2000年 春合宿 山行記

筆者 T・F (顧問)

4月3日 〈1日目〉

 近年、ワンゲルの春合宿は、積雪が少なくなる春休みの終わりの時期に実施しているが、今回も4月に入ってからの出発となった。

 秦野駅からヤビツ峠までバスで登り、歩き始める。決して先を急がない着実なペースで二ノ塔の登りを越える。曇天で展望もないので、三ノ塔は通過して、烏尾山まで行き、そこで昼食を摂った。少し寒さを感じる。

 行者岳の岩場を過ぎ、赤土の斜面を登りつめると新大日ノ頭で、ここからはガスの中に入った。

 幕営地がないので、この日は塔ノ岳の尊仏山荘に泊まる。部員は同学年の者しかいないので、和気藹々としていた。午後7時就寝。



4月4日
〈2日目〉

 快晴。晴れ晴れとした気分で出発する。

 塔ノ岳と日高の間の細いギャップには新しい道がつけられていた。

 晴れた日の竜ヶ馬場は気持ちのいい所だ。樹林ごしに玄倉川の白い川原が見下ろせた。

 丹沢山からの下りでは、樹々に付いた霧氷が美しかった。今年は登山道が凍結しているような所はなかった。笹原の中を不動ノ峰に登る。ここでは、塔ノ岳から丹沢山まで続く尾根が逆光の中でシルエットになって浮かんでいた。棚沢ノ頭からの下りでも霧氷が綺麗だった。鬼ヶ岩の岩場を下り、ひと登りで、蛭ヶ岳に登り着く。

 蛭ヶ岳の山頂で昼食にする。晴天の山頂。大群山の大きな山容が淡く霞んで見えた。のどかな春の山の気分を満喫した。

 蛭ヶ岳からの急下降を終え(ここでも登山道の凍結はほとんどなかった)、平坦な道を地蔵平まで歩く間に、それまで晴れ上がっていた空に雲が広がり、陽が遮られるようになつた。

 坦々と歩いて、姫次を越え、青根への分岐に入り、尾根を下る。所々、道が凍結していた。

 舗装された道に出て、それを下っていくと、西青根の集落に出た。そこで見た白梅の梅林は実に美しかった。山里では今が梅の盛りの時期なのだ。

 東野と長者舎の分岐を左に(長者舎の方向に)入り、月夜野までの車道歩きになった。空はすっかり曇ってしまって、大気も冷え冷えとしていた。部員は疲れたのか、途中の休憩ではほとんど会話がなかった。月夜野に着き、バス停のすぐ近くにある道志渓谷キャンプ場に幕営する。

 この日も、トップのEは抑えたいいペースで歩いていた。午後8時就寝。



4月5日
〈3日目〉

 朝から雨が降っていたが、予定通り行動することにした。

 月夜野からバスに乗り、道志で下車。ここから朝日山への登路に取り付く。はじめは植林の中を登る。やがて秋山峠の手前で岩の出た滑りやすい急登になる。それを慎重に越えて、朝日山に登り着く。雨の中だったので、写真を撮っただけで引き返し、小広い秋山峠で昼食にした。

 巌道峠までの道はおおむね自然林の中の道で、晴れた冬の日や新緑の頃のハイキングにはいい所だろう。今回は残念ながら雨の中を歩くことになってしまったが……。ただ、道の表土の下が凍結している非常に滑りやすい部分が何ヶ所もあり、下りでは苦労させられた。

 巌道峠からは舗装された道を下る。久保の集落まで下ると、ここにも(昨日の西青根と同じように)梅林があって、それは雨の中で馥郁と香った。

 久保のバス停に着いた時、予定していたバスの発車時刻を過ぎていたので、この雨の中でさてどうしたものかと考えたが、予定のバスが予定時刻より遅れて来たため、幸いそれに乗車することができた。月夜野での神奈中バスへの接続もスムーズにいき、三ヶ木乗り換えで橋本駅に出て、そこで解散となった。


《「稜線」第22号(2000年度)所載》

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