DCX2496 実践的使用法 令和元年9月更新 タイムアライメントに配慮したマルチアンプシステム構築は、トップページからお入り下さい →
PCからの操作
購入したDCX2496には、日本語版取扱説明書 バージョン1.1 2003年6月 が付属していました。他に英語版も付属し、日本語版より、詳しい内容も含まれます。
現在、専門的なサポートは、英語サイト https://www.behringer.com/Categories/c/Behringer/Downloads#googtrans(en|en)にて Signal
Processors 〜 Lundspeaker Management 〜 DCX2496 最新の物が入手できます。
PCからREMOTEが可能なソフト RemoteSoftwareV1.16a は、ここに有ります。Download ↓ クリック 続くウィンドウで、I
agree to above termsをチェックし、Downloadボタンクリックで、ダウンロードできます。
これをインストールすると、シリアルポートの有るパソコンからDCX2496を制御できるようになります。
最近のPC環境
Windows7が2020年1月にサポート終了となり、Windows10での使用となります。現場作業は、ノートPCとなりますが、最もポピュラーなWindows10
Home 64ビットPCにて、動作を確認しました。
ビジネスノートなので、シリアルポートは、PCに有りませんので、手持ちの、古いUSB-シリアル変換 RSAQ3を、ネットの改造例に従って、ピンを切り、Prolificのドライバーをインストールして使用しました。
RemoteSoftwareV1.16aにて、最初はCOM番号も表れず、全く使用できませんでした。あちこち検索して、64ビット用ドライバーと、エラー修正用プログラムにて、動作するようになりました。動作したドライバーVer.は、2019/07/30 3.8.31.1です。
Windows10での動作には、それなりの準備と困難が有るようですので、できれば、古くても、シリアルポートが使用できるPCを使用する方が無難です。
RemoteSoftwareV1.16aでの操作
リモートソフトを使用しての編集は、デジタルミキサー操作に慣れた、、プロオーディオ業界の人であれば、このくらいの説明でこと足りるのですが、一般のオーディオマニアからすれば、少し手強い説明ではないかと思われます。
特に、高級オーディオ装置と混在させるにはかなり難易度が上がります。説明書だけでは、LOWだけ位相が狂ったり、歪む可能性があり、正しく使用する為の参考になれば幸いです。
お断り:実際に使用できるように、詳しく解説をしますが、私は、単なるユーザーであり、BEHRINGER社とは、何ら関係もなく、いかなる便宜供与も受けてはいませんので、製品使用時のトラブルは、全て、販売店、メーカーサポートでの対応をお願いします。
1.入力と接続ケーブルについて
AES/EBUデジタルケーブル
入力は、アナログ入力ではなく、キャノンコード1本でステレオ信号が伝送できるAES/EBUというデジタル規格ケーブルでの入力を推奨します。
デジタル入力コードは3m物ですと カナレ DAC03(青色)がお薦め品番です。1本 1,850円ほどですので、高級オーディオケーブルとは比較にならないほど安い値段です。
取り敢えず音を出すのであれば、キャノンプラグのついたマイクコードでも使用できます。2芯のマイクコードL-2T2Sは、構造的に110Ωデジタルケーブルに近く、信号が反射して困るような事はありませんでした。
CD デジタル出力から
CDデジタル出力は、S/PDIF 光デジタル サンプリング周波数44.1kHzで16ビットです。接続に必要な2m程度の光ケーブルならホームセンターでも入手できます。
2m以上ならば、HOSA OPMシリーズ程度の物で充分で、現在4.5m物を使用していてノントラブルです。これも千円台で購入できます。デジタル信号のレベルを変えないでそのまま、DCX2496に入力します。
Amazonでスリムタイプの5m物HK-50\880を2本購入し、こちらもノントラブルで運用中です。かなり細いので、絨毯の下を通しても膨らみませんので、スッキリ配線に貢献できそうです。
外径の太い高級ケーブルもありますが、曲がりにくく、反力で、樹脂製光コネクターのガタが大きくなるというダメージがありますので、余り凝った光ケーブルは避けた方が良さそうです。
S/PDIFからAES/EBUへの変換
S/PDIF 光デジタル信号には、DCX2496は対応していませんので、デジタルパッチベイSRC2496に一度入力してAES/EBU規格に変換しなければなりません。デジタル信号同士の変換による、音質劣化は有りませんので安心して使用できます。
手持ちのSRC2496の光入力は、劣化して、使用できなくなりました。現在は、アナライザーとして使用していた、DEQ2496の光入力を、ALL
Bypassで、AES/EBU出力して、そのAES/EBU出力をSRC2496に入力し、サンプルレート変換後、DCX2496に送り出しています。
DVDプレーヤーでは、S/PDIF同軸規格が用意されており、こちらですと、XLRコネクタに変換して、DCX2496デジタル入力が可能ですが、SWノイズ等が乗ることがありますので、96kHz24ビットで正しく動作させるには、AES/EBU規格に別の機械(SRC2496)で変換した方が良いでしょう。
アナログ信号伝送
キャノン(オス)−ピンコード、キャノン(メス)−ピンコードが必要です。カナレ製品であれば、プロ定番ですので、問題無く使用できます。
無茶な高級ケーブルを使用しても、原音以上の音質となる事は、絶対にあり得ないし、逆に耐久性に不備があったりしますので、注意します。
平衡伝送と、不平衡伝送どちらも、接続できます。音質差は無く、無理に平衡変換する必要は有りません。不平衡機器からの入力は、左右同一のケーブルで行わないと、位相違いとなる可能性が有ります。
2.サンプリング周波数変更 44.1kHz→96kHz
CDからは、44.1kHz16ビットでデジタル出力されますが、イコライザ補正や、ダイナミックス設定を96kHz24ビットで行うには、デジタルパッチベイSRC2496を使用すると良いでしょう。
S/PDIF 光、同軸と、AES/EBU入力に対応しています。
この操作をアップサンプリングと称し、音が良くなるという記述を見かけますが、16ビットの波形は、24ビットに変換しても、16ビットの波形のままですから、劣化しないだけで、音が良くなる事はありません。
ビット深度と音質
16ビット-90dB以下で、正弦波は、ほとんど矩形波のようにアナログ変換されますので、-91dB -92dBと音量を下げると、奇数次成分が増えて、音量が増えるように聞こえるという逆転現象がおきます。24ビットの場合は、数字の通りに、音量が低下します。
その結果、90dB以上の音量では、16ビット音源には、粗さが目立つようになりますので、100dBを越えるような運用では、24ビット音源が必要となります。
位相反転に注意 低音chは-0.2dBで!
