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妊娠・出産を控えた皆さん、こんにちは。いかがお過ごしですか?梅雨のこの時期、洗濯物には本当に悩まされますね。
数日前までの何日かはありがたいことに梅雨の中休みで洗濯物も気持ちよく乾いてくれましたが、とくに小さい赤ちゃんがいるお宅では、さぞやお日さまとにらめっこの毎日を送ってらっしゃることとお察しいたします。
小さいとはいえ、子どもは汚し屋さん。汗をかいた、よだれを垂らした、母乳やミルクを吐いた、おしっこやうんちがおむつから漏れたで服が汚れるのは日常茶飯事。おむつを開けたとたんにおしっこやうんちをするなんてこともよくあることで、特に男の赤ちゃんだと「小さいのにおおいばり」でピンと上を向いてますからね。勢いよく出たおしっこでお母さんの顔や服が濡れてしまうのはもちろん、自分の胸元や枕元まで濡らしてしまうなんてのもしょっちゅうです。しかもうちはある理由からムスコもムスメも昼間は布おむつを使っていたので、洗濯物の量といったら、そりゃあハンパではありませんでした。洗濯機よ、ありがとう。
あ、そうだ、今日はこの「紙おむつと布おむつ」のお話をしてみましょうか。

皆さんは紙おむつと布おむつのどちらが、赤ちゃんにとってより望ましいとお考えですか?私が読んでいた頃のマタニティ雑誌には、複数の産婦人科医や小児科医の話として「紙でも布でもどちらでもいっこうに構わない。おむつの材質が紙か布かの違いだけで、赤ちゃんがどうこうなるものではない。」とよく書かれてありました。里帰りするまで通っていた母子同室のクリニックでは、「お母さんと赤ちゃんのスキンシップが大事。そのために紙おむつよりも頻繁に取り替える必要のある布おむつを使うべき。」と、リースの布おむつを使っていましたし、そうかと思えばお産をした実家近くの大きな病院では、おむつかぶれを防ぐためと、おそらくは助産婦さんの手間を省くために、紙おむつを使っていました。こうしてみると、現在、産婦人科医や小児科医の間で「どちらがいい」と統一した意見があるわけではないらしいことがわかりますね。
それでふと気がついたのですが、紙か布かにこだわるのは赤ちゃんのお母さんや医師達ではなくて、実は「昔お母さんだった、今おばさん以上の御婦人方」なのだということです。
うちの窓の外に干してある布おむつを見たらしい近所のおばさんに、「あなた偉いわねぇ、最近の若い母親は皆紙おむつを使うでしょ?愛情が無い感じでいやよねぇ。」と言われたことは数え切れないほどあります。病院で子どものおむつを替えていて、「あら、珍しい、布おむつ使ってるの?偉いわねぇ。よちよち、いいお母さんで良かったでちゅねぇ。」と、どこの誰だかわからないおばさんに言われたことも数え切れないほどあります(←実は面倒で数えていないだけ)。
どういうわけかこういうおばさん、おばあさん達は、「布おむつを使う=偉い、けなげ、かいがいしい、子どもへの愛情に溢れている」と思うものらしいんですね。反対に「紙おむつを使う=手抜き、ぞんざい、母親失格、ゴミを増やして環境に悪影響を与えている」と思うようです。なぜでしょうか?一言で言ってしまえばそれは、「おばさん、おばあさん達は、紙おむつを使ったことが無い」からです。
紙おむつがいつ頃からあったものかははっきりとは解りませんが、少なくとも現在「布おむつ=いい母親」と判断するおばさん達が子育ての現役だった時代には、紙おむつはまだ無かったか、あっても一般的ではなかったのではないでしょうか?おばさん達はごくあたりまえのこととして布おむつを洗い、天気に急かされるように干し、夕餉の支度の合間に急いで取り込み、家族が寝静まった後で明日の分のおむつをたたむといった生活をしていたはずです。そんなおばさん達には、私達が洗濯の必要の無い使い捨ての紙おむつを使っているのを見ることは、まるで自分の時代の不幸だったことを思い知らされるような気がして耐えられないのではないでしょうか。「私がおむつ洗いであんなに苦労したんだから、あんたもやんなさいよ。」という気持ちがモロに見えますね。
でも布おむつを使っていた私がはっきりと申しましょう。
「小姑根性丸出しのどこの誰だかわからないおばさんに布おむつで誉められても、嬉しくもなんともないんだよ〜〜〜ん!
ぺろ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!」


