2003年 第1回沢山行 山行メモ

筆者 T・F (顧問)

 沢登りは、一般コースを歩いているだけでは体験できない様々な登山の醍醐味を味わうことのできるものなので、ワンダーフォーゲル部でもそれをある程度公式な形で行う機会があればいいと以前から考えてはいた。(ちなみに、東京都高体連登山部でも、毎年9月に高校生を対象にした沢登り講習会を行っている。)

 ワンダーフォーゲル部でも、かなり昔には個人山行で沢登りをしていたようで、丹沢のエビラ沢ではちょっとした事故も起きていたらしいのだが、詳しいことはもう分からなくなっている。

 今回、OBのU君の参加を得て、その沢登りの山行を実現できる運びとなった。

 顧問以外のメンバーがみな初心者であるため、十分に面倒が見られる範囲でということで、今回は現役部員からの参加者は2名までに限った。今年の夏合宿中に、1年生2名が参加を希望したため、それでメンバーは決定した。

 今回の山行は、『丹沢の谷110ルート』(山と渓谷社・1995年9月/以下「ガイドブック」)に基づいて計画を立てた。

 水ノ木沢は、基本装備のみで遡行できる、沢登りの入門コースとしてはなかなかよい沢だった。悪い(=危険な)ところは全くないと言ってよい。念のために、ロープ・安全ベルト・カラビナなどを携行していたが、使用することはなかった。

 沢は、きれいなナメが続き、所々にはシャワークライミングで登れる滝もあり、また小さなゴルジュもあって、遡行には飽きなかった。ガイドブックに記されていた賛辞も過褒ではなかったようだ。

 樹々の緑が瑞々しく、暑さにうだる尾根道とは別世界の涼しさは、沢歩きならではのものだった。また、最後には、15分間はどの短い時間だったが、薮こぎも体験できた。メンバーは、特に緊張を強いられるということもなく、遡行を愉しめたことと思う。

 水ノ木沢の難点は、アプローチが不便なこと。往路と帰路にタクシーを使わなければ、日帰りで遡行することは難しいであろう。また、入渓点までの林道歩きが長いことも難と言えば難である。

 行動の問題点としては、標高1050m付近の二俣で、ガイドブックとは異なるルートに入ったこと。
 右がガイドブックで紹介されていた菰釣山直下に突き上げる沢筋だったのだが、そこで左の沢に入り、ブナノ丸の少し西の尾根上に出ることとなった。

 その出合は、ガイドブックでは「1:2の出合」と記されていたが、水量は明らかに左の沢の方が多く、沢底もそちらの方が低かった。2万5000分の1地形図を見れば、梅ノ木沢出合を過ぎてからは右側から目立った沢が出合うことはないと思われたので、右の沢を行くべきかと少々考えたが、結局、〈本流〉と思われる左の沢に入ることにした。
 ただ、2万5000分の1図を見ると、源頭に入ると沢筋は北東に進むはずなのだが、何度コンパスを振っても沢筋は北に向かって続いていたので、源頭をつめながら、これは少しおかしいと思ってはいた。

 もちろん、左の沢に入ったことで問題は全く生じなかったのだが、沢歩きではガイドブック(あるいは遡行図)はあくまでも〈参考〉にしかならないということが再確認できた。


《「稜線」第26号(2004年度)所載》

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