SRC2496の古い物については、アナログ入力からデジタルへ変換すると位相が反転しますので、サラウンドでの使用には注意が必要です。この場合、3番HOT結線にて入力すれば、反転して入力できますので、同相でデジタル化されます。
位相反転していたのは、平成17年10月購入Date Code 1103 L0318486141です。一方平成23年3月購入のDate Code
1012 S1002052141においては、位相反転はなく、正常動作をしています。
平成28年5月に、トラブルが有って、内部を見る機会があり、後部パネル側の基板が全く別物で、仕様変更で改善されていた事を確認しました。
SRC2496の新たなトラブルは、10090Hz辺りが全く出力が無くなるというもので、DITHERスイッチを操作すると正常に復帰します。取りあえず、半田付けの手直しを行い、様子を見ることにしました。
低音は-0.2dBで
DCX2496は、100Hzあたりの周波数で、-0.2dBFS〜0dBFSの範囲において、正弦波の上側がクリップします。ですから、ゲイン設定は、必ず-0.2dBとします。1kHz以上では、デジMAXでもクリップしませんので、0dBでOKです。
2014年10月に、内部に踏み込んでみまして、クリップしている場所を確認してみました。刧妊AC AK4393は、動作OKで、その直後(POST
LPF)のOPアンプ 4580の1段目もOK、MUTE回路後のバランスアンプ用ドライバー出力の下側が先にクリップし、次段のバランス出力アンプでそれが反転して出力され、結果として、出力が上側からクリップが始まるということでした。このときの詳細データ4580の電源電圧+14.943V -14.893V 出力電圧
8.577Vrms 負荷2.2kΩでした。
改造という手段
もっと積極的に、クリップを避ける方法ですが、POST-LPF回路さえ通過すれば、残りは、増幅をしているアンプだけで、DACの出力で一番鮮度が高い場所、POST-LPFの出力をチャンネルデバイダーの最終出力とするものです。不平衡 4V (0dBFS) 出力インピーダンスはOPアンプ4580に依存します。
更に、POST-LPF回路で使用している、2200pFのセラミックコンデンサにより、出力レベルが高くなって、歪みが増える現象を避けるため、DCX2496のPOST-LPF回路を使用しないで、DAC出力のフラットケーブルを切断し、途中から別途製作したフィルムコンデンサ使用の基板に入力する事で、セラミックコンデンサの悪影響から逃れる事ができます。
4580は、低歪率の物に変更し、入力抵抗を下げて、ノイズ軽減を図る事も可能で、現在、LME49860、容量選別したマイラーコンデンサー、及び金属皮膜抵抗を使用し、非常に平衡度の高いフィルター回路で使用しています。出力電圧は、電子ボリュームへの最適動作ができるように、0dBFS時、+8.1dBm(1.97Vrms)としました。
デジタルイコライザーDEQ2496を使用すると
デジタルイコライザDEQ2496は、レベルが変更できますので、ボリュームの役目もできます。DEQ2496のダイナミックイコライザは、動作LEDが点灯しただけで低音の歪みが増加しますので、ダイナミックイコライザはDCX2496側を使用した方が良いでしょう。GEQのカーブは、True Response では音質劣化が他のページでも指摘されていますがその通りですので、UNCORRECTEDで使用してください。イコライジングは、ブースト時は注意してください。デジタルMAXを超えてしまうと思わぬ歪みに遭遇します。マイナス側にだけ使用するか、ブースト分のレベルをUTILITYで下げておくと良いでしょう。
DEQ2496は、現在コンデンサマイクECM8000を常時接続し、RTAによる、帯域成分監視や、サウンドレベルメーターとして使用しており、本来のイコライザー用途では使用していません。
DEQ2496以外で、ボリューム制御するには、パソコンからシリアル制御して、DCX2496の入力アッテネータの値を変更する方法もあります。
多連ボリュームでの音量制御
一番良いボリューム制御は、DA変換出力を一括で制御できる6連ボリュームによる物でしょう。アナログ6連ボリュームは、現在は入手不可です。実現するには、電子ボリュームが良いと思います。入手できる製品は有りませんが、基板キットのような物は、ebayで、まだ入手可能です。
入手できる電子ボリュームは、2chステレオですが、これを多連化するのは、それほど難かしくなくて、CS SCLK SDIをパラレルにすれば、動作します。データシートの、SDI-SDOをシリーズに送る方法は、実際に製作すると、うまく行きませんでした。MUTE回路は、工夫しておかないと、思わぬ運用制限がかかってしまいます。電源起動時、遮断時、停電時と、マニュアル操作時に対応すれば、市販商品レベルとなります。
商品としての需要が見込めないので、自作するしかなく、ハイエンドマニアにとっても、ハードルの高い箇所です。
残留雑音に注意!!
