通貨の保有状況、孫会社、ジブオーバーシーズの状況まで最新の取引状況や保有状況が、ジブホストコンピューターに連動され、表示する事が出来た。勿論細かい取引などは普通はみないが、ジブ全体の資産状況、直属の子会社、子会社、金融センター、孫会社の資産状況などは全体として香奈が簡単に管理できるようにしていた。ここまで見られ、なおかつ、取引についてオーバーコールできるのは、会長の香奈と社長の正子であり、神子は自分が統括する渋谷経由のすべての取引と研究センターのすべての資料を、神之助は、自分が総括できる商品相場と金融センターを含むすべての取引とポジションが自由に管理し、オーバーコールまで出来るようにしていた。

しかし取引の実体が、カミカミファイナンシャルや香奈ファイナンシャルそして不動ファイナンシャル、マリアホープなどの多岐にわたっていた。ジブトラストが直接関係しないカミカミや香奈などの保有株は表示しないようにさせていた。管理が各地の保有報告書を作成するだけであった。今回の事でジブ本体への影響はなかったものの、ジブトラストの関係する各運用会社は、すべてジブ取引システムを使用し、取引は一元化したシステムで統一した。

香奈と正子だけにはジブトラストと関係のない運用会社であっても保有株を表示させる事にした。カミカミファイナンシャルや香奈ファイナンシャル、家族単位の会社などは、ジブトラストの組織である本体の一部あるいは子会社や孫会社であれ、運用を委託する場合は、その運用額は、ジブトラストとしての運用額の1.5倍を超えない限り、各取引担当や会社組織が、一旦その総合口座にその運用額を受け入れ、取引担当や組織は、一つの取引画面で自由に取引し、株式や債券そして各取引の保有するポジションで翌決算以上に繰り越す場合は、申請して本体の了承を得て、運用額扱いから、除外する事にした。これで、ジブトラストの組織を使った取引はジブトラスト本体がすべて管理し、管理セクションを通して、税務処理等を行い、すべての組織の資産の状況は、本体が判るようになった。ただカミカミや香奈、そして不動、マリアホープそして各家族単位のファイナンシャルは、ジブトラストのお金とは別のお金ではあり、あくまでも取引の制約を遵守するためのものであり、市場外の取引やその決算内容や利益の構造などには関与しない事にした。しかし取引はジブトラスト関連の取引であり、委託されたとは云え、ジブトラストとしての制約を同様に受けるものとした。スイスカナコインのように、ジブトラストの組織を使わない運用であっても、ジブトラストのためにごきげんソフトが開発した取引ツールを使っているので、、同様に取引利益の中から、一定額の取引システム料を本体の管理に払う事にした。ジブトラストは、単なる運用会社ではなく、取引基盤や取引ツールまでを供与していく機関にもなった。

こうした改正がなされたとは云え、例外はあった。それは香奈ファイナンシャルの国内だけは、香奈が運用しているので、運用枠の制限などはなかった。正子も香奈の国内の保有株なんかは見ないようにしていた。ジブトラストは以前として香奈の運営会社としての側面をまだ持っていた。ジブトラストと香奈国内は、並列しているとの意識は強かった。正子は、カミカミとしては市場取引はせず、市場外での増資や出資だけの相談にのり、出資する事もあった。香奈が香奈ファイナンシャルで当初してきたように、正子も取引ではなく出資や相談に乗るようになってきた。

元々ヨーロッパの子会社は、寄付する事になっていたが、そこは株屋の良いところと言うべきか、寄付は適当だったが、ジブスイス財団以外にもジブドイツ財団が出来たので、各国の子会社もそろりそろりと同じような財団、ジブイギリス財団、ジブフランス財団などを作り、託児所を作り出した。「いつまでも元気で」と「元気でねペースト」の普及もあって、ヨーロッパでも出生数が急増していた。

