●「研究授業の概略」*6年生:男子20名、女子15名計35名
1.本時の位置 単元「式の表す関係」6時間扱い中第1時
[問題提示]
「はじめの日に1円、2日目に2円、3日目に3円、4日目に4円というように、前より1円ずつ多く毎日貯金をしています。20日間でいくらになりますか。また、50日間ではいくらになりますか。」
T. 「どのようにしてもとめたらよいでしょう。」
C1. 「 1+2=3、3+3=6、6+4=10、10+5=15、・・・のように順に加えていけば求められます。」
*児童に確認すると36名全員納得したので、各自に計算させて210円になることを確認する。
T. 50日間のときは何円になりますかと問い、たいへんであることに着目させる。
T. 「もっと簡単に求める方法がないだろうか」と問い、各自に考えさせる。
・児童の反応 *X日=X円とYは貯金高であることを確認する。
@ 数表を作る
日=円 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
金額 |
1 |
3 |
6 |
10 |
15 |
21 |
28 |
36 |
45 |
A 最初と最後の数を加えてみる。
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20
1+20=21
* @ の児童5名〜この児童たちには机間巡視でよいことに着目したと賞賛し、Aの方法で考えるように助言する。@の考え 方は下記のようになる。
* X日=X円とYは貯金高とする。数表よりYの増分の増分が一定になるので、YはXの二次関数となる。
これは当時中学3年生で学習する二次関数である。
C2 「先生、両端の2番目を加えると21になり次も21になります。最後は10+11=21になり、全部で21が10個あるよ。だから
21×10=210です。」
T.「では50日間の貯金は何円になるでしょう。」と問い各自に考えさせる。
C. 29名の児童が次のように計算する。6名の児童には個別指導で20日間の場合の方法に着目させる。
50+1=51 50÷2=25 51×25=1,275 答え1,275円
T.「X日間の貯金は何円になるでしょう。」と問い各自に考えさせる。
C3 「20日間と50日間同じように考ええると式は次のようになります。」
(X+1)×X÷2になります。
*児童の発見したきまりは数学的帰納法である。演繹法による証明は、前に述べた二次関数と次のような方法で証明できる。
一般的な正の整数nを用いると、初めのn個の正の整数の和Sを求めよという問題に達する
そこで、和
S=1+2+3+・・・・・・・・・+n
この計算方式は容易に次のように変形される。
この和を二度書く、ただし二度目はもとの順序を逆にして:
S=1 +2 +3 ・・・・・・+ (n−2)+(n−1)+n
S= n+(n−1)+ (n−2)+・・・・・ +3 +2 +1
この二つの等式を加えると
2S =(n+1) +(n+1) +(n+1) +・・・+(n+1) +(n+1) +(n+1)
S=1/2n(n+1) 以上
T. 「では21日間の貯金は何円になるでしょう。」と問い各自に考えさせる。
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21
C4「両端の数を順にたして、例えば1+21=22、2+20=22・・・・・・・・・・
この和を2で割ると中央の数の11になる。この数が21あるから
つまり (21+1)÷2×21=(21+1) ×21÷2 で偶数の場合と同じ方法で求められる。」
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* 35名の児童は自己の課題を明確にして、その課題を解決するために生き生きと追求していた。
教師の出は発問9回と個別指導だけであり、参観者は研究会で児童の活動を絶賛されていた。
■次回からは「下高井算数・数学同好会」の歩みについて掲載します。