DCX2496について、残留雑音が多いという記述を見かけます。DCX2496自身の雑音量は、DMMにて、-62dBmほどです。アナログチャンネルデバイダCX3400では、-84dBmですので、それよりも圧倒的に雑音の絶対値が多いということですが、プロ音響用デジタルミキサーの雑音出力と比較して、殆ど変わりが有りません。
それでは、何故雑音が多いという評価になるのか、それは、通常のアナログパワーアンプの定格入力レベルは、+4dBuであり、DCX2496は、デジタル機ですので、CDなどのデジタル信号はデジMAXまで出ており、その時の出力は、+22dBuにもなります。+4dBu入力に対応したアナログパワーアンプでは、入力を18dB減衰させないと使用できず、過大入力となります。多くのユーザーは、18dB減衰をしないで、DCX2496をそのまま接続しますので、残留雑音が18dB分上昇して聞こえます。ここさえ解決すれば、デジタル機の真価が発揮できます。
DCX2496をアナログ入力で使用する場合、規定入力が+22dBですので、通常のオーディオレベルならば、さらに22dB増幅しないことにはDCX2496を最適状態で使用することはできません。入力ゲインは+15dBまで設定できますので、アナログで使用する場合は、ゲインを上げて、出力レベルを高い状態に保って使用しなければなりません。高級プリアンプでは、2V(+8.2dBm)ぐらい出せますので、15dB上げれば、適正レベルで使用できます。もっともこのような使用法は、DCXユーザーでは少数派でしょう。
入力も出力も最適化しなければうまく使えないのは、どんな高級品でも同じ事です。
SRC2496とセットで使用した場合、アナログ入力には、アンプが内蔵されていますので、+20dB増幅が可能で、特別にラインアンプを用意する必要はありませんし、CDやDVDのデジタル入力ソースを切り換えても、レベル差が無く、スムーズな運用ができます。SRC2496では、アナログ信号のデジMAX変換時の歪率は、0.005%台(80kHzLPF)で、民生用USBオーディオキャプチャーとは、桁違いの低歪率で、デジタル録音ライブラリーを作る際の強い味方となります。この歪率値は、本格的なデジタルミキサーよりも良い数値なので、機器の価格に惑わされないようにしてください。
雑音詳細
オーディオアナライザー Aフィルターによる、DCX2496の実測残留雑音は、16.7μVであり、SN比は、115.5dBとなりますので、相当に良い数値で、DAC AK4393の定格と同じレベルです。やはり、どんな優れた機器でも、正しく使用しないと、満足できる性能は得られません。2015年11月測定
上からCX3400、DEQ2496、SRC2496です。
4WAYマルチへの対応
DCX2496が、3WAYまでなので、4WAYに拡張する場合は、アナログチャンネルデバイダーで再分割します。例として、CX3400にて、LOWを分割して、18インチサブウーハーを駆動するような状況も考えられます。下はCX3400の特性実測値です。
CX3400は、アナログ式チャンネルデバイダーなので、信号の遅延は有りませんが、それに対して、デジタルチャンネルデバイダーでは、必ず信号が遅延します。遅延時間は、1〜2msec程度ですが、デジタル、とアナログを同時に使用するシステムでは、アナログの音が先に到達し、デジタルがその後に続きますので、エコーがかかったように聞こえます。これを避けるには、デジタルで遅れた信号に対して、アナログ機をその後に取り付けます。
CX3400を改造して使用
リンクウィッツフィルターは、-6dBクロスオーバーなので、コーン型同士では、音圧低下が有り、15インチと18インチウーハー間では、100Hz近辺で、今までは、その影響がありました。これを解消すべく、15インチウーハーは、そのままフラットで駆動し、18インチウーハーだけ、オーバーライドするように、フィルターで切ってローエンドを補強するようにしました。改造は、2WAY専用とし、LOW
HIGHは、そのままとし、MID用の使っていないキャノンコネクタを、入力信号をそのままスルーして出力するというもので、LOWは、サブウーハーで使用し、スルー出力は、15インチのメインウーハーに接続します。尚、CX3400の入力は、平衡入力なので、スルーするアンプは、0dBシングルエンドコンバーターとし、入力に悪影響が無いようにしています。結果として、サブウーハーは、位相を反転させる方が、低音がよく出る事が測定されました。パワーアンプの入力ボリュームも、サブウーハー側が、10dB以上絞り込んだセッティングで、メインウーハーの個性をそのままにし、ローエンドだけを補完するという方針に沿った物となりました。
古いCX3400の手持ちの物は、セラミックコンデンサがオーディオ信号回路で使用されており、ピュア用途では、お世辞にも歪率特性が良いとは言えません。他のアナログチャンネルデバイダーで、安価、低歪率の物がありますので、定格などを参考に機種選定してください。
BFは、自作して、15インチウーハー用 LPFは、CX3400オリジナル回路を使用 INV設定で18インチウーハーを鳴らしました。
平成28年5月現在、ピュア用途に適合するように、別基板で、フィルターを製作して、組み込みました。OPアンプは、段間抵抗が33kΩと高いのと、DCまでフラットにする為に、DCドリフトが少ないFET入力のOPA2134を使用しました。抵抗、コンデンサは、選別して、平衡度が高くなるようにしましたので、左右の位相差も極限まで少なくなりました。-6dBポイントは、実測で74Hzです。
約10Vにもなる、出力をパワーアンプに入力するには、一度ボリュームを通してレベルを最適化する必要があり、以下の物を用意しました。電子ボリューム使用により、現在、2個とも部品庫入りです。
6連ボリューム アルプス電気「電即納」で購入(現在入手不可)