香奈の秘密口座構想、崩壊 

スイスコインは直属の子会社ほどは、取引では儲けていなかったが、ビルの収入などの収入も入り、安定的になってきた。香奈はそんなに公明正大な人ではなかった。猫好きや自分達の財団に寄付してくれる人とそうでない人とは対応は少し違った。国内でも出資や増資はあくまで経済的な判断ではあったが、出資や増資した会社は日本の財団に幾分かの寄付をするようになっていた。ヨーロッパでも同様で、各子会社が出資や増資する時には、財団に寄付しましたと言う言葉があるのとないのでは対応が違うように感じる人が多かった。世の中には不思議な事に、権力や金にすり寄る人も何故かいた。猫嫌いや対立する意見もある筈なのに、財団設立が先行したジブスイス財団には、ヨーロッパ中の会社からの寄付が多く集まってきた。それにスイスカナコインはコッソリートの証券会社を辞めたおっさんやおばさんたちを多く集まり、情報通の人もいれば、文句言いの人も多く、保有している会社に何かと発言した。不思議な事に、多少の寄付はジブスイス財団にするようになった。総会屋や怪しげな所に金を回すよりは抵抗が少なかった。ジブスイス財団は、不思議な事に寄付が貯まり、スイスカナコイン基金にも金が貯まりだした。この基金は充実したし、それに思い切り広い土地もあったので、学校は段々大きくなった。この学校は、牧場の隣だったので、学校の先生や生徒は、牛乳はいやと云う程飲めた。猫たちも飲んだ。猫たちと子供たちは交流し、猫たちは、子供たちを励まし、元気づけていた。猫も増えてきた。この学校は特に英才教育をするためのものでなく、親のない子供や事情があって子供を育てられない人の子供が遠慮しないで勉強する事を考えて作った学校だった筈だのに、秀才が輩出して、いつしか英才教育の学校として有名になり、子供への支援の一つの方法としても注目され、スイスカナコインビルはチューリッヒのシンボルビルになり、学校も牧場もワイン工場も、スイスでも有名になり、香奈のスイスの秘密口座構想は、こうして完全に崩壊していった。

「スイスの全寮制の学校は、施設の人の間で話題になっているよ。あれはジブスイス財団が作った学校らしいね。スイスカナコインも寄付して、学校や土地も提供したと聞いてきたよ。アジアのケイさん達と一緒に財団の人も見学にいったよ。千恵の娘の千恵美が大学の教師にもなっていて、一緒に見に行ったよ。ケイさんは、アジアでも作りたいと言っているらしいよ。大きな広い牧場もあって、スイスコインの牧場らしいね。空気もいいし、有名だよ。猫も一杯いるらしいよ。ペット達と一緒に生活するのもいいかもしれないね。千恵美も、自分でも日本でも作りたいと言ってるよ。財団も検討しているよ。香奈さんの隠し会社は、有名になったね。」、
香奈「もう隠し会社じゃないのよ。奈津実が見に行ったら、案内図や地図にもスイスカナコインビルと書いているらしい。誤算だったね。」、
「青不動さんもきっと喜んでいるよ。良いことだよ。」、
香奈「そうかねえ。青不動さんは、笑っているだけだよ。」

聡美は絶頂感を味わうと何故か株式投資をしていった。

神元は相場師で夜勤族だったので、貴金属会社は、その後もほとんど毛利貴金属と香奈オフィスに任せ、汚名をはらすために、商品相場と為替で損切りにも注意して、又大きく稼ぎだしていた。ドイツジブ貴金属は好調で、神元が安い貴金属の現物を送り、それを売って儲け、毛利貴金属が上手く運営して、ヨーロッパの各国にも店を広げていた事は知らなかった。神元は元気を取り戻し、損したお金以上に儲けてお金も取り戻し、神元のものも、もとの大きさ、堅さを取り戻し、聡美も、もとの絶頂感を取り戻した。聡美も双子を産んで、子供を託児所に預けながら、夜勤で又儲けだして、勤めが終わると巨大なペットボトルのようなものに突かれ、絶頂感を味わっていた。保有する株など記憶から消えていた。聡美も先物専門のディラーの自覚も出来、相場の流れや全体の経済動向を神子や神代からのレポートで勉強していた。ゲーム感覚ではなく、罫線屋的勉強もした。大元帥明王さんは、その後もたまに聡美にあれを買え、これを買えと教えてくれる事があった。大元帥明王さんは、せこせこ儲けるより、どっと大きく儲けるのが好きで、たまに数倍クラスの儲け話を教えてくれた。そんなにボロ儲けの機会はそんなに多くないし、直ぐに上がるものでもなかった。大抵の場合は、1社を教えてくれた。大元帥明王さんは、切人の買っていたイギリスの娯楽会社とか云うように教えてくれ、聡美は、株でもたまに大儲けした。