紙おむつを使うことでよく話に出るのが、「赤ちゃんとのスキンシップはどうするの?」ということです。布おむつは頻繁に取り替える必要があるから赤ちゃんとのスキンシップに有効だという話ですが、つい最近までの母親も忙しく野良仕事に出ていた時代は、一日の布おむつの使用枚数を10枚で済ませたなんてのは、ごく普通のことだったと聞いたことがあります。布おむつを一度でも使ったことのある方なら、この枚数で済ませることが紙おむつにくらべてとりたててスキンシップに優れているなどと言えないのはおろか、衛生面でも問題だというのはおわかりですね。おむつを替える回数はその材質によるのではなく、その家々の生業だとか、母親や赤ちゃんのお守をするおばあちゃんの健康状態に大きく左右されたものだったのではないかと思います(おむつ替えはこれで結構体力を使います)。頻繁におむつを替えることが赤ちゃんとのスキンシップの全てだとでも言いたげなこうした意見は、あまりに可笑しくてへそが茶を湧かすってものですね(たまにスキンシップを求めておむつをしてもらいたがるおじさんはいますが)。
「ゴミが増えて環境に悪い」と言いますが、布おむつを洗う水と洗剤と、それによる水質汚濁を考えたら、どっこいどっこいじゃないですか?人間が生活を営むということは、ゴミを出すか水を汚すかですからね。汚した水をきれいにするのだって多量の化学薬品や電気を使うんですから、布おむつが紙おむつに比べて環境対策上優れているなどとは、ちょっと考えられません。
だいたいこんなことを言うおばさん達は、自分ちの寝たきりのお年寄りの介護をするのに布おむつを使ってるんですか!?いいえ、屁理屈じゃありませんよ。お年寄りだってスキンシップは大事だし、床擦れ防止や局部の清潔を考えたら頻繁におむつを取り替える必要があるというのは、誰にでも解りそうなもんです。しかも赤ちゃんのおむつに比べてお年寄りのおむつの方がうんと大きいわけだし、使う期間だって(悲しいことですが)赤ちゃんのそれとは比べ物にならないほど長くなることの方が多いんですから、スキンシップがどうの、ゴミがどうの、環境への悪影響がどうのなんて話は、お年寄りの介護に布おむつを使うようになってから言って欲しいもんですわ。
あ、それからハナをかむ時はティッシュペーパーを使っちゃいけません!ハンカチでかんで洗いましょう。トイレでもトイレットペーパーを使っちゃいけませんよ!!お尻拭き専用の布切れで拭いて、洗って下さい。もちろんキッチンペーパーなんて金輪際使っちゃいけません!
いや、その前に閉経前のおばさん!生理の時に、紙ナプキンを使っちゃいけませんよ!!!カサは小さいとはいえ、初潮から閉経まで何十年もあるんですからね。それこそ大変な量なんですから。ちゃんと布ナプキンを自分で作って、何度も洗って使って下さい!!!
以上のことを実践しているおばさんの「布おむつ使って偉いわねぇ。」の誉め言葉のみ、素直に聞くことにしましょう。そうでないおばさんの言葉なんか、誰が聞く耳もつもんですか!!へへ〜〜〜〜〜〜〜〜〜んだ!!!

おお、いけないいけない。私としたことが少々興奮してしまいました。まあつまり、「布でも紙でもどっちでもいい。」ってのが結論のようですな(←これだけ長い話でこの結論とは)。私も両方使いましたし。
えっ!?生理のナプキンのことまで言う私が、どうして布おむつを使っていたか不思議だ!?
そうですねぇ、そう思われるのも無理ありませんよねぇ。いや、だってほら、布には布の良さってものもあるんですよ、やっぱり。それこそ「今しか使えない旬のもの」ですしねぇ。
・・・・・・・・・はい、正直に申しましょう。実は流産の後の待ちに待った長女の初の出産とはいえ、婚家に遠慮して何も用意しなかった実家の両親なんですが、それでもたった一つ用意してくれたのが、この布おむつだったんですね。しかも裁断する時には父も布地をおさえて手伝ったという、両親の思いのこもったおむつだったんです。遠く離れて暮らすからそうそう簡単には会えないだろう、もうすぐ生まれてくる孫のために、思いのありったけを込めて両親がつくってくれたおむつ。
これを使わないで押し入れの中にうっちゃっておくことが、あなたにはできますか?

(2000/6/23)

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