自作6連ボリュームで、赤外線リモコンで、アップダウン可能
簡易的に使用するには、-20dBの抵抗式アッテネータを出力XLRコネクタ内部に組み込んでも良いでしょう。こうすれば、AVアンプや、プリアンプをコントロールセンターとして使用できるようになります。
ボリュームが入手できないときは、以下のような、簡単に作れる固定式アッテネータでも同じ役割を果たせます。写真は、5.6kΩと1kΩですが、5.6kΩと560Ωの組み合わせで、-20dBのアッテネータとなります。当然ボリュームのような広い範囲の音量調整ができませんが、音質的には、問題ありません。
自作ができる方は、デジタル制御式電子ボリュームを使用すると良いでしょう。PGA2311PAを使用して、チャンネル間偏差の少ない調整が可能です。SN、クロストーク特性も問題なく使用できることが確認できました。
残留雑音 -90dBm以下でしたので、最大出力から見てSNは100dBはあります。 レベル偏差は0.05dB以内とアナログボリュームと比較にならないくらい良いです。
注意点としては、PGA2311PAの電源電圧は±5Vまでですので、理論的に、デジタル機の0dBFS時には、過大入力となりますので、入力で固定アッテネータを使用し、12dBほど減衰させなければなりません。
こうした調整を好まない場合、±18V電源までの使用に耐える、JRC MUSES72320や、±15Vで使用できる、PGA2320を使用すると良いでしょう。JRC
MUSES72320のパッケージはSOPで、ハンダ付けが少し難しくなります。
部品購入でお世話になっている秋月電子にて、JRC MUSES72320半田付け済みのボリュームキットが販売されていますので、それを発展させるのも良い手法かもしれません。
国内で入手できなくても、ebayで、PGA2311PA使用ボリューム基板の購入が可能です。ステレオ構成ですので、多連化は、制御線を単純に並列にすれば、できます。SDI-SDOをシリーズにする必要はありません。MUTEが効く物なら、MUTEも単純並列でOKです。
POST LPF直接出力(約4V)では、PGA2311PAに必要な減衰量は、4dBとなります。無用な上げ下げが少なくなりますので好都合です。さらに、改造して、自作POST-LPFで、利得を下げ、PGA2311にジャストフィットする手法もあり、所有中のDCX2496は3台とも改造してあります。
1号機内部
2号機内部
パワーアンプの入力感度調整ですが、カタログ値で、一番能率の低いスピーカーを駆動するアンプから調整します。通常の場合、ホーンスピーカーと組み合わせた場合、ウーハが一番能率が低くなりますので、ウーハ駆動用パワーアンプを最初に調整します。
この調整は、スピーカーは接続しないで行います。A-B2系統出力のアンプならば、接続されていない、チャンネルの出力端子で測定していも構いません。Wave Gene
などの発振器ソフトで、DCX2496に、0dBをデジタル入力します。ボリュームシステムを最大にしておき、パワーアンプ出力を、交流電圧計にて測定し、パワーアンプのボリュームを回して、無負荷で28Vとなるように調整します。28Vというのは、8Ω換算で98W出力に相当します。もしも高級アンプで、それよりも、出力が大きい場合は、もっと高い電圧値に調整します。無負荷で良いのは、普通のアナログアンプの場合、定電圧駆動性能が高いからです。ダンピングファクターの低い真空管式アンプや、無帰還アンプ、電流帰還アンプなどでは、正確な電圧値は、ダミー抵抗を負荷にしないと測定できませんが、抵抗の電力容量に注意しないと、あっという間に焼けてしまいますので、火災に注意してください。
スピーカーを接続して、音を出した状態で帯域バランスを取る時は、フルパワーから30dB下げて行います。実は、これが、家庭における平均聴取レベルで、0.1Wです。大出力アンプをどうしても売らなければならない、メーカーや、店の言いなりには、決してならないでください。
計算式は、 により計算してください。E=電圧 P=電力 R=8Ω
交流電圧計で測定する場合、周波数特性に注意します。ホームセンター等で販売しているテスターでは、400Hzまでぐらいしか正確な測定ができません。50〜60Hzであれば、テスターの指示値も信用できますが、交流電圧の測定仕様を確認し、目的の周波数範囲に適合するように機種を選定してください。
能率の低い、ドーム型や、リボン型スピーカーがシステムに含まれている場合、スピーカーの許容入力に注意します。このようなスピーカーでは、思うほどの音圧が得られず、大口径ウーハーの音圧とバランスする前に、過大入力となります。又、連続音では、意外に許容入力が低くなります。
感度調整は、ボリューム回転角ではなく、デシベル値での把握につとめてください。デシベルは、人の感覚量に合致しています。音響測定などで、幽霊現象は全くおきず、いつ何時も、正しいデシベル値を指示してくれます。慣れれば、1dBぐらいの変化なら、聴感で覚知できるようになります。
3.DCX2496をパソコンからリモートする方法
パソコンは、シリアルポートが付いた物が必要です。シリアルケーブルは、9pオス−9pメスのノーマルケーブルを使用します。
ソフトは、BEHRINGERのWEBサイトから、DCX2496_V1_16.zipをダウンロードして、解凍します。DCX2496_remote_1_16a.zipもダウンロード可能で迷いますが、解凍後起動するソフトは、
全く同じバーションのソフトが起動します。
違いは、DCX_116.binが生成されるのがDCX2496_V1_16.zipの方です。解凍後に作成されるホルダDCX2496_V1_16内にある、DCX-Remote.exeをクリックするとソフトが起動します。
ショートカットを作成しておけば、いちいちホルダを開けなくてもソフトが起動できます。