ただ、青不動さんのように細かく数量までは、教えてくれなかった。聡美は、会社の発行株数がよく判らず、会社が何をしているのかも詳しく知らなかった。儲かった金も使い、買ったので、買いすぎて、特に狂気のような売りが続いている会社では、会社を買収してしまう事もあった。イギリスの複数のゲームセンターを運営する会社は、業績が好調で儲けていたが、イケイケドンドンと調子にのって、大きな山間部を含む広大な土地を借金もして買収し、大規模なアミーズメントパークを計画していた。初めは期待先行で、大きく値を上げた。しかし土地を買ったのまではいいが、資金繰りが続かず、大赤字を出していた。広大な土地も売れば二束三文だった。切人は好調な時に買っていたが、身の丈知らずの計画に呆れ、売っていた。そんな話を聞きながらも聡美は買っていた。狂気のような売りが殺到していた時に、聡美が大元帥明王さんに言われて、何気なく、膨大な買板を出し、ついに60%以上も株を買ってしまった。後で処理を頼まれたジブイギリスは仕方なしに、ジブカミファイナンシャルから融資もして、借金をチャラにして、土地だけの有効利用と従来通りのゲームセンターを続ける事にした。無理な計画をしなければ、ゲームセンターだけでやっていけた。土地の有効利用を図るために山間部を香奈オフィスに資源探査を依頼するなどの後始末に追われる羽目になった。偶々、山間部で稀少金属の大きな鉱脈が出たから良かったものの、ジブイギリスの人は大変だった。鉱山部門は独立させ、ジブカミファイナンシャルイギリスが多く出資し、そして香奈オフィスとジブイギリスとが少し出資してジブイギリス鉱山として、香奈オフィスに運営を委託した。香奈オフィスは運営料を貰い、利益をそれぞれに配分した。ジブイギリスの管理の人は、娯楽会社の役員を兼務する事になってしまった。金をかけて造成した土地は、何か有効利用を図る事にしたが、偶々大きな工場が建設する土地を探していて、そこに相当部分を売った。融資したお金は、返済して貰い、配当も貰い、購入した株のお金も、何とか取り戻した。複数のゲームセンターと残りの一部の土地を持つ会社がそっくり手に入る形となり、ジブイギリス鉱山もおまけになった。

聡美はシステムの詳しい事は知ろうとしないので、ジブカミトラストとしても買い、ジブカミトラストとしても保有株が増え、配当も入った。香奈も聡美の運用利益が運用枠以上だったので、保有株を除いて運用枠を維持する処置を執った。半年で運用枠以上稼げば、十分すぎると云うより驚異的と言えた。

神元は、一心不乱に、商品相場や為替に取り組み、安値で金などの貴金属を買って、それをジブカミとして、ジブドイツ貴金属に出資していったが、相場師なので、直ぐに過去の事は忘れ、毛利貴金属に運営を任せた。パッパラパーの聡美は、もっと酷く、買った会社の名前すら忘れるどころかそもそも覚えていなかった。ジブカミトラストやジブカミファイナンシャルとしても買ったが、それもそんなに意図すらしなかった。大元帥明王さんに言われなければ、ただひたすら先物に取り組み、ジブの直属の子会社としては、珍しく、ジブカミトラスト、ジブカミファイナンシャルそしてカミカミファイナンシャルの云った、3つの財布からのお金で先物取引をしていた。

聡美は、相場以外では、巨大なペットボトルのような神元のものに取り憑かれ、朝の光の中で突き続けられる事しか頭になく、次々と妊娠する色ボケの女であり、神元もしつこくせがむ聡美に腹を立て、力の限り突き続け、勢いよく精液を出し、二人とも精も根も疲れ果てて、抱き合って昼まで死んだように眠った。聡美はそれでももっと絶頂感を味わおうとする色ボケだったので、時には二人で「いつまでも元気で、限定品」を飲んだ。すると神元のものははもっと大きく、堅く、長くなり、もっと突き続け、精液は噴水のように出た。聡美が完全に逝って意識が別世界に飛んでいる時に、時々大元帥明王さんは、聡美に話しかけた。色ボケ女が幸福感に包まれて寝ている時には、子供たちは出かけ、舞子は子供の世話で大変だった。

世界の資産家ランキングに冶部一族が細かく登場!

世界の資産家や会社について特集があり、今まで治部一族だけでひとくくりで云われていたが今回は、細かく言及され、香奈とその一族が、太朗と正子一族より上になっていた。二郎と聖子とその一族も続き、健次郎と恵とその一族も離されていたが、紹介された。洋治と有希、洋太郎と俊子などよりも上にあった。ジブトラストの出資比率も間違っているものの言及された。恵は、裕福な財団の実質的な代表者でもあり、恵教の教祖であり、知名度も高く、財団の資金も自由に使えるとされていた。

