ActivePerlでEncodeモジュールを利用して、半角カタカナを全角カタカナに変換する方法です。
EncodeモジュールはActivePerlでは通常のインストールでインストールされていますので、"use Encode"とするだけで利用できるようになります。下記の例で、"use Encode 'from_to'"としているのは、Encodeモジュールの中の"from_to"関数を使うという指定です。この指定をすると、スクリプトの中では、単に"from_to()"だけで実行できます。仮に、"use Encode"とだけ指定した場合は、"Encode::from_to()"とすれば、同様の処理ができるようになります。
Encodeモジュールでの文字コードはeucですので、"from_to"関数でeucに変換してから、"Encode::JP::H2Z::h2z(\$temp);"で半角カタカナを全角カタカナに変換しています。ただし、項目に含まれる半角スペースは変換されずにそのままになっている点に注意してください。
実際に応用する場合は、入出力データのファイル名等を変更するとともに、半角カナ文字がある項目(下記では3番目の項目にしている)を指定して、利用します。
# h2zkana2.pl # 内容 : 半角カナを全角カナに変換する # 前提 : 入力ファイルはshift-jis(from_to関数の引数を変えれば、utf8,eucでも可) # スクリプトはshift-jis,utf8,eucどれでも可 # 通常のperlで動作可能 # Copyright (c) 2011 Mitsuo Minagawa, All rights reserved. # (minagawa@fb3.so-net.ne.jp) # 使用方法 : c:\>perl h2zkana2.pl # open(IN1,"input_sjis.txt"); open(OUT1,">output_sjis.txt"); use Encode 'from_to'; use Encode::JP::H2Z; while ($line1 = <IN1>) { chomp($line1); # CSV形式の $line1 から値を取り出して @in1 に入れる chomp($line1); $line1 =~ s/(?:\x0D\x0A|[\x0D\x0A])?$/,/; @in1 = map {/^"(.*)"$/ ? scalar($_ = $1, s/""/"/g, $_) : $_} ($line1 =~ /("[^"]*(?:""[^"]*)*"|[^,]*),/g); # CSVファイルの3番目の項目が半角カタカナの項目とする。 $temp = $in1[2]; # shift-jisからeucに変換してから from_to($temp, 'shiftjis', 'euc-jp'); # 半角文字を全角文字に変換し、 Encode::JP::H2Z::h2z(\$temp); # eucからshift-jisに変換する from_to($temp, 'euc-jp', 'shiftjis'); $in1[2] = $temp; $out1 = join("\t",@in1); print OUT1 "$out1\n"; } close(IN1); close(OUT1);
Encodeモジュールのfrom_to関数について解説します
# shift-jisからeucに変換してから from_to($temp, 'shiftjis', 'euc-jp'); # 半角文字を全角文字に変換し、 Encode::JP::H2Z::h2z(\$temp); # eucからshift-jisに変換する from_to($temp, 'euc-jp', 'shiftjis');
半角文字を全角文字に変換する"Encode::JP::H2Z::h2z"関数は変換する文字コードが"euc-jp"でなければならないので、事前に"from_to"関数で文字コードを"euc-jp"に変換しておきます。"from_to"関数はfrom_to(変換する文字列, 変換前の文字コード, 'euc-jp');のように指定します。
また、半角文字から全角文字に変換した後、出力用の文字コードに変換しますので、同じように"from_to"関数で文字コードを出力用の文字コード変換しておきます。"from_to"関数はfrom_to(変換する文字列, 'euc-jp', 変換後の文字コード);のように指定します。
なお、"Encode::JP::H2Z::h2z"関数では変換する文字列を<参照渡し>("\"をつけて指定する)にしている点に注意してください。
from_to関数の文字コード
"from_to"関数では文字コードは以下のように指定します。
文字コード | 内 容 |
utf8 | unicodeを表す文字コードの一種。Perl5.8以降、Perlの内部では、文字列はutf8で扱われています。 |
euc-jp | 主にUNIXなどで利用されている文字コード。eucjp,ujis,jp-eucなどと指定しても可 |
shift_jis | 主にWindowsで利用されている文字コード。shiftjis,sjisなどと指定しても可 |
cp932 | 主にWindowsで利用されている文字コード。shift_jisに機種依存文字を含んだもの。一般にはshift_jisと指定するよりは、こちらで指定した方が変換エラーは発生しにくくなります。windows-31jと指定しても可 |
7bit-jis | ASCII文字が割り当てられているコードに、半角カタカナを割り当て、エスケープシーケンス等によって、半角カタカナモードに切り替えるものです。 bjisと指定しても可 |
iso-2022-jp | いわゆる「JIS漢字コード」です。 |
iso-2022-jp-1 | いわゆる「JIS漢字コード」に「JIS補助漢字」を追加したものです。 |
MacJapanese | shift_jisにAppleコンピュータ用の機種依存文字を含んだものです。 |
スクリプトはこちらにあります(必ずshift_jisで保存してください)。
入力データはこちらにあります(必ずshift_jisで保存してください)。
"0100","ABC","[]@!#$%&<>'()*+,-./ 012345ABCEFGabcefgアイウエオガザダバパヴ" "0110","ABC","[]@!#$%&<>'()*+,-./ " "0120","ABC","0123456789" "0130","ABC","ABCEFGabcefg" "0140","ABC","アイウエオガザダバパヴ" "0150","ABC","カガ タダヒコ" "0160","ABC","スズキ ココロ" "0170","ABC","ジョン・スミス" "0200","DEF","[]@!#$%&<>'()*+,−./012345ABCDEFGabcdefgアイウエオガザダバパヴ" "0210","DEF","[]@!#$%&<>'()*+,−./ " "0220","DEF","0123456789" "0230","DEF","ABCDEFGabcdefg" "0240","DEF","アイウエオガザダバパヴ" "0250","DEF","カガ タダヒコ" "0260","DEF","スズキ ココロ" "0270","DEF","ジョン・スミス"
0100 ABC []@!#$%&'()*+,-./ 012345ABCEFGabcefgアイウエオガザダバパヴ 0110 ABC []@!#$%&'()*+,-./ 0120 ABC 0123456789 0130 ABC ABCEFGabcefg 0140 ABC アイウエオガザダバパヴ 0150 ABC カガ タダヒコ 0160 ABC スズキ ココロ 0170 ABC ジョン・スミス 0200 DEF []@!#$%&'()*+,−./012345ABCDEFGabcdefgアイウエオガザダバパヴ 0210 DEF []@!#$%&'()*+,−./ 0220 DEF 0123456789 0230 DEF ABCDEFGabcdefg 0240 DEF アイウエオガザダバパヴ 0250 DEF カガ タダヒコ 0260 DEF スズキ ココロ 0270 DEF ジョン・スミス