デスクトップのショートカット
起動後は、タイトルバーのConnectをクリックすると、別のウィンドウが開き、設定データのダウンロード元を聞いてきますので、内蔵メモリからとします。
起動直後の初期画面にてConnectをクリック
以下の画面が表示されます。
COMポート番号は1で結構です。ただし、シリアルポートが特殊な場合は、3とか4になることもあるようです。確認は、コントロールパネル−システム−デバイスマネージャ 通信ポートで確認できます。
なおビジネスノートなどで、シリアルポートがないパソコンでは、USB-シリアル変換(IOデータ USB-RSAQ5など)を使用することなどで対応します。
Directionは、DCX2496→PC Data Currennt Set(現在動作中のデータ) Internal Presets (内蔵メモリのデータ)
Synchronize(シンクロナイズ)をクリックすると、DCX2496からパソコンにデータが入力されます。
通信が完了したら、RETURNをクリックすると、元のリモートウィンドウに戻り、各種設定が行えるようになります。
レベルメータなども表示され、現在の動作状態がリアルタイムでモニタできます。
各chのレベル設定値が異なっていますが、パワーアンプのボリューム偏差を補正しており、このような設定になっています。
LOWch用は、設定値を必ず0dBから下げてください。デジMAX(0dB)のレベルでは、100Hzあたりの周波数で、上側がクリップし、歪んでしまいます。-0.1dBを窓に直接打ち込むと設定できます。PCから-0.1dBと入力しても、実際に Storeされる値は-0.2dBとなります。又、-0.2dBと入力された場合、-0.3dBで実際にStoreされます。Store後、一旦別の設定をRecallして、再度、この設定を読み込むと、設定値がこの値に変わっていることが確認できます。
Display
Displayタブでは、このような画面となります。メモリは、内蔵メモリの1で、名称は380SE、黄色の線がLOWとMIDで微妙にディップしているのはPEQが設定されているからです。
Current Presetが編集されている事を表すEdited!が表示されています。
Sum/Setup
Sum/Setup画面ですが、InA+B SourceがAES/EBUとなっており、デジタルで入力されていることが読み取れます。
Mute Out when Power ONをチェックすると電源ONにした時全チャンネルの出力がMuteされて立ち上がります。
X-Over
フィルタの設定は、X-Overタブをクリックして以下の画面で設定します。
出力1のLowの設定では、ハイパスフィルタをOffとしています。エッジの軟らかいスピーカーなどを使用する場合などで、ハイパスフィルタを使用したい場合はここを設定します。
ローパスフィルタタイプは、L-R 24とし、4次のリンクウィッツライリーフィルタを設定しています。
周波数は、自由に設定できませんので、▲をクリックして推奨クロスオーバー周波数に近い値を選択します。
MIDの設定画面です。
Long Delay
クロスオーバー周波数値や、フィルタの設定が完了したら、ディレイの設定をします。
ロングディレイタブをクリックすると以下の画面が表示されます。
Input delayは使用しませんのでチェック無しですが、Output delay側を On にし、設定値は0にしておきます。
ロングディレイは実際に使用しませんので、当然ロングディレイのONをチェックする事は普通ではやらないと思いますが、チェックを入れてください。
実際に、このチェックをしていない時、LOWで位相がずれた事があり、原因を究明してこの件にたどり着きました。
現在の正常運用時は、このチェックをはずしても、位相がずれる事は無いのですが、ショートディレイ調整時にこの問題に遭遇して、解決までに随分時間がかけました。
Short Delay
さて本来の目的であるショートディレイの設定ですが、左のShort delayの▲をクリックすれば、設定値が変化しますので、後は確認ですがトーンバースト波形をオシロスコープで行う方法は、
先のページで紹介していますのでそちらを参照してください。レベルメータ下のMuteをチェックするとそのチャンネルの出力がミュートされ音を出さないようにコントロールできます。 タイムアライメント調整法はこちら
調整は、片チャンネル毎に行います。0にするのは、一番遠いスピーカーで、2chと5chがそれに相当しています。
LOW-MIDの調整時は、HIGHはMuteします。又、MIHD-HIGHの調整では、LOWをMuteします。
EQ
特定の周波数がピークも持つ場合はPEQ(パラメトリックイコライザ)を設定してピークを落とす事ができます。Q Gain 中心周波数が設定できます。
ただし、あまり大きく補正すると、かえって音質を損ないますので、軽めの設定が良いでしょう。又左右で同じ設定値とします。
上昇側への調整は、全体のレベルを下げないと、デジMAXで歪みますので、避けた方が無難です。
Limiter
リミッタの、設定例ですが、アンプ出力と、スピーカーの耐入力値から、適当なレベルを設定しますが、設定しなくても問題ありません。
Dyn1
Dyn1とDyn2では、ダイナミックイコライザとなっていますが、主な用途は、小音量時の低域補正いわゆるラウドネスコントロールといったところです。
うまくチューニングすると、良いのですが必須ではありません。CDによって録音レベルがバラツキますので、現在は使用していません。
非常に軽めの設定数値が入っていますのでよろしければ参考にしてください。Onにチェックを入れると動作します。
Dyn2
Threshold を-40dBぐらいに上げると、DEQが効いているのが、ヒアリングでわかるようになります。