「なんで私たちが、そんなに多いの。」、
香奈「ジブタウンと菊子さんの会社なども入れているからだよ。それにジブの出資比率でジブの資産を入れているみたいだね。」、
「でもあれは違うよ。あんなに多くないのに。」、
香奈「そんなもんだよ、世間の噂なんかは。運用会社の設立当時は、真智子おばさんが多かったからね。」、
「香奈さんの所は多い事になっているのね。」
香奈「機械まで入れているものね。」、
「聖子ちゃんは有希さんたちより多いの?」、
香奈「もっとずっと多いだろうね。会社の出資比率も間違っていたよ。安いよと快適に分けているから、彼奴らも分からないんだよ。鉱山関係も入れてないしね。売上げは凄いんだよ、会社としては、ジブ関係の中でも一番大きいかも知れないよ、利益率は低いけどね。年々利益は増えているよ。もう今は勝手に増えるのよ。現地が自分で増やしているからね。しっかり分かっているのは、聖子ファイナンシャルの報告が読める、聖子ちゃんたちの一族とジブの数人と有村の息子ぐらいのもんだよ。清太郎君から有希さんは聞いているかもしれないけどね。加代子ちゃんや神元君たちの事も知らないみたいだね。もう大きくなっているんだよ。」、
「こんな事は誰が知っているの。」、
香奈「ジブの関係者だろうね。資産規模も間違っているよ。5年以上前のものだし、本体ではなく、渋谷辺りで5年以上前に辞めた人だろうね。渋谷だけは、人の出入りが激しいのよ。神子ちゃんは実力主義だし、教える事もしないし、適性のない人には冷たいのよ。本体の管理や新宿は、長年勤めている人が多いし、子供たちまで勤めるようになっているけどね。」
「運用会社の資産は50兆程度、カミカミは40兆、香奈ファイナンシャルは30兆と書いていたよ」、
香奈「ジブはもう100兆程度になっているよ。海外のジブが伸びたのよ。加代子ちゃんと神帥君そして神元君たちは、儲けているんだよ。ジブカヨコトラスト、ジブカミスイトラスト、ジブカミトラストとそれぞれのファイナンシャルの事は知らないみたいだね。渋谷なんかは関係ないから。神元君夫婦や神帥君たちが、独立したようなものだよ。株は少し増えているかも知れないけど、神子ちゃんが調整して売るから一定しないのよ。主に現金だけが貯まっているよ。それを神之助君が為替で増やすから、本当はよく分からないのよ。現金も本体だけで50兆ぐらいあるよ。」
「カミカミや香奈ファイナンシャルも違うの。」、
香奈「カミカミは、はっきり知らないよ。カミカミファイナンシャルの5年前はあんなものだったろうね。でもアフリカは成長したのよ。それに神元君たちからの配当も入るし、取引でも前ほどじゃないけど儲けているのよ。ヨーロッパの孫会社は神代ちゃんの運用会社みたいになっているのよ。もっと増えているだろうね。香奈ファイナンシャルは大分違うよ。70兆程度じゃないの。現金は40兆程度と思うよ。為替もあるからはっきりしないけど、香奈の海外が大きく違うのよ。切人が増やしたのよ。」、
「凄く大きくなっているのね。」、
香奈「沙織さんの不動は、国内だけなのに、7兆もあるのよ。現金でも又3兆もあるのよ。5年間で急に伸びたの。持っていた株で上場した所もあったでしょ。」、
「そうだったね。なぜ知らないの。でも何にも書いてなかったよ。」、
香奈「詳しく知っているのは、沙織さんと私ぐらいだよ。ジブも関係ないし、渋谷なんかでは何も分からないのよ。全部保有しているのは不動総合ぐらいだから判らないのよ。神二郎君も詳しく知らないみたいだよ。私は相談受けるからね。でもジブとカミカミは、まだ狙われているのかも知れないね。神子ちゃんや神之助君には注意しておいたよ。恵の所も注意しないといけないよ。」、
「怖い話だね。」

香奈は不測の事態に備えて、ジブトラストの定款も見直し、新しい出資には、子供たちやそのその配偶者であって、申請が出ても、出資には、経営陣の承諾と株主総会の過半数の承諾が必要とした。ジブトラストでは、議決権なしの株まで作った。資質が確認できないとジブ全体に影響するのを恐れた。香奈やカミカミや不動などは配当もなかったので、配当をださなかった会社は、利益の中から、2~5%相当だけを配当として、同じ処置をとった。一族の財政的なサポートも必要と思った。恵も自分たちの管理会社の定款も小夜や菊子たちに見直しを命じ、やがて同様の処置を取った。他の治部一族も今まで無配当の所では、やがて同様の処置を取った。これでみんな少しは、配当を出す事になった。ただ新しく出資者になった人には、暫くの間、議決権なしの株を与える事にして、ジブトラストと同様に、出資者は、相続や譲渡は出来ず、貯まってくるお金で、出資金額だけの金額の返還に応じる事にした。

哀れな一族の若い人たちは、高額の配当を受け取りながらも、出資すべき会社が増え、出資しないと事業の継承も出来ない事になった。香奈、俊子そして恵などのような超高齢者のかすりを貰って生活し、増えた管理会社に出資を続けていく事になった。香奈や正子そして聖子たちのように大きな会社群を抱えている人たちの若い人たちにとっては、ジブトラストから貰う大きな配当を、更に管理会社などに、少しづつ出資を続けていく必要があった。 そのため、一家の管理会社も、その会社や各家の状況に応じて、配当を出して、財政的な負担を和らげる事にした。

