2002年 春合宿 山行記

筆者 R・U (3年生)

4月3日

 春合宿と言えば集合は決まって小田急新宿駅。今回も急行で新松田まで向かう。天気は快晴で正に登山日和だった。新松田には8時頃に到着。バス待ちの時間を利用して朝食を購入した。ここからバスに乗り大滝キャンプ場までむかった。道沿いの桜が見頃を迎えていて大変素晴らしい。遠くに富士の勇姿を拝むこともでき、テンションも上がる一方だった。

 1時間40分程でキャンプ場前バス停に到着した。すると元気な犬が我々を出迎えてくれた。どうやら宿泊者はうちらだけのようだ。速やかに設営を済ます。やはり入部してから2年、設営も我ながら早くなった気がする。サブザックを背負い、西丹沢自然教室行のバスをのんびりしながら待つのであった。

 バスは10分で自然教室に到着した。ここから登山道入口までは林道歩きだ。川沿いを少し行くと入口に着いた。涸れた沢伝いに登り、分かれてしばらく進むと約20分でゴーラ沢の出合を通りかかった。河原沿いに歩くと目の前に階段があらわれた。この階段は急で鎖が付けられているほどだ。登り終えると今度は急登になり容赦なく体力を奪っていった。サブザックにもかかわらずみんなバテてるようだ。なんとかベンチのある程よい展望場所を見つけ休憩をいれた。

 ゆるやかに登るとやがて石棚山への尾根道に合流した。ここからはバイケイソウの群生地が広がるため、木道を歩き花畑を横に見ながら檜洞丸山頂に着いた。山頂は特別展望もなく、風が強くじっとしていると容赦なく体温が奪われていく。写真撮影を素早く終え、足早に下ることにした。

 石棚山稜を下るがこの区間は特に風が強く風の凄まじい音が響いていた。休憩も尾根上で取るのは困難で少し下った場所でとらねばならないほどだ。石棚山のピークは気づくことなく通りすぎてしまい、玄倉への道と分かれやっと風の当たらない尾根道にでた。皆寒さと予想以上の歩行時間に疲労で口数が少なかった。急坂を一気に下り、堰提を通過すると箒沢公園橋になんとか着いた。

 しかし、ここからキャンプ場まで40分程歩かねばならない。皆完全に気力を失っており、車道を下を向きながら歩いていた。さらに日も暮れてきていたので寒さもさらに厳しくなってきた。

 辺りがすっかり暗くなった頃、やっとキャンプ場に到着した。夕食のカレーを急いで作り、皆疲労の為、すぐに眠りにつくのだった。



4月4日


 この日の起床は4時だった。朝食を素早く済ませ撤収も完了させると畦ヶ丸への林道を進んだ。朝食のうにスパゲティーのせいで、気持ち悪さに後悔しながら早くも1本目から必死の形相で登ることになってしまった。けれど、どうやら他のメンバーは元気なようだ。

 林道に分かれを告げるといよいよ本格的な登りになった。この日も朝から晴れで沢が横に流れ、すがすがしい中をどんどん登っていった。途中の避難小屋らしき建物を過ぎると急な登りに変化した。歩き始めて1時間強経つが未だにうにの呪縛から抜け出せずにいた。朝からそばつゆ一気はやめようと誓いつつひたすら足を前に出すのだった。

 出発から3時間位で畦ヶ丸避難小屋に着いた。ここから山頂まで往復したが木々に覆われていて展望はなかった。それでも春合宿2つ目の目標をクリアーしたのである。

 ここから城ヶ尾峠までは小さいアップダウンの続くいやらしいようなコースだった。それでもさすが東海自然歩道に指定されているだけあり、途中にベンチが設置してあるあたり、よく整備された道だった。城ヶ尾峠から尾根道から外れキャンプ場へと下山した。

 林道に合流して退屈な道をしばらく行くとキャンプ場に到着した。ところが荷物を降ろし管理棟を探すがいっこうに見つからない。自分はキャンプ場を抜けて下の別荘地まで行ってしまった。蛇口をひねっても水が出てこないことに一抹の不安を抱えつつなんとか古びた管理棟を見つけることができた。その脇にきちんと水の出る水場があったので、失礼にも管理棟の目の前にテントを張ってしまった。この日の設営は昼下りの暖かくのんびりした心地もあったのか、結局40分位かかってしまった。合宿2日目はそれぞれテントで爆睡したり、まだまだ寒いのに川で遊んだりとのんびりと過ぎていくのだった。



4月5日


 起床。辺りはまだまだ暗い。なのに、やけにハイテンションな輩が1人……。1本目の林道終点まではヘッデン+ランタン歩行だった。少し崩壊している階段を登るといよいよ登山道に入った。今回は意外にも疲労は残っておらず気づいたら尾根道に出ていた。ここから林の中を行き、避難小屋を過ぎるとすぐに菰釣山に着いた。今回の山行で唯一山頂で展望が期待できる所だ。眩しい朝日の中、対面には自分がワンゲルで初めて登った御正体山、眼下遠くには山中湖、そしてまだ雪をかぶる富士山と申し分のない展望が広がっていた。これだけでも来た価値があると思わせるほどの景色だった。

 尾根道を軽快に歩き、遠くに車の音を聞きながら下ると林の中の山伏峠分岐に着いた。このとき実はまだ10時前、かなり早めのペースである。ここから一気に下り、閉鎖したホテルの前を通過すると山伏峠に着いた。

 一服いれると車道を平野に向け歩き出した。交通量が多く道幅も狭いせいか下りの林道でよく見られるオーダー無視のバラバラ歩行も見られなかった。ただ下界なのにばかでかい荷物を背負った人間が5人連なって歩くのは滑稽な気がするのだが。平野に着く頃にはもう暑いくらいの気温だった。解散式を済ますと、バス待ちの時間に近くのセブンイレブンに大挙して押し寄せるのだった。



《「稜線」第24号(2002年度)所載》

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