レベルメーター右側のGainの動きで効きが確認できます。
設定が完了したら、Store toよりパソコンサイドから内部メモリに保存することも、本体の操作ボタンでもStoreすることもできます。タイトルに、あまり長い文字列は使えません。
4.周波数特性測定
タイムアライメント調整も重用ですが、周波数特性をフラットにするのも重用な調整です。周波数特性を積極的に補正するには、グラフィックイコライザやパラメトリックイコライザが用いられます。下は、グラフィックイコライザDEQ2496での補正例で、全体のGainは-3dBとし、調整範囲も±3dB以内に止めるように行っています。あまり追い込むと、測定結果はよりフラットになりますが、音質面では、みずみずしさが失われ好ましくありません。なお、ベリンガー社のお得意である、トゥルーレスポンスは、音質面では不利な結果となりますので、使用しない方が良いでしょう。又、ダイナミックイコライザは、DEQ2496では、低音域の歪みが大きい事を考慮してください。ダイナミックイコライザを使用するのなら、DCX2496側で行うと歪みが少なく補正できます。又、DEQ2496は、デジタルイコライザですので、左右両チャンネルがが均一に補正できますが、間違っても左右別々の補正をしない方が良いです。特性だけ測定すれば、左右が同じにはならず、別々に調整すると、左右が似てきますので、錯覚して好結果になったと思いやすいのですが、ステレオ再生の基本は、左右同一特性ですので、あくまでも、スピーカーに入力される電力を同一にします。空間で合成された、直接音と反射音を測定して左右の特性を合わせても何の意味もありません。アナログイコライザでは、左右が同一になることなど絶対にありませんので、音像がぼやけて大きくなってしまいます。すなわち、デジタルイコライザならではの左右均一性能が、小さくまとまった音像定位を可能にし、各音像間の分解能をより高めます。
DEQ2496補正例
補正例では、63Hzで+3dBとしていますので、デジタルMAX入力時は、出力オーバーで歪みますので、Utylity Gain Offset (EQ) の値を -3dB に設定します。
帯域を1/3オクターブ幅での調整には、上記のグラフィックイコライザを使用しますが、それより大きな範囲で緩やかに変化させたいときは、PEQ(パラメトリックイコライザ)を使用します。LCネットワーク時よりも、マルチアンプ時の方が、中音域の音圧が高くなり、低音が不足するように聞こえるはずで、軽くローブーストしておく必要があります。ローブーストは邪道ではなく、直列に入っているコイルを通過しないでウーハを鳴らせば、当然の事で、15インチスピーカーでも2〜3dBのブーストが必要となります。又、1/3オクターブのバンド中心値と、必要とされる周波数が異なる事はよく有ることで、この為にも、周波数が自在に設定できるPEQが有効です。PEQは、DEQ2496、DCX2496どちらも使用できます。
周波数特性は、現在の4WAYマルチシステムでは、各チャンネルのレベル調整だけで、1オクターブバンドで±1.5dBに入っていいますので、音の鮮度重視で無調整としています。部屋の定在波を気にして、むやみにブーストしても、良い結果とはならないこともあります。
ピンクノイズでレベル測定しても精度は低い
ピンクノイズを流しておいて、オクターブバンド特性を測定することは、音響測定ではよく見かけるシーンですが、下はピンクノイズを1秒毎に区切ってその間の平均値の推移を測定したものです。10秒間の平均値は-23.35dBで、範囲の中央ですが、1秒毎では、0.5dBのバラツキがあります。全帯域のピンクノイズではこの範囲ですが、100Hzの1/3オクターブ幅ピンクノイズでは、このバラツキが2dBほどの大きさとなり、低い周波数ほど大きくなります。当然、測定結果として、そのバラツキが内包されますので、どんな立派な測定器を使用しても、測定音源の特性を上回ることはできません。
ピンクノイズよりもワーブルトーンを使用
ピンクノイズがレベル変動から逃れられないのに対し、ワーブルトーン(ウォーブルトーンともいい)は、基本となる正弦波を、FM変調したもので、設定した帯域内で、周波数が変化しますが、変化するのは、周波数だけで、レベルは全く変動しません。この特長は、スピーカーの周波数特性を測定するのに、最適です。この音源を1/3オクターブ幅のものと、1オクターブ幅のものを作っておいて、レベル計で測定すれば、ピンクノイズ測定よりも、実際の音楽に近いという条件で、精度の高い測定ができます。レベル計は、特別な積分機能や、フィルタ機能は必要有りませんので、普通のレベルメーターや、20Hz〜20kHzをカバーする交流電圧計が使用できます。フィルタを使用しないのでスピーカーの歪み成分を含めての周波数特性確認となります。
2つの幅を用意した理由は、1/3オクターブのワーブルトーンでは、グラフィックイコライザに直接対比できるので、調整に便利ですが、、フラットにこだわるあまり、行きすぎた調整をしやすくなります。測定結果が例えフラットになったとしても、部屋の定在波の影響で、実際よりも強く測定されたり、弱く測定されたりしますので、結果だけフラットでも、実際はフラットでない可能性があります。その為、それよりも幅の広い1オクターブを併用することにより、盲目的になりそうな測定偏重にブレーキをかけています。
音場測定用ワーブルトーンの作り方
efuさんのWaveGene Ver1.4を使用して1オクターブバンド幅のワーブルトーンを作った設定データは以下のようです。1kHz中心用を設定例としています。
サンプリング周波数 44.1kHz 16ビット Stereo
WAVE1 サイン波 周波数 625Hz -10dB 0% 変調で右クリックして、AM,DSB,FM,PMよりFMに●を付け、チェックを入れます。 出力はL+R
WAVE2 出力 OFF