ジブトラストの孫会社は本来、子会社の取引チームが独立したようなものだったが、孫会社への管理を強化していく過程で、神子、神之助そして神代は孫会社管理を徹底させるといってジブトラストからの出資も増やしたが、ジブトラストの自分の運用枠の一部を運用を委託すると共に、カミカミやカミヨファイナンシャルのお金も運用を委託した。神代は孫会社では実際に運用し、運用指導料まで貰っていた。ヨーロッパとアメリカの数社はもう神代の運用会社と云っていいような運用会社になっていた。神代は株式保有は特にしなかった。神代の予測は短期的なものだったので、短期取引を繰り返している運用会社だった。神代の先物に合わせて、孫会社の株式ディラーも短期取引をしていた。カミヨファイナンシャルには頼りない旦那の香川大介もお情けで出資させられていた。旦那の香川は、毛利ロボット工学研究所と未来エネルギーシステムの両方の海外担当の社員でもあった。海外での販売そして製造を手がけるために両社とカミヨファイナンシャルそして現地資本が入った未来テクノロジーの社長でもあった。未来テクノロジーは、元々毛利ロボット工学研究所と未来エネルギーシステムの欧米での販社的な要素が強かったが、欧米の資本も入れて製造するようになった。カミヨエンジニアリングが再生させた企業から新しい技術も取り入れ、日本の毛利ロボット工学研究所と未来エネルギーシステムにない技術や製品を開発していくようになっていた。神代は大介が、香奈ファイナンシャル関係の企業に勤めているので、香奈ファイナンシャルに少しだけ出資を認められていた。

聖子の海外の快適は、利益の5%は、各地のインフラ整備に使用した。それは快適の工場や会社そして農園の周辺から始まった。聖子はそれも利用して、儲けて、インフラ整備する会社も作った。次第に地域全体へと広がっていった。聖子は、利益の5%パーセントを聖子ファイナンシャルに指導料として取り、利益が多くでても、配当として、出資金の10%パーセントを取れば、残りは、各地に保留させる事を続けていた。それは羽朗や辺朗たちも踏襲した。従業員も客であり、従業員を増やす事は、客も増やす事になるといって、事業も増え、従業員も増えた。各地の快適は、どんな事でも利益になれば、事業にした。聖子ファイナンシャルが出資したり、ジブトラストに出資を求める事もあった。現地の人が考え、現地で製造し、現地で販売した。快適交易が他の地域での需要があれば調整した。消費地の近くで生産する事が最も自然な儲け方であると聖子は思っていた。どこかが、どこかの工場と化して、どこかが、どこかの消費地と云う関係は長く続かない。山で魚は取れないし、海でキノコや穀物は取れないので、交易として、豊富な物産や安く作れた製品を交互に輸出したり、輸入したりする事は必要だが、基本は消費される地域で、製造するのが、一番いい事だと思っていた。

中南米では、ジブ中南米が資源会社や食品会社を作っていた。そしてこれらの利益の中で、子供の家といった施設を作り、財団も作っていたが、資金も少なく規模も小さかった。ブラジルジブ財団は、最初の数年間、神帥の寄付をそれほど使わず貯めて基金とし、神帥の寄付も安定だったし、ジブブラジル宝石貴金属店からの寄付も入りだしたので、快適の南アメリカの組織を利用して、快適がインフラの整備をしながら、運動を広げていけた。麻田エンジニアリングは、インフラの整備や託児所なども設計して造り、北米や南米を中心に、総合エンジニアリングの企業となっていった。

