2003年 秋季第1回山行 山行記
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筆者 D・K (2年生)
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10月18日(土) 〈1日目〉 曇り
去年は朝発ち(学校が休みなどで朝っぱらから山に行くこと)だったが、今年は午後発ち(学校でお勉強したあと山に行くこと)になった。
土曜とはいえ電車は混んでいるし、学校にあの非日常的なザックを背負って登校するのはいささか抵抗感があった。見てくれを気にしているようではまだまだ真のワンゲラー(山を愛し、山に勇敢に挑むワンゲル部員のこと……と「稜線」の用語辞典に載っている)ではないようだ。
前々から土日は天気が悪くなると言われていた通り、所沢駅に着いた頃から小雨が降りだした。西武秩父駅に着いたときにはもう止んでいたが、雨のせいで急に気温が下がったらしく肌寒い感じがした。
出発地点である日向大谷で水をポリタンに入れるらしいのだが、小さな駐車スペースで水場などどこにもなかった。僕が首をかしげていたら、今回の山行のリーダーであるIが水を満タンにしたポリタンを片手に満足そうに便所から出てきた。ま、まさか……。恐る恐る、Iにその水はどこで汲んだのか聞いてみた。「え? 便所で汲んだよ。」 予想的中! 僕は反対しようとしたが、「去年もここの便所で汲んだけど、IとNが今生きているから大丈夫ですよ!」と先生が言うので、運を天に任せて僕も便所で水を汲むことにした。ワンゲルでは日常では考えられない体験ができるからスリルがある。
日向大谷からこの日の目的地である清滝小屋までは平坦な道で危険な場所はなかった。しかし学校を発ったのが午後であったため、なんだか暗くなってきたなぁと思っていたら、30分もしないうちに真っ暗になってしまった。都会の夜とは違って、山の夜は本当に真っ暗だ。しかも恐ろしいほど音がしない。僕たちの息遣いだけが耳に聞こえてくる。
小屋の光が見えたときはホッとしたものだ。紅葉が見ごろの季節ということもあってか、テント泊まりの人が結構いた。なんとかライト・エスパース2張を張ることができたが、もし張れなかったらどうしていただろうと考えてしまう。
夕食はハヤシライスだ。念のため、水は小屋のものを使うように部員に言った。下痢にでもなって食料係である僕に疑いをかけられたらたまったものじゃない。
ハヤシライスはうまくできて好評だったようだ。もう1パック、肉を買っておいて正解だった。
10月19日(日) 〈2日目〉 快晴
今日は今回の山行で最大の難所「八丁尾根」を通過するということで、みんな気合いが入っていた。
朝食は例のごとくスパゲッティーである。いつもはミートソースのところをクリームソースに変えてみたが、そろそろ別の料理を考えたほうがよさそうだ。
テントを予定よりも早く片付けることができたため、日の出を見ながらの出発となった。昨日、天気が悪かったので心配していたが、今日は快晴のようだ。朝日が山の斜面を照らし、僕たちも含めて辺り一帯が真っ赤に染まった。こういうのは実際に行った人しか味わえないものだ。
両神山山頂までは多少鎖場があったものの、鎖を使わなくても十分歩くことができた。山頂は360度の大パノラマで富士山や八ヶ岳が見えた。空は雲一つない快晴。まさに最高の眺めだ!
雄大な景色に酔いしれた僕たちに待っているのは、鎖場の連続「八丁尾根」である。山頂からもその尾根は見ることができたが、まるで中国の絵巻などに出てきそうな凸凹の激しい稜線だった。あんなトコ本当に登れるのか疑わしかった。
両神山からが本番である。僕たちは細引きを体に結びつけた。(結び方の名前何て言ったっけ?)万が一の場合、これが命綱になる。できることならこの細引きを使うことなく下山できることを祈りながら、自分の胴に固く結びつけた。
出発して早くも鎖場が出現! しかも看板には「八丁峠の場は初心者向きではありません」なんていう警告付きだ(それ知らないでここに来た初心者はどうやって下山するのだろう……)。
Nは去年ここに来た時に鎖場で滑落したことがある。その時の恐怖を思い出したのか、Nは鎖にばかりたよってバックステップ(後ろ向きになってしまうこと。この体勢になってしまうと次の足場を見つけることができなくなってしまう)になってしまった。心配だったが、なんとか最初の鎖場はクリアしたようだ……と思っていたら、すぐ次の鎖場だ。一息ついている余裕などない。
途中、東岳と西岳で休憩をとり、西岳で昼食にした。昼食は夏合宿で好評だったハンバーガーだ。99円ショップでレトルトハンバーグを手に入れることができるのでこれから昼食の定番になりそうだ。
八丁峠からは鎖場も終わり、平坦な道を川に沿って下っていく感じだった。しかしバスの時間に間に合うか間に合わないかのギリギリの時間らしく、先頭のIは半分走っていた。焦っていたせいで途中ルートミスを何回かしてしまったが、急いだ甲斐あってバスに間に合うことができた。バスに乗ると疲れがどっと出てきて、知らないうちに爆睡してしまった。
明日からまた学校だ。山から家に帰る電車の中から見る風景が、山から都会に変わっていく様は、いつも僕を空しい気持ちにさせる。だからまた山に行きたくなるのだ。
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《「稜線」第26号(2004年度)所載》
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