WAVE3 三角波 10Hz 59% 50% 出力 L+R
周波数下限 | 周波数上限 | 変調幅 | オフセット | |
1 | 19.53125 | 39.0625 | 60 | 50 |
2 | 39.0625 | 78.125 | 60 | 50 |
3 | 78.125 | 156.25 | 60 | 50 |
4 | 156.25 | 312.5 | 60 | 50 |
5 | 312.5 | 625 | 60 | 50 |
6 | 625 | 1250 | 59 | 50 |
7 | 1250 | 2500 | 55 | 50 |
8 | 2500 | 5000 | 55 | 50 |
9 | 5000 | 10000 | 53 | 49.5 |
10 | 10000 | 20000 | 51.5 | 49.5 |
表は1オクターブバンド幅のワーブルトーンを最終10kHz〜20kHzとなるようにした時のバンド毎のデータです。WAVE3で入力する変調幅とオフセットは、WaveSpectraで確認して修正しています。
WAVE1に入力する周波数は、周波数下限値を手動入力してください。1kHz帯を作る時は625Hzを入力します。
グラフィックイコライザにそのまま使用できる1/3オクターブバンド幅ワーブルトーンは、20Hz〜20kHzを数学的計算値ではなく、機器の公称値で計算して下さい。理由は実際の機器を実測した場合、そのように作られていたからです。
ここで使用した測定用WAVEファイル ダウンロードはこちらです(トップページへ)。
下は、1オクターブワーブルトーンを使用して、各スピーカーのバランスをチェックしたもので、左chと右chを測定した結果です。変動が±2.5dB以内に収まっています。この時は、まだ3WAYで、38cmウーハでの測定です。18インチウーハを追加した4WAYマルチシステムでは、左端の落ち込みは少なくなります。
LEFT − RIGHT
同じく1/3オクターブワーブルトーンでの測定結果です。GEQの設定にそのまま使用できるのですが、定在波を考慮すると、単純にフラットに補正しても意味がありません。
又、2chステレオですので、左右同一性(スピーカーが放射するエネルギーが左右同一)を保つ為、音圧特性が異なっていても、どこかで妥協せねばなりません。
ウーハだけ鳴らした時の特性です。帯域外の盛り上がりは自動車の走行音です。
ミッドレンジホーンの特性です。さすが24dB/octフィルタで、見事に切れています。クロスオーバー787Hzの場合、300Hzから音が聞こえ出します。上と同じく帯域外は自動車の走行音です。
ホーンツイータの特性です。クロスオーバーは7010Hzの場合、2kHzから音が聞こえ出します。オリジナルホーンツィータではなく、FOSTEX T90Aを使用したことで、20kHzまでフラットになりました。現在、8kHzあたりで、ミッドホーンと干渉した落ち込みがあるので、クロスオーバー周波数を、4.98kHzとしています。
12dB/octのLCフィルタと比較すると、かなり急峻なフィルタ特性で、帯域外の余計な歪み音は、聞こえません。
DCX2496 POST-LPFから直接出力
DCX2496は、廉価とはいえ、プロ音響用ですので、0dBFS 出力は、平衡で、+22dBuとなっています。その一方で、音を作るDAC AK4393の出力は±2.4VP-Pで、その後には、LPF、プリアンプ、平衡ドライバー等のアンプが存在します。プロ音響では、このような強力なライン出力で運用をするのですが、、ホームオーディオ用途には、これほどの出力はオーバースペックと申せます。ホームオーディオでは、ライン出力は、0dBu(0.775V)の前後、プロ音響でも、パワーアンプは、+4dBuが定格入力です。CDのようなデジタルコンテンツをDCX2496や、他のデジタル機器で、アナログ出力をした場合、+22dBu〜+24dBuという値となり、これは、オーバースペックです。それ故、自作6連マスターボリューム内部でも、パワーアンプへのレベルマッチングの為、アッテネーター用(-11.2dB)のアンプ回路を入れています。ならば、DAC直後にある、POST-LPFの出力をそのまま、外部に出すと、アンプの重複が避けられるのではないかと、考える事ができます。ある方より、情報をご提供いただき、しばらく煮詰めておりましたが、今回それを思い切ってやってみることにしました。
POST-LPF回路は、バランス−シングルエンドコンバーターとフィルターを組み合わせたようなOPアンプで構成されていますので、元来、平衡である、DACの出力は、一旦、不平衡に変換されます。最近、高級機では、バランスという言葉を、怪しげな使い回しで多用していますので、それに固執されるオーディオマニアも多数いらっしゃるとは思いますが、MCカートリッジでさえ、不平衡で立派に動作している事を考えれば、ラインレベルで、数mの引き回しぐらいで、ノイズが乗って困るような事態には陥らないと思います。
POST-LPFの出力値は、0dBFS時で、3.92Vrmsでこれを、電子ボリュームIC PGA2311PAの定格2.5Vrmsに入れるには、3.9dBのアッテネーターが必要となりますが、平衡出力では11.2dB落としていた事を考えれば、POST-LPF直接出力の方が、無用な加工が少なくて済むという事になります。
2015/11/16
POST-LPF出力は、47μF25WVの電解コンデンサを外すと、取り出せます。一番左の茶色線のそばにある47Ω金属皮膜抵抗のリード線が出ている所が、電解コンデンサの+極で、後続の回路は、ここで縁が切れます。不都合は、ミューティングが効かなくなり、電源ON-OFF時に、ショックノイズが出ることです。これに対しては、電源を遅延して、出力できる業務用パワーディストリビューターを使用して、機器の電源を信号系と、電力アンプ系に分けて供給する事で、対応します。遅延段数は、最近の機種は、2段が多いのですが、過去には3段の物 TOA