正人は、香奈からの厳命で、もう一つの大きな銀行の頭取になったが、日銀では、総裁や副総裁には成れなかったが立ち回りに苦労して理事にはなり、狐さんや狸さんの世界から漸く離れ、ゆっくりと財政学の研究をして論文でも書く積もりであった。ところが銀行の頭取にされ、漸くして社内も安定し、さっさと取締役相談役になり、家でゆっくりしていると、家では父の政則どころか、祖父の徹まで働いていた。仕方なしに未来エネルギーシステムの管理を手伝う事になった。未来エネルギーシステムは、100才以上の上場企業の元役員、名門大学の名誉教授がゴロゴロいる超高齢企業であったので若僧扱いされ、その上、正人は、徹にとっては孫であり、政則の子供でもあったので、会社では子供扱いされ、会社では新入社員だったので、新入社員のやるような仕事もさせられた。おまけに技術屋の多い毛利ロボット工学研究所の管理まで引け受けて雑務も多かった。頼りない神代の旦那も使い走りが多かったが神代の助けで使い走りと云っても、ヨーロッパやアメリカでのロボット工学や未来エネルギーシステムの子会社をカミヨファイナンシャルの資本も入れ、今や国際派ビジネスマンになっていた。未来エネルギーシステムの取引銀行は一族の銀行だったが、正人が頭取になりもう一つの大きな銀行にも口座を作り、取引をするように依頼していた。でもそんなにお金を入れてくれなかった。偶々、材料関係の業者に送金する必要もあり、口座残も少し足りないので、正人は自分が頭取だった銀行の支店から送ろうと思い、敷地内から出て送金するために、わざわざもう一つの大きな銀行の支店まで出かけた。正人はせこく、少額だったので手数料を安くしようとするために、ATMを使おうと思った。ATMなどは、分かっている積もりだったが分からず、ウロウロしているおっさんに聞くのも恥ずかしく、銀行時代の自分の秘書だった服部が偶々通りがかり、服部に頼んだ。服部はその支店の支店長だった。突然声をかけられて、正人を惚け老人扱いしようとしたが、去る者は日々に忘れる服部だったが、少しは正人を覚えていた。正人が大株主を代表する取締役相談役である事も忘れなかった。服部が直ぐに正人に教えてあげればなんともなかったが、緊張して送金出来ず、女子行員の助けまで借りた。もう一つの大きな銀行には、頭が切れて、後生大事の人もいた。服部から報告があり、サルでも分かるATMシステムを、正人がぼやく前に、役員会の議題にする事を忘れなかった。もう一つの大きな銀行は、フレンドリーバンクとかセクレタリーバンクとか云うようになった。なぜか、敷地内に、もう一つの大きな銀行の支店が直ぐに出来、ご用聞きのようにお金を預かったり、家に簡単な端末を持って目の前で振り込みサービスまでした。なぜか為替専門のジブ上海銀行まで支店を出した。

「敷地に、3つも銀行の支店が出来たね。ホテルもいつも一杯だね。」、
香奈「そうだね。オーバーシーズファイナンシャルの現金も、半分程度は神之助君が為替や債券などで動かすのよ。それが目当てみたいだけど、もうひとつの大きな銀行は、他にも色々な話に来るのよ。香奈オーバーシーズファイナンシャルは金貸しじゃないのに、協調融資の話を持ってくるんだよ。正人に挨拶にて来て、正人まで一緒にくるのよ。正人は、未来システムでは、徹さんや政則君から若造扱いされ、仕事を抜けるのを喜ぶのよ。それに正人もまだ銀行の役員だからね。正人もさっさと辞めればいいのに、辞めさしてくれないとぼやいているわ。ジブ上海もこの頃来るのよ。人民元の保有額が増えているといいにくるのよ。約束したのよ。中国国内で保有してる時は人民元でもいいといったのよ。私も来客が多くて、予約制にしたのよ。代わりに会って貰う管理の人も忙しいとぼやいているわよ。」、
「香奈さんはいつまでたってものんびりできないね。」
香奈「本当だよ。おちおち取引も出来ないのよ。神太朗君や神一君まで、お客さんを連れてくるのよ。」、
「香奈さんは、もう取引なんてしない方がいいわよ。」、
香奈「たまにはしないと市場が判らなくなるのよ。」、
「そんなもんかね。」

香奈は、正人がもう1つの大きな銀行の頭取を辞めて、敷地内に帰ってきたのを見て、神太朗の事を思い出した。正人のもう1つの大きな銀行からの借金も返済されたし、長期になると思われた、神太朗の証券会社からも借金を全部返済して貰った事を思い出した。元々正人のもう1つの大きな銀行は、債務として、銀行と証券が切り離されれば、資金ショートもしていなかったので、返済は早いピッチで返された。それは香奈も予想していた。ただ証券会社は資産よりも債務が多く、債務超過に陥っていた。ジブトラストはこの債務超過のお金と当座の資金まで融資し、債務超過していた純債務分は特損扱いで税金をまけてもらったが、当座の資金分は最初の約束と違い、譲渡になると言われ、無利子で証券会社に貸す事になった。いつまで続くかも分からないと思われた借金を神太朗は保有株式の評価価格が急上昇し、株式も入れたとは云え、5年程でジブトラストやカミカミに返済していた。神子からの報告では中には大化けした株もあり、ジブトラストとしては、もう損はない勘定になっていた。香奈は、冷たく思った。証券会社がどうなろうともうジブトラストには損がない、証券会社を正人のように誰かに任せて、ジブトラストに帰って貰おうと思い、神太朗を呼んだ。 

