『爺(じっ)ちゃんからの直伝・文化社会学の極意』
「どこにも行かないと思うよ。人間も自然の一部なので、自然に帰るのだと思うよ。」
「えっ、じゃ天国も地獄も極楽もないの?神様や仏様もいないの?永遠の魂もないの?」
「そうだね、私はないと思っているよ。」
「爺ちゃんは、お医者さんから、あと3年くらいの命と言われているんでしょ。怖くないの?」
「私は、良寛さんの次の言葉がとても好きなんだ。
それは,『災難に逢ふときは災難に逢ふがよく候。死ぬる時節には死ぬがよく候。是はこれ災難を
のがるゝ妙法にて候。』という言葉なんだけれども、少しでも良寛さんのこの境地に近づきたいと思い
ながら生きてきたんだ。そして、私は今ここで、翔太と話をしていて、とても幸せだよ。考えてみると、
地球上に生命が誕生した40億年前から現在まで命がつながってきて、その一カ所でも切れていれ
ば、私は存在していないわけだ。今、ここで生きているということは、それだけで気の遠くなるような
奇跡的なことだと思う。だから、今、ここに生かされていることに感謝し、この一日一日を喜びを持っ
て陽気に生きていきたい。そのように生きていけば、最期の時に微笑みながら死んでいけるのでは
ないかと思っているよ。」
「古代のユダヤ人たちがエジプトを脱出してパレスチナに入って行ったとき、パレスチナに住んで
いた人々を皆殺しにしろと神が命じた、というようなことを本で読んだことがあるけど、その神も実は
いなかったということなの?」
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