2001年 春合宿 山行記

筆者 K・J (2年生)

 毎年何かが起こると言われている(らしい)春合宿だが、やはり今年も事件は起こった。2001年度1発目の山行にいったい何が起こったのか……。

4月3日 天候:晴れのち雨(雪)

 今回の集合は、小田急新松田駅。JR御殿場線の松田駅の前にあり、駅前に駅がある変なところである。小田急線は、都心からずいぶん離れているのにもかかわらず、立っている人もいるほど予想以上に混んでいた。天候の方はまずまずで問題はない。今回は花粉症の関係で、Wが休みということだった。

 集合時刻に遅れる者もなく無事バスに乗り込む。バスは国道を過ぎ、しばらく走って玄倉に到着する。時間が半端なので、ここで食事となる。バス停はダムと道路とはさんであり、休憩などができるようになっていた。

 午前11時バス停発。特に特徴のない道路を歩いていく。しばらく行くと民家が消える。一つ分岐を過ぎてさらに歩き、1回目の休憩を取る。林道歩きはわりと楽なのだが、これが2時間かと思うとげんなりする。しばらく行くとトンネルがある。また、道がアスファルトになったり砂利になったりする。何個か目のトンネルは割と長く、ヘッドランプ無しで突入すると真っ暗になり(あくまで私がだが)、しかもいくつかランプがあってもかなり見えにくいという状態であった。なおかつ路面の状態は非常に悪い。おそらく経験上もっとも暗いトンネルであっただろう。

 この日はほとんどあの、川で流され数名の死者も出た玄倉川に沿って歩いていく。途中放流のサイレンが鳴ったという玄倉ダムも通過する。おそらくこんなところまでも、たくさんの報道陣が詰め掛けたのだろう。

 それはいいとして、途中もう1回休憩を挟み午後1時48分、ユーシンロッジに到着した。割と早く着いたこともあり、部屋で少し休んでからカレーを作り始める。しかもコンロもある。ジャガイモを減らしたせいかとろみがないが、味は今までと逆に濃いくらいで食が進む。

 一通り片付け、部屋にいると風呂の準備ができたと言う(この時点で部屋には私とY・Kのみで、U&M・Kはすでに風呂に行っていたらしい。ロッジのおばちゃんが強烈で、起こされたY・Kは非常に不機嫌そうな様子だった。このおばちゃんは後に記念写真を求めてきた。むしろ強制してきたかも)。とりあえず、ロッジのおばちゃんの機嫌を損ねると後が怖いので入ることにする。ここで入ったのは、後に成功だと思った。出てくると8時近いということで速攻寝ることになった。



4月4日
 天候:晴れ(早朝・雪)

 朝食のそばはまずまずの味で、そして初の5秒餅はワンゲルの歴史に大きな衝撃を与えるものであった。まさにエネルギー革命である。それはいいとして外は雪が降っている。山頂が気になるところだ。

 午前5時55分、ユーシンロッジ出発。これまたしばらく林道が続く。途中の分岐で下の方に降りていく。ほとんど川原を歩いていく感じである。途中橋が落ちたようなところもあったが、無事切りぬける。そして1回目の休憩。正面にこれから登る蛭ヶ岳が見えるが山頂は雲に隠れている。写真も数枚撮り、再び歩き始める。次第に雪が増え、路面がバリバリと凍結したようなところを進んでいく。

 しばらく行くと道が急になくなり、赤い目印が川を越えて山のほうに続いていく。指示どおり川を越えていく。と思ったとたん、急激な登りに入る。しかも雪が多く道が分かりにくい。少しずつ目印を探して歩いていく。登りと雪でペースが落ちる。それでも少しずつ登っていく。しばらくして休憩できそうなところを見つけ休憩を取る。軍手を使ったため非常に手が冷たい。上の方を見るとだいぶ雲が流れたようで、景色がよさそうである。割と登りもゆるくなり、そこそこ軽快に登っていく。しかしまだ先は長そうである。もう少し歩いていき、山頂まで行く前にもう一度休憩を取ろうとするが、なかなか場所がない。仕方なく道から少し登ったところで休憩を取る。気温自体は低いので、歩いている時は暑いが、止まると寒いという面倒な状況でもあった。

 このあと、もう1本で蛭ヶ岳山頂に午前9時45分に到着する。天候は晴れ。非常に眺めがいい。しかも日差しが強い。ここで昼食をいうことになる。紅茶も作り始める。今回はちょっとこだわってアールグレイをチョイスしてみた。確かにまったく香りが違う。サンドイッチと紅茶は定番の昼食になりつつあるようだ。食事後写真も撮り、少し休憩していると、富士山を覆っていた雲が一瞬晴れた。すかさず撮る。無事1枚は撮ることができた。 そうこうしているうちに午前11時、出発となった。非常に暖かく天候もよい。ただ、地面が溶けてぐちゃぐちゃになり、非常に歩きづらい。途中富士山が非常にきれいに見えるポイントがあって、パーティーを止め数枚撮影。もう少し行って休憩を取る。登りがきつかったので、普段より下りもペースが遅めである。