香奈「私も110才に近づいているのよ。いくらなんでももう引退した方がいいと思わない。ジブトラストは神太朗君や神一君が継いでいくべきだと思うのよ。」
神太朗「神一は銀行が合ってるみたいですよ。神一は、陽一さんに頼んで、役員会でわざわざ神一に反対する意見を発言してもらっているんですよ。神一も漸く、他人の意見も聞き、行内で議論していく事が大切と分かったみたいですよ。自分が意見を出してみんなを説得して引っ張っていくだけではなく、みんなの意見を聞く事の大切さが分かった段階ですよ。神一もこれから漸く成長していけると思います。それに今は香奈おばさんの旗の下でまとまっているだけですよ。昔のジブは神二郎と沙織さんが継いでいるし、神子や神之助は独自の運用チームを率いています。それに加代子さん、神帥君、神元君、マリアさんや切人君、神代さんたちまで、独自に展開しています。相互に要所要所で協力していけるのは、香奈おばさんがいるからですよ。香奈おばさんは元気なんですから、のんびりでもいいから、会長でいてください。」
香奈「神太朗君ならうまくまとめていけるわよ。マリアさんや切人にも協力するように言うわよ。証券会社も立ち直ったでしょう。融資も返済されたと聞いたわよ。冶部食品、岡崎交易そしてごきげんソフトなんかの役員にもなったらしいね。証券会社でも若い人を育てていると聞いているわよ。正人みたいに適切な人を見つけて、ジブトラストに帰ってきてよ。」、
神太朗「正人さんは元々銀行がそんなに好きじゃないし、もう1つの大きな銀行はそんなに内容も悪くなかったので、うまく後継者を見つけて、辞めたのですよ。それでも取締役相談役にならないと認めないとか言われて、役員ではあるんですよ。証券会社は株価が上がって、含み資産も増え、なんとか返済できただけでまだ立直し中ですよ。今役員になったのは、みんな、古い付き合いのある会社なので、要望に応じて、できるだけ協力していく事にしたんですよ。ジブトラストと証券会社ではそれなりに距離感も必要ですし、第一、今のジブトラストは僕の力で運営していける規模を超えています。お母さんや神子、神之助と話しても、香奈おばさん以外では分裂は時間の問題ですよ。香奈おばさんが引退したら、ジブはバラバラになりますよ。ジブは大きくなりすぎました。お互いに足の引っ張り合いをするかもしれません。香奈おばさんが、ジブトラストそのものなんです。代わりはいません。僕でも香奈おばさんがいるから、神子や神之助と話もできるし、神帥君、神元君そして切人君とも協力していけます。香奈おばさんは元気なんですから、のんびりでもいいから、会長を続けてください。」
香奈 「やな事を言うのね。みんなまとまっていけるわよ。今はまだ元気だけど、私も歳なのよ。」
神太朗「報告を受けてますが、聖子おばさんの快適も聖子おばさんの存在でまとまっているグループですよ。快適は、辺郎君のアジアとインド快適、羽郎君の南アメリカ、幸夫さんの欧米、ヨハネル君たちのアフリカ、カミカミも入ったアフリカ重工業部門、日本の安いよはもはや別のグループといってもいい存在ですよ。おまけに快適鉱山、快適交易、快適農作物研究所そしてジブトレーディグ、岡崎交易そして商会まで絡む大きな組織なんですよ。聖子おばさんの存在そのものが快適グループなんです。」、
香奈「あれは聖子ちゃんが大きくしすぎたのよ、何でも儲かれば手をだすし、辺郎君や羽郎君まで、頑張って大きくしたからよ。ジブとは違うわよ。」
神太朗「ジブは快適の大株主で、もっと複雑で大きい組織です。持株会社でもあるし、不動産管理会社でもあるし、運用会社でもあるし、研究機関ももってるし、色々な運用会社を保有する連合組織でもあります。人にはそれぞれ持ってうまれた役割があります。単に時間の長さだけの問題ではないと思います。神二郎のやり方では到底うまくいかないと思ったけど、ここまでやってこれたのは、沙織さんの手助けと香奈おばさんの存在があったからです。善作君は到底投資や運用なんか向かないないと思ったのに、香奈おばさんが新宿に入れて、有村さんも応援して、今は夢を叶えるファンドマネージャーで有名ですよ。新宿は僕が運営していた時よりももっと重層的な組織になってます。神一も感心していました。神一の言っていた最大効率化投資は理屈では正しいようで、何か吹っ切れない点もありましたが、神二郎のやり方では到底うまくいかないような気がしていました。それが神二郎は神一の言っていた点も少しは取り入れて、神二郎なりに組織をまとめています。証券会社が支援している会社でもジブの新宿にも出資してもらってもいいですねと言ってきます。神一の銀行から融資した企業でもそういう企業があるそうです。もうジブの新宿は企業の相談所、経営コンサルタントみたいな存在になっています。正人さんも、もう一つの大きな銀行から頼まれて、香奈オーバーシーズに協調融資してもらって、神二郎の新宿の協力を取り付けているらしいですよ。ジブは一族の銀行に近いので、ジブに直接頼みにくいから、香奈オーバーシーズを仲介させて頼んでいるみたいですよ。」、
香奈「そうなの。正人に言ったのよ。香奈オーバーシーズは金貸しじゃないのよ。それでも神二郎君たちと相談して企業支援するのは良い事ですよと言うから、仕方なく融資しているのよ。神一君もジブとしても出資してくれないかと頼みに来るのよ。自分で新宿に話すれば簡単でしょうと言っても、今回は、時間もないからとか言うのよ。」
神太朗「神一も神二郎に直接頼む事ができる程大人になっていないのですよ。でも一族の銀行の役員は、時々新宿に行って調整しているようです。神二郎も香奈おばさんの了解があれば動きやすいですよ。証券会社の役員も時々神子や神之助に挨拶に行って、色々な話をしているようです。」
香奈「それって神太朗君が声をかければ、済む事でしょう。」、
神太朗「それがそうでもないのです。それぞれ立場もありますしね。誤解も招きますしね。」
香奈「そんなものかね。だったら、証券会社も正人みたいに適切な人を探して辞めて、ジブトラストに帰ってきて、神子ちゃんや神之助君と協力していってよ。」
神太朗「今のジブは大きすぎて、僕が当初考えていた神一の手に収まりません。僕は証券会社を本当の意味での再生をしていかなければならないですし、僕にも、まして神子や神之助にも全体をまとめていくのはもう無理なんです。香奈おばさんあってのジブトラストです。おばさんは元気なんですから、会長を続けてください。今はみんな独立しているような組織なんですよ。今のジブトラストをまとめられるのは、香奈おばさんだけだと思います。次のジブはもっと新しい人が作るのかもしれません。」