PD-15 があり、現在でも3台ほど使用しています。マルチチャンネルシステムでは、機器を1台毎に電源スイッチを入り切りする使用方法は、煩雑で、さりとて、スイッチ付きタップでシステム全体を一発でON-OFFはいささか乱暴なやり方でしょう。遅延付きパワーディストリビューターを使用する事で、マルチシステムをスマートに使う事をお奨めします。
Low chは、直結で、Mid-High chは、フィルムコンデンサ1μF63Vで出力を取り出しました。出力のレセプタクルは、ニッパーで2番と3番を切断し、3番は、1番アースに接続し、2番へは、47Ωを直列、2番−3番間は、15kΩをDCリーク逃しに入れています。半田付けをテキパキとやらないと、キャノンのピンがグラグラになりやすいので、注意します。Lowをコンデンサ無しとしたのは、低域の位相回転をゼロにする為です。直流は少々漏れても、数mVであり、LFとSLFには、さらにCX3400が入る使用方法としており、そこで直流カットされますので、何も心配いりません。
それと、DCX2496では、0dBFS時、波形がクリップするのですが、クリップするアンプよりも前から出力を取り出しますので、その心配も無くなり、完全に0dBFSまで使用でき、録音レベルの高いE.クラプトンBEST
OFでも、歪み無しで再生できます。
SN比は、電子ボリューム0dBとし、DCX2496と後続の自作電子ボリュームトータルにて、Aフィルターで、113dB、LPF80kHzでは、96dBとかなり良い性能となりました。
2015/12/20
デジタル入力歪率特性で、実用的にはこの特性で十分ですが、100Hz、1kHzに比べ、10kHzが高止まりしており、何とかできる物ならと考えて、コンデンサの歪みでネット検索を行い、セラミックコンデンサの歪率が高いという結果を得られ実験を行った事は、トップページでも紹介しています。
順調に下がって途中から右上がりに増え出すのが、セラミックコンデンサによる、歪率増加です。4580周辺の、2n2や390pがセラミックコンデンサと推測します。LPF回路で、オーディオ帯に影響するのは、470pF以上という実験結果も得られて、2n2すなわち、2200pFをフィルムタイプに変更すれば、もっと10kHzの歪率が下がり、実用的には、これで十分と思えます。表面実装部品として、積層セラミックコンデンサが、圧倒的多数である事は、各販売店の、現在の品揃えを見ても明らかなように、オーディオのフィルター回路用 ポリフェニレンサルファイドフィルムコンデンサが、DCX2496開発時には、無いか、一般的には知られていなかったと思います。2n2をフィルムコンデンサに換装する場合、半田付けを手早くしないと、溶けて容量抜けする事故がありますので、改造後は、発振器で、フィルターとして動作しているか確認してください。
2015/12/20 実験用LPF回路 2015/12/26撮影
DCX2496基板上のチップコンデンサを交換する前に、フィルムコンデンサを使用した、同じ回路定数による、外付けPOST-LPF回路を作り、実験をしてみました。DAC出力を本体と並列に取り出し、使用ICは、LME49720とし、上のような素直な歪率特性が得られます。ここまで来れば、完璧で、古いDCX2496でも、大いに価値が高くなります。後は、実際に部品を揃え、実装する段階なのですが、販売店側にその意味が理解されておらず、オーディオフィルター用、フィルムコンデンサが、入手難で、現在、検討中のままです。実験では、2200pFは、マイラー、390pFはスチロールコンデンサを使用していますが、電源では、積層セラミックコンデンサ 0.1μFをOPアンプ発振防止で使用しています。
オーディオ帯域全体で、-15dB〜0dBで、80dBという雑音歪率(THD+N)が確保されます。FM放送が、56dB〜60dBのSN比が実際の数値である事を考慮すると、10kHzの歪率が高くても、実用範囲内となりますが、高級品マニアに一矢報いるには、フィルムコンデンサで、特性を整える改造も意味を持ちます。
改造したDCX2496、最新の特性です。チップコンデンサの扱いに自信が無かったので、ディスクリート部品で、自作しました。自作POST-LPFは、入力抵抗を低くしてSNを向上させ、入手可能なフィルムコンデンサを、容量選別して使用しました。ゲインも落として、0dBFS時2V出力とし、アナログパワーアンプで使いやすくしました。
コンデンサの容量選別 を交流電圧で行う
マルチメーターには、容量を測定するレンジがあり、それを使用しての測定が一般的です。しかし、これでは、十分な精度が得られません。マルチメーターの精度が高いのは、電圧レンジなので、容量を電圧値として求めると、精度の高い測定ができます。容量の絶対値としての正確さよりも、2個セットにした場合の、容量の同一性が重要な平衡回路で使用する部品です。温度条件に注意して、周波数の正確な、発振器を電圧源として、温度係数の低い金属被膜抵抗を直列とすれば、そのような測定が可能となります。
コンデンサは、容量のバラツキが多く、なかなかペアを作れませんが、200本が1袋1000円台で購入できますので、4本同一容量が2組、2本同一ならば、さらに多くのペア選別ができます。このようにすれば、今日のメーカー製品よりも、優れた機器をアマチュアが製作できるようになります。
2016/01/14
検索で直接ここに来られた方 是非ともトップページへお寄り下さい。LCネットワークや、SP用アッテネータへの疑問や、スピーカーケーブルの直流抵抗とインダクタンス周波数特性などを掲載しています。
平成29年は、低雑音、低歪率な小出力A級DCアンプを自作し、更なる発展を遂げました。無駄な出費や、不安を解消してください。 トップページへ