 そして出発。さらに歩いていくと木がなくなり、草原のところを通過する。見晴らしがよく、海岸線、そして江ノ島らしきものも見える。午後0時53分、丹沢山山頂につく。蛭ヶ岳同様のいす(テーブル?)があり、腰を下ろして休憩。インターハイの話になる。果たして、現ワンゲルはインターハイに出ることにはなるのだろうか。それはさておき、相変わらず強い日差しの中午後1時05分、出発。あと1本である。だいぶ前から鹿のフンが結構道に転がっている。よほど鹿が多いのだろう。よけつつ進んでいく。しかし、前半の登りなどでかなりペースが落ちている。丹沢山までも、ワンゲルでは珍しくエアリアタイムより遅かった。ゆっくり少しずつ進んでいく。そしてラスト1本は1時間07分にもなってしまったが、無事午後2時12分、尊仏山荘・塔ノ岳山頂到着である。

 早速部屋に入ろうとすると、どうやら外のプレハブっぽい様相の方だと言う。ただ、貸しきっていいということなのでひとまず救われた。広々と使える。水がないということで、U&M・Kが水汲みに行くことになる。その間、2階でゴロンと転がる。30分ほどで2人が戻ってくる。それから少しして、料理が始まった。

 私は気象の方を2階でやっていた。天気図を書くのに相当手間取ったがなんとか書き終える。明日は文句無しの晴れ予想だ。そうこうしていると、キムチ鍋も出来上がる。これが、非常にうまかった。個人的にはもう少し辛くてもよかったが、十分な味である。U、見事! この後、Y・Kと私が水を汲みにいったが、そのときの夕焼けの塔ヶ岳からの眺めは過去の記憶から考えても1位・2位の眺めであった。

 ストーブが入っていることもあり非常に暖かいのだが、寝る時間になっても消えないのには困った。うるさい。しかし、しばらくして山荘の人が消したようである。



4月5日
 天候:晴れ

 ラーメンにも特に問題はない。餅も十分威力を発揮している。一通り準備をし、外に出てみる。もう少しで日の出のようだ。しかし、非常に寒い。地面は霜柱がバリバリに立っているので、歩くとざくざくする。なんとか寒さに耐え、日の出を写真に納める。反対側の富士の写真も数枚撮っておく。

 午前6時出発。地面が霜柱状になっているので歩きやすい。しかし、足は重い。しばらく下った後、鍋割山への登りになる。これが思った以上に長かった。コースタイムを若干超えて山頂に着く。

 しかし、ここで思いもよらぬことが。なんとこの先危険のために通行禁止になっているのだ! ここで、今後の行程を考えることになる。少々の危険は無視して突破するか、それともコース変更をし、別コースで下るか。長い審議の結果別コースで下ることになった。これにより最短で2時間半もあれば十分につくことになる。時間が短くなるので早速温泉の話をする者もいれば、がっかりしている人も。人それぞれである。

 鍋割山はそんなこともあって、なぜか35分も滞在してしまった。写真も撮れた。ここは今回の山行でも、下から近い割によい富士山の写真が撮れるところだと思う。それはさておき、下山のコースを突き進む。途中一度休憩を取る。ここでUが水をぶちまけてしまうが、もしこれがフル行程なら大変なことになっていたであろう。今日はやけに水の消費が多いのだ。

 気を取り直し、歩き始める。途中非常に急で、なおかつ下が滑りやすいところを通過する。パーティーが微妙に分かれるが、止まっているのもきついところであるから仕方がない。前にいたM・Kが少々きつそうだが、それほど長いわけでもなくなんとか登りきる。しばらくだらだらとした道が続き、午前9時、櫟山に到着。ここで、食料がもったいないということで昼食になる。紅茶も沸かし、ぽかぽか陽気でのほほんと言った感じだ。どうも最近は、「のどか」とか「のほほん」と言った感じの山行が続いているようである。

 食事も終わり少しのんびりして、最後の1本を歩き始める。もう、ここは一気に下りである。どんどん下っていくと途中道路がある、これを横切り、山道が続いている。これをさらに歩いていくと、なぜかドア付フェンスが。鹿の防止であろう。これを通過していくと、どこかの農家の畑の横を歩いていく。どうもこのあたりでは茶の生産があるようだ。さらに歩いていくと道路に出る。これをさらに下っていくと目的地の寄のバス停である。どうやらバスもすぐ来るようである。ここで解散式をして解散となった

 今回の山行は、最終日異例の大規模なコース変更となった。もっとも、2日目など雪あり、急登ありなど非常に面白かったと思う。個人的には最終日は、春らしいのんびりした山歩きができたことが非常にうれしい。

 全体を通して天候は良く、いろいろと春らしい山行になったと思う。(それにしても、日差しと雪の反射で非常に顔が焼けてしまった。)



《「稜線」第23号(2001年度)所載》

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