香奈はぼやきながらも、まだ元気だったし、時間を制限して、来客に会ったり、相談を受けたりして、けっこう楽しそうに暮らしていた。それに時間がくれば、さっさと家に帰り、チャとコシロとのんびりした。チャの依頼をスイスに連絡したり、ココの依頼で注文したりする事はあるものの、香奈にとってはのんびりしていた。でも香奈はショックだった。香奈がいなくなるとジブは分裂すると神太朗に言われたことが心に残っていた。遊びにきた恵に不満を言った。

香奈「私も年なのに、神太朗君は帰ってこないのよ。何だか、悲しいのよ。私がいなくなるとジブは分裂するといわれると。」
「仕方ないわよ。新しい人が新しいジブトラストを作っていくと思うわ。私は財団もまとまって運動を続けていくのがいいと思うけど、それぞれの問題や地域毎に分かれて運動していくのも悪くないと思っているの。私が元気で動ける内は相談にのるけど、又新しい人が新しい方法で活動していくのも良いと思うわ。千恵美も財団が資金を出して、学校も作ったの。私たちと違うやり方で色々な事を始めるのも良いと思うわ。マリア財団、不動財団、エンジェルホープ財団そしてヨーロッパでもアメリカでも多くの財団が出来たわ。それは良い事だと私は思うの。今の財団が細かく分かれて、それぞれに活動していくのも悪くないと私は思っているの。」
香奈「恵はそれでいいの。」
「仕方ないわ。私たちは永遠には生きないわよ。でも私が元気な内は、みんなでまとまって色々な形でそれぞれ活動していても、日本の財団として1つにまとまって活動していくと言われているの。私はそれでいいと思うのよ。ビルも小夜さんが、大きくして、それぞれみんなに任せて、運営しているし、マチコジブ記念病院もお義母さんの名前付けてなんとかやっているしね。私は精一杯やったし、新しい世代もみんなやってくれると思うわ。香奈さんも言っていたじゃない。人にはそれぞれの役割があると。私たちの役割はまだ続いているけど、新しい世代の人もそれぞれの役割があるのよ。私たちは元気な内は、私たちの役割をするしかないのよ。」
香奈「それはそうかもしれないわね。私一人でジブを大きくした訳でもないのよ。みんながそれぞれ大きくしたのよね。私が元気な内は、私が出来る事をやっていくしかないわ。」
「そうなのよ。元々こんな大きな組織になると思っていなかったわ。乳幼児施設をみんなが使いやすいようにと、そしてこの世に生まれてきたいと望む赤ちゃんを一人でも多く生まれて大きくなるのようにと活動してきただけだわ。私はたとえ分裂しても協力していける余地を残そうとしているのよ。」
香奈「そうだね。それは大切な事だと思うわ。私も出来るだけみんなで話する機会を作るようにするわ。」
「まあ忙しいからね、そんなに話はできないけどね。心配する事はないわよ。それぞれ自分の役割をすると信じているわ。」


香奈スペシャルNo.4      に続く
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